第二章

とりあえず死んでしまった人間が生きているのは

発見されたとき面倒だ、ということで、

私は変装することになった。


帽子にサングラスにマスク
定番のあれである。



「う、うーん…

とりあえず顔を隠せるものを用意してみたものの、

逆に目立って怪しすぎるかな…」


りっちゃんが私の姿を見るなりそう言った。


「うーん…。確かに顔は隠せてるけど…」


そしてりっちゃんのものなので、帽子もサングラスもちょっとゆるゆるだ。



「まあ怪しくても顔が見えなければいいんじゃない?
なんか変な人いるな、で終わりだよ」

ラビスが言う。


「そ、そんなものかな…」



「ねね、それよりはやく手掛かり探した方がいいんじゃない?」


「……そうだね」


「どうしよう?まずはどこに行けば…

う、うーん…。

そうだ、ここの世界の私はその、どこで…死んだんだっけ?」


特にいい案も思いつかなかったので、

とりあえず思いついたことを口にしてみることに。

別の世界とはいえ、自分の死んだ話はあんまりしたくないなーと

思いつつ、りっちゃんに問う。



「どこで死んだのかは分からない。

見つかったのは、黒神湖」


「え、そんなとこ行ったことない…」


「…殺された後連れ去られた、と考えられるから、
湖の方に手掛かりを見つけるのは難しいんじゃないかな。

その辺は警察の方が優秀な気がする」


「うーんそうだね…」


(私であることで有利なことって言ったら…)


「あれじゃない?

変装しないでさ、犯人が私を見つけそうなところを歩くとか、

で、動揺した人が怪しい、みたいな」



「だめだよおとりなんて、危ない…。

他の案を考えよう」



「…う、うーん…。

じゃ、じゃあどうしようかな…。

え、えーっと…凶器はなんだっけ…」



「凶器はナイフ…らしいよ」


「ナイフ…

ナイフかぁ…」


(う…なんか具体的なことは考えたくない…かも)




「…とりあえず、紗奈の家や学校、紗奈がよく行ってた場所や
バイト先、などに行ってみよう。

もちろん変装はしたままでね」


「うん、わかった…」


りっちゃんが、私の動揺を察してか、そう提案してくれた。


2/2ページ
スキ