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第二章

(…そうだ…。
…雫を…頼ろう…)

雫は東京に出てきてからの友達で、

今一番話すことが多い子だ。


(携帯電話…はないから

仕方がない…直接バイト先に行こう…。

うぅ…でも

ジャージで歩くの…勇気いるよ…。

靴はスリッパだし…

歩きにくいし…。

ぐす…)

涙が出そうになるのをぐっとこらえる。




…お金がないので当然電車にも乗れず、

結局、雫のバイト先まで来るのに

歩いて3時間くらいかかってしまった…。







「はぁはぁはぁ…

ふぅ…


…はあ…」


ため息しかでない…。




やっとついたのは雫のバイト先である

ショッピングセンターファッション街。


ジャージとスリッパで歩くには死ぬほど勇気がいる場所…。

しかしそんなこと気にしているような場合、テンション、ではなかった。


私はさっそく雫を探すことにした。


(…あっ!雫、いた!)

私は声をかけようと店頭にいる雫に近づいた。


「雫!

仕事中にごめんね、ちょっと相談に乗ってほしいことが…」


「えっ?

あ、あの…どちらさま…でしょうか…?」


「えっ…?」


「申し訳ございませんが、お客様のお名前は…」


「雫ちゃん、ふざけてるの…?」


「…あの…」


おろおろする雫。

雫は、本気で困っているように…見える。


「すみませーん」

「あ、はい、ただいま」

「すみません、御用が特にないのでしたら、仕事中ですので…」


お客さんから声がかかったのを理由に、

雫はそそくさと売り場に戻って行ってしまった。


「……」


何か言いたいのに言葉が出てこない。


呆然と立ち尽くす私…。



(どう…なってるの…?

なんかおかしいよみんな…。

みんなで私をからかっているの…?


…でも…みんなそんな感じじゃ…)
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