アンケートお礼その3
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【6.可愛い子】
ディーとダムは可愛い。
誰が何と言おうと可愛い。
2人できゃっきゃと遊んでいる姿なんて、この世に舞い降りた天使なんじゃないかと思うし、ばったばったと敵を倒していく姿なんて、現実味がなさ過ぎていっそ神々しい。
「ねぇ名無しさん、僕らと一緒に遊ぼうよ」なんて慕ってくるディーの頭を撫でまわしてやりたいし、
「僕ら名無しさんのことが大好きなんだよ」なんて嬉しいことを言ってくれるダムをぎゅっと抱きしめてやりたい。
(っていうか実際に撫でまわしたり、抱きしめてやりました)
つまり、私はそれほどにこの双子の門番達を気に入っていた。
いたずらしようが、ちょっと困った子たちだろうが構わない。可愛いから問題ない。
それをエリオットに力説したら、思いっきり大きなため息をつかれた。
「はぁ~~~~。あんた、かなりの変わりもんだな。っていうか見る目ないぜ」
「えー、なんでよ!ディーとダムって可愛いじゃない」
「どこがだよ?仕事はサボるわ、たまに出てきてもロクなことはしねーわ、生意気だわで最悪だぜ?」
「そこがいいんじゃない。やんちゃ盛りなの!」
「……信じらんねぇ。名無しさん、今ならまだ間に合う。最高の男と言えばブラッドを置いて他にはいねぇ!俺が頼んでやるからブラッドの女にしてもらった方が……」
「お断り!ぜーったい嫌だし、ブラッドだって私なんかお断りするでしょうよ」
どうして頼み込んでまでブラッドの女にならなきゃいけないの!?(っていうか頼み込むとか、ありえないし!)
するとその時、エリオットの肩越しにディーとダムが歩いてくるのが見えた。
「あ!あの子たち帰ってきた!じゃあね、エリオット!」
そう言って私はエリオットに手を振り、さっさと双子の元へ駆けていく。
「ディー!ダム!」
「あ。名無しさんだー!こんにちは!」
「そんなに急いでどうしたの?僕らに用事?」
「用事はないけど、2人が見えたから会いにきたの!」
そう言うと、ディーとダムは「え??」と固まった。
そして二人で顔を見合わせる。(可愛いなこの子たち!)
「僕らに会いたかったってこと?」
「だから走ってきたの?」
「うん。そう」
思い切りうなずくと、彼らはぱぁぁっと顔を輝かせた。
「わー!うれしいな!」
「うんうん。名無しさんが僕らに会いたかったなんてすっごく嬉しいよ!」
そう言って私に飛びつく。
「僕らそろそろ仕事に戻ろうと思っていたんだけど、名無しさんを放っておくなんてできないや」
「うん。名無しさん、このまま一緒に遊ぼうよ!」
「ほんと!?遊んでくれるの!?」
わーい!と喜んだ時だった。
「……おい、お前ら。ちょっと待て」
ごごごごご、と背後からエリオットが現れた。
「散々遊んでたんだろ!?仕事しろ!!」
「はぁ!?名無しさんを待たせてまでする仕事なんてないよ」
「そうだよ、何言ってるんだよ馬鹿うさぎ!」
「なに言ってるんだはこっちのセリフだ!お前らは何よりもまずブラッドの命令に従えよ。門番だろ!?」
エリオットは双子にそう言うと、私を見る。
「名無しさん、頼むからこれ以上こいつらを堕落させないでくれよ」
「ふっ、いつの時代もいい女は男をダメにするものよ」
「……あんたの場合、このガキ共にダメにされてる気がするけどな」
「くっ、なんて正論……!(エリオットのくせに!)」
言葉に詰まる私。
するとディーとダムが両側から私の腕を取った。
「名無しさん、相手にすることないよ。行こう」
「そうそう。馬鹿ウサギなんて放っておけばいいんだよ」
行こう行こうと言って双子は私を引いてどんどん歩き出した。
「おい、名無しさん!そいつらのこと頼んだぜ!?門に連れて行ってくれよ!?」
信じてるからなー!というエリオットの声が背後から聞こえてくる。
エリオットの信頼を裏切るわけにもいかず、私は一応常識あるお姉さんとして、双子を門前へと連れて行った。
「ちぇー。せっかく名無しさんと遊べると思ったのになー」
「ほんとほんと。ひよこウサギが悪いんだよ。名無しさんの良心に訴えるようなことを言うから」
「まぁまぁいいじゃない。今日は2人の仕事ぶりを見学させてもらうから」
そう言ってなだめたけれど、それはすごく良い思いつきだと思った。
しかし、ディーとダムはあまり乗り気ではないらしい。
「名無しさんがそう言うならいいけど、僕らあと2時間帯はここにいなきゃいけないんだよ」
「途中で休憩を挟むにしても、子どもに2時間帯も労働させるなんてひどいよね」
「それに実際僕らがここに立っているとだーれも近寄って来ないんだ」
「そうそう。ヒマすぎてつまらないよ。だから僕らは見回りに行ってるのに怒られちゃう。最悪だよね」
口を尖らせる2人が可愛すぎてどうしましょう。(あーもう私末期だな!)
