捏造屋
駅を出て右に曲がると、線路沿 いに道がある。そこを道なりに歩いていくと、自販機が三つ並んだ場所がある。今度はそこを左に曲がり、商店街通りまで歩いていくと、道路の反対側に二階建てのアパートがある。アパートの前に置かれている水色の古臭い自販機を通り過ぎたすぐ横の一室に「捏造屋 」はある。
「あった」
捏造屋とは、千円を払えば誰でも一日だけ、記憶を書き換えてもらえるというお店だ。私の高校では、既 に都市伝説になっており、寿命を引かれるとか、気に入らない客は記憶を全て消されるという噂もあった。
私は、捏造屋と書かれた看板が下がる部屋の、ドアノブを回す。が、鍵はかかっている。まあ、都市伝説はそんなものだよなと帰ろうとした時、
「うちに用ですか?」
後ろを振り向くと、そこには大学生くらいの若い男が立っていた。
「いや、別に」
高校生にもなって、都市伝説の実態調査 をしているだなんて、恥ずかしくて口が裂けても言えなかった。
「そうですか」
すると男は、捏造屋の看板が下がる部屋のドアノブに鍵をさし、小さく「なんだ、お客じゃないのか」と呟いた。
私はその言葉を聞いて、慌てて声をかける。
「あの、捏造屋ってここですか?」
私の言葉を聞いた男は、ゆっくりと振り返り、薄く笑いながら「やっぱりお客さん?」と言った。
「あった」
捏造屋とは、千円を払えば誰でも一日だけ、記憶を書き換えてもらえるというお店だ。私の高校では、
私は、捏造屋と書かれた看板が下がる部屋の、ドアノブを回す。が、鍵はかかっている。まあ、都市伝説はそんなものだよなと帰ろうとした時、
「うちに用ですか?」
後ろを振り向くと、そこには大学生くらいの若い男が立っていた。
「いや、別に」
高校生にもなって、都市伝説の
「そうですか」
すると男は、捏造屋の看板が下がる部屋のドアノブに鍵をさし、小さく「なんだ、お客じゃないのか」と呟いた。
私はその言葉を聞いて、慌てて声をかける。
「あの、捏造屋ってここですか?」
私の言葉を聞いた男は、ゆっくりと振り返り、薄く笑いながら「やっぱりお客さん?」と言った。
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