第六章

私とカナトさんは急いで東京に戻り、東京の私の家である

フラワーマンション203号室へと向かった。



(そうか…

ここは”地元に残った私”の世界だから、

フラワーマンション203号室には誰も住んでなくて、

空き家になってた…って感じなのかな…)




カナトさんが「部屋をみたい」と大家のおばさんに頼むと、

意外にも大家さんはあっさり鍵を開けてくれた。


(…これは絶対
カナトさんがかっこいいから…だと思う)


「…むぅ…大家さんったらっ、

私の時はいくら言っても全然とりあってくれなかったのに~」


「あはは…。



…とりあえず怪しまれないうちに、

ゲートを開く作業をするね」



そういうとカナトさんは不思議な道具で

フラワーマンション203号室の床に魔法陣を描いた。


(マジックとか物理的なもの…じゃないのかな…。


魔法陣…光ってる…)


「それじゃ、行くよ。
魔法陣の上に立って」

「う、うん…」




「え…と、ちょっと嫌かもしれないけれど…

はぐれてしまうとまずいから…」

そういってカナトさんは、私をぎゅっと抱きしめた。


「…ごめんね、すぐ終わるから」


「は、はい…大丈夫です…」


「出来れば紗奈ちゃんの方からも、ちゃんとつかまっててほしい」


「え、あ、はい…」


ギュっとカナトさんを抱きしめる。


(…なんだかドキドキして、何も考えられないよ~…)


「じゃあ、行くよ」


「う、うん…」


来るときとは違い、
不思議な暖かい光に包まれながら
私は”この世界”を後にした。
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