+10了ヒバSS

秋晴れの午後に



「雲雀、いいかげん起きてきたらどうだ」
「今日は休みだよ」
「俺も休みだ。だから起きてこっちに来んかといっておるのだ」
 と了平が自分のとなりを示すから、雲雀はのそのそと布団から出て縁側の座布団にすわった。いつからそこに置いてあったのかわからない座布団は、陽射しを浴びてふかふかと柔らかく、また温かかった。雲雀の口からあくびが出た。
 了平がにこやかに空を見上げた。空は雲ひとつない透き通った青空である。
「よい天気だなあ」
「……ああ」
 たいした関心もなさそうに雲雀が答えた。その身体は了平へ向かって、しだいにかたむいていった。いよいよ肩と肩とが触れ合う直前、了平の腕が雲雀を抱き寄せた。そのまま、雲雀は了平にもたれかかり、ふたたび眠りに落ちた。
20221115
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