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第六章

「あっカナトさん、腕、ケガしてる…」

「大したことないよ」


「きゅ、救急箱、あるかな…」


ガサゴソと探し始める私。


「あ、あった…」


私はカナトさんの腕を包帯で手当てした。


「これで、大丈夫…かな?」

「…ありがとう

…すごく手慣れてるんだね」


「私、スポーツやってるから、

こういうの慣れてるの」


「そうなんだ」

「うん」




「……」


カナトさんは”パラレルワールドパトローラー”


…そして

ここは”パラレルワールド”です…か…。


理解したわけではないけれど…

今までのこと、そして

黒い翼の悪魔…。

光り輝く鎖が突然現れたり…。


自分の想像を超えた何かが起こってるって、

認めるしか…。







私はパラレルワールド世界だと言われた

自分の部屋を見渡してみた。


再び、机の横のコルクボードに目が止まる。


(…もし私が、東京にいかずに、京都に残っていたら…。


りっちゃんと恋人同士になる、

そんな未来もあったんだろうか…。





…りっちゃん…)


「…元の世界に…戻りたいよ…」


こっちの世界での、りっちゃんのことを思い出し、

思わずつぶやく。


「…大丈夫。元の世界に戻る方法はあるよ」


「ほんと?」


「うん」



「そもそも君を元の世界に戻し、

パラレルワールド世界の君をこの世界に戻すことが、

パトローラーの使命だから…」


「…どうすれば、元の世界に戻れるの?」


「実は君がこの世界をパラレルワールドだって認識するのがまず一つ目のキーなんだ。

そして君が、初めてこの世界に足を踏み入れた場所に戻る必要がある」



この世界に初めて足を踏み入れた場所…。


「東京の、私の部屋…?」


「…そこが、出発点?」


「うん、そう、だと思う…」
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