第四章

「あ…の、

目が覚めたら家の家具が全て無くなってて、

私のこと知ってる人が誰もいなくなったって言ったら、

信じますか…?」



ちょっとびっくりするカナトさん。


(…やっぱり、信じてもらえないよね…)


カナトさんは何かをいろいろ考えているみたいだった。



(…変な子だと思われたかな…)


「その、みんなって、本当にみんな…?」

「え…?」


「君の事、知ってる人がいなくなったって話…」


「…信じてくれるの…?」


「…とりあえず、続き、聞くよ」

(…聞いて、くれるんだ…)


「…えと…

知らないって言われた人は、大家さんと、後、最近知り合った友達…とか

そんな感じかな」


「そうか…」


「携帯電話もお金もなくて…

親とかもっと親しい人には連絡できなかったから…」


「…なるほど…」


携帯電話を差し出すカナトさん。

「とりあえず、親に電話、かけてみる…?」

「え?う、うん…」



(カナトさん…信じてくれてるのかな…)

カナトさんに言われ、親に電話をかけてみることに。

いつもは携帯の電話帳からかけているので

電話番号がなかなか思い出せない。


(えっと…なんだっけ?

ん、多分この番号…)


ちょっと不安ながらも、実家にかけてみる。


…しかし繋がらない。




「繋がらないのか…?」


「うん」


「…そうだりっちゃんにも、かけてみよう」



(えっと、りっちゃんの電話番号は確か…)


なんとか記憶を手繰り寄せ、

これだという番号をプッシュしていく。



『ピンポンパンポーン

お電話、ありがとうございます。

この電話番号は、現在使われておりません。

番号をお確かめの上、もう一度…』



「え…?

あれ?

番号、間違えちゃったかな…?


…うーん…この番号だと思ったんだけれど…。

…だめだ、思い出せない」


「……。

繋がらないのか…?」


「…うん…。

…どうしよう…」


「……。

今から君の地元に、直接行ってみるとかは…?」

「えっ…?」

思わぬ言葉にびっくりする私。


「じ、地元って…

ここから新幹線でも2時間以上はかかるよ?

お、お金もかかるし…

…さすがにこれ以上カナトさんに迷惑は…」


「うーん…でもここで別れるのも

なんだか心配だしな…。

まだ何も解決してないし…」


(カナトさんはこう言ってくれてるけれど…

あっ…)


「そうだ!

実家に帰ればお金、カナトさんにお返しできるかもしれないので

私、実家に行ってみることにします」


「…わかった」
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