短編2
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【よくある展開】
エースと私は結構仲が良い。
彼はよく壮大な迷子になるし、笑顔で猛毒を吐くし、私のことを面白がってよくからかってくるけれど、
基本的に嘘はつかないし、胡散臭いとはいえいつも笑顔だし、普通にしていれば穏やかだ。
友達として一緒にいる分にはおもしろいし、飽きない。
つまり、いい友達だ。
ある日。
森を歩いていたらエースを見つけた。
彼は道の脇の原っぱに寝ころんでいた。
そうっと近寄ってみると、彼は目を閉じていた。昼寝、だろうか?
「エース?」
声をかけてみると、彼はゆっくりと目を開いて私を見る。
「やぁ、名無しさん」
エースはそう言って爽やかに笑った。
「寝てたの?」
「いや、休憩していただけだよ。っていっても半分寝ていたけど」
エースは起き上がって伸びをした。
「名無しさんは散歩?」
「うん。いい天気だったから」
と言ってもこの世界はいつもいい天気。
しかし、彼はやわらかく微笑んでうなずいた。
「そうだね。散歩日和。旅日和だ」
「エースの場合はいつだって旅日和でしょう?」
「まぁ、そうだね」
穏やかに笑うエース。私は彼の隣に座った。
青い空に白い雲。
風がそよそよと気持ちのいい昼だった。
「なんか眠くなるね」
「だろ? 気持ちいいよな」
エースはそう言ってまたばたりと横になる。
そんな彼の真似をして、私も横になった。
日の光で温まった草原が背中に柔らかい。
ゆったりとした時間に、私はそのまま寝そうになる。
隣りのエースは静かだ。
実はもう寝ていたりするのかもしれない。
「友達とこうしてのんびり過ごすのっていいねぇ」
半分眠りに落ちかけた私は、ほとんど何も考えずにそんなことをつぶやいた。
すると、意外にも隣のエースが反応を示した。
「えー、そうかなぁ?」
彼が起きていたことにも驚いたが、否定的なものの言い方がひっかかる。
横のエースを見ると、彼はしっかりと目を開いて空を見つめていた。
「友達よりも、好きな人と過ごす方がいいと思うけど」
……あぁ、そうですか。
私じゃこうして過ごす相手として務まらない、という意味ですね。
「隣にいるのが私ですみませんねぇ」
ついそんな皮肉めいた言い方をしてしまった。
すると、エースは私に顔を向けた。
「俺、名無しさんを友達だと思ったことなんて一度もないよ」
「え……?」
寝転んだまま見つめあう私達。
エースは私の目をじっと見ている。
「名無しさんは俺のこと友達だと思ってるみたいだけど、ね」
彼はそう言いながら体を起こして、私の頬に手を伸ばす。
「俺、君のこと好きだからこうして一緒に過ごすのって悪くないと思ってるんだ」
いつもの爽やかな笑顔でそう言いながら、エースは私の頬に触れた。
斜め上から見下ろされた私は、ドキドキしてしまって動けない。
「ねぇ、名無しさん」
いつの間にか彼は私に覆いかぶさるように、距離を縮めている。
彼の指先が私の頬から唇へと滑っていった。
「友達だなんて、つまらないこと言わないでよ」
青空を背にそう言った彼の顔が寂しそうに見えたので、キスをされても怒る気なんて全然しなかった。
『友達』じゃつまらない、という意味を彼とのキスで初めて知った。
これから私たちはきっと友達ではなくなる。
エースと私は結構仲が良い。
彼はよく壮大な迷子になるし、笑顔で猛毒を吐くし、私のことを面白がってよくからかってくるけれど、
基本的に嘘はつかないし、胡散臭いとはいえいつも笑顔だし、普通にしていれば穏やかだ。
友達として一緒にいる分にはおもしろいし、飽きない。
つまり、いい友達だ。
ある日。
森を歩いていたらエースを見つけた。
彼は道の脇の原っぱに寝ころんでいた。
そうっと近寄ってみると、彼は目を閉じていた。昼寝、だろうか?
「エース?」
声をかけてみると、彼はゆっくりと目を開いて私を見る。
「やぁ、名無しさん」
エースはそう言って爽やかに笑った。
「寝てたの?」
「いや、休憩していただけだよ。っていっても半分寝ていたけど」
エースは起き上がって伸びをした。
「名無しさんは散歩?」
「うん。いい天気だったから」
と言ってもこの世界はいつもいい天気。
しかし、彼はやわらかく微笑んでうなずいた。
「そうだね。散歩日和。旅日和だ」
「エースの場合はいつだって旅日和でしょう?」
「まぁ、そうだね」
穏やかに笑うエース。私は彼の隣に座った。
青い空に白い雲。
風がそよそよと気持ちのいい昼だった。
「なんか眠くなるね」
「だろ? 気持ちいいよな」
エースはそう言ってまたばたりと横になる。
そんな彼の真似をして、私も横になった。
日の光で温まった草原が背中に柔らかい。
ゆったりとした時間に、私はそのまま寝そうになる。
隣りのエースは静かだ。
実はもう寝ていたりするのかもしれない。
「友達とこうしてのんびり過ごすのっていいねぇ」
半分眠りに落ちかけた私は、ほとんど何も考えずにそんなことをつぶやいた。
すると、意外にも隣のエースが反応を示した。
「えー、そうかなぁ?」
彼が起きていたことにも驚いたが、否定的なものの言い方がひっかかる。
横のエースを見ると、彼はしっかりと目を開いて空を見つめていた。
「友達よりも、好きな人と過ごす方がいいと思うけど」
……あぁ、そうですか。
私じゃこうして過ごす相手として務まらない、という意味ですね。
「隣にいるのが私ですみませんねぇ」
ついそんな皮肉めいた言い方をしてしまった。
すると、エースは私に顔を向けた。
「俺、名無しさんを友達だと思ったことなんて一度もないよ」
「え……?」
寝転んだまま見つめあう私達。
エースは私の目をじっと見ている。
「名無しさんは俺のこと友達だと思ってるみたいだけど、ね」
彼はそう言いながら体を起こして、私の頬に手を伸ばす。
「俺、君のこと好きだからこうして一緒に過ごすのって悪くないと思ってるんだ」
いつもの爽やかな笑顔でそう言いながら、エースは私の頬に触れた。
斜め上から見下ろされた私は、ドキドキしてしまって動けない。
「ねぇ、名無しさん」
いつの間にか彼は私に覆いかぶさるように、距離を縮めている。
彼の指先が私の頬から唇へと滑っていった。
「友達だなんて、つまらないこと言わないでよ」
青空を背にそう言った彼の顔が寂しそうに見えたので、キスをされても怒る気なんて全然しなかった。
『友達』じゃつまらない、という意味を彼とのキスで初めて知った。
これから私たちはきっと友達ではなくなる。
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