真夏のティーパーティー!その2
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【あなたに花を その2】
会合当日。
なぜだか私は会議室入り口の受け付けに座らされていた。
隣にはグレイがいて、彼の手伝いをしている。
参加者が続々とやって来ては、会議室に入って行った。
彼らは「余所者」である私にかなりの興味を示していった。
おかげで愛想笑いに疲れてしまった。
私なんかよりも「役持ち」の人々の方がどう見たって特別な感じだ。
ものすごい美女や、ものすごい美形のうさ耳付きお兄さんや、なんだか色っぽい猫耳の人などがいて、
会合に参加する人はみんなオーラがものすごいあるんだなぁ、とびっくりした。
よくよく考えてみれば、グレイは間違いなくかっこいいし、ナイトメアも黙って大人しくしてれば魅惑的な人な気がする。
帽子屋ファミリーはまだ来ていない。
受付の手伝いをしながらずっと彼らがいつ来るのかと考えていた。
ブラッド=デュプレをもう一度見てみたい。
転んだのを見られた時はかなり恥ずかしかったけれど、今となっては全く平気だった。
どうせ花を撒き散らして転んだ女のことなんて覚えてないだろうし、覚えていたとしても私がその人物だということなんて絶対にわからないだろう。
そう、いいのだ。
遠くから見る分には何の問題もない。カッコいい人というのは見られるのも慣れているはずだし、見られることが仕事なのだ。
という理屈を並べたてて、私は彼がやってくるのを待った。我ながらミーハーだなぁ。
その時だった。
うさ耳の大柄な人がやってくるのが目に入った。
「やべーやべー!もう全員揃ってんじゃねぇ!?」
わ、来た!
一気に鼓動が跳ねる。
「あーあ。これから会合なんてかったるいなぁ。お姉さんと一緒に街へ出かけたいよ」
「ほんとほんと。くだらない話なんてしたくないよね」
この間は見かけなかった赤と青の男の子もいる。彼らも参加者なのか……っていうかマフィアなのか(すごいな)
彼らに囲まれるようにして、ブラッド=デュプレが歩いてきた。
今日もだるそうだ。(でもやっぱりかっこいいなー)
「ねぇ、ボス~。これが終わったら自由時間だよね?」
「お姉さんと遊んできてもいいよね?」
ワクワクした様子で男の子が言うと、ブラッド=デュプレは興味なさそうにうなずいた。
「あぁ、お嬢さんがいいならね」
はー、しゃべり方も独特というかだるだるなんだなぁ。
「なーブラッド。だったら俺らは酒でも飲みに行こうぜ」
「……だるい。それに今は酒よりも紅茶だ」
「紅茶でもなんでもいいや。どっかでなんか食おう!」
そんな話をしながら、受付までやってきた彼ら。
「あー、トカゲ。悪ぃな。遅くなっちまった」
「あぁ、中に入ってくれ。もう全員揃っている」
ウサギ耳の彼はにぱっと笑って謝る。(意外といい人なのかもしれない)
「ねぇねぇ、僕ら子どもだから難しい話はわからないよ?」
「そうそう。だからちょっと寝ちゃうかもしれないけどいいよね?」
「あぁ。暴れられるよりはマシだからな」
双子の男の子たちはとんでもないことを言っているけれど、グレイはほとんど気にしていないらしい。
私はグレイの隣りで、彼らに渡す資料を用意しながら話を聞いていた。
「お、あんた、新入りか?」
「え?」
「ほんとだ。お姉さん、塔の人なの?」
「え、あの……」
うさ耳の彼と双子の男の子が私を見てそう言った。
「彼女は受付を手伝ってもらっているだけだ」
言葉に詰まってしまった私に代わってグレイが言った。
「ふぅん……」と言いながら彼らはジロジロと私を見る。
なんかすごく居心地が悪い。
そう思った時だった。
「君は……」
それまで黙っていたブラッド=デュプレが私を見て言った。
ばちりと合う視線。
今度は気のせいでもなんでもない。この距離だ。思いっきり目が合っている。
私は息を詰めて彼を見つめた。
何を言われるのかとドキドキする私に、彼はこう言った。
「君は余所者のようだね」
受付している間に散々言われたその言葉だったけれど、なぜかがっかりしてしまった。
私はどんな言葉を期待していたんだろう?
