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【病み上がり】
久しぶりに風邪をこじらせました。
3時間帯くらい寝込んで、やっと起き上がれるようになった私。
まだ本調子ではないけれど、少し起きてみようかなと身支度をした。
ほんのちょっとハートの城の庭園を散歩して帰って来よう。
外の空気は気持ちが良くて、病み上がりのだるい体に新鮮な空気が隅々まで広がっていく感じがした。
私はビバルディ自慢のバラの庭園をぐるりと一周して自室へ戻る。
部屋へ戻って1時間帯くらい寝ればすっかり元気になるだろう。
そう考えながら廊下を歩いているときだった。
「あぁ、名無しさん」
「エース!」
廊下でキャンプ中のエースにばったり遭遇した。
たき火の前に座って、にこにこと私に手を振っていた。
彼に会えた嬉しさで胸が一気にいっぱいになり、思わず笑顔になってしまう。
私は彼のことが密かに好きだった。
「久しぶりだね、名無しさん」
「うん、久しぶり」
なんとか気持ちを抑えながらそう答えた私を、エースがまじまじと見つめる。
不思議に思って首を傾げると、彼はこう言った。
「名無しさん、体調でも悪いの?」
「うん。実は風邪をひいちゃって、3時間帯ほど寝込んでました。よくわかったね」
「なんだかいつもと雰囲気が違うからさ」
彼は穏やかに笑ってそう言った。
いつもと違うと気づいてもらえたことがなんだか嬉しかった。
そわそわする気持ちを落ち着けようと、私は言葉を紡ぐ。
「まだ本調子じゃないけど、ずっと寝てるのも飽きちゃって今散歩してきたの」
私の言葉にエースは「そっか」と笑うと、手招きをする。
「ここ、座ってよ。風邪に効く飲み物を作ってあげる」
にこりと微笑む彼にそう言われて、私は素直に座ることにした。
「廊下でたき火ってやっぱり慣れないなぁ、私」
「え?そう?」
目の前のたき火に鍋をかけるエース。
私は膝を抱えながらそれを見つめる。
風邪に効く飲み物って、一体何を作っているんだろう?(へんな虫のエキスとかだったらやだなぁ)
「でも、名無しさんが寝込んでるなんて思わなかったなー。君、いつも元気だもんね」
「うん。私もかなり久しぶりでびっくりしたよ。風邪があんなに辛いものだったなんてすっかり忘れてたもん」
頭痛と吐き気に苦しめられた3時間帯だった。
体力を消耗しきっているのに何も食べられなかったし。
遠い目をする私をエースが覗き込んでくる。
「そっか。もう大丈夫?」
「うん。なんとか」
私がうなずくと、エースは「それなら良かった」と微笑んだ。
いつもよりも優しく見えた表情にどきりとする。
早まる鼓動が彼に聞こえてしまわないように、ぎゅっと膝を抱えて座りなおした。
そんな私の様子にエースは首を傾げたけれど、私は気づかないふりをする。
私がエースのことを好きだってこと、知られたくない。
今の関係にとりあえず満足しているのだ。
そんなことを考えていたら、不意におでこを触られた。
「!?」
「熱はもうないみたいだね」
隣のエースが、自分のおでこと私のおでこの熱を触って比べている。
私のおでこをすっぽりと包むくらい大きくて、乾いた手のひらの感触。
ものすごくドキドキしてくる私をよそに、彼はすっと手を引くと再び手袋をはめる。
手袋を外している彼の手をあまり見たことがなかったので、私が不思議な気持ちでそれを見つめていると、不意にエースが私を見た。
「どうしたの、名無しさん?」
「ううん。エースの手ってあんまり見たことなかったから」
私の言葉にエースは手袋をはめる動作を止める。
「そうだっけ?」
「うん。いつも手袋してるでしょう。だから不思議な感じがしたの」
「そうだったかなぁ。別に隠してるつもりもなかったし、気にもしてなかったけど……」
彼はそう言いながら、手袋を外して自分の手を眺めた。
私もつられて彼の手を見る。
長い指が綺麗で、わりと好きな感じだなぁと思った。
すると、不意にエースがいたずらっぽく私を見る。
「もしかして、名無しさんって手フェチ?」
「え?」
「ほら、けっこういるよね。男の手が好きだっていう女の子」
「そうなんだ?」
