密やか気持ち
「くーろりん?」
ファイはわざと明るく呼んだ。
「ああ?!」
相手は相変わらず、ガラが悪い。
「黒様、ガラ悪ーい。」
「なんだよ?」
現在、クロウ国に滞在中。
2度目の旅路が終わった。
小狼は、姫が待つこの国に戻る。
残る2人は…。
黒鋼は1人守ると決めた主のため、かねてより故郷の日本国に戻ることは変わらない決意だった。
ファイは兄弟も、親同然だった王も、第二の故郷だった国も失せた…。選択肢は幾重にもあった。でもどう生きたらいいか、正直考えあぐねていた。
モコナと一緒に他の次元をさすらう旅路もありだろう。
店主の侑子不在の店を助けることもできるかもしれない。
クロウ国には、神官の雪兎がいる。自分がいても似た立ち位置になるなとやめた。
残る選択肢は…?
彼の初対面の印象は粗悪だった。あまりにも子どもっぽくて粗野で。
いじってしまう自分を止められなかった。
でも彼は自分のなかの弱さも痛い部分も全て見抜いていた。
こんなギャップあり?って今なら思う。
彼は自分の一部を犠牲にしても自分を救うことを厭わなかった。
彼が瀕死になって初めて、自分にとって彼が大きくて大切で大事なかけがえのない存在であることを突きつけられた。
失わないとわからないの?自分。。
泣き叫んでも、自分の後悔を拭えない。
本当にいつも笑わせてくれたり、守ってくれたり、初めて出会った大切な人。
彼は不死身だったんだろうか。そんなわけない。
でも自分の目の前にまた生きていてくれた。それだけでよかった。
本当にこの感情に名前をつけられない。
…
そんな思いが走馬灯のように駆け抜けた。
「黒様、日本国に帰っちゃうんだよね?」
ファイはわかりきったことをあえて口にした。
「…、ああ、それは初めから変わらない。」
はっきり黒鋼も返答した。
嗚呼、どうしよう。ファイは揺れ動いていた。
こんなに日本国に嫉妬してるなんて。
馬鹿げてる。彼を連れ戻す存在に。
オレはどうしたいんだよ。
ファイは珍しく不安定だった。
歳下の黒鋼を失っても生きていけると思いたかった。
自分はそんなに弱くないと思いたい、男の最後の足掻きもあった。
「君は待ってる主も、みんないるもんね。後ろ髪引かれたりとかあるはずないよね。だって、黒様だもん。」
ファイは当てつけのようにと思いながらも、ぶつけずにはいられなかった。
黒鋼はそんなファイの様子を黙って見ていた。
義手の左手で頭を抱きしめられた。
突然のことで何も反応できなかった。
「俺は日本国に帰ることは変わらない。だが変わったことがある。後ろ髪を引かれないかというとそういうわけではない。お前がもし…。」
そう黒鋼が言う前に
ファイは、大きな黒い大男に両手を回した。
「オレは。オレは。君との思いだけは、自分でもわからなくて。大切で大事で。できればそばでこれからの人生も見てみたいって思ってしまったんだ。気持ち悪いよね。オレ男なのに。黒様のこれからの人生もできたら共にいれたら幸せかもって思ってしまう。わがままでごめん。本当にごめん」
ファイはたまらず、思いを吐き出した。
自己肯定感の低いファイが、一生懸命に吐露する痛切な思い。
黒鋼は右手も。ファイを抱きしめた。
痛いくらい。
「痛っ。でもあったかい。。ははっ」
ファイは黒鋼の温もりに全てを心に刻んだ。涙が止まらない。
「はは。オレ涙とか、壊れたみたい。黒様のせーだよ」
ファイの涙を舌で舐めとる。
「しょっぱいな。俺のせいだな。悪かった。本当にすまん。共に来て欲しい。共に生きて欲しい。」
静かにそう告げた。
いつどうなるかわからない人生だけど。今はこの大切な想い人と共に生きたい。いいよね?ファイ?
