アンケートお礼その2
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【1.チョコレート】
バレンタインチョコが並んだ特設会場の前を通りかかったら、見覚えのある人を見つけた。
真っ赤な彼は、ポップでカラフルな会場の装飾に負けていない。(むしろあの場に溶け込んでいる)
「エース!」
声をかけると、彼は振り向いてからゆっくりと微笑んだ。
「あぁ、名無しさん。こんにちは」
「なにしてるの?こんな所で」
「旅の途中で迷い込んじゃったんだ。チョコ売場みたいだね」
と笑う。
「バレンタインチョコの売場だよ、ここ」
「バレンタインチョコ……。あぁ、どうりで女の人ばっかりだと思ったよ。もしかして、男は入っちゃいけないとかそういう決まりってあるのかな?」
「ないと思うけど……なんで?」
「なんだかやたらと視線を感じるんだよな」
エースはそう言って周囲を見回した。
私もつられて辺りを見る。
確かに女の人ばかりで、男の人はエースくらいだ。
背も頭一つ分高いし、服は真っ赤だし、剣を持っているし、ものすごく目立っている。
「男の人が一人でここにいるのが珍しいからだと思うよ」
私がそう言うと、エース「なるほど。そうかもね」とのんきに頷いた。
しかし、周囲の女の人の様子をよくよく見ると、それだけではなさそうな気がした。
エースが無駄に爽やかな笑顔を振りまいているので、どうやらちょっとしたアイドルみたいになっているようだった。
チョコレート売り場をうろつく彼を、周囲の女の人が好意的な笑みを浮かべながら見ている。
え、まさかエースが?そういうのってブラッドとかなんじゃないの?この人、見た目ほど爽やかじゃないですよ?と思いつつ、私は周囲のお姉さん方からエースに視線を向ける。
……まぁ確かにね。確かに見た目だけは爽やかだ。
爽やかさと胡散臭さばかりが気になって、あまり意識していなかったけれどエースはそれなりに見た目がいい。
さらりとした髪の毛も、一見優しそうな瞳も、笑みを絶やさない口元も嫌味がない。おそらく正統派だ。
日頃の鍛錬の賜物か姿勢もいいし、無駄なものが何ひとつない。
こういう爽やか青年がいきなりチョコレート売り場に一人でいたら、そりゃあ目を引くと思う。
私がじろじろと彼を観察していたら、彼は不意にこちらを見た。
「なに?さっきからじーっと熱視線を送ってくるね、名無しさん」
「いやぁ、エースってチョコレートをもらえそうなタイプだなぁと思って」
「えー?なにそれ。そういうタイプとかあるの?」
あまり興味もなさそうに言った。
「チョコレートは遭難しかけた時とかにあると重宝するんだよね。ひとかけらでも命をつなげるし」
と乙女心とは無縁の発言を爽やかにするエース。
彼の場合、チョコレートは本気のサバイバルで活躍する食べ物なのだ。
恋とか愛とか、そういうものにはなり得ない。
あまりの彼らしさに笑ってしまった。
「あのねエース、ここに売っているチョコレートは命じゃなくて、自分の気持ちを相手につなげるためのものだよ」
「はははっ!うまいこと言うね、名無しさん」
エースはからからと笑う。
「それじゃあ、名無しさん。好きなチョコを選んでよ」
「……え?」
「俺が君にプレゼントしてあげる」
彼は爽やかにそう言って笑った。
「なんで?」
なんでそういう話になるの?
「え、なんでって今名無しさんが言っただろ?自分の気持ちを相手につなげるチョコだって」
「そうだけど……意味わかってる?」
私が言った意味、ちゃんと理解しているのだろうか?
「やだなぁ、名無しさん。バレンタインチョコの意味くらいちゃんとわかってるぜ?好きな子にあげるんだろ?」
「う、うん」
「だから、俺は名無しさんにあげたいんだ。名無しさんのこと好きだから、さ」
ストレートにあっさりと彼は言った。
あまりにさらっと言われて、照れるというよりも驚いてしまった。
エースはそんな私を見て楽しそうに笑うと、私の手を取って歩き出す。
「どれにする、名無しさん?」
そんなことを言いながら、チョコレートの棚を見るエース。
どうやら本当に買ってくれるらしい。
彼がどこまで本気なのかよくわからないけれど、ものすごくドキドキしてきたぞ?
