第二章

ふっ…と意識を取り戻すと、体中がいたい。

背中にはごつごつとした冷たい床の感触。


まぶしい光に、
私はゆっくりと目を開ける…。


すると…



私は真冬だというのに絨毯一つない床の上に、転がるように寝ていた。

ベッドも、家具もなにもない部屋に…。


そして驚いたことに…なんと

そこは自分の部屋だった。


(え…なに…どういうこと…?)


ゆっくりと立ち上がる。

まわりを見渡すと、やっぱり私の部屋には間違いない。

…が、見慣れた家具も、洋服も、本も、何もかもが…なくなっていた。



「???」


あまりの出来事に頭がついていかない。


(泥棒?それとも誰かのいたずら??)


もう一度がらんとなってしまった自分の部屋を見渡す。

…やはりこうなってしまった理由がさっぱり分からない…。


夢…でもない。


なんなんだろう…この状況は…。



(そ、そうだ…警察。

それとも…親に電話??)


今度はわたわたと混乱が襲ってくる。


…しかし携帯電話は見つからなかった。

そしてバッグも…財布も…。






ぐぐーっと鳴るお腹の音。




(…お腹…へった…。


だけどお金も…ない…)




途方にくれる私。




(そ、そうだ…とりあえず大家さんのところに…)


そう思い立ち
外に出ようとするが…


…靴がない…。


辛うじてスリッパははいていたので、
それで外に出ることにした。


(変なジャージとスリッパで…私は外を歩くのだろうか…)



泣きそうになりながらも

幸い近所だった大家さんの家に

こそこそと向かうことにしたのだった…。
1/4ページ
スキ