旅は道連れ
お名前変換はこちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【2.本物】
エースとハートの城を目指すことになった私。
とても信じられないのだけれど、私の前を今エースが歩いている。
ハートの国のアリスというゲームの、あのエースだ。
私の目の前の彼は赤いコートをひらひらさせながら、ゆっくりと歩いている。
栗色の髪の毛は日の光にさらされて綺麗に光り、時折吹いてくる風にさらさらと揺れる。
まっすぐ前を見ていたかと思えば、ふと空を見上げたり、風に揺れる木々を見つめていたりと、彼は「旅」を楽しんでいるらしかった。
……本当に本物のエースだぁ。
彼の後ろ姿を見ていた私は、なんだかすごく感動してしまった。
この人はハトアリにおいていろんな意味で濃いキャラだということは知っている。
しかし、それを差っ引いても彼にときめいてしまうのだ。
なんだかんだイケメンですしね。爽やかだしね。(すみません、見た目が完全に好みのタイプなのです)
でも正直に言ってダークな面も含めてハトアリの中ではエースが好きでした私。
どうしよう、今さらながらドキドキしてきたぞ。
彼の背中を見ながら高鳴る胸を押さえつつ歩いていたら、不意にエースが振り返った。
「疲れてない、名無しさん? 大丈夫?」
長いことノンストップで歩いていた私達。
エースの気遣いが嬉しくて、私は「大丈夫」と頷いた。
本当はちょっと疲れたけれど、あまり迷惑をかけたくない。
そう思って、私は平気なふりをする。
するとエースはにこりと小さくうなずいてから、今度は違う質問をしてきた。
「名無しさんは旅が好き?」
「え?」
「こうやってのんびり歩く旅っていいと思わない?」
私の隣りに並んだエースは爽やかに笑った。
う、この爽やか笑顔は思った以上に破壊力があるのね……。
跳ね上がった鼓動を押さえようにも無理があるわ。
「い、いいと思う。たまになら」
ほんのちょっと声がうわずってしまった。
まずいと思ったけれど、それを気にした様子もなくエースは楽しそうに笑う。
「だよな。俺はこういう旅、すごく好きだよ。最近は一人旅ばっかりだったから、名無しさんがいる今回の旅はすごく楽しいぜ」
素敵な笑顔でそう言われて、私はどう答えていいのかわからなかった。
ただかーっと顔が熱くなったのがわかり、とりあえずうなずいて彼から視線を外す。
私の態度があからさまにおかしかったらしい。
エースは首をかしげながら私の顔を覗き込んできた。
「ねぇ、さっきから名無しさん変だよね。もしかして緊張してるの?」
う、なんて可愛らしい顔で見つめてくるんだこのやろう。(あざといな!)
思わず私は立ち止まってしまった。
恥ずかしさで顔を見られたくなかったので、逃げるように彼から顔をそむけた。
もちろん彼は、そこで許してくれるようなタイプではない。
「名無しさん、顔赤いよ?」
エースは私の頬に手を伸ばす。
手袋越しの大きな手に触れられて、私はびくりとして思いっきりのけぞってしまった。
おかげで彼の手から逃れたけれど、ものすごく変な体勢になった私。
エースは空中で手を止めたまま、身を引いて固まっている私を見た。
そして、楽しそうに笑い出した。
「あははは! すごいな、名無しさん。そんなにのけぞるなんて、背筋が強いんだね」
「背筋っていうか……いきなり女子のほっぺを触るとか騎士なんだからダメだよ! それに緊張なんてしてません」
変な褒め方をして大笑いする彼に、私は思わず可愛げのない答えをしてしまった。
エースはそんな私を楽しそうに見ながら、突然私の腕をつかむとそのまますいっと引っ張った。
「わ!?」
引き寄せられるというほどではないけれど、彼との距離がぐっと縮まった。
私の腕を掴んだままエースは笑顔を見せた。
「こうやっていきなり女の子を引き寄せるのもやっぱり騎士としてはダメだよなー、はははっ!」
「わ、わかってるならやめてよね!」
「でもほら、しばらくは一緒に旅するわけだし、仲良くしてよ」
悪びれずにそう言ったエースは、私の手を取ると何かを握らせた。
「?」
「それ、名無しさんにあげるよ」
にこにこ笑うエースの顔を見てから、私はそっと手のひらを開けてみた。
すると、私の手にはころんとした小さなキャンディの包みが1つのっていた。
「あともう少しだけ歩いたら休憩にするからさ、それ舐めてもうひと頑張りしてくれよ。な?」
彼はそう言ってふわりと笑った。
思わぬところで、思わぬ気遣いをされて、私は言葉に詰まってしまった。
エースはそんな私をにこにこと見ている。
「ありがと」
「どういたしまして」
お礼を言ったら優しい声で返事をされて、ドキドキしてしまった。
