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エロあるよ笑
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「はーっ♡ は、ぁッ…………♡ しねっ、しね…………♡♡」
「ンなこと言ったって俺らじゃどうしようもないし」
「だよね~」
狭いスペースに男女が三人。何も起こらない訳がなく――。
長方形型の密室空間に押し込められたナマエ、カート、マックス上記三名は催淫ガスによる攻撃に晒されていた。
警護対象であるナマエを、派遣されたボディガードである二人が左右から挟み込む形で、三人は密着している。体格のいい男性二人の間に挟まれることになったナマエは、息を荒く乱しながら身もだえしていた。
口から出るのは喘ぎ声とも呻きともつかないような呼吸音と、自分の運命を呪う愚痴及び、この状況に適切な対応をとることができなかった警備会社への職務不履行を恨む罵詈雑言である。
もっとも、ナマエの怒りの矛先は会社そのものというよりカートとマックス両名の不行き届きと職務怠慢を責める方に向いている。
「ありえない……っ! ありえない゛ぃ……っ! パパとママに言ってお前らなんてクビにしてやる……!」
狭い中にキンキンと響く少女の叫びを、二人は華麗にスルーした。まるでそこに自分がいないかのように無視されたことにより、ナマエは自分の頭に余分な血が上っていくのを感じた。
ただでさえ苦手なアンドロイド二体と同じ部屋にいるだけで苦痛なのに、自分の四肢をもたれさせる形で密着しているのが腹立たしい。
この状況下で自分だけが不安でいっぱいなのにそれを放置する神経にも怒りが湧き上がってくる。普段の会社ならば、非常事態において真っ先にクライアントの身の安全を憂慮する。自身の身にかえても保護対象を守るという任務を遂行するはずだ。そして、そもそもいつもの会社ならば、こんなくだらないトラップに引っかかってトラブルに巻き込まれるなんてありえない。
(元軍属のプロだって言うから信用してたのに……! こいつら態度だけじゃなくて仕事もダメダメじゃない! パパに言いつけてスクラップにしてもらわなきゃ……!)
「つーかこれさ、モロ条約違反の兵器じゃね? 気体状で人体に有害な成分入りってレッドカード一発退場じゃん」
「まぁ、密室で流されたら終わるよねぇ」
「俺らサイボーグでよかったね」
「うん。……あー、まぁ。大丈夫じゃない人が一人いるけど」
「……ぅ」
二人の目線がようやくナマエに向けられた。暗く湿っぽい空間の中で、夜目の利くサイボーグ両名はナマエの顔がよく見えていた。見下ろすと発情しきった少女の震える肢体が目に入るが、本人は自分が滑稽な姿勢でいることに気づいていない。ナマエ側から二人の顔は視界に収まることはない。ただし、見下しとも同情ともとれるような目線で見つめられているのは感覚で理解できた。
「ごめんね。しんどいけど我慢して貰わないとどうしようもないんですよ~」
「これ、軍用のデバイスくらいファイアウォールが硬いから。ハッキングし返すのも結構時間かかるんですよ。まー、殺人系の毒ガスじゃなかっただけよかったですね。吸って後遺症があるタイプかもしれないけど……」
「ちょっとおカートくん。女の子ビビらせるようなこと言っちゃダメだって。それに相手、クライアントだし」
「俺らみたいなの雇うのが多いなら、命とか狙われる系、結構慣れてるんじゃないの」
「そうかもだけどさぁ。閉所で俺らみたいなのと一緒でパニックになるかもしれないのに、わざわざ言うメリットがないでしょ」
「あ、そうか。……俺もカッカしてんのかな。歳かな」
「死ね、ジジイ……! さっさとここから出してっ、無駄な口を……ッ……きくなっ……ん゛っ…………♡」
「俺らジジイだって」
「ナマエさんくらいの歳だとそういう風に見えちゃうよね」
「こういう態度のやつって昔から結構いたよな。……大体、社会に出る前に矯正されるけど」
「たまに大人になっても直ってない人っているよねえ」
「上の人の偏見で最近の若者はって言われるヤツ」
「そう、それ。極端なパターンだけ悪目立ちするやつね」
「俺さ、そんなまとめサイトみたいな人にガチで遭遇するとは思わなかったわ」
「まぁ住んでる世界が違うから。仕方ないっしょ」
「それもそうか」
「あ、あ゛んたら゛~ッ!」
「はぁ? コレが今回の? ママはいいって言ったわけ?」
少女は自身の携帯に向かって声を荒らげる※。目の前に立つ男二人を一瞥したのち、すぐにわかりやすく顔を顰めたのがつい先ほどのことである。
通話の設定をスピーカーにしているので、ナマエの身の回りの面倒を見ている人物――今回会社を通じて警護の依頼を送ってきた秘書にあたる人――が平身低頭謝罪している様が周囲に響く。この部屋が個室でなければ通報されていたかもしれない。
よほどいい給料を貰っていないとワリに合わない仕事だと、二人は他人事のように思いながら、目の前で怒鳴り声を上げる少女を眺める。
年齢に見合わない高価な装飾品に、通話のために手で握りしめている携帯電話も、つい最近発表されたばかりの新型モデルである。
「こんなよくわからない会社の、得体のしれないサイボーグ二体でわたしのことを、守るって? ……それでいいと思ってるわけ? しかも、男じゃん! 何かあったら責任取れんの? ……あー! ああっ! うるさい! ……もういい。言い訳はいらない。どうせキャンセルできないんでしょ。……ああ、はい。もういいから。わたしがいいって言ってんの! 今度わたしがママにチクったらあんたクビだからね!」
繰り返される謝罪をぶった切るように、ナマエは通話を終了させた。大きな溜め息をつくと、二人に向かって大げさに肩をすくめて見せた。自分が明らかに気分を害しているとアピールするための所作である。
「……見たけどさぁ、おたくらってちゃんとした会社じゃないでしょ」
「…………」
「サイトも怪しいし、名刺もフリー素材丸出し。あんたらも風貌からして変っていうか……普通クライアントの前ならスーツじゃないの。なんでそんな普通の恰好してるわけ? ありえなーい」
「あー、ハイ。すみません」
「…………ちゃんと仕事できるんですかぁ?」
「契約した範囲はきちんとこなしますよ」
「こなしますよじゃなくて、させていただきますじゃないの?」
「そうでしたね。すみません」
「最近は大人でも敬語使うのヘタクソなんだ。ぜんっぜんダメじゃん。低学歴だから体使った労働しかできないのかな。なーんか、そう思うと可哀想かも~。わたしはそういうことしなくていいから、よかったぁ」
部屋の中央に置かれたソファに体を放り投げながら、ナマエは叫んだ。未改造の四肢を包み込むように柔らかなソファがナマエの体を支える。
――某財閥系の幹部クラスになると、ここまで上等な家具を子供に分け与えることに抵抗はないのか。
カートとマックスの両名は、思わず目線を合わせた。
普段、公用車の硬い合革製の椅子で睡眠をとっている二人には想像もつかない世界だった。
「…………」
「目線が、うるさい」
「えっ」
すでにネットサーフィンに没頭し始めていたと思われていたナマエは、目線を画面から一切そらすことなく、突然つぶやいた。
「……何見てんの? 必要もないのに人のことをわざわざ見ないでくれますー? っていうかここにいる必要もないし、出てって?」
わざわざ部屋の中で待機することもない、というのは正論だったため、二人は黙って部屋の外に出た。オートロックの鍵が閉まる音が無機質に廊下に響く。
「これくらいの女の子って、こんなんだっけ」
「どうだろう。あ、でもたまにいたよね。見てないのに見てたって言ってくる子」
