未設定の場合は「ミョウジ ナマエ」表記になります
お金ないよ
Name Change
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
暇つぶしにテレビを見ようと思った。チェックアウトまでの暇つぶしのつもりで、私はリモコンを手にとった。
電源が入ると、大画面に全裸の女性が映し出されて、高い声で一瞬喘いだ。慌てて電源を落とした。最悪だ。
「ナマエって、綺麗な足だな」
私と拳二つくらいの距離を開けて、吉田は隣に寝転がっていた。気を抜けば、何をされるかわからないので私はピリピリしている。
「そういうの、マジ気持ち悪いしオヤジ臭いんだけど」
私が思ったことをそのまま口に出せるのは、司法や社会が私の味方をしてくれるという確たる自信があるからだ。まぁ、無理やりされる心配がないわけではないが、一応、念のためというやつだ。
「ナマエ、高校をでたらどうするつもりなんだ?」
「卒業できるかすらわからないんだけど……仕事で忙しいし」
「希望の話、俺がしてるのは」
いきなり真面目な口調でそう言われたものだから、思わず固まってしまった。平常の時のような語り口でありながらも、茶化すような気配は感じられなかった。未成年をホテルに連れ込んで何を言っているのかと思わなくもないが、隠すものでもないし、話してみることにした。
「……とりあえずは就職のつもり」
「大学の願書持ってたのにか?」
「あれは、先生に言われたから……」
進学の意思がないのかと言われればノーだが、今のところそれは絶対叶わない。そういう確信がある。金銭面でもそうだし、家庭の事情と一言では説明できない、厄介な問題がいくつもあるのだ。
「K大だっけ」
「そうだけど……」
「わかった」
教師と面談しているみたいだなと思った。わかったって、何がわかったんだろう。私が意味もわからず混乱していると、吉田はとんでもないことを言った。
「俺もそこ、受けるわ」
「……は?」
私は混乱して、まともな言葉も出なかった。吉田は嬉しそうに、話を続ける。
「俺と一緒に、大学行こうぜ」
「何言ってんの……」
本当に、馬鹿な考えだと思った。大学に行くということがどういうことか、ちゃんとわかっているのだろうか。第一、大学に行ってもデビルハンターとしては何もメリットがない。学び直したい何かがあるわけでもなく、その場の思いつきで行こうとするあたり、脳味噌が単細胞なのかもしれない。
「俺はナマエと同じ学校に行きたい」
「行ってどうするの」
「何って、大学いくか就職するか、決めないとだろ?」
「はぁぁぁ? それは私だけなんだけど。なんで吉田もそんなこと考えないといけないわけ? もう仕事してるじゃん」
「仕事、はそうだけど、俺ら高校生だろ」
「……え? 今、なんて言った?」
ハンマーで頭をガツンと殴られたように、私の視界は揺れた。目の前の男は、混乱する私を揶揄うように、くっくっと声を出して笑っている。
「え、え、え、わ、あ……私と同い年? 高校生?」
「そうだけど」
み、見えねぇ……。絶対嘘だ。疑う私の目の前に、学生証が差し出されて、思わずベッドに倒れ込んだ。
偽装されたものでもなく、おそらく紛れもない本物だ。
「なんだ……援助交際じゃないじゃん」
パパ活もとい援助交際的な行動だと感じていたは、実はそうではなかったらしい。
そうでなくても気味の悪い、常人には理解し難い交流方法であることはわかるが、とにかく未成年に手を出すクズではなかったというだけで、少しだけホッとした。
しかし、どう見ても、高校生には見えない。まじまじと見つめていると、吉田はよくわからない笑みを浮かべた。宗教画にでも出てきそうな、人間らしくない笑い方なのだ。それをみると、彼が本当に同じ人間なのか、悪魔なのではないかと疑ってしまう。
「俺ってそんなふうに思われてた?」
「あんたが高校生に見えるってなら、それの方がおかしいって」
「あはは、よく言われる」