照れ隠しに私はかさかさと包みを開けてキャンディをほおばると、すでに歩き出していたエースの背中を追いかけた。
エースとハートの城を目指すことになった私。
とても信じられないのだけれど、私の前を今エースが歩いている。
ハートの国のアリスというゲームの、あのエースだ。
私の目の前の彼は赤いコートをひらひらさせながら、ゆっくりと歩いている。
栗色の髪の毛は日の光にさらされて綺麗に光り、時折吹いてくる風にさらさらと揺れる。
まっすぐ前を見ていたかと思えば、ふと空を見上げたり、風に揺れる木々を見つめていたりと、彼は「旅」を楽しんでいるらしかった。
……本当に本物のエースだぁ。
彼の後ろ姿を見ていた私は、なんだかすごく感動してしまった。
この人はハトアリにおいていろんな意味で濃いキャラだということは知っている。
しかし、それを差っ引いても彼にときめいてしまうのだ。
なんだかんだイケメンですしね。爽やかだしね。(すみません、見た目が完全に好みのタイプなのです)
でも正直に言ってダークな面も含めてハトアリの中ではエースが好きでした私。
どうしよう、今さらながらドキドキしてきたぞ。
彼の背中を見ながら高鳴る胸を押さえつつ歩いていたら、不意にエースが振り返った。
「疲れてない、名無しさん? 大丈夫?」
長いことノンストップで歩いていた私達。
エースの気遣いが嬉しくて、私は「大丈夫」と頷いた。
本当はちょっと疲れたけれど、あまり迷惑をかけたくない。
そう思って、私は平気なふりをする。
するとエースはにこりと小さくうなずいてから、今度は違う質問をしてきた。
「名無しさんは旅が好き?」
「え?」
「こうやってのんびり歩く旅っていいと思わない?」
私の隣りに並んだエースは爽やかに笑った。
う、この爽やか笑顔は思った以上に破壊力があるのね……。
跳ね上がった鼓動を押さえようにも無理があるわ。
「い、いいと思う。たまになら」
ほんのちょっと声がうわずってしまった。
まずいと思ったけれど、それを気にした様子もなくエースは楽しそうに笑う。
「だよな。俺はこういう旅、すごく好きだよ。最近は一人旅ばっかりだったから、名無しさんがいる今回の旅はすごく楽しいぜ」
素敵な笑顔でそう言われて、私はどう答えていいのかわからなかった。
ただかーっと顔が熱くなったのがわかり、とりあえずうなずいて彼から視線を外す。
私の態度があからさまにおかしかったらしい。
エースは首をかしげながら私の顔を覗き込んできた。
「ねぇ、さっきから名無しさん変だよね。もしかして緊張してるの?」
う、なんて可愛らしい顔で見つめてくるんだこのやろう。(あざといな!)
思わず私は立ち止まってしまった。
恥ずかしさで顔を見られたくなかったので、逃げるように彼から顔をそむけた。
もちろん彼は、そこで許してくれるようなタイプではない。
「名無しさん、顔赤いよ?」
エースは私の頬に手を伸ばす。
手袋越しの大きな手に触れられて、私はびくりとして思いっきりのけぞってしまった。
おかげで彼の手から逃れたけれど、ものすごく変な体勢になった私。
エースは空中で手を止めたまま、身を引いて固まっている私を見た。
そして、楽しそうに笑い出した。
「あははは! すごいな、名無しさん。そんなにのけぞるなんて、背筋が強いんだね」
「背筋っていうか……いきなり女子のほっぺを触るとか騎士なんだからダメだよ! それに緊張なんてしてません」
変な褒め方をして大笑いする彼に、私は思わず可愛げのない答えをしてしまった。
エースはそんな私を楽しそうに見ながら、突然私の腕をつかむとそのまますいっと引っ張った。
「わ!?」
引き寄せられるというほどではないけれど、彼との距離がぐっと縮まった。
私の腕を掴んだままエースは笑顔を見せた。
「こうやっていきなり女の子を引き寄せるのもやっぱり騎士としてはダメだよなー、はははっ!」
「わ、わかってるならやめてよね!」
「でもほら、しばらくは一緒に旅するわけだし、仲良くしてよ」
悪びれずにそう言ったエースは、私の手を取ると何かを握らせた。
「?」
「それ、名無しさんにあげるよ」
にこにこ笑うエースの顔を見てから、私はそっと手のひらを開けてみた。
すると、私の手にはころんとした小さなキャンディの包みが1つのっていた。
「あともう少しだけ歩いたら休憩にするからさ、それ舐めてもうひと頑張りしてくれよ。な?」
彼はそう言ってふわりと笑った。
思わぬところで、思わぬ気遣いをされて、私は言葉に詰まってしまった。
エースはそんな私をにこにこと見ている。
「ありがと」
「どういたしまして」
お礼を言ったら優しい声で返事をされて、ドキドキしてしまった。
照れ隠しに私はかさかさと包みを開けてキャンディをほおばると、すでに歩き出していたエースの背中を追いかけた。