「あー、いたわ。そういえば。懐かしー」
ドアが開く。
「暇……なんだけど」
「うわっ」
内側からロックを掛けた部屋は、二度と開くことはないだろうと思われた。一等客室の内部にはトイレやシャワー室など、生活に必要であろう機能はおおよそ備え付けられている。現在、この区画は厳戒態勢で動いているのでレクリエーションを行う娯楽室やラウンジなどは機能していない。したがって――ナマエが外に出る必要はないのだ。
二人は廊下の椅子に座り、いつものごとく持ち込んだ携帯ゲームで暇を潰していたのだが、現れるはずのない人間が現れたことで思わず臨戦態勢に入る。
何か問題が発生したのか、どこからか侵入されたのか。頭の中で無数の可能性をシミュレートする前に、ナマエ本人が叫んだ。
「熊が出たみたいに言うな!」
二人は顔を見合わせた。どうやらトラブルの類ではなさそうである。
「熊? 見たことあんの?」
「…………一応」
「すげー。生っすか、やっぱ」
「やっぱ財閥って熊の牧場とか持ってるんですか? 私設動物園とかそういうの」
「え、えっと、うちでそういうのやってるのかは、知らない……。――あ、そういうのじゃなくて! なんか、充電切れたし映画も全部見たから、今、超暇なんだけど。なんかないのー?」
「あー……」
先ほど暴言を吐いてキャンキャン騒いでいたとは思えない言動である。まるで親しい友人に尋ねるような態度で、ナマエは臆することなく三人掛けソファの真ん中に腰を下ろした。
「今充電してるんだけど……しばらくかかりそう。あ、何それ。わたしが持ってるやつと色違いじゃん」
「ナマエ……さんも、持ってるんですね」
「は? 当たり前じゃん? 持ってないと話についていけないし、周りはみんな持ってるんですけど! っていうか、逆に大人もゲームとかするんだ。わたし、これめっちゃ強いから。友達に全国六位の子いるし!」
ゲームの話になるとナマエは饒舌になった。ニヤニヤ笑いながら自分の手柄ではないことで胸を張るその様はほほえましい。俺らもこんなキッズの時もあったね、と二人は大人の対応を続ける。
「へー、すごいね。俺らも今さっき二人で『なーくんパパ』ボコしましたよ」
「こういう名前の人に限って結構強かったりするんだよな」
「そうそう。意外と侮れないよね」
「ネットにつないでランクマとか、チンパンジーになるからするなってパパが言ってた」
「…………ああいうのは、ほら、一部のよくない人だけなんで」
「や、俺らチンパンにはなってないっす」
「ふーん。そーなんだ。ま、いいや。いいから貸して!」
ナマエはカートの手から強引に本体を奪い取った。
「あ……ちょっ」
「貸してって言ったし!」
ナマエの言う「友達」の存在は疑わしい。
「それチートじゃん! マジキモいんだけど! きっしょ!」
「あー。この武器、この前の調整で仕様変わったんで。そのせいかも」
「お前起き上がりハメ好きだよな。子供相手にガチはちょっと……」
「もう動きを指が覚えてるから……」
「てか、ナマエさんそのスティックめっちゃ回すの辞めてもらえますか。さすがに壊れるんで」
「う゛ーっ」
「ねーお腹すいたー」
「部屋ン中に冷蔵庫あるじゃないですか。なんか自分で取ってきたらいいんじゃないですか」
「ここ、自販機は動いてないしね」
「冷蔵庫の中、紅茶か……コーヒーしかない」
「飲めないの?」
「…………」
「え、紅茶ってストレートじゃないやつも?」
「…………ジュースしか飲めない」
「…………」
「普通はさぁ! あんたたちが気利かせて持ってくるとこでしょ!」
「いや……それ、サービスの中にないんで」
「――というか、そもそもあなたがわざわざ閉まっているラウンジの裏まで行って、在庫をパクろうなんて言い出さなければ発生しなかった事案ですよね、これ」
「俺たちは自己責任って言ったよね」
「うん言った」
「録音してるし、最悪これ見せればなんとかなるでしょ」
「は、ッ……♡ いつ、いつになったら開くの、これ……」
全身に毒が回ったように熱い。腹の奥から湧き上がってくる衝動への対処法を知ってしまっている分、余計にナマエの胸中に抱いた不安は大きくなっていく。
(こいつら、わたしが吸った「コレ」が何かわかってやってる?)
体が熱い。熱に浮かされる※時とはまた違った意味で。
「も、あつい……から、死ぬ……ぅ♡」
腰が砕けそうどころか、すでに体を密着させないようにと姿勢を形成する力も湧いてこない。立ちっぱなしで男と二人、密室、催淫ガス、現時点で発生しているすべての事象がマセガキの脳を破壊した。
ゴツくて硬くてちょっと引っかかると気持ちがいい――異性の体……というか、ボディパーツが目の前にある。それに圧迫される態勢でいると、嫌でも自分との違いを意識してしまう。
口から何かを発すると、喘ぎ声じみた媚びる声が出てしまう。自分で一人でする時はこんな風にならないはずなのだが、理性のタガが外れた彼女は、ヤバいと思いつつそれを止めることができなかった。
腰を動かしてこすりつけると気持ちがいい。オナニーを覚えたての猿のように、ナマエは原始的な一人遊びに耽溺する。
――自分が勝手に二人の体を使ってオナっているのは、バレていない……いや、バレてる……どっちにしろ、最悪。
ナマエは勝手に妄想を始めた。万が一、二人とも理性を飛ばしてしまったら本当にエロ漫画みたいなことになってしまうかもしれない。自身の貞操の危機である。それは自身の立場が優位であることを自覚した上での慢心でしかないのだが。
(ダメだ~! バレたらわたし、めちゃくちゃにされる! エロ漫画みたいになっちゃうんだ……!)
父親以外の異性と接触するのは、はじめてだった。
そもそも周りに親族以外の男性が入り込んでこないのもそうだが、ナマエ本人が潔癖な体質であることと、彼女の立ち振る舞いや気質、なにより両親の名を冠した自身の存在そのものが、人間そのものを寄せ付けない盾になった。
ナマエに肉体的な接触ができる異性というのは、血縁者をのぞくと医者くらいしかいなかった。体育祭のフォークダンスですらも、なるべく参加させないようにと、過保護な「パパ」からお達しがあったほどである。
「超頑張ってあと一時間とか……」
「扉とか壊したらいいじゃん!」
「今回、なるべく穏便に物とか壊さないようにって普段よりめっちゃキツく言われてるんで」
「そーなの。うちの社長、こういうのめっちゃ厳しいんだよね。それにこれ、ちょっと外部に洩らしたら被害出る系のやつだと思うんで。セキュリティが対処してくれるまで、俺たちは基本、何もしない方がいいんですよね」
それでも人が触れる物を規制するには限度がある。
年相応の性欲がある以上、その手の知識はそれなりに、ある。
昔見たティーン向けの漫画だと、この後「抑え」がきかなくなった相手にめちゃくちゃにされるという展開があった。こんなフィクションみたいな現場に巻き込まれて、本当に最悪だと思ったけど、考えようによっては悪くないかもしれない。
男二人相手に密室で迫られる――という経験は、妄想の中で何度か考えたことのあるシチュエーションである。
「ん゛ッ……。はぁっ……」
薬のせいで下半身がずっと重い。薬の効果だけでなく、廃熱と自身の体温が相まって、環境が軽い蒸し風呂のようになっている。
下着を濡らすのは汗だけではなかった。漏らしたままの下着をずっとはきつづけているかのような居心地の悪さが、あった。
我慢ができない。グルグルと回り続ける思考の中で、もうまともな判断ができなくなってきていた。
(どうせこいつらとは二度と会わないし……、こっちが依頼主だし……。もうお腹イライラしすぎてて無理なんだけど……。ちょっとくらい、なら……。……向こうは機械だし、ノーカン……。ノーカンじゃない?)
