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【ジェラシー】
私とエースは恋人同士だけれど、彼とはなかなか会うことができない。
なぜなら彼は迷子の達人だからだ。
ハートの城に行っても滅多に会えないし、ユリウスに聞いても「どこにいるかわからない」と言う。
偶然出会うことはあるけれど、その確率に毎回かけるわけにもいかない。
というわけで私の恋はかなり前途多難。
滅多に会えないのに何で好きになったんだろう?
自分でも不思議だけれど、これはもう彼の持つ空気感というか「彼だから好き」としか言いようがない。
そして、なによりも不思議なのが滅多に会えないのに、どうして恋人同士になれたんだろう?
本当に謎だ。
私がエースを好きという気持ちを、彼が何となく受け入れました、みたいな感じなのかもしれない。
そう思う方が納得いくくらい、私たちはあっさりと付き合うことになったのだ。
滅多に会わないため、彼の愛情というものがまるでわからないまま、「恋人」という名前の付いた関係になってだいぶ時間が過ぎて行った。
ある日グレイと資料室で仕事をしていたら、エースがやってきた。
迷い込んだ、という方が正しいかもしれない。
「やぁ、名無しさん。ひさしぶり」
エースはいつもの笑顔でそう言った。
「わ!エースだ! 久しぶりだね」
驚いた私は仕事の手を止めて、彼に挨拶を返す。
久しぶりに会うエースに、頬が緩むのを抑えられない。
「雪がすごかったでしょう? 大丈夫だった?」
「うん、大丈夫。っていうかここ4,5時間帯はこの塔の中を旅してたから」
「え!? そうなんだ」
知らないうちに不法滞在していたらしい。(今さらだけど)
「私はさっきまで雪かきをしてたんだけど、全然雪が減らなくてね。すっごい大変だったんだ。ね、グレイ」
この仕事にかかる前まで一緒に雪かきをしていたグレイに同意を求める。
「あぁ、大変だったな。なによりも、名無しさんが雪に埋まってしまったのが大変だった」
「!? ちょ、それは言わない約束だったよね!?」
しれっというグレイに私は慌てて声を上げる。
誰にも言わないでほしいし、何よりもエースに言わないでほしいのに。
しかし、エースはしっかりと話に乗ってくる。
「なにそれ。名無しさん、雪に埋まったの?」
「……平地だと思って歩いていたら段差があったみたいで、ずぼっと落ちちゃったの」
あの時は本当にびっくりした。
一気に落ちた。胸のあたりまで雪に埋まり、グレイに助けを求めたのだ。
「あの時の名無しさんの姿は面白かった……見た目もだが、どうにもならなくて困っている姿がなんだか可愛かったな」
思い出し笑いをするグレイとその発言に、私はカッと顔が熱くなる。
「あーもう!やめて!ほんとに恥ずかしい! 早く忘れて!」
「へぇ、見てみたかったなぁ俺も」
「やだよ、絶対に笑うもん。グレイすらあの時笑ったからね」
ドンくさい所を惜しげもなくを披露してしまったことが本当に恥ずかしい。
顔を両手で覆う私に、グレイが追い打ちをかける。
「引き上げるのが意外と大変だったな」
「……すみませんね、重くて」
私がそう言うと、グレイははっとした様に口を開いた。
「いや、そういう意味じゃない。雪の上だから大変だという意味で、決して名無しさんが重いとかそういうことでは……」
「あー、もう最悪。よりによってグレイに見られるなんて最悪!」
「なんで俺だと最悪なんだ?」
私の言葉にグレイが顔をしかめた。
「しばらくは笑いのネタにされそうなんだもん。仕事中とか、他の時も」
「まぁ、しばらくは名無しさんを見たら思い出すだろうな」
