流れ星キラキラ

流れ星 キラキラ
流れ星 キラキラ

遠い光に 願い込めたら

流れ星 キラキラ
流れ星 キラキラ

瞳を閉じて 願い込めたら






何かに引っ張られるようにして、水鏡の意識は戻った。
目を開けるとそこはまだ暗闇。しかし、ベッドに入る前に閉めたはずのカーテンは何故か開いていて、水鏡の隣にいるはずの男の姿は見当たらない。肘を立て、上半身を起こすとスプリングが軽く音を立てた。立ち上がるのは億劫だった。そのままベッドのシーツを適当に被り、バルコニーにいるだろう男が見える位置まで移動し寝転がりながら観察する事にした。

烈火は水鏡の思った通り、バルコニーにいた。スラックスにシャツという簡単な服装は、水鏡の家に寝巻きとして置いているもの。飲み物が入っていた缶を床に置き、自分は手すりに肘をつき体重をかけていた。その目線の先は、真っ黒い空。水鏡は思った。全く似合わない、と。実は烈火が空を好きなのかも知れないし、もしかしたら意外とロマンチストなのかもしれない。だが、そうだとしても似合わない事は確かだった。水鏡は心の中で何度も繰り返していた。

しばらく烈火の背中を見ていた水鏡だったが、ふと気がついた。
不思議なのは、烈火が水鏡の気配に気がつかない事だった。窓は閉まっていて、水鏡が立てた物音も聞こえてはいないだろうが、烈火は烈火。気配で水鏡が起きたかどうか位分かるはずだった。今までだってそうだったからだ。

なぜだろう。

犬みたいな烈火が、水鏡が起きている事を知っていてあえて振り向かないなんて事はしない。きっと、本気で気づいていないのだろうと水鏡は思った。ならば、何に神経を奪われているのか。気になった。何かを見るために表へ出たのか、それとも何か考え事をするためなのか。後ろ姿だけでは烈火が目で何を追っているのか、何を考えているのか見当もつかない。しかしなぜか、それが妙に心地よかった。気にはなるが、知ろうとは思わない。ということだ。水鏡は唇の端を少し上げた。

すると、烈火に動きがあった。
バルコニーから少し身を乗り出して空を眺めると、落ちそうになるくらいまで手すりに体重をかけた。
つま先を地面に二回ほどぶつけてから、ゆっくりと部屋を振り返る。窓越しで烈火と目が合った水鏡は可笑しくて笑いそうになった。烈火が驚いた顔をしたからだ。しかしそれも一瞬で笑顔に変わり、表から窓を開ける烈火は何か楽しそうだった。水鏡がベッドに寝転がったまま首を傾げると。


「流れ星が通った」


と、あの顔で笑った。






流れ星 キラキラ

流れ星 キラキラ

その願いが きっと届きますように……




END
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