マッドハッターズ!
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【3.かき氷】
「屋敷で滝行」という世にも珍しい目に遭った私。
体の芯まですっかり温まり、ほわほわ気分で浴場を出ると、双子に出会った。
彼らは私を見るとぱーっと駆け寄ってきた。
「名無しさん!やっと出てきた!」
「ごめんね、名無しさん。寒かったでしょ?ちゃんと温まった?」
滝行事件の犯人である彼らは、しおらしい様子で私を伺いみる。
私を待っていたところを見ると、どうやらそれなりに反省はしているらしい。
あざといくらいの可愛い顔で私を見上げてくるディーとダム。
……凶器以外の自分達の武器を知っているな、この子達。(わかってても可愛い)
「うん、もうすっかり温まったから気にしないでね」
「ほんと?どこか痛くしてない?」
「大丈夫だよ」
心配そうに私を伺いみるダムに笑って答える。
「ひよこウサギ用に準備した氷水だったんだよ。ほんとは大きな氷の塊も用意してたんだけど、あいつが思ったよりも来るのが遅くてほとんど溶けちゃったんだ」
氷水だったんだ……やけに水が冷たいと思ったよ……
「でも溶けてよかったよね。溶けてなかったら名無しさんの頭はきっと割れちゃってたもん」
「……それは危険すぎるでしょ」
エリオットになんてことをしようとしてたんだ君たちは。
唖然とする私をよそに、双子は急に明るい声を出す。
「ねぇ名無しさん。僕らの部屋に来ない?一緒にかき氷を食べようよ!」
「お風呂上りには最高なんじゃないかな」
「かき氷?……ってまさか」
氷の話が続くことに不安がよぎる。
「僕らの部屋の冷蔵庫に余った氷の塊が入ってるんだよ」
「そうそう。僕らがさささーっと削ってあげるからさ、名無しさんも一緒に食べよう!」
「細かく削ったほうがふんわりしておいしいよね」
「シロップも用意してあるよ。名無しさんは何味が好き?」
余った氷を食べようという彼らの提案に、なんだか脱力した。
でも、なんかもうここまで来たら楽しんだもの勝ちな気もする。
「よし、じゃあ食べます!」
「ほんと!?」
「わーい!食べよう食べよう!」
私の宣言に双子は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、僕らのお気に入りのナイフでがりがり削ってあげるね」
「え、ナイフ?かき氷機とかじゃなくて?」
ナイフでかき氷とか初めて聞いたんですけど。
「そんなものないよー。ナイフでざくざく削るんだよ。僕らこまかーく削るの上手なんだよ」
「そうそう。名無しさん好みの細かさにしてあげる」
そう言って2人はそれぞれ私の腕をとる。
両側からくっつかれる形になった私は、引きずられるようにして彼らの部屋へと連れていかれる。
「ねぇ兄弟。あの氷の塊だとかなりたくさんのかき氷が作れるよね」
「そうだねぇ、兄弟。食べすぎたら冷えちゃうよね」
「名無しさんがまた冷えたらかわいそうだねぇ」
「そうしたらまたお風呂に入ればいいよ。僕らもいっしょに入ってお風呂で遊べば楽しいし」
「そうだね、新しいおもちゃも名無しさんに見せてあげたいしね」
先へ先へと進んでゆく彼らの会話。
なぜお風呂に入ることになっているんだろう?
