アンケートお礼その1
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【くるしい】
ハートの城の廊下でエースにばったり出会った。
いつも爽やかさ120%の胡散臭い笑顔を振りまいている彼だけれど、今日はなんだか違った。
笑顔だけれど、なんだか暗い感じがするのだ。
「やぁ、名無しさん。こんにちは」
エースは私を見ると、いつも通り声をかけてきた。
でも、やっぱり表情は硬いような気がする。
「こんにちは、エース。旅の途中ですか?」
「うん。自分の部屋に帰ろうかと思って」
「案内しようか?」
「うん。それじゃあ頼もうかな」
珍しく素直に案内を頼んできたエース。やっぱりおかしい。
廊下を歩きながら、私はエースを盗み見る。
じっと一点を見つめたまま無言で歩いている。
なにを考えているんだろう?
気になったけれどなんとなく声をかけづらくて、当たり障りのない話をほんの少ししただけだった。
そのうちにエースの部屋にたどり着く。
「はい、ここがエースの部屋」
「ありがとう、名無しさん」
彼はにこりと笑って「それじゃあ」と私に背を向ける。
彼の後姿を見たその瞬間、私は彼の手を掴んでいた。
「待って」
「? どうしたの、名無しさん」
彼は驚いた様な表情を一瞬見せたけれど、すぐにいつもの穏やかな笑顔で私を見る。
「エースこそどうしたの? なんだか元気ないよね?」
思い切ってそう切り出すと、彼は初めてそこで私をじっと見つめた。
「俺、元気ないように見える?」
「うん。見える。いつものエースと違うからちょっと心配だよ」
素直にそう言うと、彼は「心配?」とつぶやいた。
「俺のこと心配してくれてるの?」
「うん。心配してるよ。体調悪いなら薬でも持ってこようか?」
いらないって言われるような気がしたけれど、とりあえず提案してみた。
すると彼はふっと表情を緩める。
「ありがとう、名無しさん。でも薬はいらないよ」
やっぱりねと思いつつうなずくと、彼は私の腕を掴んだ。
「え?」と思う間もなくエースは私を部屋に引き込むと、ばたんとドアを閉める。
そして私を肩を掴んだ。
「薬じゃ治らないんだ。気分の問題だから」
「え?」
私の肩を掴む彼の手は大きくて重い。
「俺の今の最悪な気分、名無しさんが治してよ」
エースはそう言いながら私に顔を近づけて来た。
ほんの少し唇が触れた瞬間、反射的に私はぐいっと彼の胸を押し返す。
「ちょ、ちょっとエース! なに!?」
「キスしようかな、と」
「はぁ!?」
「俺のこと、心配してくれてるんだろ?」
「そうだけどっ……それとこれとは別でしょ!?」
「別かな。うん、そうかもしれない。俺がただ君に触れたいだけかもしれないな」
淡々とした表情の彼は小さく笑ってそう言った。
意味が分からない。この人は一体何を考えているんだろう。
目の前のエースがなんだかすごく遠く感じる。
しんと静まり返った部屋で、彼は私を見つめながらそっと言った。
「でも、ちょっとだけならいいだろ?」
なにが、と思う間もなくキスをされた。
肩に乗せられた手はいつのまにか頬や髪をなでていく。
それと共に深くなるキスはちょっと乱暴で苦しい。頭がぼんやりして、何も考えられなくなる。
彼を押し返そうにも力が入らなかった。
そっと唇を離したエースは穏やかに微笑んだ。
「苦しかった?」
甘い言葉を囁くようにそんなことを言う。
「名無しさんを傷つければ、俺の傷はふさがるような気がする」
「そんなわけないでしょう? 最低なこといわないで」
なんだかぞくりとして、小さな声で言い返す。
すると、彼はふわりと微笑んだ。
「うん、そうだね。君を傷つけても、俺は楽になんてなれない。でも、名無しさんが一緒に苦しんでくれるなら、このまま苦しくてもいいような気がするんだ」
エースは私を見ているけれど、見ていない。
何か別にあるものを見ているような目だった。
「エースはくるしいの?」
思わずそう尋ねると、エースと視線がばちりと合った。
それでもエースは微笑むだけ。
「好きだよ。だから名無しさんを傷つけたい」
そう言って甘いキスをする彼は、なにに苦しんでいるんだろう?
