旅は道連れ
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【9.恋仲】
いつも通りの爽やかな笑顔を振りまいて水浴びから戻ってきたエース。
アリスと会ったことを彼は一言も言わなかった。
それどころか「魚取ってきたんだー。食べようよ」と言う。
私もアリスのことは聞かなかった。
彼女と楽しそうに話してた姿はなんだかちょっとショックだったし、それを気にしている自分や、こっそりと彼らを見ていた自分が少し嫌だったのだ。
「名無しさん、どうしたの?さっきからなんだか変」
魚を焼いている間にエースが私を見て言った。
座っている私に近づいて屈みこむと、エースは私をまっすぐに見る。
水浴びで体が冷えているせいか、いつもよりも色が白いように見えるエース。
濡れている髪になんだかドキッとしてしまった。
「変ってどういう意味ですか」
アリスと仲良く話している姿を思い出した瞬間、口調がきつくなってしまった。
「うーん、どういう意味っていうか、元気がなさそう。体調悪い?もしかして」
彼は首を傾げながらそう言うと、私のおでこにぴたっと手を当てた。
突然の行動と、その手のひらの冷たさにびっくりしてしまう。
「うわ、思った以上に熱いや。名無しさん熱あるよ、これ」
「え?エースの手が冷たいだけじゃない?」
「……呑気だなぁ。どう見たっていつもと違う顔してるぜ?ちょっと寝た方がいいよ」
彼はそういうとあっというまにテントを広げ、あれよあれよという間に私をテントに押し込んだ。
かなり強引な展開に戸惑っていると、エースはどこからか毛布を引っ張り出してきた。
「寝てて。薬探してくるから。確か持ってたはずなんだ」
「別に体調悪くなんてないから大丈夫だよ!」
そう言うと、エースは「はぁ~」とわざとらしいくらい大きなため息をついた。
「まったくどうしてこういうときに意地を張るんだろうね、名無しさんは。
体調の悪い君を連れまわすほど、俺だって薄情なつもりはないんだけど?」
「ご、ごめん。そういう意味じゃ……」
珍しくむっとした様子のエースに慌てて謝ると、彼はふっと笑った。
「それじゃあ大人しく寝ていてよ。そうしないと、無理やり寝かしつけてあげることになるけど?」
「……寝ます」
うなずく私に、エースはふわりと笑うと頭をポンとなでて、テントから出て行った。
体調は悪くない。熱だってない。彼の手が冷たかっただけだ。
でも体調が悪いというか、気分が落ち込んでいるのは自分でも良くわかる。
アリスとエースの仲の良さにショックを受けてしまったのだ。
それが表情に出てしまっていたのだろう。
エースが私を見て「なんだか変」と言ったのも、私の落ち込んだ心のせいだと思う。
「好きだ」と言われて、自分だけがエースにとって特別だと心のどこかで思っていたのかもしれない。
エースはいつだって笑っていて、本心が見えない。
彼の言葉だってどこまで本当かわからない。
たまたま今回一緒に旅をしているのが私だから、「好きだ」と言ってくれただけであって
本当はアリスみたいに可愛い子が好きなのかもしれない。
そう思っていたら、涙がぽろりと頬を伝っていた。
うわ、なんで泣いてるんでしょう私は!
