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【道案内】
ビバルディと庭でお茶会をしていたら、突然バラの垣根からエースが現れた。
なんでそんなところからわざわざ出てくるのかなぁと思ってみていたら、彼はいつもの笑顔で言った。
「ちょうどよかった。名無しさん、部屋まで案内してくれよ」
ということで、気づけば私はエースを部屋まで案内させられていた。
「名無しさんに会えてよかったぜ。今回は長旅だったから、さすがに俺もベッドで眠りたいんだ」
「……っていうかかなり強引すぎるでしょ。ビバルディすごく怒ってたよ?」
「メイドにでも案内してもらえ」「むしろ首を刎ねて部屋に帰る必要をなくしてやる」と喚いていたビバルディ。
彼女とのお茶会から強制的に連れ出されたのだ。そりゃ怒るに決まってる。
「えー、でもさぁ、メイドじゃなくて名無しさんに案内してもらいたかったんだよ」
わがままな言い分に呆れていると、彼はこう続けた。
「それに名無しさんがなんだか困ってそうだったし、ね」
そう言ってにこりと微笑んだエース。
「え?」と思わず固まると、彼は当たり前のように言った。
「名無しさん、体調でも悪いんじゃない?大丈夫?」
何も言えなかった。
なんて鋭いんだろう。
実は、さっきからずっと頭が痛かったのだ。ほんの少しだけ。
我慢できないほどじゃないから気にしないようにしていたけれど、本当は部屋に戻って横になりたかった。
黙り込む私にエースが笑った。
「連れ出して正解だったみたいだね」
まさかそんなつもりだったとは……。
ビバルディには申し訳ないけれど、エースには感謝かもしれない。
なんだか複雑な気分で彼を見ると、彼は本当にいつも通りの様子でにこにこしていた。
「……どうもありがとう」
私がそう言うと、エースはこちらを見てから「どういたしまして」とふんわり笑った。
とりあえず彼を部屋に連れて行ったら、部屋に戻って眠ろう。
そう考えて歩いていると、ふいにエースが私の背中をそっと押して、すぐそばの部屋のドアを開けた。
「!? エース?ここ、客室だよ?」
驚いてエースを見る。しかし、彼は意に介した様子もない。
私を押してずかずかと、がらんとした客室の奥へと入っていく。
「本当は名無しさんの部屋まで俺が連れていってあげたいんだけど、あいにく君の部屋がどこにあるかわからないんだ」
「え?」
「とりあえず横になった方がいいよ」
「でも……」
「大丈夫だよ。誰も使ってない部屋だし、君が寝ていたって誰にも迷惑はかからない」
エースはそう言って私をベッドに座らせると、どこからかキャンプ用具で使っているらしい袋を取り出した。
「ハーブティーでも飲む?あ、でも散々陛下と紅茶を飲んでたのかな?」
「……部屋でキャンプするつもり?」
「さすがに部屋のポットを使うよ。ちゃんと文明の器具だって扱えるんだぜ?」
そう言った彼がなんだかおかしくて笑ってしまう。
エースも笑った。
ほっと息をつくと、エースは真面目な顔で言った。
「そこまでひどくはないみたいで良かったよ。眠れば治るんじゃない?」
「うん」
「俺が添い寝してあげようか?」
「いい。大丈夫」
「遠慮しなくていいんだぜ?」
「いや、ほんとにいらないから」
くすくす笑う私に、エースも笑う。
不思議と、少し頭痛が和らいだような気がする。
「起きたら、俺の部屋まで案内してくれよ」
「うん。……え、ちょっとまって、それまでエースもここにいるの?」
「だって部屋まで道案内してもらわないと帰れないし」
「……」
「大丈夫だよ。さすがに寝込みを襲うような真似はしないから」
たぶん。
爽やかにそう言ったエースに脱力してしまう。
でも、今の彼はすごく信用できる気がした。
「じゃあ時間帯が変わったら起こしてくれる?」
私がベッドに入りながらそう言うと、彼はそっと私に近づいてきた。
「うん、俺がちゃんと起こしてあげる」
私を見下ろす目がなんだか優しい。
「おやすみ、名無しさん」