ファイはわざと明るく呼んだ。
「ああ?!」
相手は相変わらず、ガラが悪い。
「黒様、ガラ悪ーい。」
「なんだよ?」
現在、クロウ国に滞在中。
2度目の旅路が終わった。
小狼は、姫が待つこの国に戻る。
残る2人は…。
黒鋼は1人守ると決めた主のため、かねてより故郷の日本国に戻ることは変わらない決意だった。
ファイは兄弟も、親同然だった王も、第二の故郷だった国も失せた…。選択肢は幾重にもあった。でもどう生きたらいいか、正直考えあぐねていた。
モコナと一緒に他の次元をさすらう旅路もありだろう。
店主の侑子不在の店を助けることもできるかもしれない。
クロウ国には、神官の雪兎がいる。自分がいても似た立ち位置になるなとやめた。
残る選択肢は…?
彼の初対面の印象は粗悪だった。あまりにも子どもっぽくて粗野で。
いじってしまう自分を止められなかった。
でも彼は自分のなかの弱さも痛い部分も全て見抜いていた。
こんなギャップあり?って今なら思う。
彼は自分の一部を犠牲にしても自分を救うことを厭わなかった。
彼が瀕死になって初めて、自分にとって彼が大きくて大切で大事なかけがえのない存在であることを突きつけられた。
失わないとわからないの?自分。。
泣き叫んでも、自分の後悔を拭えない。
本当にいつも笑わせてくれたり、守ってくれたり、初めて出会った大切な人。
彼は不死身だったんだろうか。そんなわけない。
でも自分の目の前にまた生きていてくれた。それだけでよかった。
本当にこの感情に名前をつけられない。
…
そんな思いが走馬灯のように駆け抜けた。
「黒様、日本国に帰っちゃうんだよね?」
ファイはわかりきったことをあえて口にした。
「…、ああ、それは初めから変わらない。」
はっきり黒鋼も返答した。
嗚呼、どうしよう。ファイは揺れ動いていた。
こんなに日本国に嫉妬してるなんて。
馬鹿げてる。彼を連れ戻す存在に。
オレはどうしたいんだよ。
ファイは珍しく不安定だった。
歳下の黒鋼を失っても生きていけると思いたかった。
自分はそんなに弱くないと思いたい、男の最後の足掻きもあった。
「君は待ってる主も、みんないるもんね。後ろ髪引かれたりとかあるはずないよね。だって、黒様だもん。」
ファイは当てつけのようにと思いながらも、ぶつけずにはいられなかった。
黒鋼はそんなファイの様子を黙って見ていた。
義手の左手で頭を抱きしめられた。
突然のことで何も反応できなかった。
「俺は日本国に帰ることは変わらない。だが変わったことがある。後ろ髪を引かれないかというとそういうわけではない。お前がもし…。」
そう黒鋼が言う前に
ファイは、大きな黒い大男に両手を回した。
「オレは。オレは。君との思いだけは、自分でもわからなくて。大切で大事で。できればそばでこれからの人生も見てみたいって思ってしまったんだ。気持ち悪いよね。オレ男なのに。黒様のこれからの人生もできたら共にいれたら幸せかもって思ってしまう。わがままでごめん。本当にごめん」
ファイはたまらず、思いを吐き出した。
自己肯定感の低いファイが、一生懸命に吐露する痛切な思い。
黒鋼は右手も。ファイを抱きしめた。
痛いくらい。
「痛っ。でもあったかい。。ははっ」
ファイは黒鋼の温もりに全てを心に刻んだ。涙が止まらない。
「はは。オレ涙とか、壊れたみたい。黒様のせーだよ」
ファイの涙を舌で舐めとる。
「しょっぱいな。俺のせいだな。悪かった。本当にすまん。共に来て欲しい。共に生きて欲しい。」
静かにそう告げた。
いつどうなるかわからない人生だけど。今はこの大切な想い人と共に生きたい。いいよね?ファイ?
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