不安定すぎる。
その時、テントの入り口が開いたので、私は慌てて涙を拭うと体を起こした。
彼は私の隣りに来て座るとコップと薬を差し出す。
「名無しさん、ごめん。胃腸薬しかなかった。俺風邪とか引かないタイプだからさ」
「うん、そうだろうね。っていうかエースが胃腸薬を持っていることにびっくりだよ」
「旅の途中で必要に迫られて、食べられそうな野草とかキノコとか食べるからさ。たまにおなかに当たるときがあるんだ」
「……おなかに当たる程度ですんで良かったよね」
「はははっ!そうだね。で?薬飲む?」
「いらない。水だけもらう」
いつもの調子のエースに、私もいつも通りに答える。
水を飲んで一息つくと、エースがこう切り出した。
「それで?何を1人で泣いていたの?名無しさん」
「え」
「今泣いてたよね? でも話していた感じだと、泣くほど体調が悪い訳でもないみたいだ。何かあった?」
……なにこの人。
本当に意味がわからない。
鋭いのか、賢いのか。
鈍いのか、カンがいいのか。
わからないけど、エースは私を本当に振り回す。
黙り込む私。
「元気のない君を見るのって、おもしろくないよ」
「……おもしろいとか、おもしろくないとか、そういう基準で人を見てたの?」
「はははっ!帽子屋さんじゃあるまいし、そこまでおもしろさは求めていないよ?
俺、うじうじしてる人を見るのって嫌いじゃないしね」
「珍しいタイプだね」
「でも、名無しさんが悩んだりうじうじしてるのって、あんまり見ていて楽しくない。なんでだか自分でもわからないけどね」
エースは爽やかな笑顔でそう言った。
反応に困るセリフと笑顔。
「俺は、俺みたいにいつも笑っているようなタイプって嫌いなんだ。嘘っぽいし、鬱陶しいからね。
でも、名無しさんだと不思議に気にならない。いつも笑ってる君を困らせてみたいなーとかはよく思うけど」
いじめっ子発言全開なのに、そうは見えない所がエースらしい。
「だから、そうやって一人でめそめそ泣くのとかやめてくれよ」
「別に私が泣こうがどうしようがエースには関係ないでしょう?」
「そうだけどさ、俺君のことが好きだから、泣いている理由が俺以外のことだったら気分悪いんだ」
「うわぁ、我がまますぎるよね、それ。
じゃあもしも、そういう自分勝手なエースに振り回されて、実は私が一人がこっそり泣いているって言ったら、ちゃんと反省するわけ?」
いや、するわけないだろうなぁと思いながらそう尋ねると、彼はしばらくじっと私を見てから言った。
「もしそうなら、俺が慰めてあげるよ。ちゃーんと優しく、ね?」
もしもの話なのに、エースは私の頭に手を伸ばして髪を撫でる。
近づく距離にドキっとして「もしもの話だよ」付け加えると、彼はうなずいた。
「うん。もしもの話、だよね」
静かに笑うエースは、私の頭をそのまま抱えるようにして抱き寄せる。
「もしも名無しさんがアリスに嫉妬してるなら、俺が慰めてあげなくちゃいけないよな」
「!」
びっくりする私に、エースが意地悪な笑みを浮かべた。
「はははっ!やっぱりね。アリスと俺のことこっそり見てたんだ?可愛いよなぁ」
「!?」
私が彼らのやり取りを見ていたことも、仲の良さにショックを受けていたことも、全部気づいていたらしい。
気づいたうえでこの流れ。
……まさかとは思うけど、はめられたのだろうか?
「他の子に嫉妬するなんて、やっと俺のこと好きになってくれたんだ?」
「……別に嫉妬なんて……」
「じゃあ体調が悪いわけでもないのに、元気がないのはどうしてなんだ?」
エースは穏やかに聞いてくる。
たぶん答えがわかりきってるからだろう。意地悪すぎる。
「ね、名無しさん。そろそろ認めちゃえば?俺のこと、好きでしょう?」
優しい口調で、とんでもなく恥ずかしいことを言うエース。
黙り込む私だったけれどじっとこちらを見る彼は、答えるまで逃がしてくれそうもなかった。
「俺は名無しさんが好きだよ。アリスに嫉妬する君が見られて楽しかったな」
「……性格悪すぎる」
「はははっ!ひどいなー、俺はただ君のことが好きなだけなのに」
くすくす笑うエースに呆れつつも、彼の言葉がどうしようもなく嬉しかった。
中身にかなり問題があるエース。
振り回されっぱなしだけれど、それは彼のことが好きだからだ。
彼の言う通り、そこは認めなくてはならないだろう。
意を決してエースを見ると、彼は優しい目でこちらを見ていた。
うわ……緊張するな……なにこの改まった感じ。
どう切り出して良いのかわからずに、視線が泳ぎかけた時だった。
「名無しさん、今さら逃げるのはなしだぜ?」
エースがそう言って、私の頬に触れた。
ドキドキしすぎて体に良くない。
もう言うしかない。
「……私も好き」
ものすごく顔が熱い。
心臓がドクドクしている。
「うん、俺も好き」
エースはそう言って私に顔を近づけた。
いつもの笑顔から、真剣な表情にかわる瞬間を間近で見てしまい、頭が真っ白になる。
なんだかほわほわとエースの顔が霞がかって見えた。
やだな、これって乙女の視界なのかしら?