「あつい……」
「え、ちょ、何してんの……!」
「さすがにそれはヤバいって」
「だって濡れちゃって……気持ち悪いんだけど」
ナマエの手が自身のスカートの中に伸びる。それを目にした二人は動転して声を上げた。
「ん……」
慌てる男二人に見せつけるように、ナマエはストッキングを脱いだ。布地におおわれていた中からむき出しの生白い肌がだんだんとあらわになっていく。薄手の布地から、閉じ込めていた湿気が漏れ出ていく様を、幻視する。
普段なら伝線などおかまいなしに無理やり引っこ抜くのだが、満員電車の中にいるのと同じような今の状況では、さっと脱ぐことができない。覆われた下からストッキングの生地と対照的な肌の明るさが、暗闇の中でもまばゆいほどである。
(見てる……。わたしのこと、こいつらが、めっちゃ見てる……! こいつらもなんだかんだ言って、変態なんだ! 普通の男、じゃん……)
それを膝まで下ろしてしまうと、かなり涼しくなってきた。それでも外気に触れると湿気た布地が反応して、気持ち悪いことには変わりない。
「あの、本当に勘弁してください。俺らまだつかまりたくないんで暑くても我慢して」
「暑いから、いらないの脱いだだけなんだけど。上着脱ぐのと一緒だし!」
「いや、全然ちがうから」
「じゃあそっちが冷却とか使ってどーにかしてよ。サイボーグなんだし、パソコンみたいにファン回すとかできないの?」
「自分を冷やす以外の機能とか、ないんで……」
露骨に目線をそらしながらたじろぐ二人を見て、ナマエは愉悦に浸った。
「こっちのボディの方がつめたーい♡ つるつるしててなんか……悪くないよ♡」
「わ、ちょ……ッ」
「ン……ッ♡ は、ぁ……っ♡ なんか溝のとこ、あたってきもちい♡」
脚部の凹凸に筋の部分をこすり付けると、存外気持ちがよかった。少しつま先立ちになって気持ちよく感じる部分に当てると、脳がしびれるくらい気持ちがいい。
「あ゛~ッ…………♡ これ、癖になりそっ♡」
「あ、あっ、あ、あのさぁ!」
頭の上から裏返った声が響いてきた。
「カートくんこれどうにかしてくんない!?」
「……どうしろっていうんだよコレ」
明らかにおかしい状況だった。
それでも無理やり力づくで止められるといったことはない。
クライアントだから。傷つけてはいけない対象だから。
なんの訓練もしていない子供一人に遠慮しているのである。
この瞬間、ナマエの内側で燻っていた加虐欲求が爆発した。それが生来の気質なのか、それとも環境によって作られた物であるかは不明だが――年上の男が自分相手に気を使って、動揺しているという状態が楽しくて楽しくて仕方がない。
「はぁ、んっ♡ わたしは勝手にしてるだけ、だから。無視してたらいいじゃん……」
「ナマエさん、それはちょっと目に余るというか……」
「えー? じゃあ見なきゃいーじゃん。なんでそう言いながらチラチラこっち見てんんの? 天井見ておいた方がいいんじゃないですかー?」
「こっちは仕事なんで、本当に……」
「それ言ったらさぁ、わたしだって勝手に『使ってる』だけだし? 仕方ないじゃん。無駄にデカいパーツでいっぱいで、何もしなくても当たっちゃうんだけど。なんで意識とかしちゃってるの? 仕事なのに大丈夫? ねー、そういうのマジで自意識過剰でありえない♡ きもっ」
ゾリ……。
「は、ぇ……」
不意に、太ももに固い感触が当たった。
「こ、これ……」
「あ、それは知ってるんだ。俺がどうなってるかわかんでしょ」
「ちょ、カートくん」
バキバキに勃起した男性器が、ナマエの太ももに押し当てられた。ズボン越しにも分かる大きさにナマエは思わず息をのんだ。――というか、引いた。恐れおののいた。
「き、きもいんだけど! な、なんでおっきくなってるわけ……!」
「はぁ? 好き勝手人のパーツでオナニーされて何もされないとか思ってたん? ないわ。最近のガキって年上のこと舐めてるよな。俺も溜まってたし、勝手に『使う』から」
一応威勢を張ったナマエの威嚇なんて、本業の人に通じるわけがなかった。
カートは片手でズボンをさっさとおろした。ナマエの柔い太ももにグロテスクな陰茎が無遠慮に押し付けられ、先走りが産毛の光る肌を濡らす。
「ひっ……」
「高ぇパーツでオナってんじゃねぇよ……。あー、人の身体って器物破損にならないんだっけ。……やっぱシリコンと違うわ、これ。マックスも使えば?」
「そっちがやってるのに何もしないってのもダサいしね」
「友達同士で、嘘でしょ……」
「女子は見せオナとかしないんだ」
「俺らも普通はしねぇよ。AVの見すぎで頭イカれてると思われるから、やめろ」
「っ……!」
今度は尻に陰茎が載せられる。布一枚隔てているにもかかわらず、浮き出た血管と火傷しそうな体温がじわじわと伝わってきて、ナマエは涙が止まらなくなった。
「あーあ、泣いちゃった」
「お前のちんこグロすぎんだよ」
「だから見せないように後ろから当ててんじゃん」
ナマエは最早指一本動かすことができなかった。捲られたスカートで影になって見えないが、見ることができない故に肉竿の大きさを意識せずにはいられない。
――これを挿入されでもしたら、死ぬ。
ポルノ男優さながらの性器二つが自分の身体に入るわけがない。ナマエは当然ながら「まだ」処女だった。自分の性器も、指で触るくらいしかしたことがない。男性器の挿入など、夢のまた夢であった。
生殺与奪の権を握っているのはこちらだと勘違いしていたが、実際にはたったこれだけの行為でナマエの戦意は脆く崩れ去ってしまった。そして更に最悪なことは――
「あれ? なんかさっきより濡れてない?」
「俺らのせいかな」
「知らない。ナマエさん自分でオナニーできる? さっきやってたからできるよね? 俺らに手伝って欲しかったら言ってね。仕事じゃないけど、手伝ってはあげれるから」
「自分でオナニー笑。あー、うん。風俗じゃないから。そういうサービスはわが社ではやらないんで」
「あくまで個人的なお手伝い、ね」
ケタケタと笑いながら、二人は無心にナマエの身体でオナニーを続行した。男二人の荒い息に今にも下着の隙間から挿入されるのではないかという不安から、心臓の鼓動がおかしくなっていた。脈拍や呼吸の乱れもしっかりと見抜かれているはずだ……。
下着は濡れぼそって性器の形が丸わかりになってしまっていた。隠すという機能に関して一切の意味を失っていた。スベスベした生地に愛液が染み込んで、ただでさえ滑るのに余計な音が響いてしまう。
「う゛ぅっ……♡ ッ、……♡ も、やだ♡」
「いやな割には腰、動いてんね」
「いーじゃん。十代のうちのオナニーなんてそんな物っしょ」
狭い空間に、ナマエの喘ぎ声とグズグズに溢れる愛液の音が響いた。頭がさらにもうろうとしてきて、気を張っていた身体もついには相手に思い切りもたれかかってしまう。厚い胸板――機械のボディの重厚感に、不本意ながらナマエはドキドキしていた。
「おー」
嫌がってはいない声色で、カートはナマエを抱きとめた。
「えー、なんかカートくんばっかじゃん。俺は?」
下着と性器の淵をゆるく行き来していたマックスの指が、ついに割れ目に伸びた。つ、と触るとそれだけでナマエの背筋はガタガタと震えた。
「ちょ、そこはッ……♡ あ゛っ、ッ~……♡」
「うんうん。サービスだから大丈夫」
「大丈夫って、マジかよ。もうなんでもアリになってね?」
「あ゛ッ、やだっ♡ そこむり♡ む゛、ぅ゛、ッ……♡ ぎっ……♡♡」
伸びた下着の淵から侵入した指先が窪みをなぞっていく。とめどなく溢れる愛液が金属質な指に絡まって卑猥に光った。
「おー、すっげ」
「ぁ、はい……ってる♡ はいってるから♡ ぉ、ッ~♡」
普段誰の手にも暴かれていない媚肉をかきわけるようにして、指は少しずつナマエの中に入っていった。一本だけしか入れられていないにもかかわらず、その一つを膣は敏感に感じ取り、背筋と太ももが痙攣してガクガクと震えた。
「超きついんだけど。普段オナニーとかしないの?」
「え゛? ぁ、う゛ッ、あ゛んっ♡ し、してないっ♡」
「ちょ、それセクハラ」
突っ込む基準が謎だが、カートも特に行為自体を咎める気はないようである。「ヤバい」と小声で呟きながらも真面目に止めようとはせず、縋るナマエの姿をまじまじと観察していた。
関節を模した曲線とその境目にある窪みすらも、全てぎゅっと締め付けて気持ちいい箇所に当たるたびに、ナマエの口からは喘ぎ声が上がった。
「イ、むりっ♡ ぬいて……ぬいてぇ゛♡ ッ♡ ぐ、い゛っ…………♡♡」
「えー、ごめん。聞こえなかった。ごめんね、スクラップで。汚い鉄くずが新品まんこに指入れちゃって。いくらサービスとはいえ、申し訳ないなぁ」