うさ耳と双子は「え!?余所者!?」とわいわい騒ぎだしている。
そんな彼らをスルーして、ブラッド=デュプレはこう続けた。
「私はブラッド=デュプレだ。初めまして。余所者のお嬢さん」
黒い帽子のつばを軽く持ち上げながら彼は言った。
「名無しさんです。……初めまして」
とりあえずそう挨拶した。
初めましてじゃないよと思ったけれど、私が一方的に彼を知っていただけで、彼にとって私は初対面だ。
なんか不思議。
そう思いながら資料を渡す。
「さて、遅くなってしまったな。始めようか」
「あぁ、中に入ってくれ」
グレイに促され、彼らは会議室の入り口へ向かう。
中を見た双子が声を上げた。
「わー、この部屋にもチューリップがあるよ」
「少し貰って行っちゃおうか?お姉さんチューリップを見て喜んでたし」
「ばーか。女に贈る花は自分たちで買えっての。しっかし、うちのボスがバラ好きだと知っておきながらチューリップを用意するとはなぁ」
その言葉に私は思わず固まった。
知らなかったとはいえ、もしかしてまずいことしちゃったのかな?
じっと黙っていると、ブラッド=デュプレは楽しそうに言った。
「私はかまわないぞ、エリオット。違う花もたまにはいい」
「うーん、なんかブラッドのことを軽んじてるような気がして、俺は気にくわねぇんだけど」
「どうせ店の花をひっくり返してそれを買い取ったとか、そういうことだろう。他意はないさ」
彼はそう言いながら、ちらりと私を見て笑う。
びっくりして彼を見つめると、彼はそっと近づいてきて私の耳元でこう言った。
「派手にやっていたな、名無しさん」
「!?」
私は何も言えずにただただ彼を見つめた。
そんな私を見てくすりと笑うと、彼はポンと私の頭をひとなでして会議室へ入って行ってしまった。
「はぁ? なんだそれ」
不思議そうな顔をするエリオットに、ブラッド=デュプレはそれ以上何も言わなかった。
彼らが中に入ってしまうと、私は会議室のドアをそっと閉めた。
誰もいなくなった廊下で一人になった私は大きく息を吐く。
「……覚えてたんじゃない」
人の失態を忘れない意地悪な人だと思いつつも、覚えられていたことが嬉しくてドキドキしている私。
会合当日。
なぜだか私は会議室入り口の受け付けに座らされていた。
隣にはグレイがいて、彼の手伝いをしている。
参加者が続々とやって来ては、会議室に入って行った。
彼らは「余所者」である私にかなりの興味を示していった。
おかげで愛想笑いに疲れてしまった。
私なんかよりも「役持ち」の人々の方がどう見たって特別な感じだ。
ものすごい美女や、ものすごい美形のうさ耳付きお兄さんや、なんだか色っぽい猫耳の人などがいて、
会合に参加する人はみんなオーラがものすごいあるんだなぁ、とびっくりした。
よくよく考えてみれば、グレイは間違いなくかっこいいし、ナイトメアも黙って大人しくしてれば魅惑的な人な気がする。
帽子屋ファミリーはまだ来ていない。
受付の手伝いをしながらずっと彼らがいつ来るのかと考えていた。
ブラッド=デュプレをもう一度見てみたい。
転んだのを見られた時はかなり恥ずかしかったけれど、今となっては全く平気だった。
どうせ花を撒き散らして転んだ女のことなんて覚えてないだろうし、覚えていたとしても私がその人物だということなんて絶対にわからないだろう。
そう、いいのだ。
遠くから見る分には何の問題もない。カッコいい人というのは見られるのも慣れているはずだし、見られることが仕事なのだ。
という理屈を並べたてて、私は彼がやってくるのを待った。我ながらミーハーだなぁ。
その時だった。
うさ耳の大柄な人がやってくるのが目に入った。
「やべーやべー!もう全員揃ってんじゃねぇ!?」
わ、来た!