と思ったその時、そのほわほわとした白い霞は、気のせいではなくて外から流れ込んでくることに気づいた。
「……なんか煙がすごくない?」
「……うん、焦げ臭い。あ、忘れてた」
キスの直前だったけれど、私たちは固まった。
一瞬のうちに煙と焦げ臭さで全てを悟る。
私たちはテントを出ると、すぐそばのたき火を見た。
「エース、魚焦げてる!っていうか燃えてるけど!?」
「あー、せっかく食べようと思ったのになー」
消火活動するべきかと動揺する私と、口を尖らせておっとりというエース。
「魚も名無しさんもお預けかー」
「お預けって……」
「あ、名無しさんはお預けしなくてもいいのかな?」
そう言ってぐいっと私を引き寄せるエース。
「体調悪いんで寝ます」
私はエースの体をドンと押し返すと、テントに入った。
「はははっ!じゃあ残念だけど、また今度だね」
外から楽しそうなエースの声が聞こえた。
なんだかものすごくドキドキして、私は頭まで毛布をかぶるとぎゅっと目を閉じた。
いつも通りの爽やかな笑顔を振りまいて水浴びから戻ってきたエース。
アリスと会ったことを彼は一言も言わなかった。
それどころか「魚取ってきたんだー。食べようよ」と言う。
私もアリスのことは聞かなかった。
彼女と楽しそうに話してた姿はなんだかちょっとショックだったし、それを気にしている自分や、こっそりと彼らを見ていた自分が少し嫌だったのだ。
「名無しさん、どうしたの?さっきからなんだか変」
魚を焼いている間にエースが私を見て言った。
座っている私に近づいて屈みこむと、エースは私をまっすぐに見る。
水浴びで体が冷えているせいか、いつもよりも色が白いように見えるエース。
濡れている髪になんだかドキッとしてしまった。
「変ってどういう意味ですか」
アリスと仲良く話している姿を思い出した瞬間、口調がきつくなってしまった。
「うーん、どういう意味っていうか、元気がなさそう。体調悪い?もしかして」
彼は首を傾げながらそう言うと、私のおでこにぴたっと手を当てた。
突然の行動と、その手のひらの冷たさにびっくりしてしまう。
「うわ、思った以上に熱いや。名無しさん熱あるよ、これ」
「え?エースの手が冷たいだけじゃない?」
「……呑気だなぁ。どう見たっていつもと違う顔してるぜ?ちょっと寝た方がいいよ」
彼はそういうとあっというまにテントを広げ、あれよあれよという間に私をテントに押し込んだ。
かなり強引な展開に戸惑っていると、エースはどこからか毛布を引っ張り出してきた。
「寝てて。薬探してくるから。確か持ってたはずなんだ」
「別に体調悪くなんてないから大丈夫だよ!」
そう言うと、エースは「はぁ~」とわざとらしいくらい大きなため息をついた。
「まったくどうしてこういうときに意地を張るんだろうね、名無しさんは。
体調の悪い君を連れまわすほど、俺だって薄情なつもりはないんだけど?」
「ご、ごめん。そういう意味じゃ……」
珍しくむっとした様子のエースに慌てて謝ると、彼はふっと笑った。
「それじゃあ大人しく寝ていてよ。そうしないと、無理やり寝かしつけてあげることになるけど?」
「……寝ます」
うなずく私に、エースはふわりと笑うと頭をポンとなでて、テントから出て行った。
体調は悪くない。熱だってない。彼の手が冷たかっただけだ。
でも体調が悪いというか、気分が落ち込んでいるのは自分でも良くわかる。
アリスとエースの仲の良さにショックを受けてしまったのだ。
それが表情に出てしまっていたのだろう。
エースが私を見て「なんだか変」と言ったのも、私の落ち込んだ心のせいだと思う。
「好きだ」と言われて、自分だけがエースにとって特別だと心のどこかで思っていたのかもしれない。