「ほら、ひどいじゃない!それってつまりしばらくは笑われ続けるってことでしょう?ただでさえ一緒にいる時間が多いんだから」
「まぁ、そうだな。否定はしない」
そう言って笑うグレイ。
そしてそれまで黙って話を聞いていたエースは、「ふぅん……」と言って何かを考えているようだった。
その時だった。
ドアが開いて、グレイの部下の皆様が忙しそうにやってきた。
「お仕事中すみません、グレイ様。ナイトメア様がまた脱走されました」
「え、また!?」
思わずグレイを見る私。
「……まったく、本当に困った人だな」
グレイはそう言ってため息をついた。
「名無しさん、俺はちょっと様子を見てくる。君はキリのいい所で終わりにしてくれ」
「うん、わかった」
「ははっ!トカゲさんも大変だなぁ」
頷く私と、ひらひらと手を振るエースを見て、グレイは顔をしかめた。
「……お前は大人しくしていろ。暴れたり、名無しさんの仕事の邪魔をするんじゃないぞ」
「トカゲさんてば、ユリウスみたいな言い方だなー」
からからと笑うエースを、グレイは黙ったまま見つめる。
「名無しさん、すぐ戻る。何かあったら呼んでくれ」
と言って部屋を出て行った。
エースと二人きりになった途端、なんだかすごくドキドキしてきた。
でも、それに気づかれないように私は普段通りをふるまう。
「さて。私も仕事しちゃおっと。エースは? ユリウスの所へ行くなら案内しようか?」
「うん、お願いしようかな」
私の申し出にエースはにこりと笑った。
う、その顔に私は弱いのです。
ドキドキする気持ちを何とか抑えて、エースと共に部屋を出ようとする。
ドアノブに手をかけた時だった。
「あぁ、でもやっぱりまだいいや」
そう言いながら、私が開けかけたドアをぱたんと閉めたエース。
「せっかく久しぶりに名無しさんに会えたんだし、ね」
「……エース?」
目の前の彼はいつも通り爽やかな表情をしている。
でも、身にまとう空気は爽やかでも穏やかでもない。
不思議に思っていると、彼はドアを背にして立ち、後ろ手でかちゃりと鍵をしめた。
何か不穏な感じがする。
「エース……鍵なんて閉めたらあとでグレイが入れなくなっちゃうよ?」
「そうだね。でもさ……」
エースはそう言いながら私のそばに寄ってくると、そのままぎゅっと私を抱き寄せる。
びっくりする私にエースがくすりと笑う気配。
「名無しさんはこんなところ、誰かに見られたら嫌だよね? 特にトカゲさんとか、さ」
彼は私を抱きしめたまま、耳元で歌うように囁く。
「もちろん見られてもいいなら、鍵どころかドアを開けておいたって俺は構わないけど」
むしろ見せつけたいかもね
エースはそう言って私の首筋にキスをする。
「!? ちょ、ちょっと……!!」
ぞわりとして、私はエースを押し返すけれど、彼はびくともしなかった。
それどころかただ一言。
「嫌?」
と静かに聞いてくる。
「嫌っていうか、突然なに? おかしいよ」
「おかしい?そうかな? でもまぁ、嫌なわけじゃないんだよね?」
よかった、と言って彼はくすくす笑う。
その声や、抱きしめられる腕の強さ、首筋にかかる吐息や掠める唇に眩暈がする。
ドキドキしすぎておかしくなりそうだ。
エースにこうやって抱きしめられることがほとんど初めてで、私はどうしていいのかわからなかった。
彼の腕から抜け出そうとすると、その度にぎゅっと抱きしめられる。
疲れ果て私が抵抗をやめた頃エースが言った。
「ねぇ、名無しさん。ずいぶんトカゲさんと仲が良いよね?」
「……え?」
「俺の知らない所で、名無しさんがトカゲさんと色々なことをしてるかと思うと、結構腹が立つんだけど」
爽やかに言い放つ彼が結構怖い。
「色々なことっていうか、仕事をしてるんだよ」
