アンケートお礼その2
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【6.カン】
「や、名無しさん。こんにちは」
遊園地を歩いていたら、ボリスが声をかけて来た。
彼は私の顔を見た瞬間、眉間にしわを寄せる。
「って……なんかあった? 疲れてない? 大丈夫?」
私の顔を覗き込んでくる彼に、私は素直にうなずいた。
「うん。ちょっと疲れてるかも。今ね、ジョーカーさんとカードしてきたんだけど、ぜんっぜん勝てなかったの」
そう、サーカスの森でジョーカーさんに会ったので、カードゲームをしてきた。
何度か勝負をしたのだけど、1度も勝てなかった。全敗だ。
悔しいやら情けないやら、なぐさめられてるような、ちょっと小ばかにされてるようなそんな言葉をもらって帰ってきたのだった。
「……ほんと、ぜんぜん勝てなくてね、なんかもう悔しすぎて疲れた」
力なくつぶやく私に、ボリスは苦笑した。
「なるほどね。すっごい暗い顔してるもん。どっちのジョーカーとやってきたの? 怖いほう?」
「……どっちも怖いからわかんない」
普段はやんわりとした雰囲気のホワイトさんと、普段から口の悪いブラックさん。
……どっちも怖い。
私の言葉にボリスは「ははは、確かに」と笑って同意した。
「あの人カードゲーム強そうだもんね。名無しさんは名無しさんですぐ顔に出るし」
「それ、ジョーカーさんにも言われた。私、そんなに顔に出る?」
「出るよ。今だってすぐにわかったしね。名無しさんの顔見れば、機嫌がいいのか悪いのかすぐにわかるぜ」
「……なんか私、単純な人みたいじゃない?」
「そこが名無しさんのいい所だろ?」
いたずらっぽく笑ってボリスが言った。
その顔にちょっとドキッとする。
「そういえばボリスもカードとかゲームが結構強いよね」
ボリスはわりといろんなことをそつなくこなす。
カードはもちろん、クレーンゲームとかシューティングゲームも上手だし、
部屋やゴーカートを(ゴーランドが困るくらい)改造できちゃうし、色々なことが器用にできる。
いろんなことを知ってるし。
「俺カンが良いんだよ、猫だしね」
「そういうもの?」
「そうだよ。野生のカンていうのかな、こういうのも」
なるほど、そうかもしれない。
にこりと笑うボリスを見て納得する。
「いいなぁ。私はカンも鈍いし、表情には出るし、ゲームには向いてないのかも」
なんだかガッカリして私が言うと、ボリスはしばらく黙って考え事をしていた。
さすがのボリスも慰めの言葉が見つからないのかしら?
なんだか悲しくなった時、彼は急に両手をグーにして差し出してきた。
「なに?」
「名無しさんのカンの良さを試そうと思って」
驚く私に、ボリスはにやりと笑ってそう言った。
「名無しさん、美味しいキャンディが入っているのはどっちの手だと思う?」
「えー?」
私は差し出されたボリスの手をじぃっと見つめた。
指輪やら鎖やらがジャラジャラついた彼の手。
……全然わからない。どっちだろう??