「っ……♡ ご、ごめんな゛、ぁ……ッ♡ ごめんなさい゛っ♡ も、イきたくな゛♡」
ぐ、とGスポットを刺激され、溜まっていたものが溢れるように勢いよく潮が出た。しょろしょろとお漏らしのようなそれは、二人のズボンを濡らしてシミを作る。
「あーあ、漏らしちゃった」
「そんだけ良かったってことだろ。俺らも女風いけんじゃね」
「いやいや、こんなのとセックスしたがる物好きなんていないって」
「この子はめっちゃイってたけどね。漏らすくらい」
「処女なのにね」
「才能あるのはこっちだったか」
頭上で交わされる嘲笑に、ナマエは顔を更に赤くした。かっと見開かれた瞳孔は行き場を失って地面を見つめている――が、それすらも逃げ場はなく、単に自分の痴態の証拠を突きつけられてしまうだけだった。
「あ゛ー、俺も余計ムラムラしてきたわ。助けてー」
「流石に本番はアレじゃないの」
「処女ってメンドクサそうだし、素股でいっか」
「ナマエさん聞こえてたでしょ? 太もも使わせてもらいまーす」
「あ゛、ぇ……?」
「ん……。股閉じて」
若干ガニ股になっていたナマエの太ももを、がっしりした機械の腕が強引に閉じさせてくる。噴いた潮で濡れた足に生暖かい肉竿が割って入ってくる。
「ひ、っ……」
「歳のわりに下半身、しっかりしてる」
「俺も思ってた。お尻も結構でかいし」
「そん゛なっ♡ ちがうっ! お゛ッ♡ あ゛ぁっ♡」
べちん、と尻を叩かれる。それに合わせて膣口から潮の残滓がびゅっと出てしまい、それをばっちり見た二人の笑い声に、身を縮こませるしかなかった。
衝撃で挟まった陰茎を思わず強く挟んでしまう。太ももの上の方に挟まれたそれは、自分の足で挟んでも先が余っているくらいの大きさだった。
内ももに男性器の存在を感じながら、先ほど思い切り(といってもアンドロイドの全力ではない)叩かれて少し赤くなったお尻にも、「グロい」と形容された陰茎が押し付けられた。
「う゛……」
「はーっ。人間のボディってやわらか……。でもこれ、女の子の角オナみたいじゃない?」
「知らねぇよ……。ン、これ、女の子ってこんななんだ……。ちょっと力入れたら、全部ちぎれそう……」
足の間に挟んでいた性器が粘膜に触れそうになって少しつま先立ちになると、今度はお尻に擦り付けられたモノに押し付けるような形になる。
「ん゛、やだ……」
「足ちゃんと閉じてて。じゃないと入っちゃうかも……」
少し強い力でぐっと押さえつけられると、それだけで身体が萎縮して言われるがままになってしまう。
「自分の身体に汚いちんこ押し付けられて、オナニーされるってどんな気分」
「…………」
「言わないとわかんないっしょ」
「ひっ」
ナマエが質問に答えられず縮こまるたびに、二人がその様子に興奮しているのがわかった。肌に粘膜が接するたびその熱さと固さに困惑しながらも、次第に物足りずに股をすり合わせていることも、全て向こうには見透かされている。
「え゛ぉっ……⁉♡」
ふと力を抜いた瞬間に、ナマエの太もものきわどい部分で抜き差しされていた陰茎が、粘膜の部分に触れた。内ももの肉を押しのけて、竿の部分が陰核と擦れてナマエの口から漏れた嬌声に、相手は全く動じることはなかった。
「あー、ちょっとおまんこ触っちゃった。そっちが太ももガバガバだから、俺のせいじゃないでーす」
反省の姿勢はない。――寧ろ、ナマエの不手際を責めるという口実で本格的な素股に移行し始めている。
「……結構濡れてるし、太ももと違って結構すべるわ、これ」
「えー、カートくんいいなぁ。俺もやらせてよ」
「あ゛っ、ぁ、あ゛ぁッ♡ ん、ん゛ッ♡」
「やだよ。お前とちんこくっつくのは流石にキモいわ。後ろでも使えよ」
「俺さぁあんましアナルは興味ないんだけど」
「は、っぁ♡ やだ♡ それやだ……!」
ぐちゅぐちゅ。水っぽい音と共に、粘膜が削られるように擦られていく。ナマエの頭はショート寸前だった。
「やだっていっても、もう下を触られてるんだし今更すぎない?」
シャツの下からインナーの内側に、大きな手が入る。ナマエの下着を強引に引き上げると、胸を両方の手で乱暴に掴まれた。
「ひ、ぎっ……♡」
「痛かった? ごめんねー。力加減とか難しくて」
冷たい手が肌に触れ、手のひらだけで全体をすっぽりと覆い隠されてしまう。関節の部分がナマエの柔い肌に食い込み、少し動かすだけで跡が残ってしまいそうだった。
「ちっちゃくても女の子の胸だなー。柔らかい」
ぐにぐにと乱暴に未発達な乳房が揉みしだかれる。小ぶりではあるが張りのある若さを体現したようなおっぱいを他人に触られ、好き勝手に評価されている――最悪としかいいようがない。
「ん゛、ッ、ん゛ぅ……♡ そん、な、触らないでっ♡ ん、ぎっ♡ お゛、あっ、あ、いたい♡ きゅ、に、なにっ♡」
「乳首ちっちゃいねぇ」
三人でやった携帯ゲーム――その時の鮮やかなプレイを可能した指先が、ナマエの未発達ガキ乳首をそっと摘まんだ。指先でくにくに弄りまわすと、そのたびに腰がガクガク震え、身を捩るのだから面白くてたまらなかった。
「普段は乳首でオナニーしないの? なんかしてそう」
「しっ、するわけな……ぃ゛ッ、い゛っ♡」
「え、意外」
「めっちゃしてそうなのに。あ、してないけど敏感乳首なんだ。すごいね、AVの設定みたいだね」
二人の男に挟まれながら、不本意ながら何度もイかされてしまっている。
ナマエの身体が絶頂で震え、無意識に腰をヘコヘコと動かしている最中で二人は人肌――温もりのあるタンパク質で好き勝手にオナニーを続けていた。暗い視界の中で聞こえてくるのは自分の身体と粘液が擦れて響く卑猥な音と、興奮した男たちの荒い息だけだった。
「――たい」
「え、なんて?」
愛液と先走りが混じってドロドロと溶け合っていた。カートは切羽詰まった顔で、先ほど思わず漏らした言葉をはっきりと口にした。
「中で出したい」
「はぁ?」
「ぇ」
「こんなまんこの入口でグチグチやって、こんなのほぼいれてるようなモンだろ。中に出したい。クライアントのガキまんこン中に俺のザーメンぶちまけてぇわ」
「いやー、やめときなってそれは」
ナマエの背筋が逆立った。今はかろうじて未遂で済まされているが、目が座っている様子を見ていると、相方に止められなければ今すぐにでも無理やり挿入していたであろう目つきを、している。
「俺はパイプカットしてるし別にいいだろ」
「モラルとかある? 大丈夫そ?」
「ちんちんがイライラしてンだよ。しょうがないだろ」
「じゃあ俺だって顔にぶっかけたいけど? 我慢してまーす。さすがにそれは、やりすぎだし」
「お前もマジ終わってる。目とかに入ったらどうすんだよ」
「こういう時だけまともですって感じにするの辞めてもらっていいですか」
「うるっせ……あー、射精しそ。いいよな? まんこにぶっかけていい?」
「え゛、あ……?」
「俺も~。そろそろ限界かも」
ただでさえかなり密着していた身体が、更に押しつぶされるように前かがみに覆いかぶさってくる。余計に近くなった顔と、そこから漏れるうめき声――しばらくしてから感じる生っぽい感覚と匂い。肌の上に広がった生暖かい液体の感触に、ナマエは動揺して言葉も出なくなった。
「あ゛ー」
「……お尻で拭いちゃおっと」
「ちょ、えっ……」
有無を言わせぬように身体をティッシュ代わりにコキ捨てた精子を拭き取られる。
「えっ、あ……」
「何回かイってスッキリしましたよね。俺らはもう大丈夫なんで」
「また我慢できなくなったら勝手に使ってもらっていいんで」
「救助班が来るまであと一時間もかからないらしいっス」
「使わせてくれてありがとうね」
出すものを出してスッキリした男二人は、着衣を整えると何事もなかったかのようにまた雑談を始めた。ザーメンティッシュ代わりにされた身体に、精子と愛液がこびり付いてべたべたとしている。
拭くためのものなんてない。救助隊が来るまで時間がない。二人の顔を見上げても反応はなかった。――無視されている。
――さすがに、下半身丸出しのまま他人に会うわけにいかない。
ナマエは半べそをかきながら服を元に戻した。乱暴に脱がされた下着を引き上げて、自分で出した愛液が底に溜まって濡れているのを感じた。
「お着換えくらい一人でできるよね」
「俺らベビーシッターじゃないんで」
生まれてからこれまでにみじめな想いをさせられたことはない。怒りが湧き上がってくるが、すぐに乱暴な愛撫を思い出して悪態をつく気力もなくなった。
もう二度と、サイボーグだからって揶揄うようなことは辞めよう。大人は本気になるとめちゃくちゃ怖い。
(でも……こんな場所じゃなければ、こんなやつら!)
