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【好きだ】
夜の遊園地はなんだか楽しい。
ライトアップされている園内に、否が応でもテンションが上がる。
隣をボリスが歩いているのも嬉しい。
私の滞在地は遊園地ではないが、彼とはよく一緒に遊んでいる。
「夜ってやっぱりいいよね。体がすごく軽くなる気がする」
ワクワクした様子で言うボリスに思わず頬が緩む。
「名無しさん、今日はいっぱい遊んでいけるんだろ?」
「うん。3時間帯先まで仕事はないし、ちゃんと言って来たから大丈夫」
「よし。そうこなくっちゃ! 遊びつくそうぜ。名無しさん、今日は帰さないから覚悟してよ?」
にやりと笑うボリスに思わず大笑いする私。
その後、2人そろって笑ってしまった。
それから私たちはアトラクションに乗ったり、色々な話をした。
ボリスと一緒だとすごく楽しい。
会うたびにこれまで以上に彼が好きになる。
滞在地が別で本当に良かった。
私が遊園地に住んでいたら、好きになりすぎてどうにかなっていたと思う。
「ねぇ名無しさん。ここを出たらちょっと休憩しない?」
「うん、そうだね」
そんな話をしながら、アトラクションを降りる私達。
ボリスの後に続いて、ボート型の乗物から降りようとした時だった。
不意に差し出された手。
びっくりしてボリスを見ると「段差、けっこうあるよ」と彼はさらりと一言そう言った。
確かに段差があるけどどうしよう?
その手を掴んでいいのか一瞬悩んでしまった私に、彼は笑いながら言った。
「これ、掴んでもらえなかったら逆に悲しいんだけど」
そう言われて私は笑って彼の手を取ることができた。
すらりとした指にごつい指輪がはめられているその手に触れたのは初めてで、すごくドキドキした。
「どうもありがとう」
アトラクションを降りて手を離そうとすると、彼はきゅっと私の手を掴んだ。
驚いてボリスを見ると、彼はふわりと笑う。
「このままでもいいんじゃない?」
ボリスにそう言われて断れる女子なんていないと思う。
私達は別に恋人同士なわけじゃない。
ただの友達だ。少なくとも、彼はそう思っているだろう。
手をつないでいるのだって、きっと彼の気まぐれだ。
なんといっても彼は気まぐれな猫なのだから。
深い意味なんてない、期待なんてしちゃいけない。
わかっているけど、どうしようもないくらいに心臓がドキドキしている。
その瞬間だった。
急に視界がぐにゃりと歪んで、くらくらと眩暈がした。
全身の力がふわ~っと抜けて、私はそのまま座りこんでしまった。
ボリスと手をつないでいなかったら、ちょっと危なかったかもしれない。
「名無しさん!?」
ボリスが慌てた様子で、私の顔を覗きこんだ。
私は大きく息を吸い込み、深呼吸をする。
「ご、ごめん。大丈夫。なんかくらくらしちゃった。たまにあるんだよね」
だから大丈夫だよ、と笑ってみせる。
たまにあるけれど、私の場合はすぐ直るのだ。
「ボリス。あの、ここ道の真ん中だからとりあえず動かないと迷惑に……」
そう言って立ち上がろうとする私をボリスが押さえつけた。
「なに言ってんの。人の心配してる場合じゃないだろ」
珍しくボリスがこわい顔を見せる。
「ご、ごめん」
思わずあやまると、彼ははぁっとため息をつく。
「ごめんは俺の方。隣にいたのに……」
「別にボリスのせいじゃないよ。ほんとによくあることだから」
今回はもしかしたらボリスにドキドキしすぎたせいで、くらっとしたのかもしれない。(どれだけ乙女なんだ私!)