顔にかかる髪の毛を払うと、彼はそっと私のおでこにキスをした。
ビバルディと庭でお茶会をしていたら、突然バラの垣根からエースが現れた。
なんでそんなところからわざわざ出てくるのかなぁと思ってみていたら、彼はいつもの笑顔で言った。
「ちょうどよかった。名無しさん、部屋まで案内してくれよ」
ということで、気づけば私はエースを部屋まで案内させられていた。
「名無しさんに会えてよかったぜ。今回は長旅だったから、さすがに俺もベッドで眠りたいんだ」
「……っていうかかなり強引すぎるでしょ。ビバルディすごく怒ってたよ?」
「メイドにでも案内してもらえ」「むしろ首を刎ねて部屋に帰る必要をなくしてやる」と喚いていたビバルディ。
彼女とのお茶会から強制的に連れ出されたのだ。そりゃ怒るに決まってる。
「えー、でもさぁ、メイドじゃなくて名無しさんに案内してもらいたかったんだよ」
わがままな言い分に呆れていると、彼はこう続けた。
「それに名無しさんがなんだか困ってそうだったし、ね」
そう言ってにこりと微笑んだエース。
「え?」と思わず固まると、彼は当たり前のように言った。
「名無しさん、体調でも悪いんじゃない?大丈夫?」
何も言えなかった。
なんて鋭いんだろう。
実は、さっきからずっと頭が痛かったのだ。ほんの少しだけ。
我慢できないほどじゃないから気にしないようにしていたけれど、本当は部屋に戻って横になりたかった。
黙り込む私にエースが笑った。
「連れ出して正解だったみたいだね」
まさかそんなつもりだったとは……。
ビバルディには申し訳ないけれど、エースには感謝かもしれない。
なんだか複雑な気分で彼を見ると、彼は本当にいつも通りの様子でにこにこしていた。
「……どうもありがとう」
私がそう言うと、エースはこちらを見てから「どういたしまして」とふんわり笑った。
とりあえず彼を部屋に連れて行ったら、部屋に戻って眠ろう。
そう考えて歩いていると、ふいにエースが私の背中をそっと押して、すぐそばの部屋のドアを開けた。
「!? エース?ここ、客室だよ?」
驚いてエースを見る。しかし、彼は意に介した様子もない。
私を押してずかずかと、がらんとした客室の奥へと入っていく。
「本当は名無しさんの部屋まで俺が連れていってあげたいんだけど、あいにく君の部屋がどこにあるかわからないんだ」
「え?」
「とりあえず横になった方がいいよ」
「でも……」
「大丈夫だよ。誰も使ってない部屋だし、君が寝ていたって誰にも迷惑はかからない」
エースはそう言って私をベッドに座らせると、どこからかキャンプ用具で使っているらしい袋を取り出した。
「ハーブティーでも飲む?あ、でも散々陛下と紅茶を飲んでたのかな?」
「……部屋でキャンプするつもり?」
「さすがに部屋のポットを使うよ。ちゃんと文明の器具だって扱えるんだぜ?」
そう言った彼がなんだかおかしくて笑ってしまう。
エースも笑った。
ほっと息をつくと、エースは真面目な顔で言った。
「そこまでひどくはないみたいで良かったよ。眠れば治るんじゃない?」
「うん」
「俺が添い寝してあげようか?」
「いい。大丈夫」
「遠慮しなくていいんだぜ?」
「いや、ほんとにいらないから」
くすくす笑う私に、エースも笑う。
不思議と、少し頭痛が和らいだような気がする。
「起きたら、俺の部屋まで案内してくれよ」
「うん。……え、ちょっとまって、それまでエースもここにいるの?」
「だって部屋まで道案内してもらわないと帰れないし」
「……」
「大丈夫だよ。さすがに寝込みを襲うような真似はしないから」
たぶん。
爽やかにそう言ったエースに脱力してしまう。
でも、今の彼はすごく信用できる気がした。
「じゃあ時間帯が変わったら起こしてくれる?」
私がベッドに入りながらそう言うと、彼はそっと私に近づいてきた。
「うん、俺がちゃんと起こしてあげる」
私を見下ろす目がなんだか優しい。
「おやすみ、名無しさん」
顔にかかる髪の毛を払うと、彼はそっと私のおでこにキスをした。