アンケートお礼その1
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【ゆきのひ】
「さむーい!!」
「なんだこの寒さー!!」
一面に広がる銀世界。
真冬のクローバーの塔を出た私とアリスは「さむい」を連呼しながらきゃっきゃと騒ぐ。
雪を見るなんてすごく久しぶりで寒いけれど「楽しい」という気持ちの方が強かった。
まっさらな雪の上を率先して歩き、足跡を付けては喜んでいた私達。
するとその時だった。
「おーい、名無しさん、アリス!こっちだこっち!」
見ると前方でナイトメアが手招きをしていた。
すぐ隣にはグレイもいる。
かまくらを作ったから見に来い、という上司命令で私とアリスは外へ出てきたのだ。
ナイトメアは誇らしげに私達をかまくらへ案内する。
「これがかまくらというものらしいぞ。雪でできた家だ」
「すごい! 雪の家なのに中は暖かいわね!」
「あぁ、暖かいだろう?」
かまくら初体験のアリスの言葉に、満足げなナイトメアだったけれど、彼はふいに小さな声でこそこそとグレイに何かを言い始める。
「だが、私はずっとここにいたからだいぶ冷えてきたぞ。グレイ、お前のマフラーを貸してくれ」
「嫌ですよ。俺だって寒いんです。大体あなたもマフラーをしているでしょう?」
「しているが寒いんだ! 耐えられない!」
「じゃあ塔に戻りましょう」
「い・や・だ!!」
グレイは呆れたような視線とため息。
私も彼らのやり取りに思わず苦笑しつつ、かまくら内部を見回した。
狭いけれど、秘密基地的な空間になんだかわくわくする。
ござらしきものが敷いてあり、座布団が完備されていて、中央には小さなテーブルと七輪がある。(和風!!)
天井は低くてグレイは少しかがんでいるけれど、座って4人で過ごすのはぴったりサイズな気がした。
「すごいね、本格的……!」
思わずつぶやくと、それまで寒がっていたナイトメアは急に元気になる。
「そうだろうそうだろう? ここで餅を焼いたりみかんを食べたりするんだ」
「え、ここで?」
彼の言葉にアリスはテンションが上がったらしい。(いい反応!)
「じゃあさっそく準備しましょうよ! ほら、ナイトメア!早く取ってきて」
「え、なんで私が……」
「言いだしっぺでしょう?」
「やだ、寒い。ここから出たくない。グレイ、お前が行って来い」
こらこら、グレイは部下であってパシリではないんですけど。
人の彼氏をこき使わないでほしいなぁ。
私が口を挟もうとしたら、グレイは淡々と言った。
「別にいいですけど、ついでに薬も持ってきていいですか? いいですよね?
こんな寒い場所に長いこといたら、体に差し支えます。念のため普段のくすりにプラスアルファで別の物も用意してきます」
そう言ってかまくらを出ようとするグレイを、ナイトメアが大声で制止した。
「待てーい!!」
「なんですか?」
ちらりと振り返るグレイの肩をポンとたたきながら、ナイトメアがかっこよさげな声を出す。
「……私が行こう。行かせてくれ! お前はここで大人しく待っていなさい」
「体の弱い上司に、この寒空の中みかんを持ってこさせるなんて俺にはできないですよ、ナイトメア様」
「いいんだ!! 私がみかんを持ってくる!! だからお前はここで楽しく彼女たちと語らっていなさい!!」
そう言うが早いかナイトメアはばーっとかまくらを出て行った。
かまくらの中から、ナイトメアの後ろ姿を見送る私達。
「……よっぽど薬がいやなんだね」
「さすがグレイ、うまく扱うわね」
唖然とする私とアリスにグレイは小さく笑った。
「一応俺も行ってくる。雪の上で倒れられたら困るし、毛布と薬も持ってきたいからな」
結局は出て行こうとするグレイ。
するとアリスがそれを止めた。
「いいわ、グレイ。私が行くから。薬も持ってくるわね」
「しかし……」
「いいのいいの!毛布はナイトメアに持たせるから」
「あぁ、ありがとう。アリス。俺が行くよりも君の方が警戒されなそうだ」
というわけで、私はグレイとかまくらに残ることになった。