事が事なだけにパパとママにチクるのもやりにくい。復讐心と後悔が入り混じった涙を流しながら、ナマエは目に焼き付けるようにカートとマックスの顔をにらみつけた。
「ンなこと言ったって俺らじゃどうしようもないし」
「だよね~」
狭いスペースに男女が三人。何も起こらない訳がなく――。
長方形型の密室空間に押し込められたナマエ、カート、マックス上記三名は催淫ガスによる攻撃に晒されていた。
警護対象であるナマエを、派遣されたボディガードである二人が左右から挟み込む形で、三人は密着している。体格のいい男性二人の間に挟まれることになったナマエは、息を荒く乱しながら身もだえしていた。
口から出るのは喘ぎ声とも呻きともつかないような呼吸音と、自分の運命を呪う愚痴及び、この状況に適切な対応をとることができなかった警備会社への職務不履行を恨む罵詈雑言である。
もっとも、ナマエの怒りの矛先は会社そのものというよりカートとマックス両名の不行き届きと職務怠慢を責める方に向いている。
「ありえない……っ! ありえない゛ぃ……っ! パパとママに言ってお前らなんてクビにしてやる……!」
狭い中にキンキンと響く少女の叫びを、二人は華麗にスルーした。まるでそこに自分がいないかのように無視されたことにより、ナマエは自分の頭に余分な血が上っていくのを感じた。
ただでさえ苦手なアンドロイド二体と同じ部屋にいるだけで苦痛なのに、自分の四肢をもたれさせる形で密着しているのが腹立たしい。
この状況下で自分だけが不安でいっぱいなのにそれを放置する神経にも怒りが湧き上がってくる。普段の会社ならば、非常事態において真っ先にクライアントの身の安全を憂慮する。自身の身にかえても保護対象を守るという任務を遂行するはずだ。そして、そもそもいつもの会社ならば、こんなくだらないトラップに引っかかってトラブルに巻き込まれるなんてありえない。
(元軍属のプロだって言うから信用してたのに……! こいつら態度だけじゃなくて仕事もダメダメじゃない! パパに言いつけてスクラップにしてもらわなきゃ……!)
「つーかこれさ、モロ条約違反の兵器じゃね? 気体状で人体に有害な成分入りってレッドカード一発退場じゃん」
「まぁ、密室で流されたら終わるよねぇ」
「俺らサイボーグでよかったね」
「うん。……あー、まぁ。大丈夫じゃない人が一人いるけど」
「……ぅ」
二人の目線がようやくナマエに向けられた。暗く湿っぽい空間の中で、夜目の利くサイボーグ両名はナマエの顔がよく見えていた。見下ろすと発情しきった少女の震える肢体が目に入るが、本人は自分が滑稽な姿勢でいることに気づいていない。ナマエ側から二人の顔は視界に収まることはない。ただし、見下しとも同情ともとれるような目線で見つめられているのは感覚で理解できた。
「ごめんね。しんどいけど我慢して貰わないとどうしようもないんですよ~」
「これ、軍用のデバイスくらいファイアウォールが硬いから。ハッキングし返すのも結構時間かかるんですよ。まー、殺人系の毒ガスじゃなかっただけよかったですね。吸って後遺症があるタイプかもしれないけど……」
「ちょっとおカートくん。女の子ビビらせるようなこと言っちゃダメだって。それに相手、クライアントだし」
「俺らみたいなの雇うのが多いなら、命とか狙われる系、結構慣れてるんじゃないの」
「そうかもだけどさぁ。閉所で俺らみたいなのと一緒でパニックになるかもしれないのに、わざわざ言うメリットがないでしょ」
「あ、そうか。……俺もカッカしてんのかな。歳かな」
「死ね、ジジイ……! さっさとここから出してっ、無駄な口を……ッ……きくなっ……ん゛っ…………♡」
「俺らジジイだって」
「ナマエさんくらいの歳だとそういう風に見えちゃうよね」
「こういう態度のやつって昔から結構いたよな。……大体、社会に出る前に矯正されるけど」
「たまに大人になっても直ってない人っているよねえ」
「上の人の偏見で最近の若者はって言われるヤツ」
「そう、それ。極端なパターンだけ悪目立ちするやつね」
「俺さ、そんなまとめサイトみたいな人にガチで遭遇するとは思わなかったわ」
「まぁ住んでる世界が違うから。仕方ないっしょ」
「それもそうか」
「あ、あ゛んたら゛~ッ!」
「はぁ? コレが今回の? ママはいいって言ったわけ?」
少女は自身の携帯に向かって声を荒らげる※。目の前に立つ男二人を一瞥したのち、すぐにわかりやすく顔を顰めたのがつい先ほどのことである。
通話の設定をスピーカーにしているので、ナマエの身の回りの面倒を見ている人物――今回会社を通じて警護の依頼を送ってきた秘書にあたる人――が平身低頭謝罪している様が周囲に響く。この部屋が個室でなければ通報されていたかもしれない。
よほどいい給料を貰っていないとワリに合わない仕事だと、二人は他人事のように思いながら、目の前で怒鳴り声を上げる少女を眺める。
年齢に見合わない高価な装飾品に、通話のために手で握りしめている携帯電話も、つい最近発表されたばかりの新型モデルである。
「こんなよくわからない会社の、得体のしれないサイボーグ二体でわたしのことを、守るって? ……それでいいと思ってるわけ? しかも、男じゃん! 何かあったら責任取れんの? ……あー! ああっ! うるさい! ……もういい。言い訳はいらない。どうせキャンセルできないんでしょ。……ああ、はい。もういいから。わたしがいいって言ってんの! 今度わたしがママにチクったらあんたクビだからね!」
繰り返される謝罪をぶった切るように、ナマエは通話を終了させた。大きな溜め息をつくと、二人に向かって大げさに肩をすくめて見せた。自分が明らかに気分を害しているとアピールするための所作である。
「……見たけどさぁ、おたくらってちゃんとした会社じゃないでしょ」
「…………」
「サイトも怪しいし、名刺もフリー素材丸出し。あんたらも風貌からして変っていうか……普通クライアントの前ならスーツじゃないの。なんでそんな普通の恰好してるわけ? ありえなーい」
「あー、ハイ。すみません」
「…………ちゃんと仕事できるんですかぁ?」
「契約した範囲はきちんとこなしますよ」
「こなしますよじゃなくて、させていただきますじゃないの?」
「そうでしたね。すみません」
「最近は大人でも敬語使うのヘタクソなんだ。ぜんっぜんダメじゃん。低学歴だから体使った労働しかできないのかな。なーんか、そう思うと可哀想かも~。わたしはそういうことしなくていいから、よかったぁ」
部屋の中央に置かれたソファに体を放り投げながら、ナマエは叫んだ。未改造の四肢を包み込むように柔らかなソファがナマエの体を支える。
――某財閥系の幹部クラスになると、ここまで上等な家具を子供に分け与えることに抵抗はないのか。
カートとマックスの両名は、思わず目線を合わせた。
普段、公用車の硬い合革製の椅子で睡眠をとっている二人には想像もつかない世界だった。
「…………」
「目線が、うるさい」
「えっ」
すでにネットサーフィンに没頭し始めていたと思われていたナマエは、目線を画面から一切そらすことなく、突然つぶやいた。
「……何見てんの? 必要もないのに人のことをわざわざ見ないでくれますー? っていうかここにいる必要もないし、出てって?」
わざわざ部屋の中で待機することもない、というのは正論だったため、二人は黙って部屋の外に出た。オートロックの鍵が閉まる音が無機質に廊下に響く。
「これくらいの女の子って、こんなんだっけ」
「どうだろう。あ、でもたまにいたよね。見てないのに見てたって言ってくる子」
「あー、いたわ。そういえば。懐かしー」
ドアが開く。
「暇……なんだけど」