ハートの城の廊下でエースにばったり出会った。
いつも爽やかさ120%の胡散臭い笑顔を振りまいている彼だけれど、今日はなんだか違った。
笑顔だけれど、なんだか暗い感じがするのだ。
「やぁ、名無しさん。こんにちは」
エースは私を見ると、いつも通り声をかけてきた。
でも、やっぱり表情は硬いような気がする。
「こんにちは、エース。旅の途中ですか?」
「うん。自分の部屋に帰ろうかと思って」
「案内しようか?」
「うん。それじゃあ頼もうかな」
珍しく素直に案内を頼んできたエース。やっぱりおかしい。
廊下を歩きながら、私はエースを盗み見る。
じっと一点を見つめたまま無言で歩いている。
なにを考えているんだろう?
気になったけれどなんとなく声をかけづらくて、当たり障りのない話をほんの少ししただけだった。
そのうちにエースの部屋にたどり着く。
「はい、ここがエースの部屋」
「ありがとう、名無しさん」
彼はにこりと笑って「それじゃあ」と私に背を向ける。
彼の後姿を見たその瞬間、私は彼の手を掴んでいた。
「待って」
「? どうしたの、名無しさん」
彼は驚いた様な表情を一瞬見せたけれど、すぐにいつもの穏やかな笑顔で私を見る。
「エースこそどうしたの? なんだか元気ないよね?」
思い切ってそう切り出すと、彼は初めてそこで私をじっと見つめた。
「俺、元気ないように見える?」
「うん。見える。いつものエースと違うからちょっと心配だよ」
素直にそう言うと、彼は「心配?」とつぶやいた。
「俺のこと心配してくれてるの?」
「うん。心配してるよ。体調悪いなら薬でも持ってこようか?」
いらないって言われるような気がしたけれど、とりあえず提案してみた。
すると彼はふっと表情を緩める。
「ありがとう、名無しさん。でも薬はいらないよ」
やっぱりねと思いつつうなずくと、彼は私の腕を掴んだ。
「え?」と思う間もなくエースは私を部屋に引き込むと、ばたんとドアを閉める。
そして私を肩を掴んだ。
「薬じゃ治らないんだ。気分の問題だから」
「え?」
私の肩を掴む彼の手は大きくて重い。
「俺の今の最悪な気分、名無しさんが治してよ」
エースはそう言いながら私に顔を近づけて来た。
ほんの少し唇が触れた瞬間、反射的に私はぐいっと彼の胸を押し返す。
「ちょ、ちょっとエース! なに!?」
「キスしようかな、と」
「はぁ!?」
「俺のこと、心配してくれてるんだろ?」
「そうだけどっ……それとこれとは別でしょ!?」
「別かな。うん、そうかもしれない。俺がただ君に触れたいだけかもしれないな」
淡々とした表情の彼は小さく笑ってそう言った。
意味が分からない。この人は一体何を考えているんだろう。
目の前のエースがなんだかすごく遠く感じる。
しんと静まり返った部屋で、彼は私を見つめながらそっと言った。
「でも、ちょっとだけならいいだろ?」
なにが、と思う間もなくキスをされた。
肩に乗せられた手はいつのまにか頬や髪をなでていく。
それと共に深くなるキスはちょっと乱暴で苦しい。頭がぼんやりして、何も考えられなくなる。
彼を押し返そうにも力が入らなかった。
そっと唇を離したエースは穏やかに微笑んだ。
「苦しかった?」
甘い言葉を囁くようにそんなことを言う。
「名無しさんを傷つければ、俺の傷はふさがるような気がする」
「そんなわけないでしょう? 最低なこといわないで」
なんだかぞくりとして、小さな声で言い返す。
すると、彼はふわりと微笑んだ。
「うん、そうだね。君を傷つけても、俺は楽になんてなれない。でも、名無しさんが一緒に苦しんでくれるなら、このまま苦しくてもいいような気がするんだ」
エースは私を見ているけれど、見ていない。
何か別にあるものを見ているような目だった。
「エースはくるしいの?」
思わずそう尋ねると、エースと視線がばちりと合った。
それでもエースは微笑むだけ。
「好きだよ。だから名無しさんを傷つけたい」
そう言って甘いキスをする彼は、なにに苦しんでいるんだろう?