座布団に座って、私はもう一度かまくら内部を見回した。
「すごいね、かまくらってあったかいんだね」
「あぁ。暖かいと言っても外がもっと寒いだけだがな」
「ふぅん。でも、いいよね。ここでみかんとかお餅とか食べるのって楽しそう!」
「名無しさんならそう言うと思った」
隣に座ったグレイはそう言ってふわりと笑う。
「だが、さっきも言った通り外よりも暖かいというだけで、この中の気温は0度近い。長居する場所じゃないぞ」
「確かに。ずっといると冷えてきそう」
実はすでに足元からじんじんとしびれるくらい冷えてきている。
私は目の前の七輪に手をかざした。
「名無しさん」
不意に名前を呼ばれて彼を見ると、ふわりと首にマフラーをかけられた。
紺色で柔らかい上質なマフラー。
「少しは違うだろう。かけておくといい」
グレイは自分のマフラーを私にかけながらそう言った。
「でも、グレイだって寒いでしょう?」
さっきナイトメアにそう言ってたよ、あなた。
すると彼は首を振った。
「いや、俺は大丈夫だ。名無しさんに風邪をひかれても嫌だからな」
拒否するところではないので、素直に彼の好意に甘えることにした。
マフラーはグレイのそばにいる時の匂いがして、なんだかすごくドキドキする。
「ありがとう」
そう言った時、マフラーをかけてくれる彼との顔の距離がものすごく近いことに気づいた。
思わずグレイを見つめると、私の視線に気づいたらしい彼も私をじっと見つめてきた。
そのまま私たちはキスをする。
しかしグレイの冷たい唇にびっくりして、思わず目を開けてしまった。
私にマフラー巻いてる場合じゃないよ、自分で使いなよ、そう主張しようと思ってキスを止めようとする。
するとグレイが薄く目を開けた。唇がほんの少しだけ離れる。
「グレイ、やっぱりこれ……」
そう言いかけた時だった。
「名無しさん、つまらないことを気にしないでくれ」
グレイは低い声でそうささやいたかと思うと、すぐにまた唇を重ねる。
深くなる口づけに押し倒されるようにして、私は雪の壁に背を預けてしまったけれど、冷たさを感じたのは唇が離れてからのこと。
「さむーい!!」
「なんだこの寒さー!!」
一面に広がる銀世界。
真冬のクローバーの塔を出た私とアリスは「さむい」を連呼しながらきゃっきゃと騒ぐ。
雪を見るなんてすごく久しぶりで寒いけれど「楽しい」という気持ちの方が強かった。
まっさらな雪の上を率先して歩き、足跡を付けては喜んでいた私達。
するとその時だった。
「おーい、名無しさん、アリス!こっちだこっち!」
見ると前方でナイトメアが手招きをしていた。
すぐ隣にはグレイもいる。
かまくらを作ったから見に来い、という上司命令で私とアリスは外へ出てきたのだ。
ナイトメアは誇らしげに私達をかまくらへ案内する。
「これがかまくらというものらしいぞ。雪でできた家だ」
「すごい! 雪の家なのに中は暖かいわね!」
「あぁ、暖かいだろう?」
かまくら初体験のアリスの言葉に、満足げなナイトメアだったけれど、彼はふいに小さな声でこそこそとグレイに何かを言い始める。
「だが、私はずっとここにいたからだいぶ冷えてきたぞ。グレイ、お前のマフラーを貸してくれ」
「嫌ですよ。俺だって寒いんです。大体あなたもマフラーをしているでしょう?」
「しているが寒いんだ! 耐えられない!」
「じゃあ塔に戻りましょう」
「い・や・だ!!」
グレイは呆れたような視線とため息。
私も彼らのやり取りに思わず苦笑しつつ、かまくら内部を見回した。
狭いけれど、秘密基地的な空間になんだかわくわくする。
ござらしきものが敷いてあり、座布団が完備されていて、中央には小さなテーブルと七輪がある。(和風!!)
天井は低くてグレイは少しかがんでいるけれど、座って4人で過ごすのはぴったりサイズな気がした。
「すごいね、本格的……!」
思わずつぶやくと、それまで寒がっていたナイトメアは急に元気になる。
「そうだろうそうだろう? ここで餅を焼いたりみかんを食べたりするんだ」
「え、ここで?」
彼の言葉にアリスはテンションが上がったらしい。(いい反応!)