「うわっ」
内側からロックを掛けた部屋は、二度と開くことはないだろうと思われた。一等客室の内部にはトイレやシャワー室など、生活に必要であろう機能はおおよそ備え付けられている。現在、この区画は厳戒態勢で動いているのでレクリエーションを行う娯楽室やラウンジなどは機能していない。したがって――ナマエが外に出る必要はないのだ。
二人は廊下の椅子に座り、いつものごとく持ち込んだ携帯ゲームで暇を潰していたのだが、現れるはずのない人間が現れたことで思わず臨戦態勢に入る。
何か問題が発生したのか、どこからか侵入されたのか。頭の中で無数の可能性をシミュレートする前に、ナマエ本人が叫んだ。
「熊が出たみたいに言うな!」
二人は顔を見合わせた。どうやらトラブルの類ではなさそうである。
「熊? 見たことあんの?」
「…………一応」
「すげー。生っすか、やっぱ」
「やっぱ財閥って熊の牧場とか持ってるんですか? 私設動物園とかそういうの」
「え、えっと、うちでそういうのやってるのかは、知らない……。――あ、そういうのじゃなくて! なんか、充電切れたし映画も全部見たから、今、超暇なんだけど。なんかないのー?」
「あー……」
先ほど暴言を吐いてキャンキャン騒いでいたとは思えない言動である。まるで親しい友人に尋ねるような態度で、ナマエは臆することなく三人掛けソファの真ん中に腰を下ろした。
「今充電してるんだけど……しばらくかかりそう。あ、何それ。わたしが持ってるやつと色違いじゃん」
「ナマエ……さんも、持ってるんですね」
「は? 当たり前じゃん? 持ってないと話についていけないし、周りはみんな持ってるんですけど! っていうか、逆に大人もゲームとかするんだ。わたし、これめっちゃ強いから。友達に全国六位の子いるし!」
ゲームの話になるとナマエは饒舌になった。ニヤニヤ笑いながら自分の手柄ではないことで胸を張るその様はほほえましい。俺らもこんなキッズの時もあったね、と二人は大人の対応を続ける。
「へー、すごいね。俺らも今さっき二人で『なーくんパパ』ボコしましたよ」
「こういう名前の人に限って結構強かったりするんだよな」
「そうそう。意外と侮れないよね」
「ネットにつないでランクマとか、チンパンジーになるからするなってパパが言ってた」
「…………ああいうのは、ほら、一部のよくない人だけなんで」
「や、俺らチンパンにはなってないっす」
「ふーん。そーなんだ。ま、いいや。いいから貸して!」
ナマエはカートの手から強引に本体を奪い取った。
「あ……ちょっ」
「貸してって言ったし!」
ナマエの言う「友達」の存在は疑わしい。
「それチートじゃん! マジキモいんだけど! きっしょ!」
「あー。この武器、この前の調整で仕様変わったんで。そのせいかも」
「お前起き上がりハメ好きだよな。子供相手にガチはちょっと……」
「もう動きを指が覚えてるから……」
「てか、ナマエさんそのスティックめっちゃ回すの辞めてもらえますか。さすがに壊れるんで」
「う゛ーっ」
「ねーお腹すいたー」
「部屋ン中に冷蔵庫あるじゃないですか。なんか自分で取ってきたらいいんじゃないですか」
「ここ、自販機は動いてないしね」
「冷蔵庫の中、紅茶か……コーヒーしかない」
「飲めないの?」
「…………」
「え、紅茶ってストレートじゃないやつも?」
「…………ジュースしか飲めない」
「…………」
「普通はさぁ! あんたたちが気利かせて持ってくるとこでしょ!」
「いや……それ、サービスの中にないんで」
「――というか、そもそもあなたがわざわざ閉まっているラウンジの裏まで行って、在庫をパクろうなんて言い出さなければ発生しなかった事案ですよね、これ」
「俺たちは自己責任って言ったよね」
「うん言った」
「録音してるし、最悪これ見せればなんとかなるでしょ」
「は、ッ……♡ いつ、いつになったら開くの、これ……」
全身に毒が回ったように熱い。腹の奥から湧き上がってくる衝動への対処法を知ってしまっている分、余計にナマエの胸中に抱いた不安は大きくなっていく。
(こいつら、わたしが吸った「コレ」が何かわかってやってる?)
体が熱い。熱に浮かされる※時とはまた違った意味で。
「も、あつい……から、死ぬ……ぅ♡」
腰が砕けそうどころか、すでに体を密着させないようにと姿勢を形成する力も湧いてこない。立ちっぱなしで男と二人、密室、催淫ガス、現時点で発生しているすべての事象がマセガキの脳を破壊した。
ゴツくて硬くてちょっと引っかかると気持ちがいい――異性の体……というか、ボディパーツが目の前にある。それに圧迫される態勢でいると、嫌でも自分との違いを意識してしまう。
口から何かを発すると、喘ぎ声じみた媚びる声が出てしまう。自分で一人でする時はこんな風にならないはずなのだが、理性のタガが外れた彼女は、ヤバいと思いつつそれを止めることができなかった。
腰を動かしてこすりつけると気持ちがいい。オナニーを覚えたての猿のように、ナマエは原始的な一人遊びに耽溺する。
――自分が勝手に二人の体を使ってオナっているのは、バレていない……いや、バレてる……どっちにしろ、最悪。
ナマエは勝手に妄想を始めた。万が一、二人とも理性を飛ばしてしまったら本当にエロ漫画みたいなことになってしまうかもしれない。自身の貞操の危機である。それは自身の立場が優位であることを自覚した上での慢心でしかないのだが。
(ダメだ~! バレたらわたし、めちゃくちゃにされる! エロ漫画みたいになっちゃうんだ……!)
父親以外の異性と接触するのは、はじめてだった。
そもそも周りに親族以外の男性が入り込んでこないのもそうだが、ナマエ本人が潔癖な体質であることと、彼女の立ち振る舞いや気質、なにより両親の名を冠した自身の存在そのものが、人間そのものを寄せ付けない盾になった。
ナマエに肉体的な接触ができる異性というのは、血縁者をのぞくと医者くらいしかいなかった。体育祭のフォークダンスですらも、なるべく参加させないようにと、過保護な「パパ」からお達しがあったほどである。
「超頑張ってあと一時間とか……」
「扉とか壊したらいいじゃん!」
「今回、なるべく穏便に物とか壊さないようにって普段よりめっちゃキツく言われてるんで」
「そーなの。うちの社長、こういうのめっちゃ厳しいんだよね。それにこれ、ちょっと外部に洩らしたら被害出る系のやつだと思うんで。セキュリティが対処してくれるまで、俺たちは基本、何もしない方がいいんですよね」
それでも人が触れる物を規制するには限度がある。
年相応の性欲がある以上、その手の知識はそれなりに、ある。
昔見たティーン向けの漫画だと、この後「抑え」がきかなくなった相手にめちゃくちゃにされるという展開があった。こんなフィクションみたいな現場に巻き込まれて、本当に最悪だと思ったけど、考えようによっては悪くないかもしれない。
男二人相手に密室で迫られる――という経験は、妄想の中で何度か考えたことのあるシチュエーションである。
「ん゛ッ……。はぁっ……」
薬のせいで下半身がずっと重い。薬の効果だけでなく、廃熱と自身の体温が相まって、環境が軽い蒸し風呂のようになっている。
下着を濡らすのは汗だけではなかった。漏らしたままの下着をずっとはきつづけているかのような居心地の悪さが、あった。
我慢ができない。グルグルと回り続ける思考の中で、もうまともな判断ができなくなってきていた。
(どうせこいつらとは二度と会わないし……、こっちが依頼主だし……。もうお腹イライラしすぎてて無理なんだけど……。ちょっとくらい、なら……。……向こうは機械だし、ノーカン……。ノーカンじゃない?)