悩む私にボリスがくすくすと笑う。
「名無しさん、名無しさん。考えたってだめなんだ。カンでぱっと決めてよ」
「そっか。それじゃあ……こっち!」
私はボリスの右手を指さした。
彼は私をじぃっと見つめてからニヤリと笑った。
「本当にこっちでいいの、名無しさん?」
「……うー、うん!いい!こっち!」
私がうなずくと、彼はふっと表情を緩めてぱっと手を開いた。
「当たり!」
「おー!やったー!」
なんだかそれだけのことなのに嬉しくて、思わずぐっとこぶしを握る私。
「名無しさんのカン、悪くないんじゃない?」
「そうかな?」
ボリスの言葉に気を良くして、なんだか少し気持ちが晴れてきた。
すると、彼はそんな私を見て楽しそうにキャンディを差し出す。
「ご褒美にこのキャンディあげる」
「ありがとう」
まんまるのキャンディをさっそく口にいれると、あまずっぱいレモンの味がした。
「はー、美味しい」
幸せな甘さに思わずそう言うと、ボリスが笑う。
「名無しさんはそうやって笑ってるのが一番だよ。カンが良くても悪くてもね」
ボリスはそう言いながら、左手の拳をそっとポケットに入れた。
こっちのキャンディがメロン味であることは、彼しか知らない。
「や、名無しさん。こんにちは」
遊園地を歩いていたら、ボリスが声をかけて来た。
彼は私の顔を見た瞬間、眉間にしわを寄せる。
「って……なんかあった? 疲れてない? 大丈夫?」
私の顔を覗き込んでくる彼に、私は素直にうなずいた。
「うん。ちょっと疲れてるかも。今ね、ジョーカーさんとカードしてきたんだけど、ぜんっぜん勝てなかったの」
そう、サーカスの森でジョーカーさんに会ったので、カードゲームをしてきた。
何度か勝負をしたのだけど、1度も勝てなかった。全敗だ。
悔しいやら情けないやら、なぐさめられてるような、ちょっと小ばかにされてるようなそんな言葉をもらって帰ってきたのだった。
「……ほんと、ぜんぜん勝てなくてね、なんかもう悔しすぎて疲れた」
力なくつぶやく私に、ボリスは苦笑した。
「なるほどね。すっごい暗い顔してるもん。どっちのジョーカーとやってきたの? 怖いほう?」
「……どっちも怖いからわかんない」
普段はやんわりとした雰囲気のホワイトさんと、普段から口の悪いブラックさん。
……どっちも怖い。
私の言葉にボリスは「ははは、確かに」と笑って同意した。
「あの人カードゲーム強そうだもんね。名無しさんは名無しさんですぐ顔に出るし」
「それ、ジョーカーさんにも言われた。私、そんなに顔に出る?」
「出るよ。今だってすぐにわかったしね。名無しさんの顔見れば、機嫌がいいのか悪いのかすぐにわかるぜ」
「……なんか私、単純な人みたいじゃない?」
「そこが名無しさんのいい所だろ?」
いたずらっぽく笑ってボリスが言った。
その顔にちょっとドキッとする。
「そういえばボリスもカードとかゲームが結構強いよね」
ボリスはわりといろんなことをそつなくこなす。
カードはもちろん、クレーンゲームとかシューティングゲームも上手だし、
部屋やゴーカートを(ゴーランドが困るくらい)改造できちゃうし、色々なことが器用にできる。
いろんなことを知ってるし。
「俺カンが良いんだよ、猫だしね」
「そういうもの?」
「そうだよ。野生のカンていうのかな、こういうのも」
なるほど、そうかもしれない。
にこりと笑うボリスを見て納得する。
「いいなぁ。私はカンも鈍いし、表情には出るし、ゲームには向いてないのかも」
なんだかガッカリして私が言うと、ボリスはしばらく黙って考え事をしていた。
さすがのボリスも慰めの言葉が見つからないのかしら?
なんだか悲しくなった時、彼は急に両手をグーにして差し出してきた。
「なに?」
「名無しさんのカンの良さを試そうと思って」
驚く私に、ボリスはにやりと笑ってそう言った。
「名無しさん、美味しいキャンディが入っているのはどっちの手だと思う?」
「えー?」
私は差し出されたボリスの手をじぃっと見つめた。
指輪やら鎖やらがジャラジャラついた彼の手。
……全然わからない。どっちだろう??
悩む私にボリスがくすくすと笑う。
「名無しさん、名無しさん。考えたってだめなんだ。カンでぱっと決めてよ」
「そっか。それじゃあ……こっち!」
私はボリスの右手を指さした。
彼は私をじぃっと見つめてからニヤリと笑った。
「本当にこっちでいいの、名無しさん?」
「……うー、うん!いい!こっち!」
私がうなずくと、彼はふっと表情を緩めてぱっと手を開いた。
「当たり!」
「おー!やったー!」
なんだかそれだけのことなのに嬉しくて、思わずぐっとこぶしを握る私。
「名無しさんのカン、悪くないんじゃない?」
「そうかな?」
ボリスの言葉に気を良くして、なんだか少し気持ちが晴れてきた。
すると、彼はそんな私を見て楽しそうにキャンディを差し出す。
「ご褒美にこのキャンディあげる」
「ありがとう」
まんまるのキャンディをさっそく口にいれると、あまずっぱいレモンの味がした。
「はー、美味しい」
幸せな甘さに思わずそう言うと、ボリスが笑う。
「名無しさんはそうやって笑ってるのが一番だよ。カンが良くても悪くてもね」
ボリスはそう言いながら、左手の拳をそっとポケットに入れた。
こっちのキャンディがメロン味であることは、彼しか知らない。