真夏のティーパーティー!その2
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【あなたに花を】
グレイにお使いを頼まれた。
会合直前で忙しい彼に代わって、ナイトメアの薬を病院へもらいに行くのだ。
もうあと2時間帯後には会合が始まるというのに、ナイトメアはふらふらしていた。
私が思うにあれは体調が悪いというか、ただ単に大イベントを前に緊張しているんじゃなかろうか?(議長をやるっていうし)
そんなことを考えながら、ずんずん歩いていく。
大きな通りは人であふれかえっていて、皆買い物をしたり、楽しそうに話しをしながら歩いている。
通りの両脇は様々な店が立ち並び、歩くだけでも楽しい。
病院帰りに買い物でもしちゃおっかなー、なんて思っている時だった。
街行く皆様がなんだか急にざわめいた。
なんだろうと思って辺りを観察すると、人々は一点を見つめて何かひそひそ話をしている。
「帽子屋ファミリーだ」
「ブラッド=デュプレだ」
緊張と恐怖が入り混じった囁き声。
どうやらこの道の先に帽子屋ファミリーがいるらしい。
たぶんこれから始まる会合のために、クローバーの塔へ向かっているのだろう。
この世界に来たばかりの私は、クローバーの塔の人々以外は知らない。
なんとなく話に聞いた程度だ。
どんな人なんだろう?
怖いもの見たさで、私は街の人々の視線を追う。
帽子屋ファミリーのために道は綺麗にあけられ、街の人々は道の両脇から遠巻きに彼らを眺めているようだった。
「どれどれ……」
私は立ち止まってこそこそと話をしている人々の間から、マフィア集団を覗き見た。
まだ彼らとの距離が遠く顔までははっきり見えないけれど、確かに黒服の集団がずんずんとこちらに向かってくるのが見える。
なんだか不思議な帽子をかぶった黒服の人。
その隣に黒いワンピースを着た女の子。
2人の後ろには耳の長い大柄な男の人がいる。
さらに後ろには揃いの服を着た数人の部下と思われる人が歩いていた。
「うーむ……」
位置的にあの帽子の人が偉いんだろうなぁ。帽子屋ファミリーっていうくらいだし、帽子の人がボスだよね。
となると、あの女の子はマフィアの一員? あぁ、ボスの恋人?身内?……娘?なわけないもんね。恋人か。
そして、あのうさ耳付きの大きな人はボディガード的な人かもしれない。
意外と若いマフィア集団なんだなー、と思いながらどんどん近づいてくる彼らを眺めていた私。
その時、周囲の人々の囁きが恐怖や嫌悪の言葉ばかりではないことに気づいた。
「……帽子屋さん」
「ブラッド様……」
女の人がなんだかちょっと憧れの混じった声で囁き合っているのだ。
うっとり、という瞳でじっとマフィアのボスを見つめている。
どうやらブラッド=デュプレは女性人気があるらしい。
「ブラッド様ねぇ……」
なになに?クールな魅力?それともワイルド系?ダンディな感じ?悪ぶってる感じがいいのかしら?
ちょっと見てやりましょう。
そんな感じで、もう一度人々の間からブラッド=デュプレの姿を追った。
なんだか飾りがいっぱいついている黒いシルクハットをかぶった彼はだるそうに歩いている。
あぁ、確かにカッコいいかも。
黒髪に切れ長の瞳。
服装は不思議だけどすらりと背が高く、「服装が不思議」くらいでは揺るがないくらいにカッコいい。
彼自身がなにか特別なオーラを放っていた。
しかも本人は「全てがどーでもいい」というくらいだるそうなので嫌味がない。
なんかすごいなぁ、こういう人っているんだなー。芸能人みたいだなー。
なんて思ってみていた時だった。
その彼がふと視線をあげてこちらを見た。
「!」
目が合った瞬間、私の中で何かがはじけた気がした。
いや、目が合ったのは気のせいかもしれない。
一瞬ちらりと私を見た彼は、すぐに視線を戻した。
なんの興味もなさそうに。
彼らはそのまますれ違って行った。
気付けば息を詰めていたらしい私は、ほっと息を吐く。
私はなんだかものすごくドキドキして、そっと振り返った。
少しずつ遠ざかって行く彼らの背中を見送りながら、ブラッド=デュプレの姿を思い出す。
ワイルド系でもダンディ系でもなかった。(あえていうならだるだる系?)
