アンケートお礼その2
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【5.甘い罠】
最近、双子の扱いにだいぶ慣れてきた。
彼らのことは大好きだし、彼らも私にとても懐いてきてくれる。
しかし、たまに身の危険を感じるというか、「ちょっとそれはまずいでしょ」という言動をしてくる2人。
私は流されてはいけないと思い、日々用心してきた。
彼らのことは好きだけれど、「双子の二人どちらとも付き合う」というのはおかしい。いくらこの世界がおかしいといっても絶対におかしいに決まっている。
だから、これ以上好きになってしまわないように、間違いが起きないようにと最新の注意を払ってきた。
おかげで、彼らが私に飛びついてきても踏ん張りがきくようになったし、子どもっぽい無邪気さで、私をうるうると見つめてくる目にも耐性がついてきた。
そうしているうちに、彼らはそこまで無茶苦茶な言動をしなくなった。
ただ純粋に私を慕ってくれているのを感じて、私はほっとしていた。
そんなある日のこと。
「ねーねー名無しさん、あとで僕らの部屋においでよ」
「名無しさんの好きなお菓子をたくさん買ったんだ。一緒に食べよう!」
街から帰ってきたディーとダムがにこにこと誘ってくれたので、私はさっそく彼らの部屋を訪ねて行った。
部屋をノックすると、ガチャリとドアが開いて、2つのそっくりな顔が出てきた。
「いらっしゃい、名無しさん」
「遅かったね、僕達待ちくたびれちゃったよ」
そう言ってにこにこ出てきたそっくりな彼らは、大人の姿だった。
彼らが大人になることは知っていたけれど、この展開は予想していなかった私。
なんだか気おくれしてしまい、ドアの前でぼんやりと彼らを見ていたら、2人は楽しそうににこにこっと笑った。
……子どもの時と同じで、私は彼らの笑顔に弱い。
さらに言えば、大人バージョンの彼らには問答無用で弱い。(だってカッコいいから)
つられてへらっと笑うと、彼らは「入って入って!」と両側から私の背中を押した。
あれよあれよという間に、部屋に引き入れられた私。
いつ来ても、斧やらナイフやらギロチンやらが飾られている物騒な部屋。
しかし、今日は私の好きなお菓子がテーブルの上に並んでいた。
この部屋にお菓子というのはかなりミスマッチな気がする。
そんなことを思いながら、促されるままソファに座らされた私。
気付けば2人の間に座らされていた。
なんていうか子どもの時よりも圧迫感。逃げられそうもない感じ。
「……謀られた気がする」
お菓子でつられた自分も悪いけれど。
私の後悔ともいえるつぶやきに、彼らは「え?なに?」と笑顔で首を傾げた。
この顔をしている時は、なにを言っても無駄だ。
絶対に言い負かされるに決まっている。
恐らく2人がけであろうソファに、私と双子の3人。
きつくはないけど、リラックスできるほどの余裕もない。
しかも両隣は大人の男性。
子どもの彼らと座るときもこの並び順だけれど、正直大人の彼らだとものすっごく意識してしまう。
そんな私の思いを知っているのかいないのか、彼らはいつものように弾丸トークを始めた。
「名無しさんが美味しいって言ってたお店の近くで遊んできたんだよ」
「そうそう。だから、名無しさんにお土産を買って来たんだ。嬉しい?」
「遠慮しないでたくさん食べてね? 名無しさんに喜んでもらいたくて買って来たんだから」
「たまにはボスとのお茶会じゃない、僕らだけのお茶会をしよう」
彼らはそう言って、「僕らのだけのお茶会ってなんかいいよね」と私を見て微笑んだ。
近い距離で彼らの顔を見て、ドキドキしてしまう。
だめだ。たぶん、このままだと緊張しすぎて身がもたない。
とりあえずこの席から逃げよう。
「……あの、私そっちの一人がけに座るね」
そう言って立ち上がろうとしたら、両脇から肩をぐいと掴まれ押し戻された。
「ダメだよ名無しさん。誰か1人だけ仲間外れになるなんて良くないよ」
「そうだよ。3人一緒がいいよ」
「でも……狭いでしょ? 座る場所くらい私は1人でもいいよ」
っていうか1人でゆったり座りたい。(色々な意味で)
「僕らは別に全然狭くもきつくもないよ。ね、兄弟?」
「うんうん。名無しさんに触りやすいし、僕はこのままがいいな」
「僕も」
思いっきりストレートに「触りたい」発言をするダムと、それに対してにこやかに賛同するディー。
なんなんだこの兄弟。
このルックスじゃなければ、私は彼らを殴り倒してでもこの部屋から出ている。(見た目に惑わされるなんて私のばか!)
