短編
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【再び!ストーカーズ】
「か、可愛い……!」
「やはり彼女は愛らしすぎますね……!!」
私は今ストーキングをしている。
ペーターさんと共に、2人でアリスを。
ハートの城へやってきた私。
近くまで散歩に来たついでにアリスに会えるかな、とうろうろしているとメイドの仕事の真っ最中のアリスを発見。
ハートの城のメイド服に身を包み、手際よくお茶会の準備をしているアリス。(メイド服が似合いすぎる!!可愛いよー)
仕事の邪魔はやめようと決断した瞬間、背後からペーターさんがにゅっと現れた。
アリスの元へ行こうとするペーターさんの首根っこをぐいっと掴み、仕事の邪魔をするな、と睨みつけた私。
(いや、実際には「たまには遠くからじっくり見つめてみるのもいいんじゃないですか?」と言いくるめただけなんだけど。だって、アリスに関してはペーターさんって怖いし)
というわけで、私はペーターさんと共にアリスのストーキングをしている。
私たちをメロメロにするメイドアリスは、うっかりと焼き菓子をわってしまったようだった。
どうするのかとみていると、割れた焼き菓子を半分ぱくりと食べ、同僚にもう半分を食べさせて共犯にしたあげく、証拠隠滅をはかった(!)
秘密ね、と言うアリスのいたずらっぽい笑顔がものすっごく可愛くて……
私とペーターさんはその笑顔にがつーんとやられてしまったのだった。
「お菓子くらいであの笑顔を見せてもらえるなら、僕はいくらでもお菓子をプレゼントしますよ」
「私も。ちょっとした失敗なんて帳消しだよね、あの可愛さ」
「あぁ、傍で見ているのがどうしてあんな顔なしのメイドなんでしょう!! 忌々しい……」
「撃っちゃダメだからね、ペーターさん!!」
懐中時計に手を伸ばすペーターさんを慌てて制止する私。
「名無しさん、僕はこの気持ちをどう彼女に伝えたらいいのかわかりません。言葉じゃ足りないくらいなんです。いくら言ってもまだ足りない」
「……すごいですね。(あれだけ言ってまだ足りないなんて)」
「僕のこの深い愛をどう伝えればいいんでしょう? できれば手荒な真似はしたくない」
「うん、そうですけどね、多少は強引な手段に出てみるのもいいかもしれませんよ?」
……なーんて、私いけない発言。
でも私そんなイベントを見てみたいの!(ごめんね、アリス!)
「あぁ、彼女のことは傷つけたくない! でも僕のこの苦しいほどの愛を伝えるためには……」
わー、暑苦しいなー……。
こうなっちゃったらしばらくは止まらないぞ、この人。
思わずため息をつきかけた時だった。
私の視界に飛び込んできたのは、アリスに迫る赤い影。
「うわ、よりによって今ですか……」
それはどう見てもエースだった。
どこからともなく爽やか~に登場したエースは、アリスを引き寄せる(行動というか、手が早いなぁ)。
これは、ペーターに見せてはいけないよね。
今はアリスへの愛で盛り上がっているから、何も見えていないだろうけど、と思いつつ私はおそるおそる隣の彼を見た。
「!」
別人のうさぎさんがそこにはいた。
恋の悩みをベラベラとしゃべっていた彼はどこにもおらず、
嫉妬に狂う一人の男(うさぎ?)が、銃を構えていた。なんて早業!
