Word of Love

烈火は水鏡の言葉を聞くと、小さく息を吐いた。

「でもさ」

真正面の瞳は真剣で。

「…」

「仕方ないじゃんか。それでしか、表現の仕様がないんだから」

違うか?と覗き込んでくる。

「身体で表現するか、言葉で表現するか。どっちかしかないだろ?」

「…」

「実際、身体で表現しすぎてお前にいわれた言葉、俺忘れてねぇよ?覚えてる?」

なんだったか…。水鏡は思い出そうとした、が出てこなかった…。

「『僕の身体がそんなに好きか』だ」

毎日気を失うまで求められていた日が続いたとき、あまりの辛さに吐いた言葉だと思い出した。
身体は言うことを聞かず、眠気は酷く。声も満足に出すことが出来なかったのだ。
あの時は本当に烈火に会うのが苦痛でしかなかった。逃げて逃げて逃げまくっていた。もう、結構前の話だが。

「だから、控えようと思った。でもそうしたら、寂しくなった」

水鏡の存在と暖かさを感じる機会が少なくなったのだから、仕方ないかもしれない。
しかも、それが言葉で伝わってくることはない。彼からのリアクションは無いに等しいのだから。

「…」

「つまりだ…」

「…っ」

烈火は水鏡に近づくと、手を取った。熱い手のひらに視線を持っていかれると、もう一つの手が頬に添えられる。

「愛が欲しい。水鏡」

「…誕生日プレゼントに?」

「そ」

理解したら、脱力した。台詞が欲しいだけじゃなかったのか。
腹の底から大きくため息をつくと、水鏡は烈火の瞳を覗き込んだ。
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