（あったかい！あったかい！夢のようだ…！）

さっき会ったばかりだというのに、
男の人は私をレストランへと連れてきてくれた。


…もちろん少しは警戒したけれど、

雪降る真っ暗な公園に一人でいるよりは…

優しく声をかけてくれたこの青年を…信じてみることにしたのだ。


「遠慮はしなくていいから」

「う、うん…」


突然現れた、この天使のような青年は自分のことを

カナトと名乗った。




「お待たせしましたー！」


おいしそうなご飯が並べられる。

空腹がピークに達していた私は、

さっそくご飯を口に運んだ。


「お、おいしい…」

幸せをかみしめる。


「よかったな」

優しく微笑むカナトさん。

その表情にドキッとなる。



（い、今更だけど、
恥ずかしくなってきちゃった…。


すっぴんだし、スリッパだしジャージだし…。
公園でわんわん泣いててご飯を食べさせてもらうなんて…）


ご飯をお腹にいれ、少し落ち着いてきた私は、
そんな感情が、段々と芽生え始めてきた。


「それにしても、本当に…ありがとうございました」

「いや。

さすがにあのままほおっておくわけには行かなかったからね」



お腹は満たされた。

…でもこれからどうしようか…。

…何かする気力も帰る家もない…。


「…なんか訳ありか？」

「……」

よっぽど弱り果てた顔をしていたのか、

カナトさんは優しく声をかけてきた。



「うーん…俺んち…はさすがに会ったばかりだし

お互い気まずいよね…。

そうだ、俺、ホテル代出すからさ、そこに泊まるっていうのは…？」


「…え…。


……

どうしてそんなに優しくしてくれるんですか…？」


「…どうしてって…。

あんなところ見せられたら…

誰だってそうするよ。きっとね」


「…それでもやっぱり優しい…と思います…」


「ん…。


あっと…そうだ、この辺はあまり詳しくないらしいし、
ホテル探し手伝うよ」




そう言うとカナトさんは

ここの近くにあるホテルに電話をしてくれた。

幸いホテルの予約はとれ、そこへと向かうことになった。