「お、落ち着いてペーターさん!!」
「えぇ、僕は落ち着いていますよ、名無しさん。 ただね、彼女に近づく悪い虫は始末しないと」
「だめだってば!! アリスは銃を嫌がるよ!? 嫌われちゃうよ!? 大っ嫌いって言われて、撃たれたエースのために泣くんだよ!?」
「っ……!」
そっと銃を下ろしたペーターさん。
「……アリスと名無しさんに免じてエース君はまた次回始末することにしましょう」
「うん、そうして」
なんとか犯罪を食い止めた私の気苦労をよそに、自由人エースはアリスにちょっかいをかけまくっている。
あしらうアリスと、まったく動じないエース。
そして、ふるふると怒りに震えるペーター。
あぁ、もう気が気じゃない。
「ペーターさん、男はね、どっしりと構えて彼女を信じなくちゃいけないものなの」
「……僕はもちろんアリスを信じていますよ。ただエースくんを信じてはいないというだけです」
「わ、ちょっとほんとにもう落ち着いて!! そんな物騒なものはしまって!!!」
慌てる私の視界にちらりと映ったのは、楽しそうにこちらを見て視線を送ってきたエースだった。
「! ま、まさか……」
私の脳裏によぎるのは、エースの胡散臭い笑顔。
あいつ、おちょくってる。
私たち(というかペーターさん)の反応を見て楽しんでる。
「……ペーターさん」
「なんですか」
「私、もう止めません」
「どうしたんですか、急に」
「エースを懲らしめてやりましょう」
「もちろん僕はそのつもりですよ。はじめからね」
そう言ってペーターさんは懐中時計を持ち上げた。
みるみる銃になるそれを、綺麗に構える。
「僕をからかうならまだしも、アリスを巻き込むのは許せません」
「……(からかわれてるって気づいてたんだ、この人)」
「何よりも彼女に触れた罪は重い」
そう言い終えたペーターさんが引き金を引こうとした瞬間だった。
「ペーターさんてば、そんなに怒らないでよ~。彼女に当たったら大変だろ」
のんきな声が聞こえてきた。
見ると、エースがにこにこ笑ってこちらを見ていた。
「え?」という表情でアリスも私たちを見ている。
はぁ……ストーキングしてることがばれてしまった。
私はため息をつくが、隣のペーターさんは銃を構えたままだった。
「エースくん。彼女から離れなさい」
「えー、やだよ。せっかく久々に会えたんだぜ? な、アリス」
「私は離れてほしいわ。仕事中だし」
「うわ、つれないなぁ。まぁ君のそういう所、嫌いじゃないけどね」
「あのね、ペーターを煽るのやめてくれる?」
わー、なんだかアリスをめぐる2人って感じ?(いいねいいね)
なんて思っていた私に、思いもよらない言葉が降ってくる。
「だって悔しいんだよ。ペーターさんてばアリス一筋のはずなのに、名無しさんと一緒にいることが多いからさ」
「「は?」」
「ペーターさんこそ、名無しさんから離れてくれない?」
まっすぐにこちらを見てくるエースに、思わず顔を見合わせる私とペーターさん。
「あー、ほら。そんなに見つめあっちゃってさぁ。ズルいよペーターさん」
二股かけるなんて男としてはいかがなものかと思うけど、と爽やかに言う騎士。
「な、なにを言っているんです! 僕はアリス以外に興味などありません!!」
「そうそう! そうだよ!! ペーターさんは私なんかに興味ないの!!」
……ってきっぱり否定するのもどうなのかしら。女として。
「じゃあどうしてさっきからずっと2人でこそこそしてたのさ」
「え? そうなの?」
楽しそうなエースに、驚いた様子のアリス。
「それは……」
言えない。
あなたのストーキングしてました、なんて言えない。
どう答えるべきかと悩む私に、アリスがニヤニヤしてくる。
「名無しさん……いつのまにかそういうことになってたのね?」
「なっ!! 違うよアリス!! 誤解よ誤解!!」
「そうですよ! 僕はあなたしかいないんです! あとはどうだっていいんです」
必死なペーターさんに、思わず苦笑いしてしまう。
「まぁ、誤解を解くならごゆっくりどうぞ。お二人さん」
そう言いながら、エースは私の腕を取った。
「な、なに?」
「ほら邪魔者は退散」
「え?え?」
「別に名無しさんは邪魔じゃないわよ。エースは邪魔だけど」
「うわ、アリスってばひっどいな~」
アリスの言葉に笑うエース。
私の腕を取って、どんどん歩いていく。
遠くなっていくアリスとペーターの姿。
エースに引っ張られるように歩く私は思わずため息をついた。
「……エースって、かき回すだけかき回してさっさと退場するよね」
「そうかな?」
「そうだよ」
「でも、俺のおかげで今頃二人は仲良くなってるかもしれないぜ?」
その言葉にはっとする私。
「言われてみればって顔してるよ」とエースがくすくす笑った。
「名無しさん、戻ってみようか?」
「……絶対見るだけにしてよ?」
「わかってるよ。今度はあの二人の邪魔はしない。うまくいくといいよな」
思わぬ発言にエースを見ると、彼はにこりと笑った。
「俺たちもがんばろうな!」
「……なにを?」
不穏な発言に躊躇する私。
しかし、エースは「さ、行こう!」と私の手を取って歩き出すのだった。
「か、可愛い……!」
「やはり彼女は愛らしすぎますね……!!」
私は今ストーキングをしている。
ペーターさんと共に、2人でアリスを。
ハートの城へやってきた私。
近くまで散歩に来たついでにアリスに会えるかな、とうろうろしているとメイドの仕事の真っ最中のアリスを発見。
ハートの城のメイド服に身を包み、手際よくお茶会の準備をしているアリス。(メイド服が似合いすぎる!!可愛いよー)
仕事の邪魔はやめようと決断した瞬間、背後からペーターさんがにゅっと現れた。
アリスの元へ行こうとするペーターさんの首根っこをぐいっと掴み、仕事の邪魔をするな、と睨みつけた私。
(いや、実際には「たまには遠くからじっくり見つめてみるのもいいんじゃないですか?」と言いくるめただけなんだけど。だって、アリスに関してはペーターさんって怖いし)
というわけで、私はペーターさんと共にアリスのストーキングをしている。
私たちをメロメロにするメイドアリスは、うっかりと焼き菓子をわってしまったようだった。
どうするのかとみていると、割れた焼き菓子を半分ぱくりと食べ、同僚にもう半分を食べさせて共犯にしたあげく、証拠隠滅をはかった(!)
