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【内緒の話】
会合期間のクローバーの塔には、参加者が集まってくる。
「あー、名無しさんに猫くん。こんにちは」
「あ、エース」
「うわ、騎士さんだ」
爽やかに挨拶をしたエース。
彼の姿を見て名無しさんはにこりと微笑んだけれど、ボリスは顔を引きつらせた。
「2人で何してるんだ?」
「たまたま会ったからお茶してたの。ね、ボリス?」
「うん、そうなんだけど……なんでこのタイミングで騎士さんがここにくるんだろ。最悪だな~」
「ははは! 別にお二人さんの邪魔なんてしないよ、俺は」
「すでに邪魔なんだよ」
「猫くんてば正直だなぁー、ははは!」
からからと笑うエースにボリスはため息をついた。
タイミングを計ったように名無しさんが会話に入る。
「エースはどうしたの?」
「俺は部屋に戻りたいんだ。知らない場所だから余計に迷うんだよな」
「あんたは知ってる場所でも迷うよね」
「そうだね。ほんと、困っちゃうぜ」
エースに皮肉は通じないらしい。
はははっと笑う彼に、名無しさんもボリスも乾いた笑みを浮かべる。
「それでエースは自分の部屋番号は分かるの?」
「部屋番号? そんなのあったかな?」
「あるわよ。……今調べてきてあげるね」
「本当? 助かるよ名無しさん」
名無しさんは立ち上がると部屋を出て行った。
残されたエースとボリス。
「ははは。ごめんな、猫くん。部屋がわかればすぐに出て行くからさ」
「当然だよ。あんたに邪魔されっぱなしなんて嫌だからね。せっかく名無しさんと2人で話してたのに」
「あれ、もしかして君って名無しさんのこと好きだったりするの?」
「だとしたら何? 邪魔でもするの?」
ボリスの目がひゅうっと細まった。
それを見てエースが楽しそうな顔をする。
「邪魔なんてしないよ」
ははは、と爽やかに笑うエースは更にこう言った。
「そんな生易しいやり方で済ませるわけないじゃないか」
「……だよね。あんた、本気で妨害してきそうだもん。笑いながら斬りつけてくるとかやめてよ」
とんでもないセリフも、ボリスにとっては予想の範囲内だったらしい。
呆れ顔でため息をつくとエースを見た。
「切りつけようが発砲しようが、俺には何してもいいけどさ……」
そこで言葉を止めると、ボリスはじっとエースを見据える。
「名無しさんに手を出したら許さないよ?」
一瞬の沈黙。
互いに無表情で見つめあっていたが、やがてにこっと相好を崩したのはエースの方だった。
「はははっ! やだな~、そんな真剣に言われても困るよ」
へらへらっと笑うエースを未だ睨み続けるボリス。
そんな彼の様子に、エースは楽しそうに笑ったままこう言った。
「だって俺も好きだからさ、名無しさんのこと」
だから俺がもらうね、とエースが笑みを浮かべた。
するとそれまで目を吊り上げていたボリスが深いため息をついた。
「はぁ~あ。騎士さんは絶対そう言うと思ったんだよなー。あんたに目をつけられたら名無しさんが可哀想な気がする」
「そんなことないって! 俺は騎士だぜ? ちゃんと女の子には優しくするよ」
「……あんたの優しさっていうのがどういうものなのか、かなり疑問があるね。俺としては」
ボリスは頭をかきながらそう言った。
「ひどいなー。俺は優しさの塊でできている男だぜ? 名無しさんが嫌がることはしないよ。なるべく」
「色々とツッコミどころがあるよね、その発言」
騎士さんてホントに面倒なひとだよね、とボリスが言い放った時だった。
「エース、部屋番号わかったよー」
と渦中の人・名無しさんが戻ってきた。
「えぇとね、この階じゃなくてもう一つ上の階だったよ」
せめて階数くらいは覚えていようよ、と苦笑いしながら言う名無しさん。
エースもボリスもそんな彼女をなんとなく眺める。
「え、あれ? 部屋番号調べてくるってことでよかったんだよね?」
なんとも言えない雰囲気に、名無しさんは自分の行動に自信を無くしたらしい。
しかし、エースもボリスも彼女を見つめるのみ。
「……なに? なんかおかしいところある?」
じっと見つめられて名無しさんは急に慌てだす。
