鬼ごっこ
視線を感じれば、その先には烈火がいた。
逃げようとすれば、腕を掴まれる。
拒否しようとすれば、無理やり与えられて受け取らざるを得なくなる。
追われて、追われて、追われて
先が見えない、終わりが見えない。
「なに?水鏡」
「……何が?」
突然の烈火の言葉に、質問返しをすると烈火は苦笑した。
「いや、見られてたから」
「誰が」
「俺が」
「誰に」
「……水鏡に?」
「……」
何か用かと思ったんだけど、と烈火は微笑む。
視線を外し、少しの間だけ考えを巡らせた水鏡はすぐに烈火に目を合わせ言った。
「別に」
「そう」
「……自惚れるなよ」
「うっさいわ」
と、烈火は立ち上がって横を離れていく。
残された水鏡は、すぐに自覚し納得した。
どうにも、終わりが見えない理由
この『鬼ごっこ』の鬼は
烈火だけではないから……
END.
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