でも、言われてみれば男の人の手ってつい見ちゃうかもしれない。
現にエースの手を無意識に見ていたわけだし。
「名無しさん、知ってた? 女の人が男の手を好きだっていうのは、その手で抱かれたいからなんだって」
爽やかにそう言ったエースを、私は思わず見つめる。
今、この人とんでもないことを言ったような気がするんですけど。
「触ってほしいって無意識に思ってるらしいよ」
「な、なにそれ!?」
「習性というか、遺伝子的な何かみたいだけど……触ってあげようか?」
彼はそう言いながら、私の頬に手を伸ばしてくる。
鼓動が跳ね、慌てて私は声を上げた。
「遠慮します!」
私は彼の手から逃れるように体を反らせる。
「はははっ! そっか。残念」
「まぁ、今の名無しさんは病み上がりだしね」とエースは楽しそうに笑うと、伸ばしていた手を鍋にかけた。
そして、ぐるぐると鍋をかきまぜる。
からかわれたのがわかってはいるけれど、意識せずにはいられない。
私はドキドキしながらそれを見つめた。
あぁ、なんだか絶対私の気持ちなんてばれてる気がする。
その上でこうやってからかってくるのかもしれないなぁ。(意地悪だ)
さっきよりもさらにぎゅっと膝を抱えながらそんなこと考えて、ため息をついた時だった。
今度は突然頭をぽんぽんと撫でられた。
2度目の不意打ちにびっくりしてエースを見ると、穏やかな笑みを浮かべている彼の視線とぶつかった。
「え、エース?」
「ごめんごめん。俺が触りたくなっちゃった」
反応に困っていると、エースはくすくす笑った。
「病み上がりでも、頭を撫でるくらいならいいだろ?」
そう言いながら、頭から肩へと降りてきた手にすっと引き寄せられる。
エースの胸にこてんと収まった格好の私。
突然のことに全く頭が働かない。
「本当は触るだけじゃ足りないんだけど、ね」
彼はそう囁いたかと思うと、そのまま耳元にキスをされた。
突然のキスや彼の手にドキドキさせられっぱなしの私は、病み上がり以上の疲れを感じてしまった。
そんな私に気づいているのかいないのか、エースは「はい、はちみつレモン。元気になるよ」とのんきにマグカップを差し出してくるのだった。
久しぶりに風邪をこじらせました。
3時間帯くらい寝込んで、やっと起き上がれるようになった私。
まだ本調子ではないけれど、少し起きてみようかなと身支度をした。
ほんのちょっとハートの城の庭園を散歩して帰って来よう。
外の空気は気持ちが良くて、病み上がりのだるい体に新鮮な空気が隅々まで広がっていく感じがした。
私はビバルディ自慢のバラの庭園をぐるりと一周して自室へ戻る。
部屋へ戻って1時間帯くらい寝ればすっかり元気になるだろう。
そう考えながら廊下を歩いているときだった。
「あぁ、名無しさん」
「エース!」
廊下でキャンプ中のエースにばったり遭遇した。
たき火の前に座って、にこにこと私に手を振っていた。
彼に会えた嬉しさで胸が一気にいっぱいになり、思わず笑顔になってしまう。
私は彼のことが密かに好きだった。
「久しぶりだね、名無しさん」
「うん、久しぶり」
なんとか気持ちを抑えながらそう答えた私を、エースがまじまじと見つめる。
不思議に思って首を傾げると、彼はこう言った。
「名無しさん、体調でも悪いの?」
「うん。実は風邪をひいちゃって、3時間帯ほど寝込んでました。よくわかったね」
「なんだかいつもと雰囲気が違うからさ」
彼は穏やかに笑ってそう言った。
いつもと違うと気づいてもらえたことがなんだか嬉しかった。
そわそわする気持ちを落ち着けようと、私は言葉を紡ぐ。
「まだ本調子じゃないけど、ずっと寝てるのも飽きちゃって今散歩してきたの」
私の言葉にエースは「そっか」と笑うと、手招きをする。
「ここ、座ってよ。風邪に効く飲み物を作ってあげる」
にこりと微笑む彼にそう言われて、私は素直に座ることにした。
「廊下でたき火ってやっぱり慣れないなぁ、私」
「え?そう?」
目の前のたき火に鍋をかけるエース。
私は膝を抱えながらそれを見つめる。
風邪に効く飲み物って、一体何を作っているんだろう?(へんな虫のエキスとかだったらやだなぁ)
「でも、名無しさんが寝込んでるなんて思わなかったなー。君、いつも元気だもんね」