エースはいつだって笑っていて、本心が見えない。
彼の言葉だってどこまで本当かわからない。
たまたま今回一緒に旅をしているのが私だから、「好きだ」と言ってくれただけであって
本当はアリスみたいに可愛い子が好きなのかもしれない。
そう思っていたら、涙がぽろりと頬を伝っていた。
うわ、なんで泣いてるんでしょう私は!
不安定すぎる。
その時、テントの入り口が開いたので、私は慌てて涙を拭うと体を起こした。
彼は私の隣りに来て座るとコップと薬を差し出す。
「名無しさん、ごめん。胃腸薬しかなかった。俺風邪とか引かないタイプだからさ」
「うん、そうだろうね。っていうかエースが胃腸薬を持っていることにびっくりだよ」
「旅の途中で必要に迫られて、食べられそうな野草とかキノコとか食べるからさ。たまにおなかに当たるときがあるんだ」
「……おなかに当たる程度ですんで良かったよね」
「はははっ!そうだね。で?薬飲む?」
「いらない。水だけもらう」
いつもの調子のエースに、私もいつも通りに答える。
水を飲んで一息つくと、エースがこう切り出した。
「それで?何を1人で泣いていたの?名無しさん」
「え」
「今泣いてたよね? でも話していた感じだと、泣くほど体調が悪い訳でもないみたいだ。何かあった?」
……なにこの人。
本当に意味がわからない。
鋭いのか、賢いのか。
鈍いのか、カンがいいのか。
わからないけど、エースは私を本当に振り回す。
黙り込む私。
「元気のない君を見るのって、おもしろくないよ」
「……おもしろいとか、おもしろくないとか、そういう基準で人を見てたの?」
「はははっ!帽子屋さんじゃあるまいし、そこまでおもしろさは求めていないよ?
俺、うじうじしてる人を見るのって嫌いじゃないしね」
「珍しいタイプだね」
「でも、名無しさんが悩んだりうじうじしてるのって、あんまり見ていて楽しくない。なんでだか自分でもわからないけどね」
エースは爽やかな笑顔でそう言った。
反応に困るセリフと笑顔。
「俺は、俺みたいにいつも笑っているようなタイプって嫌いなんだ。嘘っぽいし、鬱陶しいからね。
でも、名無しさんだと不思議に気にならない。いつも笑ってる君を困らせてみたいなーとかはよく思うけど」
いじめっ子発言全開なのに、そうは見えない所がエースらしい。
「だから、そうやって一人でめそめそ泣くのとかやめてくれよ」
「別に私が泣こうがどうしようがエースには関係ないでしょう?」
「そうだけどさ、俺君のことが好きだから、泣いている理由が俺以外のことだったら気分悪いんだ」
「うわぁ、我がまますぎるよね、それ。
じゃあもしも、そういう自分勝手なエースに振り回されて、実は私が一人がこっそり泣いているって言ったら、ちゃんと反省するわけ?」
いや、するわけないだろうなぁと思いながらそう尋ねると、彼はしばらくじっと私を見てから言った。
「もしそうなら、俺が慰めてあげるよ。ちゃーんと優しく、ね?」
もしもの話なのに、エースは私の頭に手を伸ばして髪を撫でる。
近づく距離にドキっとして「もしもの話だよ」付け加えると、彼はうなずいた。
「うん。もしもの話、だよね」
静かに笑うエースは、私の頭をそのまま抱えるようにして抱き寄せる。
「もしも名無しさんがアリスに嫉妬してるなら、俺が慰めてあげなくちゃいけないよな」
「!」
びっくりする私に、エースが意地悪な笑みを浮かべた。
「はははっ!やっぱりね。アリスと俺のことこっそり見てたんだ?可愛いよなぁ」
「!?」
私が彼らのやり取りを見ていたことも、仲の良さにショックを受けていたことも、全部気づいていたらしい。
気づいたうえでこの流れ。
……まさかとは思うけど、はめられたのだろうか?