こいつ……自覚していたのか。悩んでいた時間を返してほしい。私もついに、そういう段階にまで落ちてしまったのかと、悲しくなる夜もあった。
「ナマエって、援助交際とかそういうの嫌なんだっけ」
「当たり前じゃん。誰が好き好んでーー」
「俺とはいいってこと?」
夜の海のように真っ黒な二つの瞳が私を捉えていた。彼は時々、驚くくらい妖艶な表情を浮かべることがある。
そうなると、絡まったように目が離せなくなる。
「……そういうのじゃ、ない。今日は疲れてたし……いつもはそういうのはないって」
「俺のこと大人だって思って、セックスさせられるかもしれないのについてきたよな」
「は、あんたに限ってそれはないでしょ」
こういう、選択肢のない質問を問いかけてくるのが、こいつの悪いくせだ。
部屋が急に冷えたような気がして、私は布団を胸まで引き揚げた。
「……風俗行きたくなかったから、デビルハンターになったんだろ」
「そうだけど、なんの関係があるの」
「知らないジジイに抱かれるより、俺にしとけよ」
「もう悪魔に持って行かせるようなものはないんだけどね」
馬鹿らしい。高校生のくせにそんなことを持ちかけてきて、自分がえらい人間にでもなったつもりなのだろうか。私はそう思った。
「俺と組もう。あんな会社やめて、俺のパートナーになってくれ」
「はいはい。できるんならあんな中抜きするとこやめてるっての」
本当なら、私の借金は返せているくらいには働いている。それができないのは、私を派遣している会社の担当者が闇金とつながっているから。それを知っていてなお、私はそこに縛られている。
「どうせ、パートナーとやらになっても、私にデビルハンター続けさせたいから借金の返済は手伝ってくれないんでしょうが」
「俺はナマエと一緒の大学に行きたい」
噛み合わない。どうしようもないと呆れていると、フロントから電話がなった。迷わず受話器を取って、脇目もふらずに外へ飛び出した。
いい返事を期待していると言われた。考えていることは愚かの極み、私の邪魔をしたいだけなのに、どうしてここまで周りくどいのだろうと思った。
暇つぶしにテレビを見ようと思った。チェックアウトまでの暇つぶしのつもりで、私はリモコンを手にとった。パチン
電源が入ると、大画面に全裸の女性が映し出されて、高い声で一瞬喘いだ。慌てて電源を落とした。最悪だ。
「ナマエって、綺麗な足だな」
私と拳二つくらいの距離を開けて、吉田は隣に寝転がっていた。気を抜けば、何をされるかわからないので私はピリピリしている。
「そういうの、マジ気持ち悪いしオヤジ臭いんだけど」
私が思ったことをそのまま口に出せるのは、司法や社会が私の味方をしてくれるという確たる自信があるからだ。まぁ、無理やりされる心配がないわけではないが、一応、念のためというやつだ。
「ナマエ、高校をでたらどうするつもりなんだ?」
「卒業できるかすらわからないんだけど……仕事で忙しいし」
「希望の話、俺がしてるのは」
いきなり真面目な口調でそう言われたものだから、思わず固まってしまった。平常の時のような語り口でありながらも、茶化すような気配は感じられなかった。未成年をホテルに連れ込んで何を言っているのかと思わなくもないが、隠すものでもないし、話してみることにした。
「……とりあえずは就職のつもり」
「大学の願書持ってたのにか?」
「あれは、先生に言われたから……」
進学の意思がないのかと言われればノーだが、今のところそれは絶対叶わない。そういう確信がある。金銭面でもそうだし、家庭の事情と一言では説明できない、厄介な問題がいくつもあるのだ。
「K大だっけ」
「そうだけど……」
「わかった」
教師と面談しているみたいだなと思った。わかったって、何がわかったんだろう。私が意味もわからず混乱していると、吉田はとんでもないことを言った。
「俺もそこ、受けるわ」
「……は?」
私は混乱して、まともな言葉も出なかった。吉田は嬉しそうに、話を続ける。
「俺と一緒に、大学行こうぜ」
「何言ってんの……」