一気に鼓動が跳ねる。
「あーあ。これから会合なんてかったるいなぁ。お姉さんと一緒に街へ出かけたいよ」
「ほんとほんと。くだらない話なんてしたくないよね」
この間は見かけなかった赤と青の男の子もいる。彼らも参加者なのか……っていうかマフィアなのか(すごいな)
彼らに囲まれるようにして、ブラッド=デュプレが歩いてきた。
今日もだるそうだ。(でもやっぱりかっこいいなー)
「ねぇ、ボス~。これが終わったら自由時間だよね?」
「お姉さんと遊んできてもいいよね?」
ワクワクした様子で男の子が言うと、ブラッド=デュプレは興味なさそうにうなずいた。
「あぁ、お嬢さんがいいならね」
はー、しゃべり方も独特というかだるだるなんだなぁ。
「なーブラッド。だったら俺らは酒でも飲みに行こうぜ」
「……だるい。それに今は酒よりも紅茶だ」
「紅茶でもなんでもいいや。どっかでなんか食おう!」
そんな話をしながら、受付までやってきた彼ら。
「あー、トカゲ。悪ぃな。遅くなっちまった」
「あぁ、中に入ってくれ。もう全員揃っている」
ウサギ耳の彼はにぱっと笑って謝る。(意外といい人なのかもしれない)
「ねぇねぇ、僕ら子どもだから難しい話はわからないよ?」
「そうそう。だからちょっと寝ちゃうかもしれないけどいいよね?」
「あぁ。暴れられるよりはマシだからな」
双子の男の子たちはとんでもないことを言っているけれど、グレイはほとんど気にしていないらしい。
私はグレイの隣りで、彼らに渡す資料を用意しながら話を聞いていた。
「お、あんた、新入りか?」
「え?」
「ほんとだ。お姉さん、塔の人なの?」
「え、あの……」
うさ耳の彼と双子の男の子が私を見てそう言った。
「彼女は受付を手伝ってもらっているだけだ」
言葉に詰まってしまった私に代わってグレイが言った。
「ふぅん……」と言いながら彼らはジロジロと私を見る。
なんかすごく居心地が悪い。
そう思った時だった。
「君は……」
それまで黙っていたブラッド=デュプレが私を見て言った。
ばちりと合う視線。
今度は気のせいでもなんでもない。この距離だ。思いっきり目が合っている。
私は息を詰めて彼を見つめた。
何を言われるのかとドキドキする私に、彼はこう言った。
「君は余所者のようだね」
受付している間に散々言われたその言葉だったけれど、なぜかがっかりしてしまった。
私はどんな言葉を期待していたんだろう?
うさ耳と双子は「え!?余所者!?」とわいわい騒ぎだしている。
そんな彼らをスルーして、ブラッド=デュプレはこう続けた。
「私はブラッド=デュプレだ。初めまして。余所者のお嬢さん」
黒い帽子のつばを軽く持ち上げながら彼は言った。
「名無しさんです。……初めまして」
とりあえずそう挨拶した。
初めましてじゃないよと思ったけれど、私が一方的に彼を知っていただけで、彼にとって私は初対面だ。
なんか不思議。
そう思いながら資料を渡す。
「さて、遅くなってしまったな。始めようか」
「あぁ、中に入ってくれ」
グレイに促され、彼らは会議室の入り口へ向かう。
中を見た双子が声を上げた。
「わー、この部屋にもチューリップがあるよ」
「少し貰って行っちゃおうか?お姉さんチューリップを見て喜んでたし」
「ばーか。女に贈る花は自分たちで買えっての。しっかし、うちのボスがバラ好きだと知っておきながらチューリップを用意するとはなぁ」
その言葉に私は思わず固まった。
知らなかったとはいえ、もしかしてまずいことしちゃったのかな?
じっと黙っていると、ブラッド=デュプレは楽しそうに言った。
「私はかまわないぞ、エリオット。違う花もたまにはいい」
「うーん、なんかブラッドのことを軽んじてるような気がして、俺は気にくわねぇんだけど」
「どうせ店の花をひっくり返してそれを買い取ったとか、そういうことだろう。他意はないさ」
彼はそう言いながら、ちらりと私を見て笑う。
びっくりして彼を見つめると、彼はそっと近づいてきて私の耳元でこう言った。
「派手にやっていたな、名無しさん」
「!?」
私は何も言えずにただただ彼を見つめた。
そんな私を見てくすりと笑うと、彼はポンと私の頭をひとなでして会議室へ入って行ってしまった。
「はぁ? なんだそれ」
不思議そうな顔をするエリオットに、ブラッド=デュプレはそれ以上何も言わなかった。
彼らが中に入ってしまうと、私は会議室のドアをそっと閉めた。
誰もいなくなった廊下で一人になった私は大きく息を吐く。
「……覚えてたんじゃない」
人の失態を忘れない意地悪な人だと思いつつも、覚えられていたことが嬉しくてドキドキしている私。