アンケートお礼その1
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【むだなていこう】
私は今、重大な任務を任されている。
ナイトメアに薬を飲ませるのだ。
グレイから仰せつかったこの大役をなんとか果たしたい!
というわけで、嫌がるナイトメアを壁際まで追い詰めると彼の黒いネクタイをぐいっと引っ掴む。
「さぁ、ナイトメア様。お薬の時間ですよ。いい子だから飲みましょうね~」
「……ま、まて名無しさん! なんだか今の君はすごく怖い。怖いぞ!? まるでグレイみたいに見える」
青ざめるナイトメアがすごく面白い。
私は彼の言葉を無視して、さらに薬を近づける。
「これを飲めば終わりなんだよ? 注射と違って痛いことなんて何もないもの。大丈夫、安心して」
「なんだろう、薬より何より今の名無しさんの方が怖い気がするんだが……」
引きつった笑みを浮かべるナイトメア。
私は彼のネクタイを掴んだまま、じっと正面から彼を見据える。
「いいから早く飲みなさい。あなたのせいでどれだけグレイが苦労してると思っているの?」
グレイだけじゃない。
塔のみんながナイトメアの体調を心配し、仕事のフォローをし休日返上で働いているのだ。
いい加減こんな病弱リーダーは強制入院させるべきだと思う。
そう考えていたら、しっかりと私の心を読んだらしい。
ナイトメアの顔色はさらに悪くなった。
「なんて恐ろしいことを考えているんだ、名無しさん……!入院なんて絶対に私はしない!!
それにいくら名無しさんの頼みでも、名無しさんが口移しで飲ませてくれるとしても、薬だけは絶対に飲まないぞ!!」
「心配しなくて口移しなんてするわけないから安心して。 ……頭の中も診てもらった方が良さそうだね」
「ちょっとした冗談じゃないか。そうきっぱり名無しさんに言われるとショックだぞ」
「なんでもいいから早く飲んでよ」
私はずずいっとピンクの粉薬を差し出した。
ナイトメアが身を引こうとしたので私は彼のネクタイをぐっと引く。
「名無しさん、今の君はなんだか思いっきりサディストの目をしている」
「失礼な!」
と口を尖らせつつも、確かになんだか楽しかった。
いじめっこといじめられっこの図。
きっとそう見えるだろう。
しばらくお互いを牽制し合うように見つめあう私達。
するとナイトメアが口を開いた。
「名無しさん」
真剣な声で私を呼ぶ。
さっきまでとは違う雰囲気。真剣な顔をしていた。
夢の世界で会う、真面目なナイトメアみたいだ。
彼が何を言おうとしているのかちゃんと聞かなくては、という気になる。
「一度だけでいいんだ。見逃してくれないか?」
彼は私の背にそっと手をまわすと、耳元でそう囁いた。
突然のセクシーボイスにネクタイを掴んでいた手の力が抜けそうになる。
「君と私だけの秘密だ。何も言わなければ、誰にもばれないよ。グレイだって気づかない」
夢の中でナイトメアが意味深な言い方をするときと、全く同じ声色。
私を混乱させる声。
彼は夢魔の声でさらにダメ押しをする。
「ほら、名無しさん……この手を離してごらん」
名前を囁かれ、ネクタイを掴んでいた手がそのままするすると下へと落ちていく。
ナイトメアがそっと笑うのがわかった。その瞬間我に返る。
「はっ! 今危ない所だった私!」
再びネクタイを掴むとナイトメアを見る。
彼は小さくため息をつくと苦笑した。
「……やはり外の世界ではうまく君を誘導できないな」
人を惑わすのが夢魔。
どうやら私は危うく誘導されるところだったらしい。
「っていうか薬を飲むくらいで、そういう力を発揮しないでくれる?」
もっと有効利用してほしい。
あきれ果てる私に、ナイトメアはさっきまでのミステリアスさのかけらもない、情けない声を上げた。
「ここで力を発揮しなくてどうする!? 自分の身は自分で守るんだ!」
「だったら薬を飲みなよ。病気から自分を守りなさい」
ナイトメアの無駄にかっこいい言い回しに呆れてそう言うと、私は薬の封を開けた。
「名無しさん、せめてその薬をゼリーに包んでくれ」
「……ほんと手のかかる人」
観念したらしいナイトメアの様子に、私はそう言いつつも笑ってしまった。
私は今、重大な任務を任されている。
ナイトメアに薬を飲ませるのだ。
グレイから仰せつかったこの大役をなんとか果たしたい!