そう思いつつも、表面上はお姉さんを装って彼らをなだめることにした。
「でもそれならちょうどいいじゃない。誰も来ないなら、ちゃんと門前にいながらにして2時間帯も遊べるってことでしょ?」
「うん。まぁ、いつもならすぐ飽きちゃうんだけど、名無しさんがいるなら門前で遊ぶのもいいかもね、兄弟」
「そうだね兄弟。誰も来ないから、名無しさんとここでいーっぱい遊べるよ」
そう言いあう2人。
お互いを兄弟と呼び合う所も可愛いよなーうんうん、なんて思っていたら、彼らはいつの間にか私を取り囲んでいた。
「? なに?」
首を傾げる私に、ディーとダムはにこにこと可愛く笑った。
「うん、名無しさんと遊ぼうと思って」
「そう。すごくいいことしようと思って」
「ふーん……って一体なにするつもり?」
さすがの私も引きつり笑いになった。
目の前の双子はいたずらする時に見せる、わざとらしいくらいの笑顔だったのだ。
いや、可愛いんだけど。可愛いんだけどね?
「あの……私で遊ぼうとかやめてくれるかな?」
変な実験台にされたり、的にされたりするのはいくらなんでも嫌だ。
「大丈夫だよ。僕ら名無しさんのこと大好きだから、痛いことなんてしない」
「そうそう。怖いこともしないよ。名無しさん、痛いのとか刃物とか嫌いだもんね?」
2人はそう言いながら、私との距離をじりじりと詰める。
目の前にはディーとダム。背後には大きな門。
私は完全に逃げ場を失っていた。
「僕らは名無しさんのことが好き」
私に顔を寄せてディーが言った。
「名無しさんも僕らのことが好きなんだよね?」
私の耳元でダムが言った。
「それなら全然問題ないよね」
そう言ってディーが私にキスをする。
びっくりしてじたばたする私を4つの手が抑える。
双子というのがいかに有利であるのかを、この時私は身を持って体験してしまった。
ディーは私から離れると至極当然のように言い放った。
「名無しさん、あんまり暴れると舌噛んじゃうよ」
「なっ……!?」
これが子どもの言葉だろうか?
