第七章

「……」


カナトさんが触れるとりっちゃんは突然ガクッと気を失った。


「りっちゃん!?」


「大丈夫。眠らせただけだ。

…あまり並行世界の人間が近づきすぎると、危ないんだ。

律くんみたいに、

紗奈ちゃんに近しい存在には、激しく影響を与えてしまうだけじゃなく、

世界も…歪む原因になる」


「……」


「向こうの世界の紗奈ちゃん。

…かわいそうだけど、君には元の世界に戻ってもらうよ」



「あーまってまって

ダメダメ

それじゃ契約が成り立たない」


ボン…っと
突然現れるラビス。



「現れたな…」




「世界はさ、歪んでいる方がおもしろいよ。クスクス。

僕は感情的で欲望のままに生きる人間をみるのが大好きさ。

大体、世界なんてものは、もともといろいろ歪んでるしね♪


ってことで、

君には邪魔させないよ」


ラビの手元が怪しく光る。


瞬間…パーンという音と共に、カナトさんは
四角く切り取られた謎の物体の中に閉じ込められてしまった。


「カナトさん…!!」

「あっははー!いっちょあがり!」




「さてさて、それじゃ、君は向こうの世界に送ってあげるよ♪」

ラビは私の方をみてそう言った。

「いやよ…!!」

「んー

まあでもこのまま送っちゃうだけなのも面白くないな。


そうだ、よし、いいこと考えちゃった。

こういうのどう?

紗奈ちゃん対決。


この世界に残ることをかけて、紗奈ちゃん同士で戦うの。

この世界にとどまりたいという思いの強い方が、ここに残る。


こっちの世界の紗奈ちゃんが勝ったら、


そこの四角に閉じ込めたやつも、解放してあげるよ♪


どう、面白そうでしょ」



「ふざけるな…!!」


カナトさんが叫ぶ。




「この世界でずっと生きてきたのは私なんだから…!!

りっちゃんだって大切に思ってる…

私は、そこにいる紗奈なんかには負けないよ!!」



「うーんいいね♪

そうこなくっちゃ。


ところで紗奈ちゃんは?」

今度はパラレルワールドの紗奈に問うラビ。



「…いいわ。

私、そこにいる紗奈と、戦う」



「うんうん。

じゃあこれ貸してあげるね。


想いの強さの分、なんと武器を生成できまーす。

これで戦ってちょ。


精神に衝撃は感じるけど、体に傷はつかない、やっさしい仕様だよ♪」



そういうとラビは、ぽいぽいっと謎の道具を投げてきた。


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