「うん。私もかなり久しぶりでびっくりしたよ。風邪があんなに辛いものだったなんてすっかり忘れてたもん」
頭痛と吐き気に苦しめられた3時間帯だった。
体力を消耗しきっているのに何も食べられなかったし。
遠い目をする私をエースが覗き込んでくる。
「そっか。もう大丈夫?」
「うん。なんとか」
私がうなずくと、エースは「それなら良かった」と微笑んだ。
いつもよりも優しく見えた表情にどきりとする。
早まる鼓動が彼に聞こえてしまわないように、ぎゅっと膝を抱えて座りなおした。
そんな私の様子にエースは首を傾げたけれど、私は気づかないふりをする。
私がエースのことを好きだってこと、知られたくない。
今の関係にとりあえず満足しているのだ。
そんなことを考えていたら、不意におでこを触られた。
「!?」
「熱はもうないみたいだね」
隣のエースが、自分のおでこと私のおでこの熱を触って比べている。
私のおでこをすっぽりと包むくらい大きくて、乾いた手のひらの感触。
ものすごくドキドキしてくる私をよそに、彼はすっと手を引くと再び手袋をはめる。
手袋を外している彼の手をあまり見たことがなかったので、私が不思議な気持ちでそれを見つめていると、不意にエースが私を見た。
「どうしたの、名無しさん?」
「ううん。エースの手ってあんまり見たことなかったから」
私の言葉にエースは手袋をはめる動作を止める。
「そうだっけ?」
「うん。いつも手袋してるでしょう。だから不思議な感じがしたの」
「そうだったかなぁ。別に隠してるつもりもなかったし、気にもしてなかったけど……」
彼はそう言いながら、手袋を外して自分の手を眺めた。
私もつられて彼の手を見る。
長い指が綺麗で、わりと好きな感じだなぁと思った。
すると、不意にエースがいたずらっぽく私を見る。
「もしかして、名無しさんって手フェチ?」
「え?」
「ほら、けっこういるよね。男の手が好きだっていう女の子」
「そうなんだ?」
でも、言われてみれば男の人の手ってつい見ちゃうかもしれない。
現にエースの手を無意識に見ていたわけだし。
「名無しさん、知ってた? 女の人が男の手を好きだっていうのは、その手で抱かれたいからなんだって」
爽やかにそう言ったエースを、私は思わず見つめる。
今、この人とんでもないことを言ったような気がするんですけど。
「触ってほしいって無意識に思ってるらしいよ」
「な、なにそれ!?」
「習性というか、遺伝子的な何かみたいだけど……触ってあげようか?」
彼はそう言いながら、私の頬に手を伸ばしてくる。
鼓動が跳ね、慌てて私は声を上げた。
「遠慮します!」
私は彼の手から逃れるように体を反らせる。
「はははっ! そっか。残念」
「まぁ、今の名無しさんは病み上がりだしね」とエースは楽しそうに笑うと、伸ばしていた手を鍋にかけた。
そして、ぐるぐると鍋をかきまぜる。
からかわれたのがわかってはいるけれど、意識せずにはいられない。
私はドキドキしながらそれを見つめた。
あぁ、なんだか絶対私の気持ちなんてばれてる気がする。
その上でこうやってからかってくるのかもしれないなぁ。(意地悪だ)
さっきよりもさらにぎゅっと膝を抱えながらそんなこと考えて、ため息をついた時だった。
今度は突然頭をぽんぽんと撫でられた。
2度目の不意打ちにびっくりしてエースを見ると、穏やかな笑みを浮かべている彼の視線とぶつかった。
「え、エース?」
「ごめんごめん。俺が触りたくなっちゃった」
反応に困っていると、エースはくすくす笑った。
「病み上がりでも、頭を撫でるくらいならいいだろ?」
そう言いながら、頭から肩へと降りてきた手にすっと引き寄せられる。
エースの胸にこてんと収まった格好の私。
突然のことに全く頭が働かない。
「本当は触るだけじゃ足りないんだけど、ね」
彼はそう囁いたかと思うと、そのまま耳元にキスをされた。
突然のキスや彼の手にドキドキさせられっぱなしの私は、病み上がり以上の疲れを感じてしまった。
そんな私に気づいているのかいないのか、エースは「はい、はちみつレモン。元気になるよ」とのんきにマグカップを差し出してくるのだった。