秘密ね、と言うアリスのいたずらっぽい笑顔がものすっごく可愛くて……
私とペーターさんはその笑顔にがつーんとやられてしまったのだった。
「お菓子くらいであの笑顔を見せてもらえるなら、僕はいくらでもお菓子をプレゼントしますよ」
「私も。ちょっとした失敗なんて帳消しだよね、あの可愛さ」
「あぁ、傍で見ているのがどうしてあんな顔なしのメイドなんでしょう!! 忌々しい……」
「撃っちゃダメだからね、ペーターさん!!」
懐中時計に手を伸ばすペーターさんを慌てて制止する私。
「名無しさん、僕はこの気持ちをどう彼女に伝えたらいいのかわかりません。言葉じゃ足りないくらいなんです。いくら言ってもまだ足りない」
「……すごいですね。(あれだけ言ってまだ足りないなんて)」
「僕のこの深い愛をどう伝えればいいんでしょう? できれば手荒な真似はしたくない」
「うん、そうですけどね、多少は強引な手段に出てみるのもいいかもしれませんよ?」
……なーんて、私いけない発言。
でも私そんなイベントを見てみたいの!(ごめんね、アリス!)
「あぁ、彼女のことは傷つけたくない! でも僕のこの苦しいほどの愛を伝えるためには……」
わー、暑苦しいなー……。
こうなっちゃったらしばらくは止まらないぞ、この人。
思わずため息をつきかけた時だった。
私の視界に飛び込んできたのは、アリスに迫る赤い影。
「うわ、よりによって今ですか……」
それはどう見てもエースだった。
どこからともなく爽やか~に登場したエースは、アリスを引き寄せる(行動というか、手が早いなぁ)。
これは、ペーターに見せてはいけないよね。
今はアリスへの愛で盛り上がっているから、何も見えていないだろうけど、と思いつつ私はおそるおそる隣の彼を見た。
「!」
別人のうさぎさんがそこにはいた。
恋の悩みをベラベラとしゃべっていた彼はどこにもおらず、
嫉妬に狂う一人の男(うさぎ?)が、銃を構えていた。なんて早業!
