第六章

「ね、僕とキスしようよ。クスクス…」


(え…)


その言葉をきっかけに、私の足が…

自分の意思とは関係なく、一歩一歩、ラビスに、近づかされる。


(い、いや…やめて…)


ラビスの手が…私の頬に触れる。


「クスクス」


息がかかる…


逃げられない…!


(い、いやっ…)





「紗奈ちゃんから離れろ!!」


ドンっという音と共に

突然部屋に現れる青年。


髪の毛はふわふわの水色、瞳の色は青。

そして青年の周りを取り囲む、光り輝くようなオーラ…。

雰囲気が変わりすぎてて、一瞬誰だか分からなかった…が。


(え、カナト…さん…?)




「あーあ…つまらない邪魔が入ったなぁ。

紗奈ちゃんちょっと離れてて。危ないから」


カナトさんの手が不思議な陣を描く。

するとラビスの体は突然、光り輝く鎖のようなもので拘束された。


「……!」


「…これでお前はもう動けないはずだ。

…大人しく、魔界に帰れ」


「…へぇ、やっぱり君、ただの人間じゃなかったんだね。

さしずめ君は”パラレルワールドパトローラー”ってとこかな?」


「……」


「ところで僕が動けないだって?

まさかまさか。

こんなもの効くわけないでしょー」




電撃のようなものと共に
バリバリ、パーンと砕ける音。



「危ない、紗奈ちゃん!!」

そう言うと
カナトさんは私に覆いかぶさってきた…。



「あははっ

簡単に壊れちゃったねー。クスクス」


「……!」


「あーっと大丈夫。戦わないよ?

紗奈ちゃんの部屋、荒らしちゃうのかわいそうだからね。

それじゃ紗奈ちゃん。またね。クスッ」


そう言うと、謎の少年は

私達の目の前からフッと姿を消した。
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