そんな風にのんきに思っている私をよそに、ボリスは真剣な顔で私を見ている。
「……それ貧血とかじゃないの?」
「え?貧血?まさか!私そんなにか弱いタイプじゃないもん」
「貧血ってか弱いとかそういう問題じゃないでしょ」
ボリスはそう言うと、2度目のため息をついた。
「手をつないでおいてよかったよ。あんたそのまま前に倒れそうだったもんね」
「……ありがとう。もしかして、私顔色悪かったりした?だから手をつないでおいてくれたの?」
「いーや。ただ、俺がつなぎたかっただけ」
ボリスはそう言って笑う。
「でも、心配だからこれからはずっと手をつないでおいた方がいいかもね」
「え?」
「そばにいれば何かあった時も安心だし、名無しさんと一緒にいられるし」
そう言われて、私は反応に困ってしまった。
けれど、ボリスはいつもの笑みを浮かべて私を見ている。
「とりあえずどこかで休もう。立てる?」
「う、うん」
「なんだったら抱き上げてあげるけど」
「大丈夫!!」
全力で拒否すると「なんだ。残念」とボリスが笑った。
私もつられて笑う。
「よし、それじゃ行こう」
ボリスは私の手を取って立ちあがらせてくれた。
「無理しないでよ、名無しさん。あんた、いっつもまわりに気を使いすぎてるんだから」
「そんなことないと思うけど」
「へぇ? 座り込んでおきながら通行人の心配をする人が否定するんだ?」
ボリスがちらりと私を横目で見る。
「ご、ごめんなさい。無理しません。気を使いすぎません」
「よくできました」
慌ててそう言った私にボリスが笑う。
「でも、何かあったら俺がなんとかするし、ほんとに自分のことをまず考えなよ、名無しさん。あんたに何かあったら俺だって嫌だしさ」
まっすぐに見つめられて、私は胸がいっぱいになる。
「うん、ありがとう。ボリス」
そう言った瞬間、つないでいた手をぎゅっと握られた。
「どういたしまして」
穏やかに笑うボリスに、今すぐ好きだと言いたくなった。
言ってもいいかな?
夜の遊園地はなんだか楽しい。
ライトアップされている園内に、否が応でもテンションが上がる。
隣をボリスが歩いているのも嬉しい。
私の滞在地は遊園地ではないが、彼とはよく一緒に遊んでいる。
「夜ってやっぱりいいよね。体がすごく軽くなる気がする」
ワクワクした様子で言うボリスに思わず頬が緩む。
「名無しさん、今日はいっぱい遊んでいけるんだろ?」
「うん。3時間帯先まで仕事はないし、ちゃんと言って来たから大丈夫」
「よし。そうこなくっちゃ! 遊びつくそうぜ。名無しさん、今日は帰さないから覚悟してよ?」
にやりと笑うボリスに思わず大笑いする私。
その後、2人そろって笑ってしまった。
それから私たちはアトラクションに乗ったり、色々な話をした。
ボリスと一緒だとすごく楽しい。
会うたびにこれまで以上に彼が好きになる。
滞在地が別で本当に良かった。
私が遊園地に住んでいたら、好きになりすぎてどうにかなっていたと思う。
「ねぇ名無しさん。ここを出たらちょっと休憩しない?」
「うん、そうだね」
そんな話をしながら、アトラクションを降りる私達。
ボリスの後に続いて、ボート型の乗物から降りようとした時だった。
不意に差し出された手。
びっくりしてボリスを見ると「段差、けっこうあるよ」と彼はさらりと一言そう言った。
確かに段差があるけどどうしよう?
