第六章

それから数日後…。


「りっちゃん、りんごむけたよ」

「うん、ありがとう、紗奈」


もぐもぐとりんごを食べるりっちゃん。
ちなみにここは、りっちゃんの病室だ。



「実はまだ何も解決してないって知ってた?」


ラビスがお菓子を食べながら声をかけてくる。



「…分かってるわよ。

私の世界では犯人つかまってなくて、

私の世界ではまだ油断できないって言いたいんでしょ?」


「そうそうご名答!

ね、ね、どうする?

魂、もう半分、くれてもいいんだよ?」

「やだ」


「この世界にずっといるのは…?

そうしたら殺される未来はとりあえず消えそう」

りっちゃんが言った。



「え…。

う、ん…。


確かにそうかもしれないけれど…。


やっぱり元の世界に戻って、


元の世界でも、ちゃんと解決しておきたいよ。


なんだかすっきりしないっていうか…。


ずっと別世界にいるのも、違う気がする…」



「…まあ、そうだよね」


「ふーん。
じゃあ一旦元の世界に戻るってことで。


まあ命の危険性があったほうが、
僕はいいんだけどね。


魂、魂♪


クスクス。僕が守ってあげるからね~」





そんな感じで、りっちゃんの体がだいぶ回復したので、

元の世界に戻ってきた私。


ラビスと共に、

りっちゃんもこっちの世界に来てくれた。


「犯人はまだなにも自供していなくて、

なぜ紗奈が狙われたのか分からないらしい。


とりあえず犯人の顔と名前は分かったから、

なんとかこっちの世界の犯罪を防ぎたいけど、

何も事件を起こしていない犯人を、つかまえることはできない」


「うん…。

…でも、私、こっちの世界で犯人に、見おぼえないんだよね…。

結局、カフェでぶつかったあの男が犯人だったわけだけど、

私はカフェでは働いてないし…」


「うーん…」


「こっちの世界では、まだ出会ってもいないってことかな?」


「紗奈は知らなくても、向こうは既に知っている可能性もあるね」


「……」


「とりあえず手掛かりは…今のところ

犯人の家と、カフェと、倉庫…かな」






さっそく犯人の住んでいた家に行ってみたが、

そこにあの男は住んでいなかった。


そしてパラレルワールドの紗奈が働いていたカフェは、

こちらの世界では存在していなかったのだ…。


「…パラレルワールドだから少しずれがあるみたいだね…」



かろうじて倉庫は存在していたが、

この世界で犯人と接点があるかどうかは不明だ。


辺りを探ってはみたが、

特にこれといったものを見つけることは出来なかった。




「うーん…今日のところは

ひとまず家に帰ろうか…」


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