頬に手を当てて何かついているのか、髪の毛に手をやり乱れがないかなどをチェックし始める。
あわあわする名無しさんを見て、それまで黙って彼女を見つめていた2人は同じタイミングで笑い出した。
「え?な、なに? なんで笑うの!?」
くすくす笑われて居心地が悪いらしい。
名無しさんは顔をしかめつつ、耳まで赤くする。
「いやー、名無しさんっておもしろいぁと思ってさ。ははっ!」
「おもしろいし、可愛い。いいね、名無しさん」
「……なんなの突然? からかってるの?」
彼らの言葉についていけず、名無しさんは顔をしかめる。
「奪ったもん勝ちだからね、騎士さん」
「そんなの当たり前じゃないか」
にやりと笑うボリスといつもの胡散臭い笑顔のエースを見て、さらに名無しさんは首をかしげるのだった。
「というわけで、名無しさん。俺を部屋まで案内してくれよ」
「……仕方ないなぁ」
にぱっと笑ってエースは名無しさんを見る。
彼女はため息をつきつつも、ボリスに断りを入れた。
「迷子になられても困るし、すぐ上の階だし、ちょっと行ってくるね」
「ごめんなー、ちょっとだけ名無しさんを借りていくぜ」
そう言って名無しさんの後をついていくエースは、ニヤリとボリスを見て笑う。
その瞬間『獣のカン』が働いたらしい。
ボリスが慌てて立ち上がった。
「待って名無しさん、すごい嫌な予感がする。俺も行くよ」
「え?」
嫌な予感?と首を傾げる名無しさんに、ボリスは真剣な眼差しでこう言った。
「騎士さんと二人きりになるなんて危ないことさせられない」
「はははっ! カンが鋭いなぁ」
と悪びれもせずに笑うエースに、心底呆れた表情を見せるボリス。
「あんた強引そうだし、なんだかんだ上手く名無しさんが丸め込まれちゃいそうで心配」
「えー? 俺はそんなことしないよ。それ、帽子屋さんのことだろ? 俺は回りくどいことなんてしないよ。騎士だから堂々と襲う」
「おかしいだろ、それ!」
がーがーと騒ぎ出したエースとボリス。
さすがの名無しさんも会話の対象が自分であることに気づいたらしい。
「グレイ呼んでくるから、私の代わりに案内してもらって」
不穏な会話に、名無しさんがそうつぶやいた。
会合期間のクローバーの塔には、参加者が集まってくる。
「あー、名無しさんに猫くん。こんにちは」
「あ、エース」
「うわ、騎士さんだ」
爽やかに挨拶をしたエース。
彼の姿を見て名無しさんはにこりと微笑んだけれど、ボリスは顔を引きつらせた。
「2人で何してるんだ?」
「たまたま会ったからお茶してたの。ね、ボリス?」
「うん、そうなんだけど……なんでこのタイミングで騎士さんがここにくるんだろ。最悪だな~」
「ははは! 別にお二人さんの邪魔なんてしないよ、俺は」
「すでに邪魔なんだよ」
「猫くんてば正直だなぁー、ははは!」
からからと笑うエースにボリスはため息をついた。
タイミングを計ったように名無しさんが会話に入る。
「エースはどうしたの?」
「俺は部屋に戻りたいんだ。知らない場所だから余計に迷うんだよな」
「あんたは知ってる場所でも迷うよね」
「そうだね。ほんと、困っちゃうぜ」
エースに皮肉は通じないらしい。
はははっと笑う彼に、名無しさんもボリスも乾いた笑みを浮かべる。
「それでエースは自分の部屋番号は分かるの?」
「部屋番号? そんなのあったかな?」
「あるわよ。……今調べてきてあげるね」
「本当? 助かるよ名無しさん」
名無しさんは立ち上がると部屋を出て行った。
残されたエースとボリス。
「ははは。ごめんな、猫くん。部屋がわかればすぐに出て行くからさ」
「当然だよ。あんたに邪魔されっぱなしなんて嫌だからね。せっかく名無しさんと2人で話してたのに」
「あれ、もしかして君って名無しさんのこと好きだったりするの?」
「だとしたら何? 邪魔でもするの?」
ボリスの目がひゅうっと細まった。
それを見てエースが楽しそうな顔をする。
「邪魔なんてしないよ」
ははは、と爽やかに笑うエースは更にこう言った。
「そんな生易しいやり方で済ませるわけないじゃないか」
「……だよね。あんた、本気で妨害してきそうだもん。笑いながら斬りつけてくるとかやめてよ」
とんでもないセリフも、ボリスにとっては予想の範囲内だったらしい。
