旅は道連れ
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【5.接吻】
夜になったしテントで休もう。
エースの提案は至極まっとうなものだと思う。
思うのだけれど、「うんそうしよう!」と元気いっぱい答えることができない私がいた。
時間帯が変わり夜になった。
テントで休もうというエースはさっさとテントの組み立てを始めた。
「テントに入るって2人で?」
「いや、でも待って。私も一応女子だし、いくらエースにその気がないとしても夜のテントに二人きりはさすがに気まずい」
などと、私がぐだぐだ考えている間にテントは出来上がっていた。恐るべき手際の良さ。
「お待たせ。はい。どうぞ」
エースはそう言いながらテントの入り口を開けてくれた。
「う、うん」
頷きつつも、入るのをためらっている私にエースは首を傾げた。
「どうしたの?名無しさん」
「いや、別に……」
「もしかして狭い所が苦手? 心配しなくても結構広いよ」
「う、うん」
なんだかずれた発言をするエースに、自分が考えすぎなのかしらと思った時だった。
「あ、もしかして俺のこと警戒してるとか?」
「!」
あっけらかんと言われた。
思わずエースを見ると、彼は楽しそうにこう言った。
「そうだよなー。この状況だと、俺が名無しさんに手を出しちゃうかもしれないもんな。ははは!」
「ははは!じゃないでしょうよ」
自分からすごいことを言いだしたエースに呆れてしまう。
でも、「エースにとっては笑っちゃうくらいありえない話だってことなんだ」ということに気づいた。
自分が変に考えすぎていたんだわ、と私は気まずいやら恥ずかしいやらで何も言い返せなかった。
すると、エースは楽しそうに私を見ながらこう言った。
「大丈夫だよ。なるべく気を付けるから」
何を!?
にこっと笑いながら言うエースにそうツッコみたくなったけれど、言ったら終わりな気がしたのでとりあえず黙っておく。
すると、エースはそんな私を見てくすくすと笑った。
……こいつ、絶対面白がってるな。(その気もないくせに!)
私はあまり深く考えないことにした。
「それじゃあお邪魔します」
「はい、どうぞ」
入り口を開けてくれているエースは、まだくすくす笑っている。
本当にどれだけ面白がられてるんだろう私。(というよりもエースの性格に問題ありなのかも)
テントに入る瞬間に、非難の意味を込めて彼を見ると視線がぶつかった。
「!」
予想に反して穏やかな瞳。
包み込むようなその視線にドキリとして、私はぱっと顔をそむけた。
なんだか異常なくらい恥ずかしいというか、ものすごく彼を意識してしまった。
そのせいかもしれない。
テントに入ろうとかがんでいた私は、ほんの少しバランスを崩し、よろけてしまった。
「わ!?」
すると、その瞬間腕を掴まれる。
エースがいつもの爽やかな表情で私を覗き込んでいた。
「大丈夫? 名無しさん」
「ご、ごめん、ありがと」
何もない所でよろけるとか、どれだけドンくさいのだ私は。
情けない。恥ずかしい。
自分にあきれ果てつつ、エースの手をほどこうとする。
しかし、その手は離れなかった。
不思議に思って彼を見上げた時だった。
ふっと顔が近づいてきて、キスをされた。
突然すぎて固まる私。
唇が離れてからエースは小さく笑ってこう言った。
「名無しさんって見ていて全然飽きないよね」
なるべく気を付けるけど、なんかしちゃうかもね?