というわけで、嫌がるナイトメアを壁際まで追い詰めると彼の黒いネクタイをぐいっと引っ掴む。
「さぁ、ナイトメア様。お薬の時間ですよ。いい子だから飲みましょうね~」
「……ま、まて名無しさん! なんだか今の君はすごく怖い。怖いぞ!? まるでグレイみたいに見える」
青ざめるナイトメアがすごく面白い。
私は彼の言葉を無視して、さらに薬を近づける。
「これを飲めば終わりなんだよ? 注射と違って痛いことなんて何もないもの。大丈夫、安心して」
「なんだろう、薬より何より今の名無しさんの方が怖い気がするんだが……」
引きつった笑みを浮かべるナイトメア。
私は彼のネクタイを掴んだまま、じっと正面から彼を見据える。
「いいから早く飲みなさい。あなたのせいでどれだけグレイが苦労してると思っているの?」
グレイだけじゃない。
塔のみんながナイトメアの体調を心配し、仕事のフォローをし休日返上で働いているのだ。
いい加減こんな病弱リーダーは強制入院させるべきだと思う。
そう考えていたら、しっかりと私の心を読んだらしい。
ナイトメアの顔色はさらに悪くなった。
「なんて恐ろしいことを考えているんだ、名無しさん……!入院なんて絶対に私はしない!!
それにいくら名無しさんの頼みでも、名無しさんが口移しで飲ませてくれるとしても、薬だけは絶対に飲まないぞ!!」
「心配しなくて口移しなんてするわけないから安心して。 ……頭の中も診てもらった方が良さそうだね」
「ちょっとした冗談じゃないか。そうきっぱり名無しさんに言われるとショックだぞ」
「なんでもいいから早く飲んでよ」
私はずずいっとピンクの粉薬を差し出した。
ナイトメアが身を引こうとしたので私は彼のネクタイをぐっと引く。
「名無しさん、今の君はなんだか思いっきりサディストの目をしている」
「失礼な!」
と口を尖らせつつも、確かになんだか楽しかった。
いじめっこといじめられっこの図。
きっとそう見えるだろう。
しばらくお互いを牽制し合うように見つめあう私達。
するとナイトメアが口を開いた。
「名無しさん」
真剣な声で私を呼ぶ。
さっきまでとは違う雰囲気。真剣な顔をしていた。
夢の世界で会う、真面目なナイトメアみたいだ。
彼が何を言おうとしているのかちゃんと聞かなくては、という気になる。
「一度だけでいいんだ。見逃してくれないか?」
彼は私の背にそっと手をまわすと、耳元でそう囁いた。
突然のセクシーボイスにネクタイを掴んでいた手の力が抜けそうになる。
「君と私だけの秘密だ。何も言わなければ、誰にもばれないよ。グレイだって気づかない」
夢の中でナイトメアが意味深な言い方をするときと、全く同じ声色。
私を混乱させる声。
彼は夢魔の声でさらにダメ押しをする。
「ほら、名無しさん……この手を離してごらん」
名前を囁かれ、ネクタイを掴んでいた手がそのままするすると下へと落ちていく。
ナイトメアがそっと笑うのがわかった。その瞬間我に返る。
「はっ! 今危ない所だった私!」
再びネクタイを掴むとナイトメアを見る。
彼は小さくため息をつくと苦笑した。
「……やはり外の世界ではうまく君を誘導できないな」
人を惑わすのが夢魔。
どうやら私は危うく誘導されるところだったらしい。
「っていうか薬を飲むくらいで、そういう力を発揮しないでくれる?」
もっと有効利用してほしい。
あきれ果てる私に、ナイトメアはさっきまでのミステリアスさのかけらもない、情けない声を上げた。
「ここで力を発揮しなくてどうする!? 自分の身は自分で守るんだ!」
「だったら薬を飲みなよ。病気から自分を守りなさい」
ナイトメアの無駄にかっこいい言い回しに呆れてそう言うと、私は薬の封を開けた。
「名無しさん、せめてその薬をゼリーに包んでくれ」
「……ほんと手のかかる人」
観念したらしいナイトメアの様子に、私はそう言いつつも笑ってしまった。