そんな私をよそに、エースはいつものペース。
「非常食用に自分の分も買おうかなぁ」
非常食用チョコは私がプレゼントするべきかもしれない。
バレンタインチョコが並んだ特設会場の前を通りかかったら、見覚えのある人を見つけた。
真っ赤な彼は、ポップでカラフルな会場の装飾に負けていない。(むしろあの場に溶け込んでいる)
「エース!」
声をかけると、彼は振り向いてからゆっくりと微笑んだ。
「あぁ、名無しさん。こんにちは」
「なにしてるの?こんな所で」
「旅の途中で迷い込んじゃったんだ。チョコ売場みたいだね」
と笑う。
「バレンタインチョコの売場だよ、ここ」
「バレンタインチョコ……。あぁ、どうりで女の人ばっかりだと思ったよ。もしかして、男は入っちゃいけないとかそういう決まりってあるのかな?」
「ないと思うけど……なんで?」
「なんだかやたらと視線を感じるんだよな」
エースはそう言って周囲を見回した。
私もつられて辺りを見る。
確かに女の人ばかりで、男の人はエースくらいだ。
背も頭一つ分高いし、服は真っ赤だし、剣を持っているし、ものすごく目立っている。
「男の人が一人でここにいるのが珍しいからだと思うよ」
私がそう言うと、エース「なるほど。そうかもね」とのんきに頷いた。
しかし、周囲の女の人の様子をよくよく見ると、それだけではなさそうな気がした。
エースが無駄に爽やかな笑顔を振りまいているので、どうやらちょっとしたアイドルみたいになっているようだった。
チョコレート売り場をうろつく彼を、周囲の女の人が好意的な笑みを浮かべながら見ている。
え、まさかエースが?そういうのってブラッドとかなんじゃないの?この人、見た目ほど爽やかじゃないですよ?と思いつつ、私は周囲のお姉さん方からエースに視線を向ける。
……まぁ確かにね。確かに見た目だけは爽やかだ。
爽やかさと胡散臭さばかりが気になって、あまり意識していなかったけれどエースはそれなりに見た目がいい。
さらりとした髪の毛も、一見優しそうな瞳も、笑みを絶やさない口元も嫌味がない。おそらく正統派だ。
日頃の鍛錬の賜物か姿勢もいいし、無駄なものが何ひとつない。
こういう爽やか青年がいきなりチョコレート売り場に一人でいたら、そりゃあ目を引くと思う。
私がじろじろと彼を観察していたら、彼は不意にこちらを見た。
「なに?さっきからじーっと熱視線を送ってくるね、名無しさん」
「いやぁ、エースってチョコレートをもらえそうなタイプだなぁと思って」
「えー?なにそれ。そういうタイプとかあるの?」
あまり興味もなさそうに言った。
「チョコレートは遭難しかけた時とかにあると重宝するんだよね。ひとかけらでも命をつなげるし」
と乙女心とは無縁の発言を爽やかにするエース。
彼の場合、チョコレートは本気のサバイバルで活躍する食べ物なのだ。
恋とか愛とか、そういうものにはなり得ない。
あまりの彼らしさに笑ってしまった。
「あのねエース、ここに売っているチョコレートは命じゃなくて、自分の気持ちを相手につなげるためのものだよ」
「はははっ!うまいこと言うね、名無しさん」
エースはからからと笑う。
「それじゃあ、名無しさん。好きなチョコを選んでよ」
「……え?」
「俺が君にプレゼントしてあげる」
彼は爽やかにそう言って笑った。
「なんで?」
なんでそういう話になるの?
「え、なんでって今名無しさんが言っただろ?自分の気持ちを相手につなげるチョコだって」
「そうだけど……意味わかってる?」
私が言った意味、ちゃんと理解しているのだろうか?
「やだなぁ、名無しさん。バレンタインチョコの意味くらいちゃんとわかってるぜ?好きな子にあげるんだろ?」
「う、うん」
「だから、俺は名無しさんにあげたいんだ。名無しさんのこと好きだから、さ」
ストレートにあっさりと彼は言った。
あまりにさらっと言われて、照れるというよりも驚いてしまった。
エースはそんな私を見て楽しそうに笑うと、私の手を取って歩き出す。
「どれにする、名無しさん?」
そんなことを言いながら、チョコレートの棚を見るエース。
どうやら本当に買ってくれるらしい。
彼がどこまで本気なのかよくわからないけれど、ものすごくドキドキしてきたぞ?
そんな私をよそに、エースはいつものペース。
「非常食用に自分の分も買おうかなぁ」
非常食用チョコは私がプレゼントするべきかもしれない。
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