呆れ顔でため息をつくとエースを見た。
「切りつけようが発砲しようが、俺には何してもいいけどさ……」
そこで言葉を止めると、ボリスはじっとエースを見据える。
「名無しさんに手を出したら許さないよ?」
一瞬の沈黙。
互いに無表情で見つめあっていたが、やがてにこっと相好を崩したのはエースの方だった。
「はははっ! やだな~、そんな真剣に言われても困るよ」
へらへらっと笑うエースを未だ睨み続けるボリス。
そんな彼の様子に、エースは楽しそうに笑ったままこう言った。
「だって俺も好きだからさ、名無しさんのこと」
だから俺がもらうね、とエースが笑みを浮かべた。
するとそれまで目を吊り上げていたボリスが深いため息をついた。
「はぁ~あ。騎士さんは絶対そう言うと思ったんだよなー。あんたに目をつけられたら名無しさんが可哀想な気がする」
「そんなことないって! 俺は騎士だぜ? ちゃんと女の子には優しくするよ」
「……あんたの優しさっていうのがどういうものなのか、かなり疑問があるね。俺としては」
ボリスは頭をかきながらそう言った。
「ひどいなー。俺は優しさの塊でできている男だぜ? 名無しさんが嫌がることはしないよ。なるべく」
「色々とツッコミどころがあるよね、その発言」
騎士さんてホントに面倒なひとだよね、とボリスが言い放った時だった。
「エース、部屋番号わかったよー」
と渦中の人・名無しさんが戻ってきた。
「えぇとね、この階じゃなくてもう一つ上の階だったよ」
せめて階数くらいは覚えていようよ、と苦笑いしながら言う名無しさん。
エースもボリスもそんな彼女をなんとなく眺める。
「え、あれ? 部屋番号調べてくるってことでよかったんだよね?」
なんとも言えない雰囲気に、名無しさんは自分の行動に自信を無くしたらしい。
しかし、エースもボリスも彼女を見つめるのみ。
「……なに? なんかおかしいところある?」
じっと見つめられて名無しさんは急に慌てだす。
頬に手を当てて何かついているのか、髪の毛に手をやり乱れがないかなどをチェックし始める。
あわあわする名無しさんを見て、それまで黙って彼女を見つめていた2人は同じタイミングで笑い出した。
「え?な、なに? なんで笑うの!?」
くすくす笑われて居心地が悪いらしい。
名無しさんは顔をしかめつつ、耳まで赤くする。
「いやー、名無しさんっておもしろいぁと思ってさ。ははっ!」
「おもしろいし、可愛い。いいね、名無しさん」
「……なんなの突然? からかってるの?」
彼らの言葉についていけず、名無しさんは顔をしかめる。
「奪ったもん勝ちだからね、騎士さん」
「そんなの当たり前じゃないか」
にやりと笑うボリスといつもの胡散臭い笑顔のエースを見て、さらに名無しさんは首をかしげるのだった。
「というわけで、名無しさん。俺を部屋まで案内してくれよ」
「……仕方ないなぁ」
にぱっと笑ってエースは名無しさんを見る。
彼女はため息をつきつつも、ボリスに断りを入れた。
「迷子になられても困るし、すぐ上の階だし、ちょっと行ってくるね」
「ごめんなー、ちょっとだけ名無しさんを借りていくぜ」
そう言って名無しさんの後をついていくエースは、ニヤリとボリスを見て笑う。
その瞬間『獣のカン』が働いたらしい。
ボリスが慌てて立ち上がった。
「待って名無しさん、すごい嫌な予感がする。俺も行くよ」
「え?」
嫌な予感?と首を傾げる名無しさんに、ボリスは真剣な眼差しでこう言った。
「騎士さんと二人きりになるなんて危ないことさせられない」
「はははっ! カンが鋭いなぁ」
と悪びれもせずに笑うエースに、心底呆れた表情を見せるボリス。
「あんた強引そうだし、なんだかんだ上手く名無しさんが丸め込まれちゃいそうで心配」
「えー? 俺はそんなことしないよ。それ、帽子屋さんのことだろ? 俺は回りくどいことなんてしないよ。騎士だから堂々と襲う」
「おかしいだろ、それ!」
がーがーと騒ぎ出したエースとボリス。
さすがの名無しさんも会話の対象が自分であることに気づいたらしい。
「グレイ呼んでくるから、私の代わりに案内してもらって」
不穏な会話に、名無しさんがそうつぶやいた。