Word of Love
「そうか」
「?」
「…足りてなかったか」
「あ?」
「それとも、お前が鈍いだけなのか」
「…」
きょとんとした烈火の表情が可笑しくて堪らない。
「もうすぐ誕生日だな」
「あぁ」
もうすぐ日付が変わる。
水鏡が烈火のすぐ近くまで寄ると、烈火の腕が腰に絡みついてきた。
緩いその力であっても、なぜか背筋に走るものはいつもと同じで。
「言葉は、嫌だ」
「じゃあ、どう表現してくれる?」
烈火が唇の端を持ち上げると、水鏡は指先でそれに触れた。ゆっくり視線を合わせて。
「…さあな」
それはあえて冷たく、口元には微笑みだけを乗せて。
「水鏡」
今にも笑い出しそうな烈火が、軽く下を向く。
「?」
しかしすぐに正面を向き、微笑みながらこう伝えた。
「すげぇ綺麗」
『好き』というのは褒め言葉。
自分のことを虜にして、心を奪っていくほどの魅力。
愛しくて、離したくなくて、独占したくて。
そんな気持ちにさせる。
もっと、もっと大好きになりたい。
愛しいから。
ずっと、ずっと傍にいて。
END.
2005年7月27日
烈火、ハピバ
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