でも、彼の目を見た瞬間、恐怖とか怖いとかじゃなくてドキッとしてしまった。
ただ単純にかっこよかったのだ。
あぁ、私って結構ミーハーなのね……。
そう思ってがっくりと肩を落とした時だった。
前をロクに見ていなかった私は、すぐ隣のお花屋さんの店頭に置いてあったバケツを蹴っ飛ばしてひっくり返してしまった。
ブリキのバケツはガランと大きな音をたてて倒れ、入っていた水とたくさんのチューリップが地面に飛び散った。
そして、私もバランスを崩し危うく転びそうになる。
「わ!?」
街の人々の視線は帽子屋ファミリーから私に移った。
そして先ほどまで注目の的だった帽子屋ファミリーの人々もこちらを振り返った。
びっくりした表情の黒ワンピースの女の子とウサギ耳のボディーガード。
ブラッド=デュプレもゆっくりと振り返って私を見る。
ドキリとしたその瞬間
「ちょっとちょっと大丈夫かい!? ちゃんと前見てないと危ないよ、お嬢ちゃん!!」
花屋のおじさんに大きな声で心配され、私はどうしようもない恥ずかしさで耳まで熱くなるのを感じた。
バケツを立てると、花屋のおじさんに平謝りしてチューリップを拾い集めた。
花を拾い上げながら少しだけ顔をあげると、振り返ったブラッド=デュプレが唇の端をあげて小さく笑っているのが見えた。
慌ててチューリップに視線を戻す。
「ほんとにすみません! これ、全部買うんで……!」
おじさんはいいよいいよと言ってくれたけれど、頭が真っ白の私はどうしていいのかわからなくなってしまった。
結局拾い集めたチューリップを買い取った私。
おじさんに花束にしてもらっている間にちらりと視線をあげると、帽子屋ファミリーはすでに通り過ぎた後らしく、街の人々もそれぞれの買い物に戻っていた。
「はぁ……」
なんだかぐったり疲れてしまった。
会合は2時間帯後。
グレイにお使いを頼まれた。
会合直前で忙しい彼に代わって、ナイトメアの薬を病院へもらいに行くのだ。
もうあと2時間帯後には会合が始まるというのに、ナイトメアはふらふらしていた。
私が思うにあれは体調が悪いというか、ただ単に大イベントを前に緊張しているんじゃなかろうか?(議長をやるっていうし)
そんなことを考えながら、ずんずん歩いていく。
大きな通りは人であふれかえっていて、皆買い物をしたり、楽しそうに話しをしながら歩いている。
通りの両脇は様々な店が立ち並び、歩くだけでも楽しい。
病院帰りに買い物でもしちゃおっかなー、なんて思っている時だった。
街行く皆様がなんだか急にざわめいた。
なんだろうと思って辺りを観察すると、人々は一点を見つめて何かひそひそ話をしている。
「帽子屋ファミリーだ」
「ブラッド=デュプレだ」
緊張と恐怖が入り混じった囁き声。
どうやらこの道の先に帽子屋ファミリーがいるらしい。
たぶんこれから始まる会合のために、クローバーの塔へ向かっているのだろう。
この世界に来たばかりの私は、クローバーの塔の人々以外は知らない。
なんとなく話に聞いた程度だ。
どんな人なんだろう?