「じゃあさっそく準備しましょうよ! ほら、ナイトメア!早く取ってきて」
「え、なんで私が……」
「言いだしっぺでしょう?」
「やだ、寒い。ここから出たくない。グレイ、お前が行って来い」
こらこら、グレイは部下であってパシリではないんですけど。
人の彼氏をこき使わないでほしいなぁ。
私が口を挟もうとしたら、グレイは淡々と言った。
「別にいいですけど、ついでに薬も持ってきていいですか? いいですよね?
こんな寒い場所に長いこといたら、体に差し支えます。念のため普段のくすりにプラスアルファで別の物も用意してきます」
そう言ってかまくらを出ようとするグレイを、ナイトメアが大声で制止した。
「待てーい!!」
「なんですか?」
ちらりと振り返るグレイの肩をポンとたたきながら、ナイトメアがかっこよさげな声を出す。
「……私が行こう。行かせてくれ! お前はここで大人しく待っていなさい」
「体の弱い上司に、この寒空の中みかんを持ってこさせるなんて俺にはできないですよ、ナイトメア様」
「いいんだ!! 私がみかんを持ってくる!! だからお前はここで楽しく彼女たちと語らっていなさい!!」
そう言うが早いかナイトメアはばーっとかまくらを出て行った。
かまくらの中から、ナイトメアの後ろ姿を見送る私達。
「……よっぽど薬がいやなんだね」
「さすがグレイ、うまく扱うわね」
唖然とする私とアリスにグレイは小さく笑った。
「一応俺も行ってくる。雪の上で倒れられたら困るし、毛布と薬も持ってきたいからな」
結局は出て行こうとするグレイ。
するとアリスがそれを止めた。
「いいわ、グレイ。私が行くから。薬も持ってくるわね」
「しかし……」
「いいのいいの!毛布はナイトメアに持たせるから」
「あぁ、ありがとう。アリス。俺が行くよりも君の方が警戒されなそうだ」
というわけで、私はグレイとかまくらに残ることになった。
座布団に座って、私はもう一度かまくら内部を見回した。
「すごいね、かまくらってあったかいんだね」
「あぁ。暖かいと言っても外がもっと寒いだけだがな」
「ふぅん。でも、いいよね。ここでみかんとかお餅とか食べるのって楽しそう!」
「名無しさんならそう言うと思った」
隣に座ったグレイはそう言ってふわりと笑う。
「だが、さっきも言った通り外よりも暖かいというだけで、この中の気温は0度近い。長居する場所じゃないぞ」
「確かに。ずっといると冷えてきそう」
実はすでに足元からじんじんとしびれるくらい冷えてきている。
私は目の前の七輪に手をかざした。
「名無しさん」
不意に名前を呼ばれて彼を見ると、ふわりと首にマフラーをかけられた。
紺色で柔らかい上質なマフラー。
「少しは違うだろう。かけておくといい」
グレイは自分のマフラーを私にかけながらそう言った。
「でも、グレイだって寒いでしょう?」
さっきナイトメアにそう言ってたよ、あなた。
すると彼は首を振った。
「いや、俺は大丈夫だ。名無しさんに風邪をひかれても嫌だからな」
拒否するところではないので、素直に彼の好意に甘えることにした。
マフラーはグレイのそばにいる時の匂いがして、なんだかすごくドキドキする。
「ありがとう」
そう言った時、マフラーをかけてくれる彼との顔の距離がものすごく近いことに気づいた。
思わずグレイを見つめると、私の視線に気づいたらしい彼も私をじっと見つめてきた。
そのまま私たちはキスをする。
しかしグレイの冷たい唇にびっくりして、思わず目を開けてしまった。
私にマフラー巻いてる場合じゃないよ、自分で使いなよ、そう主張しようと思ってキスを止めようとする。
するとグレイが薄く目を開けた。唇がほんの少しだけ離れる。
「グレイ、やっぱりこれ……」
そう言いかけた時だった。
「名無しさん、つまらないことを気にしないでくれ」
グレイは低い声でそうささやいたかと思うと、すぐにまた唇を重ねる。
深くなる口づけに押し倒されるようにして、私は雪の壁に背を預けてしまったけれど、冷たさを感じたのは唇が離れてからのこと。