私が呆気にとられていると、ダムがくすくすと笑った。
「名無しさん、噛まれたくなかったら暴れないでね?」
そう言って今度はダムが口づけてくる。
抵抗しようと思ったけれど、その瞬間ふっとダムと目が合った。
……だめだ、この子は本気で噛むかも。(やると言ったらやる子達だし)
解放されてぐたりとする私に、双子はきゃっきゃと笑う。
「いつもの名無しさんも好きだけど、大人しい名無しさんも可愛いねぇ」
「うん可愛い。名無しさんといるなら、2時間帯の勤務もあっという間かも」
私はとんでもない子達を可愛がってきたんだなぁと、その時初めて思った。
でも、全然後悔していない自分がいることにも気づいた。
帽子屋屋敷の門前は、相変わらず人が通りそうもない。
ディーとダムは可愛い。
誰が何と言おうと可愛い。
2人できゃっきゃと遊んでいる姿なんて、この世に舞い降りた天使なんじゃないかと思うし、ばったばったと敵を倒していく姿なんて、現実味がなさ過ぎていっそ神々しい。
「ねぇ名無しさん、僕らと一緒に遊ぼうよ」なんて慕ってくるディーの頭を撫でまわしてやりたいし、
「僕ら名無しさんのことが大好きなんだよ」なんて嬉しいことを言ってくれるダムをぎゅっと抱きしめてやりたい。
(っていうか実際に撫でまわしたり、抱きしめてやりました)
つまり、私はそれほどにこの双子の門番達を気に入っていた。
いたずらしようが、ちょっと困った子たちだろうが構わない。可愛いから問題ない。
それをエリオットに力説したら、思いっきり大きなため息をつかれた。
「はぁ~~~~。あんた、かなりの変わりもんだな。っていうか見る目ないぜ」
「えー、なんでよ!ディーとダムって可愛いじゃない」
「どこがだよ?仕事はサボるわ、たまに出てきてもロクなことはしねーわ、生意気だわで最悪だぜ?」
「そこがいいんじゃない。やんちゃ盛りなの!」
「……信じらんねぇ。名無しさん、今ならまだ間に合う。最高の男と言えばブラッドを置いて他にはいねぇ!俺が頼んでやるからブラッドの女にしてもらった方が……」
「お断り!ぜーったい嫌だし、ブラッドだって私なんかお断りするでしょうよ」
どうして頼み込んでまでブラッドの女にならなきゃいけないの!?(っていうか頼み込むとか、ありえないし!)
するとその時、エリオットの肩越しにディーとダムが歩いてくるのが見えた。
「あ!あの子たち帰ってきた!じゃあね、エリオット!」
そう言って私はエリオットに手を振り、さっさと双子の元へ駆けていく。
「ディー!ダム!」
「あ。名無しさんだー!こんにちは!」
「そんなに急いでどうしたの?僕らに用事?」
「用事はないけど、2人が見えたから会いにきたの!」
そう言うと、ディーとダムは「え??」と固まった。
そして二人で顔を見合わせる。(可愛いなこの子たち!)
「僕らに会いたかったってこと?」
「だから走ってきたの?」
「うん。そう」
思い切りうなずくと、彼らはぱぁぁっと顔を輝かせた。
「わー!うれしいな!」
「うんうん。名無しさんが僕らに会いたかったなんてすっごく嬉しいよ!」
そう言って私に飛びつく。
「僕らそろそろ仕事に戻ろうと思っていたんだけど、名無しさんを放っておくなんてできないや」
「うん。名無しさん、このまま一緒に遊ぼうよ!」
「ほんと!?遊んでくれるの!?」
わーい!と喜んだ時だった。
「……おい、お前ら。ちょっと待て」
ごごごごご、と背後からエリオットが現れた。
「散々遊んでたんだろ!?仕事しろ!!」
「はぁ!?名無しさんを待たせてまでする仕事なんてないよ」
「そうだよ、何言ってるんだよ馬鹿うさぎ!」
「なに言ってるんだはこっちのセリフだ!お前らは何よりもまずブラッドの命令に従えよ。門番だろ!?」
エリオットは双子にそう言うと、私を見る。
「名無しさん、頼むからこれ以上こいつらを堕落させないでくれよ」
「ふっ、いつの時代もいい女は男をダメにするものよ」
「……あんたの場合、このガキ共にダメにされてる気がするけどな」
「くっ、なんて正論……!(エリオットのくせに!)」
言葉に詰まる私。
するとディーとダムが両側から私の腕を取った。
「名無しさん、相手にすることないよ。行こう」
「そうそう。馬鹿ウサギなんて放っておけばいいんだよ」
行こう行こうと言って双子は私を引いてどんどん歩き出した。
「おい、名無しさん!そいつらのこと頼んだぜ!?門に連れて行ってくれよ!?」
信じてるからなー!というエリオットの声が背後から聞こえてくる。
エリオットの信頼を裏切るわけにもいかず、私は一応常識あるお姉さんとして、双子を門前へと連れて行った。
「ちぇー。せっかく名無しさんと遊べると思ったのになー」
「ほんとほんと。ひよこウサギが悪いんだよ。名無しさんの良心に訴えるようなことを言うから」
「まぁまぁいいじゃない。今日は2人の仕事ぶりを見学させてもらうから」
そう言ってなだめたけれど、それはすごく良い思いつきだと思った。
しかし、ディーとダムはあまり乗り気ではないらしい。
「名無しさんがそう言うならいいけど、僕らあと2時間帯はここにいなきゃいけないんだよ」
「途中で休憩を挟むにしても、子どもに2時間帯も労働させるなんてひどいよね」
「それに実際僕らがここに立っているとだーれも近寄って来ないんだ」
「そうそう。ヒマすぎてつまらないよ。だから僕らは見回りに行ってるのに怒られちゃう。最悪だよね」
口を尖らせる2人が可愛すぎてどうしましょう。(あーもう私末期だな!)