そんなことを爽やかに耳元でささやくとか、この人どうかしている。
全身がかっと熱くなった私はエースからさっと離れてテントに入ると、入り口をぴっと閉めてやった。
「あ、なにそれ。まさか俺、閉め出された?」
「絶対入れないから!」
「えー、ひどいぜ。俺のテントなのに」
「うるさい。騎士は外で見張り番に決まってるでしょう!」
「ちぇ。つれないよなぁ、名無しさんは」
そんな呑気な声が外から聞こえてくる。
さっきから私ばっかり彼を意識してるみたいだ。
思いっきり心臓がバクバクしているし、耳まで熱い。
私は震える手で入り口をぎゅっと掴んだ。
テントで2人きりを警戒していたけれど、テントに入る前からおかしなことになってしまった。
この時間帯は、まだまだ変わりそうもない。
夜になったしテントで休もう。
エースの提案は至極まっとうなものだと思う。
思うのだけれど、「うんそうしよう!」と元気いっぱい答えることができない私がいた。
時間帯が変わり夜になった。
テントで休もうというエースはさっさとテントの組み立てを始めた。
「テントに入るって2人で?」
「いや、でも待って。私も一応女子だし、いくらエースにその気がないとしても夜のテントに二人きりはさすがに気まずい」
などと、私がぐだぐだ考えている間にテントは出来上がっていた。恐るべき手際の良さ。
「お待たせ。はい。どうぞ」
エースはそう言いながらテントの入り口を開けてくれた。
「う、うん」
頷きつつも、入るのをためらっている私にエースは首を傾げた。
「どうしたの?名無しさん」
「いや、別に……」
「もしかして狭い所が苦手? 心配しなくても結構広いよ」
「う、うん」
なんだかずれた発言をするエースに、自分が考えすぎなのかしらと思った時だった。
「あ、もしかして俺のこと警戒してるとか?」
「!」
あっけらかんと言われた。
思わずエースを見ると、彼は楽しそうにこう言った。
「そうだよなー。この状況だと、俺が名無しさんに手を出しちゃうかもしれないもんな。ははは!」
「ははは!じゃないでしょうよ」
自分からすごいことを言いだしたエースに呆れてしまう。
でも、「エースにとっては笑っちゃうくらいありえない話だってことなんだ」ということに気づいた。
自分が変に考えすぎていたんだわ、と私は気まずいやら恥ずかしいやらで何も言い返せなかった。
すると、エースは楽しそうに私を見ながらこう言った。
「大丈夫だよ。なるべく気を付けるから」
何を!?
にこっと笑いながら言うエースにそうツッコみたくなったけれど、言ったら終わりな気がしたのでとりあえず黙っておく。
すると、エースはそんな私を見てくすくすと笑った。
……こいつ、絶対面白がってるな。(その気もないくせに!)
私はあまり深く考えないことにした。
「それじゃあお邪魔します」
「はい、どうぞ」
入り口を開けてくれているエースは、まだくすくす笑っている。
本当にどれだけ面白がられてるんだろう私。(というよりもエースの性格に問題ありなのかも)
テントに入る瞬間に、非難の意味を込めて彼を見ると視線がぶつかった。
「!」
予想に反して穏やかな瞳。
包み込むようなその視線にドキリとして、私はぱっと顔をそむけた。
なんだか異常なくらい恥ずかしいというか、ものすごく彼を意識してしまった。
そのせいかもしれない。
テントに入ろうとかがんでいた私は、ほんの少しバランスを崩し、よろけてしまった。
「わ!?」
すると、その瞬間腕を掴まれる。
エースがいつもの爽やかな表情で私を覗き込んでいた。
「大丈夫? 名無しさん」
「ご、ごめん、ありがと」
何もない所でよろけるとか、どれだけドンくさいのだ私は。
情けない。恥ずかしい。
自分にあきれ果てつつ、エースの手をほどこうとする。
しかし、その手は離れなかった。
不思議に思って彼を見上げた時だった。
ふっと顔が近づいてきて、キスをされた。
突然すぎて固まる私。
唇が離れてからエースは小さく笑ってこう言った。
「名無しさんって見ていて全然飽きないよね」
なるべく気を付けるけど、なんかしちゃうかもね?
そんなことを爽やかに耳元でささやくとか、この人どうかしている。
全身がかっと熱くなった私はエースからさっと離れてテントに入ると、入り口をぴっと閉めてやった。
「あ、なにそれ。まさか俺、閉め出された?」
「絶対入れないから!」
「えー、ひどいぜ。俺のテントなのに」
「うるさい。騎士は外で見張り番に決まってるでしょう!」
「ちぇ。つれないよなぁ、名無しさんは」
そんな呑気な声が外から聞こえてくる。
さっきから私ばっかり彼を意識してるみたいだ。
思いっきり心臓がバクバクしているし、耳まで熱い。
私は震える手で入り口をぎゅっと掴んだ。
テントで2人きりを警戒していたけれど、テントに入る前からおかしなことになってしまった。
この時間帯は、まだまだ変わりそうもない。