「お、落ち着いてペーターさん!!」
「えぇ、僕は落ち着いていますよ、名無しさん。 ただね、彼女に近づく悪い虫は始末しないと」
「だめだってば!! アリスは銃を嫌がるよ!? 嫌われちゃうよ!? 大っ嫌いって言われて、撃たれたエースのために泣くんだよ!?」
「っ……!」
そっと銃を下ろしたペーターさん。
「……アリスと名無しさんに免じてエース君はまた次回始末することにしましょう」
「うん、そうして」
なんとか犯罪を食い止めた私の気苦労をよそに、自由人エースはアリスにちょっかいをかけまくっている。
あしらうアリスと、まったく動じないエース。
そして、ふるふると怒りに震えるペーター。
あぁ、もう気が気じゃない。
「ペーターさん、男はね、どっしりと構えて彼女を信じなくちゃいけないものなの」
「……僕はもちろんアリスを信じていますよ。ただエースくんを信じてはいないというだけです」
「わ、ちょっとほんとにもう落ち着いて!! そんな物騒なものはしまって!!!」
慌てる私の視界にちらりと映ったのは、楽しそうにこちらを見て視線を送ってきたエースだった。
「! ま、まさか……」
私の脳裏によぎるのは、エースの胡散臭い笑顔。
あいつ、おちょくってる。
私たち(というかペーターさん)の反応を見て楽しんでる。
「……ペーターさん」
「なんですか」
「私、もう止めません」
「どうしたんですか、急に」
「エースを懲らしめてやりましょう」
「もちろん僕はそのつもりですよ。はじめからね」
そう言ってペーターさんは懐中時計を持ち上げた。
みるみる銃になるそれを、綺麗に構える。
「僕をからかうならまだしも、アリスを巻き込むのは許せません」
「……(からかわれてるって気づいてたんだ、この人)」
「何よりも彼女に触れた罪は重い」
そう言い終えたペーターさんが引き金を引こうとした瞬間だった。
「ペーターさんてば、そんなに怒らないでよ~。彼女に当たったら大変だろ」
のんきな声が聞こえてきた。
見ると、エースがにこにこ笑ってこちらを見ていた。
「え?」という表情でアリスも私たちを見ている。
はぁ……ストーキングしてることがばれてしまった。
私はため息をつくが、隣のペーターさんは銃を構えたままだった。
「エースくん。彼女から離れなさい」
「えー、やだよ。せっかく久々に会えたんだぜ? な、アリス」
「私は離れてほしいわ。仕事中だし」
「うわ、つれないなぁ。まぁ君のそういう所、嫌いじゃないけどね」
「あのね、ペーターを煽るのやめてくれる?」
わー、なんだかアリスをめぐる2人って感じ?(いいねいいね)
なんて思っていた私に、思いもよらない言葉が降ってくる。
「だって悔しいんだよ。ペーターさんてばアリス一筋のはずなのに、名無しさんと一緒にいることが多いからさ」
「「は?」」
「ペーターさんこそ、名無しさんから離れてくれない?」
まっすぐにこちらを見てくるエースに、思わず顔を見合わせる私とペーターさん。
「あー、ほら。そんなに見つめあっちゃってさぁ。ズルいよペーターさん」
二股かけるなんて男としてはいかがなものかと思うけど、と爽やかに言う騎士。
「な、なにを言っているんです! 僕はアリス以外に興味などありません!!」
「そうそう! そうだよ!! ペーターさんは私なんかに興味ないの!!」
……ってきっぱり否定するのもどうなのかしら。女として。
「じゃあどうしてさっきからずっと2人でこそこそしてたのさ」
「え? そうなの?」
楽しそうなエースに、驚いた様子のアリス。
「それは……」
言えない。
あなたのストーキングしてました、なんて言えない。
どう答えるべきかと悩む私に、アリスがニヤニヤしてくる。
「名無しさん……いつのまにかそういうことになってたのね?」
「なっ!! 違うよアリス!! 誤解よ誤解!!」
「そうですよ! 僕はあなたしかいないんです! あとはどうだっていいんです」
必死なペーターさんに、思わず苦笑いしてしまう。
「まぁ、誤解を解くならごゆっくりどうぞ。お二人さん」
そう言いながら、エースは私の腕を取った。
「な、なに?」
「ほら邪魔者は退散」
「え?え?」
「別に名無しさんは邪魔じゃないわよ。エースは邪魔だけど」
「うわ、アリスってばひっどいな~」
アリスの言葉に笑うエース。
私の腕を取って、どんどん歩いていく。
遠くなっていくアリスとペーターの姿。
エースに引っ張られるように歩く私は思わずため息をついた。
「……エースって、かき回すだけかき回してさっさと退場するよね」
「そうかな?」
「そうだよ」
「でも、俺のおかげで今頃二人は仲良くなってるかもしれないぜ?」
その言葉にはっとする私。
「言われてみればって顔してるよ」とエースがくすくす笑った。
「名無しさん、戻ってみようか?」
「……絶対見るだけにしてよ?」
「わかってるよ。今度はあの二人の邪魔はしない。うまくいくといいよな」
思わぬ発言にエースを見ると、彼はにこりと笑った。
「俺たちもがんばろうな!」
「……なにを?」
不穏な発言に躊躇する私。
しかし、エースは「さ、行こう!」と私の手を取って歩き出すのだった。