「そうだけどさ、どうしたって名無しさんは俺よりトカゲさんといる時間の方が長いから気になるんだ」
いつもよりも真面目なトーンでそう言うエース。
さっきからグレイの話がやたらと出るのは、そういう理由だったのか、と私はやっと気づいた。
エースは抱きしめている腕をそっと緩めると、私をじっと見つめた。
「俺は名無しさんのことが好きだよ。だから他の奴と一緒にいる所なんてみたくない」
まっすぐにそう言われて、息が止まりそうになる。
エースを不安にさせていたことや、こんなにも好かれていることにまるで気づいていなかった。
私ばっかりエースのことが好きだと思っていた。
「……ごめんね、エース」
1,2秒見つめあう私達。
エースがそっと顔を寄せてきた時だった。
すぐ後ろでドアノブがガチャガチャと動く音がした。
グレイが戻ってきたらしい。
鍵のかけられたドアは開かず、ノックと私の名前を呼ぶ声がする。
「ははは。いい所で邪魔するなぁ」
トカゲさん、君に気があるんじゃない?と笑うエース。
私は黙って首を振る。
「……どうする、名無しさん? 開ける?」
エースはちらりとドアを見てから私に聞く。
私はノックの音を聞きながら、ぼんやりとエースを見る。
「……いい。開けないで」
私は首を振ってそう答えると、エースの背中に手を回し、彼の胸に顔をうずめる。
「俺といるのをトカゲさんには見られたくないから?」
「エースと2人でいたいからに決まってるでしょ」
そう言うと、彼はさらにぎゅっと私を抱きしめた。
「そっか」
エースはそう言って私の頭をそっとなでる。
ノックの音は止まらない。
「このドアのすぐ後ろにトカゲさんがいるけど」
「!」
思わず固まると、エースは意地悪な笑みを浮かべた。
「でも、いいよね?」
優しい声でそういうと彼は私にキスをした。
深くなる口づけに、ドアの向こうのことなんて全然気にならなくなってしまった。
私とエースは恋人同士だけれど、彼とはなかなか会うことができない。
なぜなら彼は迷子の達人だからだ。
ハートの城に行っても滅多に会えないし、ユリウスに聞いても「どこにいるかわからない」と言う。
偶然出会うことはあるけれど、その確率に毎回かけるわけにもいかない。
というわけで私の恋はかなり前途多難。
滅多に会えないのに何で好きになったんだろう?
自分でも不思議だけれど、これはもう彼の持つ空気感というか「彼だから好き」としか言いようがない。
そして、なによりも不思議なのが滅多に会えないのに、どうして恋人同士になれたんだろう?
本当に謎だ。
私がエースを好きという気持ちを、彼が何となく受け入れました、みたいな感じなのかもしれない。
そう思う方が納得いくくらい、私たちはあっさりと付き合うことになったのだ。
滅多に会わないため、彼の愛情というものがまるでわからないまま、「恋人」という名前の付いた関係になってだいぶ時間が過ぎて行った。
ある日グレイと資料室で仕事をしていたら、エースがやってきた。
迷い込んだ、という方が正しいかもしれない。
「やぁ、名無しさん。ひさしぶり」
エースはいつもの笑顔でそう言った。
「わ!エースだ! 久しぶりだね」
驚いた私は仕事の手を止めて、彼に挨拶を返す。
久しぶりに会うエースに、頬が緩むのを抑えられない。
「雪がすごかったでしょう? 大丈夫だった?」
「うん、大丈夫。っていうかここ4,5時間帯はこの塔の中を旅してたから」
「え!? そうなんだ」
知らないうちに不法滞在していたらしい。(今さらだけど)
「私はさっきまで雪かきをしてたんだけど、全然雪が減らなくてね。すっごい大変だったんだ。ね、グレイ」
この仕事にかかる前まで一緒に雪かきをしていたグレイに同意を求める。