「あつい……」
「え、ちょ、何してんの……!」
「さすがにそれはヤバいって」
「だって濡れちゃって……気持ち悪いんだけど」
ナマエの手が自身のスカートの中に伸びる。それを目にした二人は動転して声を上げた。
「ん……」
慌てる男二人に見せつけるように、ナマエはストッキングを脱いだ。布地におおわれていた中からむき出しの生白い肌がだんだんとあらわになっていく。薄手の布地から、閉じ込めていた湿気が漏れ出ていく様を、幻視する。
普段なら伝線などおかまいなしに無理やり引っこ抜くのだが、満員電車の中にいるのと同じような今の状況では、さっと脱ぐことができない。覆われた下からストッキングの生地と対照的な肌の明るさが、暗闇の中でもまばゆいほどである。
(見てる……。わたしのこと、こいつらが、めっちゃ見てる……! こいつらもなんだかんだ言って、変態なんだ! 普通の男、じゃん……)
それを膝まで下ろしてしまうと、かなり涼しくなってきた。それでも外気に触れると湿気た布地が反応して、気持ち悪いことには変わりない。
「あの、本当に勘弁してください。俺らまだつかまりたくないんで暑くても我慢して」
「暑いから、いらないの脱いだだけなんだけど。上着脱ぐのと一緒だし!」
「いや、全然ちがうから」
「じゃあそっちが冷却とか使ってどーにかしてよ。サイボーグなんだし、パソコンみたいにファン回すとかできないの?」
「自分を冷やす以外の機能とか、ないんで……」
露骨に目線をそらしながらたじろぐ二人を見て、ナマエは愉悦に浸った。
「こっちのボディの方がつめたーい♡ つるつるしててなんか……悪くないよ♡」
「わ、ちょ……ッ」
「ン……ッ♡ は、ぁ……っ♡ なんか溝のとこ、あたってきもちい♡」
脚部の凹凸に筋の部分をこすり付けると、存外気持ちがよかった。少しつま先立ちになって気持ちよく感じる部分に当てると、脳がしびれるくらい気持ちがいい。
「あ゛~ッ…………♡ これ、癖になりそっ♡」
「あ、あっ、あ、あのさぁ!」
頭の上から裏返った声が響いてきた。
「カートくんこれどうにかしてくんない!?」
「……どうしろっていうんだよコレ」
明らかにおかしい状況だった。
それでも無理やり力づくで止められるといったことはない。
クライアントだから。傷つけてはいけない対象だから。
なんの訓練もしていない子供一人に遠慮しているのである。
この瞬間、ナマエの内側で燻っていた加虐欲求が爆発した。それが生来の気質なのか、それとも環境によって作られた物であるかは不明だが――年上の男が自分相手に気を使って、動揺しているという状態が楽しくて楽しくて仕方がない。
「はぁ、んっ♡ わたしは勝手にしてるだけ、だから。無視してたらいいじゃん……」
「ナマエさん、それはちょっと目に余るというか……」
「えー? じゃあ見なきゃいーじゃん。なんでそう言いながらチラチラこっち見てんんの? 天井見ておいた方がいいんじゃないですかー?」
「こっちは仕事なんで、本当に……」
「それ言ったらさぁ、わたしだって勝手に『使ってる』だけだし? 仕方ないじゃん。無駄にデカいパーツでいっぱいで、何もしなくても当たっちゃうんだけど。なんで意識とかしちゃってるの? 仕事なのに大丈夫? ねー、そういうのマジで自意識過剰でありえない♡ きもっ」
ゾリ……。
「は、ぇ……」
不意に、太ももに固い感触が当たった。
「こ、これ……」
「あ、それは知ってるんだ。俺がどうなってるかわかんでしょ」
「ちょ、カートくん」
バキバキに勃起した男性器が、ナマエの太ももに押し当てられた。ズボン越しにも分かる大きさにナマエは思わず息をのんだ。――というか、引いた。恐れおののいた。
「き、きもいんだけど! な、なんでおっきくなってるわけ……!」
「はぁ? 好き勝手人のパーツでオナニーされて何もされないとか思ってたん? ないわ。最近のガキって年上のこと舐めてるよな。俺も溜まってたし、勝手に『使う』から」
一応威勢を張ったナマエの威嚇なんて、本業の人に通じるわけがなかった。
カートは片手でズボンをさっさとおろした。ナマエの柔い太ももにグロテスクな陰茎が無遠慮に押し付けられ、先走りが産毛の光る肌を濡らす。
「ひっ……」
「高ぇパーツでオナってんじゃねぇよ……。あー、人の身体って器物破損にならないんだっけ。……やっぱシリコンと違うわ、これ。マックスも使えば?」
「そっちがやってるのに何もしないってのもダサいしね」
「友達同士で、嘘でしょ……」
「女子は見せオナとかしないんだ」
「俺らも普通はしねぇよ。AVの見すぎで頭イカれてると思われるから、やめろ」
「っ……!」
今度は尻に陰茎が載せられる。布一枚隔てているにもかかわらず、浮き出た血管と火傷しそうな体温がじわじわと伝わってきて、ナマエは涙が止まらなくなった。
「あーあ、泣いちゃった」
「お前のちんこグロすぎんだよ」
「だから見せないように後ろから当ててんじゃん」
ナマエは最早指一本動かすことができなかった。捲られたスカートで影になって見えないが、見ることができない故に肉竿の大きさを意識せずにはいられない。
――これを挿入されでもしたら、死ぬ。
ポルノ男優さながらの性器二つが自分の身体に入るわけがない。ナマエは当然ながら「まだ」処女だった。自分の性器も、指で触るくらいしかしたことがない。男性器の挿入など、夢のまた夢であった。
生殺与奪の権を握っているのはこちらだと勘違いしていたが、実際にはたったこれだけの行為でナマエの戦意は脆く崩れ去ってしまった。そして更に最悪なことは――
「あれ? なんかさっきより濡れてない?」
「俺らのせいかな」
「知らない。ナマエさん自分でオナニーできる? さっきやってたからできるよね? 俺らに手伝って欲しかったら言ってね。仕事じゃないけど、手伝ってはあげれるから」
「自分でオナニー笑。あー、うん。風俗じゃないから。そういうサービスはわが社ではやらないんで」
「あくまで個人的なお手伝い、ね」
ケタケタと笑いながら、二人は無心にナマエの身体でオナニーを続行した。男二人の荒い息に今にも下着の隙間から挿入されるのではないかという不安から、心臓の鼓動がおかしくなっていた。脈拍や呼吸の乱れもしっかりと見抜かれているはずだ……。
下着は濡れぼそって性器の形が丸わかりになってしまっていた。隠すという機能に関して一切の意味を失っていた。スベスベした生地に愛液が染み込んで、ただでさえ滑るのに余計な音が響いてしまう。
「う゛ぅっ……♡ ッ、……♡ も、やだ♡」
「いやな割には腰、動いてんね」
「いーじゃん。十代のうちのオナニーなんてそんな物っしょ」
狭い空間に、ナマエの喘ぎ声とグズグズに溢れる愛液の音が響いた。頭がさらにもうろうとしてきて、気を張っていた身体もついには相手に思い切りもたれかかってしまう。厚い胸板――機械のボディの重厚感に、不本意ながらナマエはドキドキしていた。
「おー」
嫌がってはいない声色で、カートはナマエを抱きとめた。
「えー、なんかカートくんばっかじゃん。俺は?」
下着と性器の淵をゆるく行き来していたマックスの指が、ついに割れ目に伸びた。つ、と触るとそれだけでナマエの背筋はガタガタと震えた。
「ちょ、そこはッ……♡ あ゛っ、ッ~……♡」
「うんうん。サービスだから大丈夫」
「大丈夫って、マジかよ。もうなんでもアリになってね?」
「あ゛ッ、やだっ♡ そこむり♡ む゛、ぅ゛、ッ……♡ ぎっ……♡♡」
伸びた下着の淵から侵入した指先が窪みをなぞっていく。とめどなく溢れる愛液が金属質な指に絡まって卑猥に光った。
「おー、すっげ」
「ぁ、はい……ってる♡ はいってるから♡ ぉ、ッ~♡」
普段誰の手にも暴かれていない媚肉をかきわけるようにして、指は少しずつナマエの中に入っていった。一本だけしか入れられていないにもかかわらず、その一つを膣は敏感に感じ取り、背筋と太ももが痙攣してガクガクと震えた。
「超きついんだけど。普段オナニーとかしないの?」
「え゛? ぁ、う゛ッ、あ゛んっ♡ し、してないっ♡」
「ちょ、それセクハラ」
突っ込む基準が謎だが、カートも特に行為自体を咎める気はないようである。「ヤバい」と小声で呟きながらも真面目に止めようとはせず、縋るナマエの姿をまじまじと観察していた。
関節を模した曲線とその境目にある窪みすらも、全てぎゅっと締め付けて気持ちいい箇所に当たるたびに、ナマエの口からは喘ぎ声が上がった。
「イ、むりっ♡ ぬいて……ぬいてぇ゛♡ ッ♡ ぐ、い゛っ…………♡♡」
「えー、ごめん。聞こえなかった。ごめんね、スクラップで。汚い鉄くずが新品まんこに指入れちゃって。いくらサービスとはいえ、申し訳ないなぁ」
「っ……♡ ご、ごめんな゛、ぁ……ッ♡ ごめんなさい゛っ♡ も、イきたくな゛♡」