「私はちょっと狭い気がするなぁ。だから3人で座るなら、大人じゃなくて子ども姿の方がいいんじゃない?」
やんわりと子どもに戻るように言ってみた。
大人の彼らはやることなすこと、私の心臓に悪い。意識しすぎてしまう。できれば子どもの彼らの方がいい。
すると彼らは「ふぅむ」と考え込む。
しかし、すぐににやりと笑った。
「もっとくっつけば気にならないかもしれないよ、名無しさん」
「は?」
「僕らに遠慮してるから、狭く感じるんだよ。なんだったらここに座ってもいいよ」
ディーは邪気のない顔でそう言いながら、自分のひざをぽんと指し示した。
「今の名無しさんはすごく小さいし、僕は全然平気だよ」
「いやいやいやいや! 私は絶対に無理!!」
とんでもない提案をかますディーに思いっきり首を振り立ち上がった。
すると、背後からダムにすっと腕を掴まれ引っ張られる。
不意を突かれた私は、そのまますとんとソファに座らされた。
ダムの膝に乗ってしまうという状況からは危うく逃れたけれど、わ?と思った時には、彼に後ろから抱きすくめられていた。
「遠慮しなくていいよ。僕らは名無しさんに触れるし、名無しさんは窮屈さを感じないし、すごくいい考えじゃないかな」
そんな言葉がすぐ耳元で聞こえ、ぞわりとする。
「ちょっと……!」
動揺しまくり立ち上がろうとしたけれど、ダムはさらにぎゅっと腕をまわしてきた。
そして一言。
「照れてる名無しさん、可愛い」
その声で、その言い方をするのはやめてほしい。耳元がぞわりとなり、一瞬のうちにその感覚が体を駆け巡る。
どうしていいのかわからなくなる。
すると、隣からディーがそっと顔を近づけてきた。
「いつもの名無しさんもすごく可愛いけどね」
そう言ってくすりと笑う彼。
言い返す言葉が見つからない。
どうしようどうしようと頭の中でひたすら繰り返す私。
そんな私にディーがにこりと笑った。
「はい、名無しさんの好きなお菓子。食べさせてあげる」
あーんってして?
テーブルに乗ったクッキーを1枚口元に持ってきながら、彼は静かに言った。
絶対にできるわけがない。
私が口をぎゅっと結ぶと、彼はわざとらしく顔をしかめた。
「あれ、いらないの?なんで?名無しさん、これ好きだよね?」
「兄弟、もしかして名無しさんはクッキーじゃなくて、そっちのチョコレートの方が食べたいんじゃないかな?」
「あぁ、そういうことか」
そう言いつつ持っていたクッキーを1口かじる。
「これ、甘いね」と言いながら食べかけのクッキーを置くと、今度はチョコレートに手を伸ばすディー。
「いやいやいやいや!そういうんじゃなくて……!!」
思わず声を上げる私に、2人は首を傾げた。
「え、じゃあ何?」
「もしかして、まだお菓子を食べたい気分じゃないのかな?お腹すいてないとか」
「あぁ、そうか。僕らと遊んでからの方がいいってことだね」
「でも、そうすればちょうどおなかもすくかもね」
いつも通り勝手に話を進めていく彼ら。
私が反論しようと口を開きかけた時だった。
ディーは持っていたチョコレートを私の口に押し込むと、その指をそのままぺろりとなめた。
「これも甘いや」
彼は目を細めて言いながら、「美味しい?」と私に問う。
驚きと緊張で甘さなんて全然感じない。
固まる私に、後ろからダムが耳元で囁いた。
「遊んだあとの方が、きっともっと美味しいよね」
彼はびくりとする私の肩をそっと掴んだ。
「というわけで名無しさん」
「まずは僕らとたくさん遊ぼうか?」
「最近あまり相手にしてくれなかったからね」と妖艶な目でこちらを見て笑う彼ら。
「遊ぶ」の意味なんて怖くて聞けない。
最近、双子の扱いにだいぶ慣れてきた。
彼らのことは大好きだし、彼らも私にとても懐いてきてくれる。
しかし、たまに身の危険を感じるというか、「ちょっとそれはまずいでしょ」という言動をしてくる2人。
私は流されてはいけないと思い、日々用心してきた。
彼らのことは好きだけれど、「双子の二人どちらとも付き合う」というのはおかしい。いくらこの世界がおかしいといっても絶対におかしいに決まっている。