その手を掴んでいいのか一瞬悩んでしまった私に、彼は笑いながら言った。
「これ、掴んでもらえなかったら逆に悲しいんだけど」
そう言われて私は笑って彼の手を取ることができた。
すらりとした指にごつい指輪がはめられているその手に触れたのは初めてで、すごくドキドキした。
「どうもありがとう」
アトラクションを降りて手を離そうとすると、彼はきゅっと私の手を掴んだ。
驚いてボリスを見ると、彼はふわりと笑う。
「このままでもいいんじゃない?」
ボリスにそう言われて断れる女子なんていないと思う。
私達は別に恋人同士なわけじゃない。
ただの友達だ。少なくとも、彼はそう思っているだろう。
手をつないでいるのだって、きっと彼の気まぐれだ。
なんといっても彼は気まぐれな猫なのだから。
深い意味なんてない、期待なんてしちゃいけない。
わかっているけど、どうしようもないくらいに心臓がドキドキしている。
その瞬間だった。
急に視界がぐにゃりと歪んで、くらくらと眩暈がした。
全身の力がふわ~っと抜けて、私はそのまま座りこんでしまった。
ボリスと手をつないでいなかったら、ちょっと危なかったかもしれない。
「名無しさん!?」
ボリスが慌てた様子で、私の顔を覗きこんだ。
私は大きく息を吸い込み、深呼吸をする。
「ご、ごめん。大丈夫。なんかくらくらしちゃった。たまにあるんだよね」
だから大丈夫だよ、と笑ってみせる。
たまにあるけれど、私の場合はすぐ直るのだ。
「ボリス。あの、ここ道の真ん中だからとりあえず動かないと迷惑に……」
そう言って立ち上がろうとする私をボリスが押さえつけた。
「なに言ってんの。人の心配してる場合じゃないだろ」
珍しくボリスがこわい顔を見せる。
「ご、ごめん」
思わずあやまると、彼ははぁっとため息をつく。
「ごめんは俺の方。隣にいたのに……」
「別にボリスのせいじゃないよ。ほんとによくあることだから」
今回はもしかしたらボリスにドキドキしすぎたせいで、くらっとしたのかもしれない。(どれだけ乙女なんだ私!)
そんな風にのんきに思っている私をよそに、ボリスは真剣な顔で私を見ている。
「……それ貧血とかじゃないの?」
「え?貧血?まさか!私そんなにか弱いタイプじゃないもん」
「貧血ってか弱いとかそういう問題じゃないでしょ」
ボリスはそう言うと、2度目のため息をついた。
「手をつないでおいてよかったよ。あんたそのまま前に倒れそうだったもんね」
「……ありがとう。もしかして、私顔色悪かったりした?だから手をつないでおいてくれたの?」
「いーや。ただ、俺がつなぎたかっただけ」
ボリスはそう言って笑う。
「でも、心配だからこれからはずっと手をつないでおいた方がいいかもね」
「え?」
「そばにいれば何かあった時も安心だし、名無しさんと一緒にいられるし」
そう言われて、私は反応に困ってしまった。
けれど、ボリスはいつもの笑みを浮かべて私を見ている。
「とりあえずどこかで休もう。立てる?」
「う、うん」
「なんだったら抱き上げてあげるけど」
「大丈夫!!」
全力で拒否すると「なんだ。残念」とボリスが笑った。
私もつられて笑う。
「よし、それじゃ行こう」
ボリスは私の手を取って立ちあがらせてくれた。
「無理しないでよ、名無しさん。あんた、いっつもまわりに気を使いすぎてるんだから」
「そんなことないと思うけど」
「へぇ? 座り込んでおきながら通行人の心配をする人が否定するんだ?」
ボリスがちらりと私を横目で見る。
「ご、ごめんなさい。無理しません。気を使いすぎません」
「よくできました」
慌ててそう言った私にボリスが笑う。
「でも、何かあったら俺がなんとかするし、ほんとに自分のことをまず考えなよ、名無しさん。あんたに何かあったら俺だって嫌だしさ」
まっすぐに見つめられて、私は胸がいっぱいになる。
「うん、ありがとう。ボリス」
そう言った瞬間、つないでいた手をぎゅっと握られた。
「どういたしまして」
穏やかに笑うボリスに、今すぐ好きだと言いたくなった。
言ってもいいかな?