短編
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【体調不良】
ブラッドの体調が悪いらしい。
薬を持って行ってほしいとメイド仲間に頼まれて、私は水と薬を持って彼の部屋へとやってきた。
「失礼しまーす。ボス、お薬の時間ですよー」
部屋に入ってベッドの上の彼を見ると、確かにぐったりとした様子だった。
余裕を見せることすらできないらしい。
薬を持ってきたのが私だったことに驚いたらしく、「名無しさん……?」と言って彼は顔をしかめた。
というよりも、私がここに来たことをよく思っていないようだった。
私はそれを気にしないようにして、てきぱきと薬の準備をする。
「ブラッドも風邪をひくんだねぇ」
思わず出た感想に、ブラッドは顔をしかめた。
「……どういう意味だ?」
「いや、あなたって健康なイメージはないけれど、そこまで体が弱いイメージもないから、そうやって実際に弱っている所をみるとすごく不思議」
私の言葉に彼は黙り込んでしまった。
たぶん答えるのもだるいのだろう。
「やっぱりアレだよね、いつもの気だるげな雰囲気とは違って、本当にだるそうだよね。体調悪そう」
「っていうかさ、紅茶って風邪予防に効くって聞いたことあるけど、あれだけ飲んでいるのに風邪引いちゃうってどうなの?」
「あ、紅茶うがいしてみる? すごくいいらしいよ」
だーっとしゃべる私をだるそうにちらりと見て、彼はふぅっとため息をついた。
そして一言。
「……紅茶は飲んで楽しむものだ」
うるさい、と怒られるかと思ったらそんな言葉。
これだけ体調が悪そうなのに、紅茶に関してはきっちり意見を言うブラッドはさすがだなぁと思った。
しかし、彼はそれ以上何も言わなかった。
いや、たぶん言う気力もないのだろう。
本当に珍しいことに、彼はダウンしている。
ベッドで横になっているブラッドはひたすらおとなしい。
目を閉じたまま、じっと動かなかった。
あぁ、これはもうふざけている場合じゃないな。
私は薬を差し出した。
「薬、飲める?」
彼はそれには答えず顔をしかめて手の甲をおでこにあてる。
「頭痛いの?」
私は彼の腕をそっとどかすと、そのまま彼のおでこを触ってみた。
熱い。これは冗談じゃなくて熱い。
「辛いね。早く良くなるといいね」
彼のおでこから手を離し、布団をかけなおす。
するとブラッドは薄く目を開けた。
何か言いたそうな感じ。
「他になにかいる?」
「……いや」
彼はそう言って、また目を閉じた。
なんだかこっちの調子まで狂う。
あのブラッドを「なんだか可愛いなぁ」と思ってしまうくらい、調子が狂っている。
でも、やっぱりいつものふてぶてしいくらいの彼の方がいい。
そこまで考えてなんだか笑ってしまった。
こっそり笑ったつもりだったのに、ブラッドがいつのまにか私を見ていた。
何を笑っている?という目。
「あぁ、ごめんごめん。いつものブラッドの方がいいなぁと思って」
笑いながら素直にそう言った私を、ブラッドはまだ見ている。
「大人しいブラッドは可愛いけどちょっとつまらないから、早く元気になってほしいなって思ったの」
私がそう言うと、彼は一瞬驚いたように目を開いた。
そして、そのまま顔をそむけて目を閉じてしまった。
そんな珍しい反応に驚きつつも、なんだかやっぱりにやけてしまう私だった。
ブラッドの体調が悪いらしい。
薬を持って行ってほしいとメイド仲間に頼まれて、私は水と薬を持って彼の部屋へとやってきた。
「失礼しまーす。ボス、お薬の時間ですよー」
部屋に入ってベッドの上の彼を見ると、確かにぐったりとした様子だった。
余裕を見せることすらできないらしい。
薬を持ってきたのが私だったことに驚いたらしく、「名無しさん……?」と言って彼は顔をしかめた。
というよりも、私がここに来たことをよく思っていないようだった。
私はそれを気にしないようにして、てきぱきと薬の準備をする。
「ブラッドも風邪をひくんだねぇ」
思わず出た感想に、ブラッドは顔をしかめた。
「……どういう意味だ?」
「いや、あなたって健康なイメージはないけれど、そこまで体が弱いイメージもないから、そうやって実際に弱っている所をみるとすごく不思議」
私の言葉に彼は黙り込んでしまった。
たぶん答えるのもだるいのだろう。
「やっぱりアレだよね、いつもの気だるげな雰囲気とは違って、本当にだるそうだよね。体調悪そう」
「っていうかさ、紅茶って風邪予防に効くって聞いたことあるけど、あれだけ飲んでいるのに風邪引いちゃうってどうなの?」
「あ、紅茶うがいしてみる? すごくいいらしいよ」
だーっとしゃべる私をだるそうにちらりと見て、彼はふぅっとため息をついた。
そして一言。
「……紅茶は飲んで楽しむものだ」
うるさい、と怒られるかと思ったらそんな言葉。
これだけ体調が悪そうなのに、紅茶に関してはきっちり意見を言うブラッドはさすがだなぁと思った。
しかし、彼はそれ以上何も言わなかった。
いや、たぶん言う気力もないのだろう。
本当に珍しいことに、彼はダウンしている。
ベッドで横になっているブラッドはひたすらおとなしい。
目を閉じたまま、じっと動かなかった。
あぁ、これはもうふざけている場合じゃないな。
私は薬を差し出した。
「薬、飲める?」
彼はそれには答えず顔をしかめて手の甲をおでこにあてる。
「頭痛いの?」
私は彼の腕をそっとどかすと、そのまま彼のおでこを触ってみた。
熱い。これは冗談じゃなくて熱い。
「辛いね。早く良くなるといいね」
彼のおでこから手を離し、布団をかけなおす。
するとブラッドは薄く目を開けた。
何か言いたそうな感じ。
「他になにかいる?」
「……いや」
彼はそう言って、また目を閉じた。
なんだかこっちの調子まで狂う。
あのブラッドを「なんだか可愛いなぁ」と思ってしまうくらい、調子が狂っている。
でも、やっぱりいつものふてぶてしいくらいの彼の方がいい。
そこまで考えてなんだか笑ってしまった。
こっそり笑ったつもりだったのに、ブラッドがいつのまにか私を見ていた。
何を笑っている?という目。
「あぁ、ごめんごめん。いつものブラッドの方がいいなぁと思って」
笑いながら素直にそう言った私を、ブラッドはまだ見ている。
「大人しいブラッドは可愛いけどちょっとつまらないから、早く元気になってほしいなって思ったの」
私がそう言うと、彼は一瞬驚いたように目を開いた。
そして、そのまま顔をそむけて目を閉じてしまった。
そんな珍しい反応に驚きつつも、なんだかやっぱりにやけてしまう私だった。