+10了ヒバSS

笹川の笑い



 この場に似つかわしくない、どこか得意げな笑みが笹川の口元に見え隠れする。骨の軋みが聞こえそうなほどに締めつけてくる脚の、余裕のないあさましさがそうさせるのか。互いの律動が、緻密に絡み合った肉体に響く。別個の呼吸が、重なる唇の隙間から漏れて滑稽な音をたてる。いよいよ笹川は笑いを堪えられない。
20210621
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