怖いもの見たさで、私は街の人々の視線を追う。
帽子屋ファミリーのために道は綺麗にあけられ、街の人々は道の両脇から遠巻きに彼らを眺めているようだった。
「どれどれ……」
私は立ち止まってこそこそと話をしている人々の間から、マフィア集団を覗き見た。
まだ彼らとの距離が遠く顔までははっきり見えないけれど、確かに黒服の集団がずんずんとこちらに向かってくるのが見える。
なんだか不思議な帽子をかぶった黒服の人。
その隣に黒いワンピースを着た女の子。
2人の後ろには耳の長い大柄な男の人がいる。
さらに後ろには揃いの服を着た数人の部下と思われる人が歩いていた。
「うーむ……」
位置的にあの帽子の人が偉いんだろうなぁ。帽子屋ファミリーっていうくらいだし、帽子の人がボスだよね。
となると、あの女の子はマフィアの一員? あぁ、ボスの恋人?身内?……娘?なわけないもんね。恋人か。
そして、あのうさ耳付きの大きな人はボディガード的な人かもしれない。
意外と若いマフィア集団なんだなー、と思いながらどんどん近づいてくる彼らを眺めていた私。
その時、周囲の人々の囁きが恐怖や嫌悪の言葉ばかりではないことに気づいた。
「……帽子屋さん」
「ブラッド様……」
女の人がなんだかちょっと憧れの混じった声で囁き合っているのだ。
うっとり、という瞳でじっとマフィアのボスを見つめている。
どうやらブラッド=デュプレは女性人気があるらしい。
「ブラッド様ねぇ……」
なになに?クールな魅力?それともワイルド系?ダンディな感じ?悪ぶってる感じがいいのかしら?
ちょっと見てやりましょう。
そんな感じで、もう一度人々の間からブラッド=デュプレの姿を追った。
なんだか飾りがいっぱいついている黒いシルクハットをかぶった彼はだるそうに歩いている。
あぁ、確かにカッコいいかも。
黒髪に切れ長の瞳。
服装は不思議だけどすらりと背が高く、「服装が不思議」くらいでは揺るがないくらいにカッコいい。
彼自身がなにか特別なオーラを放っていた。
しかも本人は「全てがどーでもいい」というくらいだるそうなので嫌味がない。
なんかすごいなぁ、こういう人っているんだなー。芸能人みたいだなー。
なんて思ってみていた時だった。
その彼がふと視線をあげてこちらを見た。
「!」
目が合った瞬間、私の中で何かがはじけた気がした。
いや、目が合ったのは気のせいかもしれない。
一瞬ちらりと私を見た彼は、すぐに視線を戻した。
なんの興味もなさそうに。
彼らはそのまますれ違って行った。
気付けば息を詰めていたらしい私は、ほっと息を吐く。
私はなんだかものすごくドキドキして、そっと振り返った。
少しずつ遠ざかって行く彼らの背中を見送りながら、ブラッド=デュプレの姿を思い出す。
ワイルド系でもダンディ系でもなかった。(あえていうならだるだる系?)
でも、彼の目を見た瞬間、恐怖とか怖いとかじゃなくてドキッとしてしまった。
ただ単純にかっこよかったのだ。
あぁ、私って結構ミーハーなのね……。
そう思ってがっくりと肩を落とした時だった。
前をロクに見ていなかった私は、すぐ隣のお花屋さんの店頭に置いてあったバケツを蹴っ飛ばしてひっくり返してしまった。
ブリキのバケツはガランと大きな音をたてて倒れ、入っていた水とたくさんのチューリップが地面に飛び散った。
そして、私もバランスを崩し危うく転びそうになる。
「わ!?」
街の人々の視線は帽子屋ファミリーから私に移った。
そして先ほどまで注目の的だった帽子屋ファミリーの人々もこちらを振り返った。
びっくりした表情の黒ワンピースの女の子とウサギ耳のボディーガード。
ブラッド=デュプレもゆっくりと振り返って私を見る。
ドキリとしたその瞬間
「ちょっとちょっと大丈夫かい!? ちゃんと前見てないと危ないよ、お嬢ちゃん!!」
花屋のおじさんに大きな声で心配され、私はどうしようもない恥ずかしさで耳まで熱くなるのを感じた。
バケツを立てると、花屋のおじさんに平謝りしてチューリップを拾い集めた。
花を拾い上げながら少しだけ顔をあげると、振り返ったブラッド=デュプレが唇の端をあげて小さく笑っているのが見えた。
慌ててチューリップに視線を戻す。
「ほんとにすみません! これ、全部買うんで……!」
おじさんはいいよいいよと言ってくれたけれど、頭が真っ白の私はどうしていいのかわからなくなってしまった。
結局拾い集めたチューリップを買い取った私。
おじさんに花束にしてもらっている間にちらりと視線をあげると、帽子屋ファミリーはすでに通り過ぎた後らしく、街の人々もそれぞれの買い物に戻っていた。
「はぁ……」
なんだかぐったり疲れてしまった。
会合は2時間帯後。