だから、これ以上好きになってしまわないように、間違いが起きないようにと最新の注意を払ってきた。
おかげで、彼らが私に飛びついてきても踏ん張りがきくようになったし、子どもっぽい無邪気さで、私をうるうると見つめてくる目にも耐性がついてきた。
そうしているうちに、彼らはそこまで無茶苦茶な言動をしなくなった。
ただ純粋に私を慕ってくれているのを感じて、私はほっとしていた。
そんなある日のこと。
「ねーねー名無しさん、あとで僕らの部屋においでよ」
「名無しさんの好きなお菓子をたくさん買ったんだ。一緒に食べよう!」
街から帰ってきたディーとダムがにこにこと誘ってくれたので、私はさっそく彼らの部屋を訪ねて行った。
部屋をノックすると、ガチャリとドアが開いて、2つのそっくりな顔が出てきた。
「いらっしゃい、名無しさん」
「遅かったね、僕達待ちくたびれちゃったよ」
そう言ってにこにこ出てきたそっくりな彼らは、大人の姿だった。
彼らが大人になることは知っていたけれど、この展開は予想していなかった私。
なんだか気おくれしてしまい、ドアの前でぼんやりと彼らを見ていたら、2人は楽しそうににこにこっと笑った。
……子どもの時と同じで、私は彼らの笑顔に弱い。
さらに言えば、大人バージョンの彼らには問答無用で弱い。(だってカッコいいから)
つられてへらっと笑うと、彼らは「入って入って!」と両側から私の背中を押した。
あれよあれよという間に、部屋に引き入れられた私。
いつ来ても、斧やらナイフやらギロチンやらが飾られている物騒な部屋。
しかし、今日は私の好きなお菓子がテーブルの上に並んでいた。
この部屋にお菓子というのはかなりミスマッチな気がする。
そんなことを思いながら、促されるままソファに座らされた私。
気付けば2人の間に座らされていた。
なんていうか子どもの時よりも圧迫感。逃げられそうもない感じ。
「……謀られた気がする」
お菓子でつられた自分も悪いけれど。
私の後悔ともいえるつぶやきに、彼らは「え?なに?」と笑顔で首を傾げた。
この顔をしている時は、なにを言っても無駄だ。
絶対に言い負かされるに決まっている。
恐らく2人がけであろうソファに、私と双子の3人。
きつくはないけど、リラックスできるほどの余裕もない。
しかも両隣は大人の男性。
子どもの彼らと座るときもこの並び順だけれど、正直大人の彼らだとものすっごく意識してしまう。
そんな私の思いを知っているのかいないのか、彼らはいつものように弾丸トークを始めた。
「名無しさんが美味しいって言ってたお店の近くで遊んできたんだよ」
「そうそう。だから、名無しさんにお土産を買って来たんだ。嬉しい?」
「遠慮しないでたくさん食べてね? 名無しさんに喜んでもらいたくて買って来たんだから」
「たまにはボスとのお茶会じゃない、僕らだけのお茶会をしよう」
彼らはそう言って、「僕らのだけのお茶会ってなんかいいよね」と私を見て微笑んだ。
近い距離で彼らの顔を見て、ドキドキしてしまう。
だめだ。たぶん、このままだと緊張しすぎて身がもたない。
とりあえずこの席から逃げよう。
「……あの、私そっちの一人がけに座るね」
そう言って立ち上がろうとしたら、両脇から肩をぐいと掴まれ押し戻された。
「ダメだよ名無しさん。誰か1人だけ仲間外れになるなんて良くないよ」
「そうだよ。3人一緒がいいよ」
「でも……狭いでしょ? 座る場所くらい私は1人でもいいよ」
っていうか1人でゆったり座りたい。(色々な意味で)
「僕らは別に全然狭くもきつくもないよ。ね、兄弟?」
「うんうん。名無しさんに触りやすいし、僕はこのままがいいな」
「僕も」
思いっきりストレートに「触りたい」発言をするダムと、それに対してにこやかに賛同するディー。
なんなんだこの兄弟。
このルックスじゃなければ、私は彼らを殴り倒してでもこの部屋から出ている。(見た目に惑わされるなんて私のばか!)