「あぁ、大変だったな。なによりも、名無しさんが雪に埋まってしまったのが大変だった」
「!? ちょ、それは言わない約束だったよね!?」
しれっというグレイに私は慌てて声を上げる。
誰にも言わないでほしいし、何よりもエースに言わないでほしいのに。
しかし、エースはしっかりと話に乗ってくる。
「なにそれ。名無しさん、雪に埋まったの?」
「……平地だと思って歩いていたら段差があったみたいで、ずぼっと落ちちゃったの」
あの時は本当にびっくりした。
一気に落ちた。胸のあたりまで雪に埋まり、グレイに助けを求めたのだ。
「あの時の名無しさんの姿は面白かった……見た目もだが、どうにもならなくて困っている姿がなんだか可愛かったな」
思い出し笑いをするグレイとその発言に、私はカッと顔が熱くなる。
「あーもう!やめて!ほんとに恥ずかしい! 早く忘れて!」
「へぇ、見てみたかったなぁ俺も」
「やだよ、絶対に笑うもん。グレイすらあの時笑ったからね」
ドンくさい所を惜しげもなくを披露してしまったことが本当に恥ずかしい。
顔を両手で覆う私に、グレイが追い打ちをかける。
「引き上げるのが意外と大変だったな」
「……すみませんね、重くて」
私がそう言うと、グレイははっとした様に口を開いた。
「いや、そういう意味じゃない。雪の上だから大変だという意味で、決して名無しさんが重いとかそういうことでは……」
「あー、もう最悪。よりによってグレイに見られるなんて最悪!」
「なんで俺だと最悪なんだ?」
私の言葉にグレイが顔をしかめた。
「しばらくは笑いのネタにされそうなんだもん。仕事中とか、他の時も」
「まぁ、しばらくは名無しさんを見たら思い出すだろうな」
「ほら、ひどいじゃない!それってつまりしばらくは笑われ続けるってことでしょう?ただでさえ一緒にいる時間が多いんだから」
「まぁ、そうだな。否定はしない」
そう言って笑うグレイ。
そしてそれまで黙って話を聞いていたエースは、「ふぅん……」と言って何かを考えているようだった。
その時だった。
ドアが開いて、グレイの部下の皆様が忙しそうにやってきた。
「お仕事中すみません、グレイ様。ナイトメア様がまた脱走されました」
「え、また!?」
思わずグレイを見る私。
「……まったく、本当に困った人だな」
グレイはそう言ってため息をついた。
「名無しさん、俺はちょっと様子を見てくる。君はキリのいい所で終わりにしてくれ」
「うん、わかった」
「ははっ!トカゲさんも大変だなぁ」
頷く私と、ひらひらと手を振るエースを見て、グレイは顔をしかめた。
「……お前は大人しくしていろ。暴れたり、名無しさんの仕事の邪魔をするんじゃないぞ」
「トカゲさんてば、ユリウスみたいな言い方だなー」
からからと笑うエースを、グレイは黙ったまま見つめる。
「名無しさん、すぐ戻る。何かあったら呼んでくれ」
と言って部屋を出て行った。
エースと二人きりになった途端、なんだかすごくドキドキしてきた。
でも、それに気づかれないように私は普段通りをふるまう。
「さて。私も仕事しちゃおっと。エースは? ユリウスの所へ行くなら案内しようか?」
「うん、お願いしようかな」
私の申し出にエースはにこりと笑った。
う、その顔に私は弱いのです。
ドキドキする気持ちを何とか抑えて、エースと共に部屋を出ようとする。
ドアノブに手をかけた時だった。
「あぁ、でもやっぱりまだいいや」
そう言いながら、私が開けかけたドアをぱたんと閉めたエース。
「せっかく久しぶりに名無しさんに会えたんだし、ね」
「……エース?」
目の前の彼はいつも通り爽やかな表情をしている。
でも、身にまとう空気は爽やかでも穏やかでもない。
不思議に思っていると、彼はドアを背にして立ち、後ろ手でかちゃりと鍵をしめた。