「かき氷、私はそんなに食べないからお風呂に入らなくても大丈夫だよ」
やんわり断ってみたが、2人の耳にはまるで届いていないらしい。
「ねぇ、名無しさん。ぱくぱくくんとにょろにょろくん、どっちで遊びたい?」
「お風呂遊びといえばやっぱりぱくぱくくんだよね」
「いや、どっちもよくわかんないし、2人と一緒にお風呂入る気なんて全然ないからおかまいなく」
これ、かき氷を食べずに部屋に戻ったほうがいいかもしれない。
そう思ったけれどもう遅い。
2人とのお風呂を回避するための作戦を必死に考え始める私だった。
「屋敷で滝行」という世にも珍しい目に遭った私。
体の芯まですっかり温まり、ほわほわ気分で浴場を出ると、双子に出会った。
彼らは私を見るとぱーっと駆け寄ってきた。
「名無しさん!やっと出てきた!」
「ごめんね、名無しさん。寒かったでしょ?ちゃんと温まった?」
滝行事件の犯人である彼らは、しおらしい様子で私を伺いみる。
私を待っていたところを見ると、どうやらそれなりに反省はしているらしい。
あざといくらいの可愛い顔で私を見上げてくるディーとダム。
……凶器以外の自分達の武器を知っているな、この子達。(わかってても可愛い)
「うん、もうすっかり温まったから気にしないでね」
「ほんと?どこか痛くしてない?」
「大丈夫だよ」
心配そうに私を伺いみるダムに笑って答える。
「ひよこウサギ用に準備した氷水だったんだよ。ほんとは大きな氷の塊も用意してたんだけど、あいつが思ったよりも来るのが遅くてほとんど溶けちゃったんだ」
氷水だったんだ……やけに水が冷たいと思ったよ……
「でも溶けてよかったよね。溶けてなかったら名無しさんの頭はきっと割れちゃってたもん」
「……それは危険すぎるでしょ」
エリオットになんてことをしようとしてたんだ君たちは。
唖然とする私をよそに、双子は急に明るい声を出す。
「ねぇ名無しさん。僕らの部屋に来ない?一緒にかき氷を食べようよ!」
「お風呂上りには最高なんじゃないかな」
「かき氷?……ってまさか」
氷の話が続くことに不安がよぎる。
「僕らの部屋の冷蔵庫に余った氷の塊が入ってるんだよ」
「そうそう。僕らがさささーっと削ってあげるからさ、名無しさんも一緒に食べよう!」
「細かく削ったほうがふんわりしておいしいよね」
「シロップも用意してあるよ。名無しさんは何味が好き?」
余った氷を食べようという彼らの提案に、なんだか脱力した。
でも、なんかもうここまで来たら楽しんだもの勝ちな気もする。
「よし、じゃあ食べます!」
「ほんと!?」
「わーい!食べよう食べよう!」
私の宣言に双子は嬉しそうに笑った。
「じゃあ、僕らのお気に入りのナイフでがりがり削ってあげるね」
「え、ナイフ?かき氷機とかじゃなくて?」
ナイフでかき氷とか初めて聞いたんですけど。
「そんなものないよー。ナイフでざくざく削るんだよ。僕らこまかーく削るの上手なんだよ」
「そうそう。名無しさん好みの細かさにしてあげる」
そう言って2人はそれぞれ私の腕をとる。
両側からくっつかれる形になった私は、引きずられるようにして彼らの部屋へと連れていかれる。
「ねぇ兄弟。あの氷の塊だとかなりたくさんのかき氷が作れるよね」
「そうだねぇ、兄弟。食べすぎたら冷えちゃうよね」
「名無しさんがまた冷えたらかわいそうだねぇ」
「そうしたらまたお風呂に入ればいいよ。僕らもいっしょに入ってお風呂で遊べば楽しいし」
「そうだね、新しいおもちゃも名無しさんに見せてあげたいしね」
先へ先へと進んでゆく彼らの会話。
なぜお風呂に入ることになっているんだろう?
「かき氷、私はそんなに食べないからお風呂に入らなくても大丈夫だよ」
やんわり断ってみたが、2人の耳にはまるで届いていないらしい。
「ねぇ、名無しさん。ぱくぱくくんとにょろにょろくん、どっちで遊びたい?」
「お風呂遊びといえばやっぱりぱくぱくくんだよね」
「いや、どっちもよくわかんないし、2人と一緒にお風呂入る気なんて全然ないからおかまいなく」
これ、かき氷を食べずに部屋に戻ったほうがいいかもしれない。
そう思ったけれどもう遅い。
2人とのお風呂を回避するための作戦を必死に考え始める私だった。