アンケートお礼その3
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【5.ストール】
帽子屋屋敷への道を歩いていたら、ばったりとエリオットに出会った。
「おーい、名無しさん!」
「エリオット!仕事帰り?」
「あぁ。名無しさんは?あぁ、アリスに会うって言ってたな。その帰りか」
「うん、そう。よく覚えてたね」
だいぶ前に私がぽろっと言ったのを覚えてくれていたことが嬉しい。
一緒に帰ることにした私とエリオットは、他愛のない話をしながらのんびりと屋敷への道を歩く。
一応恋人同士である私たちだけれど、エリオットに会うのは久しぶりだ。
彼は仕事でここの所忙しかったし、私も何かと用事があった。
隣りを歩くのが嬉しくて自分でも舞い上がっているのがわかる。
しばらく歩いていると、空が闇に染まりあっという間に夜になった。
「お、夜になったな」
エリオットがちらりと空を見上げながら言った。
そんな彼を見てどきりとしてしまう。
別にエリオットが特別なことをしたわけではない。
この距離で、この角度で見るエリオットが好きなのだ。
・・・・・・なーんて乙女チックなことを考えていたというのに、次の瞬間、
「はっくしょん!」
私はおもいっきりくしゃみをしてしまった。
エリオットが私をぱっと見る。
……うわ、恥ずかしい。
「ははは。ごめん。なんか急に寒くなっちゃって……」
そんな言い訳をしてみる。
すると、エリオットは「大丈夫か?」と言って私の顔を覗き込んだ。
少し身をかがめて私を見るエリオットにドキドキしてしまうのをなんとか押さえながら「大丈夫だよ」と答える。
「うーん、季節がないとはいえ夜は冷えるからな」
そう言って、エリオットは自分が身に着けていた紫色のストールを外す。
不思議に思って見ていると、今度はそれを私の首にぐるぐると巻きつけた。
「え、エリオット?」
さすがに動揺を隠しきれず、私はエリオットを見た。
彼は手を止めることなく、私にストールを巻きつける。
あっという間に顔の半分くらいまでがすっぽりと埋まってしまった。(意外と大きいサイズなんだなぁ)
「巻いとけ」
そう言って笑うと彼は私の頭をポンとなでた。
私が彼を見上げると、彼はにこにこと私を見ていた。
「……ありがとう」
そう答えると、エリオットは私を見て笑った。
嬉しさと恥ずかしさで、私は巻いてもらったストールに顔を隠す様にうずめる。
微かにエリオットの匂いがして、ますますドキドキしてしまう。
「まるで亀だな。顔が埋まってるぜ?」
エリオットが楽しそうに言うので、私もおかしくなって笑った。
しばらくそうやって歩いていた私達。
ところが、もうすぐ屋敷に着くという所でエリオットが立ち止まった。
「どうしたの、エリオット?」
「俺、屋敷に着いたらブラッドの所に行かなきゃならねーんだ」
「そうなんだ?仕事の報告?」
「あぁ」
エリオットはそう言って少しうつむいた。
珍しい。ブラッド大好き!なエリオットがこんな表情するなんて。
「なにかあったの?仕事でブラッドに言いづらいことがあったとか?」
心配になってそう尋ねると、エリオットは首を振った。
「違う。そういうんじゃなくて……」
珍しく歯切れの悪いエリオットに首を傾げる私。
すると、彼は私を見てこう言った。
「もうちょっと名無しさんと一緒にいたいなと思って……」
予想の斜め上を行く答え。
私は思わず笑ってしまった。
「わ、笑うなよ。だってあんたとこうやってゆっくり話すのは久しぶりだったし……」
「そうだね。うん、ごめん。なんか嬉しくて笑っちゃった」
「はぁ?」
「私もエリオットといたいけど、仕事の報告はしないとダメでしょ。また今度ゆっくり遊ぼうよ」
「……だよなぁ」
「ですよ」
私の言葉に、エリオットはしぶしぶうなずいた。
「しかたねぇよな」
「うん。ブラッドも待ってるだろうし、帰ろう」
そう言って歩き出そうとすると、急に腕を掴まれた。
そしてそのまま引き寄せられる。
「でも、これくらいはしてもいいよな?」
エリオットがふっと私に顔を寄せる。
突然すぎて「わー」と思ったのだけれど、至近距離でエリオットがぴたりと止まった。
「……口、隠れてる」
エリオットのストールで顔の半分が隠れていた私。
「亀だからね」と笑って答えると、エリオットは「しょうがねえな」と困ったような顔で笑いながら
私のストールを下げるように掴んだ。
夜風が顔全体に当たってちょっと寒いなと思ったけれど、すぐにエリオットの手が私の頬に触れ、唇が重なる。
ウサギと亀かー。
キスの途中でそんなことが思い浮かび、私はこっそり笑ってしまった。
「……なに?」
エリオットが小さな声で聞いてきたけれど、うまく説明できるわけもない。
「なんでもない」
そう答えると、今度は私から彼にキスをする。
ウサギのペースを乱してやるのだと思ったのだけれど、到底無理な話。
