アンケートお礼その1
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【やくそく】
私は本を返しに来ただけなのだ。
この後すぐ用事があるって言っておいたし、ブラッドもこれから出かけるって言っていた。
それなのに、どうしてブラッドとキスなんてしているだろう。
恋人同士なんだしいいだろうと言われればそうかもしれないけど…。
本棚を背にさせられ逃げ場もないし、逃げる余裕もない。
深いキスは甘くて苦しくて、頭がおかしくなってくる。
酸欠でくらりとした頃にやっと解放された。
大きく息を吸い込んだ私に、ブラッドはいつもの調子でこう言った。
「大丈夫か? 名無しさん」
大丈夫なわけがない。
呼吸に専念しているため、私は返事の代わりに首を小さく横に振った。
「落ち着くまで待っていてあげようか、お嬢さん」
彼はにやりと笑いながら顔を覗きこんでくる。
「いい! 次なんてないから!!」
慌てて声をあげると、ブラッドがくすくす笑った。
面白がられてることが悔しくて、私は彼の胸をすっと押しのけると彼に背を向けた。
そろそろ行かないと約束に間に合わない。
気分が乗らないけれど、約束は約束。行かなくちゃ。
「私は用事があるの。言ったでしょう? もう行かないと」
「つれない子だ、名無しさん。ここでお預けをくらうのは遠慮したいんだがね」
「ばっ、ばっかじゃないの!?」
とんでもないセリフに思わず振り返って、馬鹿呼ばわりしてしまった。(マフィアのボスを)
「私は全然そんなつもりないんだからね! 大体、ブラッドだってすぐに出かけるって言ってたじゃない!」
一気にまくしたてる私に、ブラッドはいつものだるだるな感じで言う。
「あぁ、そういえばそうだったな。でも私の方は別に大した用事じゃない」
「約束があるならちゃんと行かないとだめだよ」
そう言ってブラッドを見据えると、彼はふぅとため息をついた。
「だるいな…」
「え?」
「今から出かけるなんて気分にはなれない。どうせ私が行かなければ、相手も諦めて帰るだろう」
うわ、この人約束をすっぽかす気だよ。
「ボスたるもの約束は果たすべきだと思います」
きっぱり言い切った私に「君は真面目だな」とブラッドは皮肉っぽく笑う。
「それならかわりにエリオットにでも行かせるか」
「うわ……押し付けるなんて最悪ですねー。ボスのくせに」
「名無しさん。私は働きたくないから上に立つことを選んだんだよ」
「……いいね、実現できる力があって」
ブラッドは何も言わずにふふんと笑う。
私の皮肉は全く通じない。
「名無しさんとくだらない約束のどちらを優先するかなんて、考えるまでもないよ」
その言葉と共にぐいっと腕を掴まれて引き寄せられる。
再び近くなるブラッドとの距離。
「君も今日の用事はあきらめなさい、名無しさん。どうせ気分の乗らない約束なんだろう?」
「!」
なんでわかったんだろう。
驚いてブラッドを見ると彼はふふっと笑った。
「私が君を引き留めてあげるよ、名無しさん。全部私のせいにすればいい」
彼は静かにそう言うと、私を抱きしめてキスをする。
なんにせよこれじゃあ約束には行けない。
本当にブラッドのせいにしてもいいの?
そんな風に甘やかされると、私はどんどんずるくなってしまいそうだ。
約束を破ったことを後悔するのか、ブラッドとこの場にいることを後悔するのかはまだわからないけれど、
とにかく今は苦しくて甘いキスを。
私は本を返しに来ただけなのだ。
この後すぐ用事があるって言っておいたし、ブラッドもこれから出かけるって言っていた。
それなのに、どうしてブラッドとキスなんてしているだろう。
恋人同士なんだしいいだろうと言われればそうかもしれないけど…。
本棚を背にさせられ逃げ場もないし、逃げる余裕もない。
深いキスは甘くて苦しくて、頭がおかしくなってくる。
酸欠でくらりとした頃にやっと解放された。
大きく息を吸い込んだ私に、ブラッドはいつもの調子でこう言った。
「大丈夫か? 名無しさん」
大丈夫なわけがない。
呼吸に専念しているため、私は返事の代わりに首を小さく横に振った。
「落ち着くまで待っていてあげようか、お嬢さん」
彼はにやりと笑いながら顔を覗きこんでくる。
「いい! 次なんてないから!!」
慌てて声をあげると、ブラッドがくすくす笑った。
面白がられてることが悔しくて、私は彼の胸をすっと押しのけると彼に背を向けた。
そろそろ行かないと約束に間に合わない。
気分が乗らないけれど、約束は約束。行かなくちゃ。
「私は用事があるの。言ったでしょう? もう行かないと」
「つれない子だ、名無しさん。ここでお預けをくらうのは遠慮したいんだがね」
「ばっ、ばっかじゃないの!?」
とんでもないセリフに思わず振り返って、馬鹿呼ばわりしてしまった。(マフィアのボスを)
「私は全然そんなつもりないんだからね! 大体、ブラッドだってすぐに出かけるって言ってたじゃない!」
一気にまくしたてる私に、ブラッドはいつものだるだるな感じで言う。
「あぁ、そういえばそうだったな。でも私の方は別に大した用事じゃない」
「約束があるならちゃんと行かないとだめだよ」
そう言ってブラッドを見据えると、彼はふぅとため息をついた。
「だるいな…」
「え?」
「今から出かけるなんて気分にはなれない。どうせ私が行かなければ、相手も諦めて帰るだろう」
うわ、この人約束をすっぽかす気だよ。
「ボスたるもの約束は果たすべきだと思います」
きっぱり言い切った私に「君は真面目だな」とブラッドは皮肉っぽく笑う。
「それならかわりにエリオットにでも行かせるか」
「うわ……押し付けるなんて最悪ですねー。ボスのくせに」
「名無しさん。私は働きたくないから上に立つことを選んだんだよ」
「……いいね、実現できる力があって」
ブラッドは何も言わずにふふんと笑う。
私の皮肉は全く通じない。
「名無しさんとくだらない約束のどちらを優先するかなんて、考えるまでもないよ」
その言葉と共にぐいっと腕を掴まれて引き寄せられる。
再び近くなるブラッドとの距離。
「君も今日の用事はあきらめなさい、名無しさん。どうせ気分の乗らない約束なんだろう?」
「!」
なんでわかったんだろう。
驚いてブラッドを見ると彼はふふっと笑った。
「私が君を引き留めてあげるよ、名無しさん。全部私のせいにすればいい」
彼は静かにそう言うと、私を抱きしめてキスをする。
なんにせよこれじゃあ約束には行けない。
本当にブラッドのせいにしてもいいの?
そんな風に甘やかされると、私はどんどんずるくなってしまいそうだ。
約束を破ったことを後悔するのか、ブラッドとこの場にいることを後悔するのかはまだわからないけれど、
とにかく今は苦しくて甘いキスを。