月に祈りを、君に願いを
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月に祈りを、君に願いを
月が綺麗な夜だった。
満月ではないが、いつか着たことがある日本国の着物に刺繍されていた三日月のような。
ファイはそう思いながら、夜空を眺めていた。
2度目の旅路で落とされた、とある次元の夜だった。
ファイの髪の毛は、少しずつ伸びていった。
1度目の旅では、黒鋼がいい感じに切ってくれていた。
自分の大切な双子の片割れである、ファイを弔ってから、あえて髪の毛を伸ばすようになっていった。
本当はファイを生き返らせたい。
だが、一度失った命はどうすることもできない。
痛いほど痛感していた。
黒鋼は、もう眠らせてやれとファイの腕を握っていた。自分のせいで、ファイを眠らせてあげられたなかった。そう思うと辛くて。
ファイという名前をこれからも名乗ること。本当のファイを看取った時から、髪の毛を伸ばすこと。
ファイにとって、長遠な時間を生きる魔術師である自分には、あえて時間を可視化できるように髪の毛を伸ばそうと思った。
そんな想いは誰に告げてはいない。
髪を伸ばすファイを、黒鋼もなにも告げなかった。何となくわかってるのかな?と思っていた。
今夜は髪の毛を結っていた紐を、解いていた。
あと寝るだけ。
黒鋼とゆっくり月見酒を楽しんでいた。
ふと、ファイの髪の毛を絡めとる手を感じた。
ゆるゆると、ふわふわと伸びた髪の毛を長い指に絡めて、柔らかさを楽しんだり、地肌に手を重ねて、撫でられたりした。
黒鋼の仕業である。
ファイは恥ずかしくなり、少し文句を言った。
「黒様、ちょっと、オレ子どもじゃないんだよ。髪の毛なんて。恥ずかしいよ。」
そんなファイの様子を楽しんだように、返ってくる。
「月と同じ綺麗な色だから、ついな。」
そんなふうに言われたら、もう何も返せなくなった。
「初めて会ったときは、ヒヨコみたいだったな。」
「ちょ!?ヒヨコっって!言い方!黒りん!」
黒鋼は、何も言わずにファイの髪の毛を優しく撫でて、抱きしめた。
「髪の毛は、お前の片割れを刻むために伸ばしてるのか?何にしても、気持ちいいな、この毛は。」
そんなふうに見透かされていた。
「そうだけどさ!黒様に切ってもらうのも面倒でしょ?てか、そんなにオレの髪の毛気持ちいい?」
恥ずかしそうに告げるファイ。
「ああ、どんな絹糸より気持ちいい。美しいと思う。」
素直な言葉に真っ赤になってしまうファイ。
黒鋼はファイの髪の毛を一掴みし、口付けた。
「離せない、絶対。」
「そっか。。」
ファイはとても幸せな気持ちになった。
ねえ、ファイ、オレ今幸せかもしれない。
君が生かしてくれたオレの命。オレの命に、ファイ、君を刻むよ。
月が綺麗な夜だった。
満月ではないが、いつか着たことがある日本国の着物に刺繍されていた三日月のような。
ファイはそう思いながら、夜空を眺めていた。
2度目の旅路で落とされた、とある次元の夜だった。
ファイの髪の毛は、少しずつ伸びていった。
1度目の旅では、黒鋼がいい感じに切ってくれていた。
自分の大切な双子の片割れである、ファイを弔ってから、あえて髪の毛を伸ばすようになっていった。
本当はファイを生き返らせたい。
だが、一度失った命はどうすることもできない。
痛いほど痛感していた。
黒鋼は、もう眠らせてやれとファイの腕を握っていた。自分のせいで、ファイを眠らせてあげられたなかった。そう思うと辛くて。
ファイという名前をこれからも名乗ること。本当のファイを看取った時から、髪の毛を伸ばすこと。
ファイにとって、長遠な時間を生きる魔術師である自分には、あえて時間を可視化できるように髪の毛を伸ばそうと思った。
そんな想いは誰に告げてはいない。
髪を伸ばすファイを、黒鋼もなにも告げなかった。何となくわかってるのかな?と思っていた。
今夜は髪の毛を結っていた紐を、解いていた。
あと寝るだけ。
黒鋼とゆっくり月見酒を楽しんでいた。
ふと、ファイの髪の毛を絡めとる手を感じた。
ゆるゆると、ふわふわと伸びた髪の毛を長い指に絡めて、柔らかさを楽しんだり、地肌に手を重ねて、撫でられたりした。
黒鋼の仕業である。
ファイは恥ずかしくなり、少し文句を言った。
「黒様、ちょっと、オレ子どもじゃないんだよ。髪の毛なんて。恥ずかしいよ。」
そんなファイの様子を楽しんだように、返ってくる。
「月と同じ綺麗な色だから、ついな。」
そんなふうに言われたら、もう何も返せなくなった。
「初めて会ったときは、ヒヨコみたいだったな。」
「ちょ!?ヒヨコっって!言い方!黒りん!」
黒鋼は、何も言わずにファイの髪の毛を優しく撫でて、抱きしめた。
「髪の毛は、お前の片割れを刻むために伸ばしてるのか?何にしても、気持ちいいな、この毛は。」
そんなふうに見透かされていた。
「そうだけどさ!黒様に切ってもらうのも面倒でしょ?てか、そんなにオレの髪の毛気持ちいい?」
恥ずかしそうに告げるファイ。
「ああ、どんな絹糸より気持ちいい。美しいと思う。」
素直な言葉に真っ赤になってしまうファイ。
黒鋼はファイの髪の毛を一掴みし、口付けた。
「離せない、絶対。」
「そっか。。」
ファイはとても幸せな気持ちになった。
ねえ、ファイ、オレ今幸せかもしれない。
君が生かしてくれたオレの命。オレの命に、ファイ、君を刻むよ。
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