「私はちょっと狭い気がするなぁ。だから3人で座るなら、大人じゃなくて子ども姿の方がいいんじゃない?」
やんわりと子どもに戻るように言ってみた。
大人の彼らはやることなすこと、私の心臓に悪い。意識しすぎてしまう。できれば子どもの彼らの方がいい。
すると彼らは「ふぅむ」と考え込む。
しかし、すぐににやりと笑った。
「もっとくっつけば気にならないかもしれないよ、名無しさん」
「は?」
「僕らに遠慮してるから、狭く感じるんだよ。なんだったらここに座ってもいいよ」
ディーは邪気のない顔でそう言いながら、自分のひざをぽんと指し示した。
「今の名無しさんはすごく小さいし、僕は全然平気だよ」
「いやいやいやいや! 私は絶対に無理!!」
とんでもない提案をかますディーに思いっきり首を振り立ち上がった。
すると、背後からダムにすっと腕を掴まれ引っ張られる。
不意を突かれた私は、そのまますとんとソファに座らされた。
ダムの膝に乗ってしまうという状況からは危うく逃れたけれど、わ?と思った時には、彼に後ろから抱きすくめられていた。
「遠慮しなくていいよ。僕らは名無しさんに触れるし、名無しさんは窮屈さを感じないし、すごくいい考えじゃないかな」
そんな言葉がすぐ耳元で聞こえ、ぞわりとする。
「ちょっと……!」
動揺しまくり立ち上がろうとしたけれど、ダムはさらにぎゅっと腕をまわしてきた。
そして一言。
「照れてる名無しさん、可愛い」
その声で、その言い方をするのはやめてほしい。耳元がぞわりとなり、一瞬のうちにその感覚が体を駆け巡る。
どうしていいのかわからなくなる。
すると、隣からディーがそっと顔を近づけてきた。
「いつもの名無しさんもすごく可愛いけどね」
そう言ってくすりと笑う彼。
言い返す言葉が見つからない。
どうしようどうしようと頭の中でひたすら繰り返す私。
そんな私にディーがにこりと笑った。
「はい、名無しさんの好きなお菓子。食べさせてあげる」
あーんってして?
テーブルに乗ったクッキーを1枚口元に持ってきながら、彼は静かに言った。
絶対にできるわけがない。
私が口をぎゅっと結ぶと、彼はわざとらしく顔をしかめた。
「あれ、いらないの?なんで?名無しさん、これ好きだよね?」
「兄弟、もしかして名無しさんはクッキーじゃなくて、そっちのチョコレートの方が食べたいんじゃないかな?」
「あぁ、そういうことか」
そう言いつつ持っていたクッキーを1口かじる。
「これ、甘いね」と言いながら食べかけのクッキーを置くと、今度はチョコレートに手を伸ばすディー。
「いやいやいやいや!そういうんじゃなくて……!!」
思わず声を上げる私に、2人は首を傾げた。
「え、じゃあ何?」
「もしかして、まだお菓子を食べたい気分じゃないのかな?お腹すいてないとか」
「あぁ、そうか。僕らと遊んでからの方がいいってことだね」
「でも、そうすればちょうどおなかもすくかもね」
いつも通り勝手に話を進めていく彼ら。
私が反論しようと口を開きかけた時だった。
ディーは持っていたチョコレートを私の口に押し込むと、その指をそのままぺろりとなめた。
「これも甘いや」
彼は目を細めて言いながら、「美味しい?」と私に問う。
驚きと緊張で甘さなんて全然感じない。
固まる私に、後ろからダムが耳元で囁いた。
「遊んだあとの方が、きっともっと美味しいよね」
彼はびくりとする私の肩をそっと掴んだ。
「というわけで名無しさん」
「まずは僕らとたくさん遊ぼうか?」
「最近あまり相手にしてくれなかったからね」と妖艶な目でこちらを見て笑う彼ら。
「遊ぶ」の意味なんて怖くて聞けない。