あっという間に乱されたのは私の方だった。
帽子屋屋敷への道を歩いていたら、ばったりとエリオットに出会った。
「おーい、名無しさん!」
「エリオット!仕事帰り?」
「あぁ。名無しさんは?あぁ、アリスに会うって言ってたな。その帰りか」
「うん、そう。よく覚えてたね」
だいぶ前に私がぽろっと言ったのを覚えてくれていたことが嬉しい。
一緒に帰ることにした私とエリオットは、他愛のない話をしながらのんびりと屋敷への道を歩く。
一応恋人同士である私たちだけれど、エリオットに会うのは久しぶりだ。
彼は仕事でここの所忙しかったし、私も何かと用事があった。
隣りを歩くのが嬉しくて自分でも舞い上がっているのがわかる。
しばらく歩いていると、空が闇に染まりあっという間に夜になった。
「お、夜になったな」
エリオットがちらりと空を見上げながら言った。
そんな彼を見てどきりとしてしまう。
別にエリオットが特別なことをしたわけではない。
この距離で、この角度で見るエリオットが好きなのだ。
・・・・・・なーんて乙女チックなことを考えていたというのに、次の瞬間、
「はっくしょん!」
私はおもいっきりくしゃみをしてしまった。
エリオットが私をぱっと見る。
……うわ、恥ずかしい。
「ははは。ごめん。なんか急に寒くなっちゃって……」
そんな言い訳をしてみる。
すると、エリオットは「大丈夫か?」と言って私の顔を覗き込んだ。
少し身をかがめて私を見るエリオットにドキドキしてしまうのをなんとか押さえながら「大丈夫だよ」と答える。
「うーん、季節がないとはいえ夜は冷えるからな」
そう言って、エリオットは自分が身に着けていた紫色のストールを外す。
不思議に思って見ていると、今度はそれを私の首にぐるぐると巻きつけた。
「え、エリオット?」
さすがに動揺を隠しきれず、私はエリオットを見た。
彼は手を止めることなく、私にストールを巻きつける。
あっという間に顔の半分くらいまでがすっぽりと埋まってしまった。(意外と大きいサイズなんだなぁ)
「巻いとけ」
そう言って笑うと彼は私の頭をポンとなでた。
私が彼を見上げると、彼はにこにこと私を見ていた。
「……ありがとう」
そう答えると、エリオットは私を見て笑った。
嬉しさと恥ずかしさで、私は巻いてもらったストールに顔を隠す様にうずめる。
微かにエリオットの匂いがして、ますますドキドキしてしまう。
「まるで亀だな。顔が埋まってるぜ?」
エリオットが楽しそうに言うので、私もおかしくなって笑った。
しばらくそうやって歩いていた私達。
ところが、もうすぐ屋敷に着くという所でエリオットが立ち止まった。
「どうしたの、エリオット?」
「俺、屋敷に着いたらブラッドの所に行かなきゃならねーんだ」
「そうなんだ?仕事の報告?」
「あぁ」
エリオットはそう言って少しうつむいた。
珍しい。ブラッド大好き!なエリオットがこんな表情するなんて。
「なにかあったの?仕事でブラッドに言いづらいことがあったとか?」
心配になってそう尋ねると、エリオットは首を振った。
「違う。そういうんじゃなくて……」
珍しく歯切れの悪いエリオットに首を傾げる私。
すると、彼は私を見てこう言った。
「もうちょっと名無しさんと一緒にいたいなと思って……」
予想の斜め上を行く答え。
私は思わず笑ってしまった。
「わ、笑うなよ。だってあんたとこうやってゆっくり話すのは久しぶりだったし……」
「そうだね。うん、ごめん。なんか嬉しくて笑っちゃった」
「はぁ?」
「私もエリオットといたいけど、仕事の報告はしないとダメでしょ。また今度ゆっくり遊ぼうよ」
「……だよなぁ」
「ですよ」
私の言葉に、エリオットはしぶしぶうなずいた。
「しかたねぇよな」
「うん。ブラッドも待ってるだろうし、帰ろう」
そう言って歩き出そうとすると、急に腕を掴まれた。
そしてそのまま引き寄せられる。
「でも、これくらいはしてもいいよな?」
エリオットがふっと私に顔を寄せる。
突然すぎて「わー」と思ったのだけれど、至近距離でエリオットがぴたりと止まった。
「……口、隠れてる」
エリオットのストールで顔の半分が隠れていた私。
「亀だからね」と笑って答えると、エリオットは「しょうがねえな」と困ったような顔で笑いながら
私のストールを下げるように掴んだ。
夜風が顔全体に当たってちょっと寒いなと思ったけれど、すぐにエリオットの手が私の頬に触れ、唇が重なる。
ウサギと亀かー。
キスの途中でそんなことが思い浮かび、私はこっそり笑ってしまった。
「……なに?」
エリオットが小さな声で聞いてきたけれど、うまく説明できるわけもない。
「なんでもない」
そう答えると、今度は私から彼にキスをする。
ウサギのペースを乱してやるのだと思ったのだけれど、到底無理な話。
あっという間に乱されたのは私の方だった。