何か不穏な感じがする。
「エース……鍵なんて閉めたらあとでグレイが入れなくなっちゃうよ?」
「そうだね。でもさ……」
エースはそう言いながら私のそばに寄ってくると、そのままぎゅっと私を抱き寄せる。
びっくりする私にエースがくすりと笑う気配。
「名無しさんはこんなところ、誰かに見られたら嫌だよね? 特にトカゲさんとか、さ」
彼は私を抱きしめたまま、耳元で歌うように囁く。
「もちろん見られてもいいなら、鍵どころかドアを開けておいたって俺は構わないけど」
むしろ見せつけたいかもね
エースはそう言って私の首筋にキスをする。
「!? ちょ、ちょっと……!!」
ぞわりとして、私はエースを押し返すけれど、彼はびくともしなかった。
それどころかただ一言。
「嫌?」
と静かに聞いてくる。
「嫌っていうか、突然なに? おかしいよ」
「おかしい?そうかな? でもまぁ、嫌なわけじゃないんだよね?」
よかった、と言って彼はくすくす笑う。
その声や、抱きしめられる腕の強さ、首筋にかかる吐息や掠める唇に眩暈がする。
ドキドキしすぎておかしくなりそうだ。
エースにこうやって抱きしめられることがほとんど初めてで、私はどうしていいのかわからなかった。
彼の腕から抜け出そうとすると、その度にぎゅっと抱きしめられる。
疲れ果て私が抵抗をやめた頃エースが言った。
「ねぇ、名無しさん。ずいぶんトカゲさんと仲が良いよね?」
「……え?」
「俺の知らない所で、名無しさんがトカゲさんと色々なことをしてるかと思うと、結構腹が立つんだけど」
爽やかに言い放つ彼が結構怖い。
「色々なことっていうか、仕事をしてるんだよ」
「そうだけどさ、どうしたって名無しさんは俺よりトカゲさんといる時間の方が長いから気になるんだ」
いつもよりも真面目なトーンでそう言うエース。
さっきからグレイの話がやたらと出るのは、そういう理由だったのか、と私はやっと気づいた。
エースは抱きしめている腕をそっと緩めると、私をじっと見つめた。
「俺は名無しさんのことが好きだよ。だから他の奴と一緒にいる所なんてみたくない」
まっすぐにそう言われて、息が止まりそうになる。
エースを不安にさせていたことや、こんなにも好かれていることにまるで気づいていなかった。
私ばっかりエースのことが好きだと思っていた。
「……ごめんね、エース」
1,2秒見つめあう私達。
エースがそっと顔を寄せてきた時だった。
すぐ後ろでドアノブがガチャガチャと動く音がした。
グレイが戻ってきたらしい。
鍵のかけられたドアは開かず、ノックと私の名前を呼ぶ声がする。
「ははは。いい所で邪魔するなぁ」
トカゲさん、君に気があるんじゃない?と笑うエース。
私は黙って首を振る。
「……どうする、名無しさん? 開ける?」
エースはちらりとドアを見てから私に聞く。
私はノックの音を聞きながら、ぼんやりとエースを見る。
「……いい。開けないで」
私は首を振ってそう答えると、エースの背中に手を回し、彼の胸に顔をうずめる。
「俺といるのをトカゲさんには見られたくないから?」
「エースと2人でいたいからに決まってるでしょ」
そう言うと、彼はさらにぎゅっと私を抱きしめた。
「そっか」
エースはそう言って私の頭をそっとなでる。
ノックの音は止まらない。
「このドアのすぐ後ろにトカゲさんがいるけど」
「!」
思わず固まると、エースは意地悪な笑みを浮かべた。
「でも、いいよね?」
優しい声でそういうと彼は私にキスをした。
深くなる口づけに、ドアの向こうのことなんて全然気にならなくなってしまった。
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