「他の子に嫉妬するなんて、やっと俺のこと好きになってくれたんだ?」
「……別に嫉妬なんて……」
「じゃあ体調が悪いわけでもないのに、元気がないのはどうしてなんだ?」
エースは穏やかに聞いてくる。
たぶん答えがわかりきってるからだろう。意地悪すぎる。
「ね、名無しさん。そろそろ認めちゃえば?俺のこと、好きでしょう?」
優しい口調で、とんでもなく恥ずかしいことを言うエース。
黙り込む私だったけれどじっとこちらを見る彼は、答えるまで逃がしてくれそうもなかった。
「俺は名無しさんが好きだよ。アリスに嫉妬する君が見られて楽しかったな」
「……性格悪すぎる」
「はははっ!ひどいなー、俺はただ君のことが好きなだけなのに」
くすくす笑うエースに呆れつつも、彼の言葉がどうしようもなく嬉しかった。
中身にかなり問題があるエース。
振り回されっぱなしだけれど、それは彼のことが好きだからだ。
彼の言う通り、そこは認めなくてはならないだろう。
意を決してエースを見ると、彼は優しい目でこちらを見ていた。
うわ……緊張するな……なにこの改まった感じ。
どう切り出して良いのかわからずに、視線が泳ぎかけた時だった。
「名無しさん、今さら逃げるのはなしだぜ?」
エースがそう言って、私の頬に触れた。
ドキドキしすぎて体に良くない。
もう言うしかない。
「……私も好き」
ものすごく顔が熱い。
心臓がドクドクしている。
「うん、俺も好き」
エースはそう言って私に顔を近づけた。
いつもの笑顔から、真剣な表情にかわる瞬間を間近で見てしまい、頭が真っ白になる。
なんだかほわほわとエースの顔が霞がかって見えた。
やだな、これって乙女の視界なのかしら?
と思ったその時、そのほわほわとした白い霞は、気のせいではなくて外から流れ込んでくることに気づいた。
「……なんか煙がすごくない?」
「……うん、焦げ臭い。あ、忘れてた」
キスの直前だったけれど、私たちは固まった。
一瞬のうちに煙と焦げ臭さで全てを悟る。
私たちはテントを出ると、すぐそばのたき火を見た。
「エース、魚焦げてる!っていうか燃えてるけど!?」
「あー、せっかく食べようと思ったのになー」
消火活動するべきかと動揺する私と、口を尖らせておっとりというエース。
「魚も名無しさんもお預けかー」
「お預けって……」
「あ、名無しさんはお預けしなくてもいいのかな?」
そう言ってぐいっと私を引き寄せるエース。
「体調悪いんで寝ます」
私はエースの体をドンと押し返すと、テントに入った。
「はははっ!じゃあ残念だけど、また今度だね」
外から楽しそうなエースの声が聞こえた。
なんだかものすごくドキドキして、私は頭まで毛布をかぶるとぎゅっと目を閉じた。
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