そう思いつつも、表面上はお姉さんを装って彼らをなだめることにした。
「でもそれならちょうどいいじゃない。誰も来ないなら、ちゃんと門前にいながらにして2時間帯も遊べるってことでしょ?」
「うん。まぁ、いつもならすぐ飽きちゃうんだけど、名無しさんがいるなら門前で遊ぶのもいいかもね、兄弟」
「そうだね兄弟。誰も来ないから、名無しさんとここでいーっぱい遊べるよ」
そう言いあう2人。
お互いを兄弟と呼び合う所も可愛いよなーうんうん、なんて思っていたら、彼らはいつの間にか私を取り囲んでいた。
「? なに?」
首を傾げる私に、ディーとダムはにこにこと可愛く笑った。
「うん、名無しさんと遊ぼうと思って」
「そう。すごくいいことしようと思って」
「ふーん……って一体なにするつもり?」
さすがの私も引きつり笑いになった。
目の前の双子はいたずらする時に見せる、わざとらしいくらいの笑顔だったのだ。
いや、可愛いんだけど。可愛いんだけどね?
「あの……私で遊ぼうとかやめてくれるかな?」
変な実験台にされたり、的にされたりするのはいくらなんでも嫌だ。
「大丈夫だよ。僕ら名無しさんのこと大好きだから、痛いことなんてしない」
「そうそう。怖いこともしないよ。名無しさん、痛いのとか刃物とか嫌いだもんね?」
2人はそう言いながら、私との距離をじりじりと詰める。
目の前にはディーとダム。背後には大きな門。
私は完全に逃げ場を失っていた。
「僕らは名無しさんのことが好き」
私に顔を寄せてディーが言った。
「名無しさんも僕らのことが好きなんだよね?」
私の耳元でダムが言った。
「それなら全然問題ないよね」
そう言ってディーが私にキスをする。
びっくりしてじたばたする私を4つの手が抑える。
双子というのがいかに有利であるのかを、この時私は身を持って体験してしまった。
ディーは私から離れると至極当然のように言い放った。
「名無しさん、あんまり暴れると舌噛んじゃうよ」
「なっ……!?」
これが子どもの言葉だろうか?
私が呆気にとられていると、ダムがくすくすと笑った。
「名無しさん、噛まれたくなかったら暴れないでね?」
そう言って今度はダムが口づけてくる。
抵抗しようと思ったけれど、その瞬間ふっとダムと目が合った。
……だめだ、この子は本気で噛むかも。(やると言ったらやる子達だし)
解放されてぐたりとする私に、双子はきゃっきゃと笑う。
「いつもの名無しさんも好きだけど、大人しい名無しさんも可愛いねぇ」
「うん可愛い。名無しさんといるなら、2時間帯の勤務もあっという間かも」
私はとんでもない子達を可愛がってきたんだなぁと、その時初めて思った。
でも、全然後悔していない自分がいることにも気づいた。
帽子屋屋敷の門前は、相変わらず人が通りそうもない。
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