ぐ、とGスポットを刺激され、溜まっていたものが溢れるように勢いよく潮が出た。しょろしょろとお漏らしのようなそれは、二人のズボンを濡らしてシミを作る。
「あーあ、漏らしちゃった」
「そんだけ良かったってことだろ。俺らも女風いけんじゃね」
「いやいや、こんなのとセックスしたがる物好きなんていないって」
「この子はめっちゃイってたけどね。漏らすくらい」
「処女なのにね」
「才能あるのはこっちだったか」
頭上で交わされる嘲笑に、ナマエは顔を更に赤くした。かっと見開かれた瞳孔は行き場を失って地面を見つめている――が、それすらも逃げ場はなく、単に自分の痴態の証拠を突きつけられてしまうだけだった。
「あ゛ー、俺も余計ムラムラしてきたわ。助けてー」
「流石に本番はアレじゃないの」
「処女ってメンドクサそうだし、素股でいっか」
「ナマエさん聞こえてたでしょ? 太もも使わせてもらいまーす」
「あ゛、ぇ……?」
「ん……。股閉じて」
若干ガニ股になっていたナマエの太ももを、がっしりした機械の腕が強引に閉じさせてくる。噴いた潮で濡れた足に生暖かい肉竿が割って入ってくる。
「ひ、っ……」
「歳のわりに下半身、しっかりしてる」
「俺も思ってた。お尻も結構でかいし」
「そん゛なっ♡ ちがうっ! お゛ッ♡ あ゛ぁっ♡」
べちん、と尻を叩かれる。それに合わせて膣口から潮の残滓がびゅっと出てしまい、それをばっちり見た二人の笑い声に、身を縮こませるしかなかった。
衝撃で挟まった陰茎を思わず強く挟んでしまう。太ももの上の方に挟まれたそれは、自分の足で挟んでも先が余っているくらいの大きさだった。
内ももに男性器の存在を感じながら、先ほど思い切り(といってもアンドロイドの全力ではない)叩かれて少し赤くなったお尻にも、「グロい」と形容された陰茎が押し付けられた。
「う゛……」
「はーっ。人間のボディってやわらか……。でもこれ、女の子の角オナみたいじゃない?」
「知らねぇよ……。ン、これ、女の子ってこんななんだ……。ちょっと力入れたら、全部ちぎれそう……」
足の間に挟んでいた性器が粘膜に触れそうになって少しつま先立ちになると、今度はお尻に擦り付けられたモノに押し付けるような形になる。
「ん゛、やだ……」
「足ちゃんと閉じてて。じゃないと入っちゃうかも……」
少し強い力でぐっと押さえつけられると、それだけで身体が萎縮して言われるがままになってしまう。
「自分の身体に汚いちんこ押し付けられて、オナニーされるってどんな気分」
「…………」
「言わないとわかんないっしょ」
「ひっ」
ナマエが質問に答えられず縮こまるたびに、二人がその様子に興奮しているのがわかった。肌に粘膜が接するたびその熱さと固さに困惑しながらも、次第に物足りずに股をすり合わせていることも、全て向こうには見透かされている。
「え゛ぉっ……⁉♡」
ふと力を抜いた瞬間に、ナマエの太もものきわどい部分で抜き差しされていた陰茎が、粘膜の部分に触れた。内ももの肉を押しのけて、竿の部分が陰核と擦れてナマエの口から漏れた嬌声に、相手は全く動じることはなかった。
「あー、ちょっとおまんこ触っちゃった。そっちが太ももガバガバだから、俺のせいじゃないでーす」
反省の姿勢はない。――寧ろ、ナマエの不手際を責めるという口実で本格的な素股に移行し始めている。
「……結構濡れてるし、太ももと違って結構すべるわ、これ」
「えー、カートくんいいなぁ。俺もやらせてよ」
「あ゛っ、ぁ、あ゛ぁッ♡ ん、ん゛ッ♡」
「やだよ。お前とちんこくっつくのは流石にキモいわ。後ろでも使えよ」
「俺さぁあんましアナルは興味ないんだけど」
「は、っぁ♡ やだ♡ それやだ……!」
ぐちゅぐちゅ。水っぽい音と共に、粘膜が削られるように擦られていく。ナマエの頭はショート寸前だった。
「やだっていっても、もう下を触られてるんだし今更すぎない?」
シャツの下からインナーの内側に、大きな手が入る。ナマエの下着を強引に引き上げると、胸を両方の手で乱暴に掴まれた。
「ひ、ぎっ……♡」
「痛かった? ごめんねー。力加減とか難しくて」
冷たい手が肌に触れ、手のひらだけで全体をすっぽりと覆い隠されてしまう。関節の部分がナマエの柔い肌に食い込み、少し動かすだけで跡が残ってしまいそうだった。
「ちっちゃくても女の子の胸だなー。柔らかい」
ぐにぐにと乱暴に未発達な乳房が揉みしだかれる。小ぶりではあるが張りのある若さを体現したようなおっぱいを他人に触られ、好き勝手に評価されている――最悪としかいいようがない。
「ん゛、ッ、ん゛ぅ……♡ そん、な、触らないでっ♡ ん、ぎっ♡ お゛、あっ、あ、いたい♡ きゅ、に、なにっ♡」
「乳首ちっちゃいねぇ」
三人でやった携帯ゲーム――その時の鮮やかなプレイを可能した指先が、ナマエの未発達ガキ乳首をそっと摘まんだ。指先でくにくに弄りまわすと、そのたびに腰がガクガク震え、身を捩るのだから面白くてたまらなかった。
「普段は乳首でオナニーしないの? なんかしてそう」
「しっ、するわけな……ぃ゛ッ、い゛っ♡」
「え、意外」
「めっちゃしてそうなのに。あ、してないけど敏感乳首なんだ。すごいね、AVの設定みたいだね」
二人の男に挟まれながら、不本意ながら何度もイかされてしまっている。
ナマエの身体が絶頂で震え、無意識に腰をヘコヘコと動かしている最中で二人は人肌――温もりのあるタンパク質で好き勝手にオナニーを続けていた。暗い視界の中で聞こえてくるのは自分の身体と粘液が擦れて響く卑猥な音と、興奮した男たちの荒い息だけだった。
「――たい」
「え、なんて?」
愛液と先走りが混じってドロドロと溶け合っていた。カートは切羽詰まった顔で、先ほど思わず漏らした言葉をはっきりと口にした。
「中で出したい」
「はぁ?」
「ぇ」
「こんなまんこの入口でグチグチやって、こんなのほぼいれてるようなモンだろ。中に出したい。クライアントのガキまんこン中に俺のザーメンぶちまけてぇわ」
「いやー、やめときなってそれは」
ナマエの背筋が逆立った。今はかろうじて未遂で済まされているが、目が座っている様子を見ていると、相方に止められなければ今すぐにでも無理やり挿入していたであろう目つきを、している。
「俺はパイプカットしてるし別にいいだろ」
「モラルとかある? 大丈夫そ?」
「ちんちんがイライラしてンだよ。しょうがないだろ」
「じゃあ俺だって顔にぶっかけたいけど? 我慢してまーす。さすがにそれは、やりすぎだし」
「お前もマジ終わってる。目とかに入ったらどうすんだよ」
「こういう時だけまともですって感じにするの辞めてもらっていいですか」
「うるっせ……あー、射精しそ。いいよな? まんこにぶっかけていい?」
「え゛、あ……?」
「俺も~。そろそろ限界かも」
ただでさえかなり密着していた身体が、更に押しつぶされるように前かがみに覆いかぶさってくる。余計に近くなった顔と、そこから漏れるうめき声――しばらくしてから感じる生っぽい感覚と匂い。肌の上に広がった生暖かい液体の感触に、ナマエは動揺して言葉も出なくなった。
「あ゛ー」
「……お尻で拭いちゃおっと」
「ちょ、えっ……」
有無を言わせぬように身体をティッシュ代わりにコキ捨てた精子を拭き取られる。
「えっ、あ……」
「何回かイってスッキリしましたよね。俺らはもう大丈夫なんで」
「また我慢できなくなったら勝手に使ってもらっていいんで」
「救助班が来るまであと一時間もかからないらしいっス」
「使わせてくれてありがとうね」
出すものを出してスッキリした男二人は、着衣を整えると何事もなかったかのようにまた雑談を始めた。ザーメンティッシュ代わりにされた身体に、精子と愛液がこびり付いてべたべたとしている。
拭くためのものなんてない。救助隊が来るまで時間がない。二人の顔を見上げても反応はなかった。――無視されている。
――さすがに、下半身丸出しのまま他人に会うわけにいかない。
ナマエは半べそをかきながら服を元に戻した。乱暴に脱がされた下着を引き上げて、自分で出した愛液が底に溜まって濡れているのを感じた。
「お着換えくらい一人でできるよね」
「俺らベビーシッターじゃないんで」
生まれてからこれまでにみじめな想いをさせられたことはない。怒りが湧き上がってくるが、すぐに乱暴な愛撫を思い出して悪態をつく気力もなくなった。
もう二度と、サイボーグだからって揶揄うようなことは辞めよう。大人は本気になるとめちゃくちゃ怖い。
(でも……こんな場所じゃなければ、こんなやつら!)
事が事なだけにパパとママにチクるのもやりにくい。復讐心と後悔が入り混じった涙を流しながら、ナマエは目に焼き付けるようにカートとマックスの顔をにらみつけた。
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