本当に、馬鹿な考えだと思った。大学に行くということがどういうことか、ちゃんとわかっているのだろうか。第一、大学に行ってもデビルハンターとしては何もメリットがない。学び直したい何かがあるわけでもなく、その場の思いつきで行こうとするあたり、脳味噌が単細胞なのかもしれない。
「俺はナマエと同じ学校に行きたい」
「行ってどうするの」
「何って、大学いくか就職するか、決めないとだろ?」
「はぁぁぁ? それは私だけなんだけど。なんで吉田もそんなこと考えないといけないわけ? もう仕事してるじゃん」
「仕事、はそうだけど、俺ら高校生だろ」
「……え? 今、なんて言った?」
ハンマーで頭をガツンと殴られたように、私の視界は揺れた。目の前の男は、混乱する私を揶揄うように、くっくっと声を出して笑っている。
「え、え、え、わ、あ……私と同い年? 高校生?」
「そうだけど」
み、見えねぇ……。絶対嘘だ。疑う私の目の前に、学生証が差し出されて、思わずベッドに倒れ込んだ。
偽装されたものでもなく、おそらく紛れもない本物だ。
「なんだ……援助交際じゃないじゃん」
パパ活もとい援助交際的な行動だと感じていたは、実はそうではなかったらしい。
そうでなくても気味の悪い、常人には理解し難い交流方法であることはわかるが、とにかく未成年に手を出すクズではなかったというだけで、少しだけホッとした。
しかし、どう見ても、高校生には見えない。まじまじと見つめていると、吉田はよくわからない笑みを浮かべた。宗教画にでも出てきそうな、人間らしくない笑い方なのだ。それをみると、彼が本当に同じ人間なのか、悪魔なのではないかと疑ってしまう。
「俺ってそんなふうに思われてた?」
「あんたが高校生に見えるってなら、それの方がおかしいって」
「あはは、よく言われる」
こいつ……自覚していたのか。悩んでいた時間を返してほしい。私もついに、そういう段階にまで落ちてしまったのかと、悲しくなる夜もあった。
「ナマエって、援助交際とかそういうの嫌なんだっけ」
「当たり前じゃん。誰が好き好んでーー」
「俺とはいいってこと?」
夜の海のように真っ黒な二つの瞳が私を捉えていた。彼は時々、驚くくらい妖艶な表情を浮かべることがある。
そうなると、絡まったように目が離せなくなる。
「……そういうのじゃ、ない。今日は疲れてたし……いつもはそういうのはないって」
「俺のこと大人だって思って、セックスさせられるかもしれないのについてきたよな」
「は、あんたに限ってそれはないでしょ」
こういう、選択肢のない質問を問いかけてくるのが、こいつの悪いくせだ。
部屋が急に冷えたような気がして、私は布団を胸まで引き揚げた。
「……風俗行きたくなかったから、デビルハンターになったんだろ」
「そうだけど、なんの関係があるの」
「知らないジジイに抱かれるより、俺にしとけよ」
「もう悪魔に持って行かせるようなものはないんだけどね」
馬鹿らしい。高校生のくせにそんなことを持ちかけてきて、自分がえらい人間にでもなったつもりなのだろうか。私はそう思った。
「俺と組もう。あんな会社やめて、俺のパートナーになってくれ」
「はいはい。できるんならあんな中抜きするとこやめてるっての」
本当なら、私の借金は返せているくらいには働いている。それができないのは、私を派遣している会社の担当者が闇金とつながっているから。それを知っていてなお、私はそこに縛られている。
「どうせ、パートナーとやらになっても、私にデビルハンター続けさせたいから借金の返済は手伝ってくれないんでしょうが」
「俺はナマエと一緒の大学に行きたい」
噛み合わない。どうしようもないと呆れていると、フロントから電話がなった。迷わず受話器を取って、脇目もふらずに外へ飛び出した。
いい返事を期待していると言われた。考えていることは愚かの極み、私の邪魔をしたいだけなのに、どうしてここまで周りくどいのだろうと思った。
暇つぶしにテレビを見ようと思った。チェックアウトまでの暇つぶしのつもりで、私はリモコンを手にとった。パチン