穏やかな村の隅っこにある居酒屋にやってきた海賊の対応をしたくなくて奥の部屋で料理を作る仕事をする。

看板娘の子は怖がりながらも接待していて偉いなと思った。

店主もにこやかにカクテルを作ったり話し相手をしたりするが笑顔がどことなく作っているように見える事から警戒しながら対応しているのがわかった。

料理は注文が入ったら作るのでいつでも作れるスタンバイは忘れずに扉の窓から表の様子を伺う。

自分の住む村に海賊が来るのは稀なため実際どうかは知らないが、今現在店の半分を占めている海賊は騒がしい連中だが悪さをするような雰囲気がないので良い海賊かもしれない。

同じ服装をしていても帽子や体格の違いで個性があって一人一人観察してしまう。

PENGUINと書かれた帽子を被ってるお兄さんや緑とピンクのキャスケット帽を被ってる鼻が矢印のお兄さんにツナギの上からでもわかる胸の大きいお姉さんに1人だけ人間じゃないオレンジのツナギを着た白熊にまたまた1人だけ全部仲間とは当てはまらないような格好のお兄さんが印象的だった。

特に目に付いたのが白熊と黄色いパーカーのお兄さん。

白熊は美味しそうにソーセージを食べていたかと思うといきなり項垂れて落ち込んだかと思えば仲間の必死な励ましによりまた美味しそうにソーセージを食べて仲間とわいわい楽しそうにしていた。

黄色いパーカーのお兄さんは1人カウンターでマスターと何か話しながらお酒を飲んでいた。

大方情報収集の類いだろう。

白いもふもふした帽子の下には高い鼻と鋭い目に弧を描いた唇の端正な顔が目を惹き付けた。

目の下の隈や刺青やピアスや顎髭がなんとも怖さを醸し出している。

なんとまぁ目の保養になる顔をしているのか。

上半身の細さと腕の長さを見て推測すると長身の細身のイケメンだということがわかると自然と手を前に持ってきて拝んでしまう。

人間観察を堪能していたところに扉に近づいてくる影が見える。

看板娘の子が注文を伝えに来たのだ。

もう少し見ていたかったと惜しみながら伝えられた料理を作るべく扉から離れた。