真夏のティーパーティー!その2
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【おまけ 秋】
今日はこれから帽子屋名物のピクニックだ。
夏にばかり出かけていたら、ブラッドに文句を言われた(文句どころか大変な目に遭った)。
だから大人しく部屋で「読書の秋」を楽しもうと思ったのだ。
そうしたら、双子が突然私の部屋に乱入し、それを注意しながらエリオットがやって来た。
一体何の用ですかと叫ぼうと思った時、最後にやってきたブラッドが「秋のピクニックへ行こう」と言った。
ありがたくも帽子屋ファミリーの幹部たちからピクニックのお誘いを受けたのだった。
紅葉の見事な場所までやってきた私たちはシートを広げた。
秋の味覚がたっぷり詰まったお弁当と、ブラッドが厳選した紅茶。
エリオット専用にんじん尽くしのバスケットに、双子が持ってきたわりと安全そうなおもちゃ(らしきもの)。
2時間帯はがっつり過ごせそうな本気のピクニック準備をしてきた私達。
お弁当をつまみながら、紅茶を飲み、気持ちの良い秋の空と紅葉に癒されて、私は満足していた。
しばらくするとお腹がみたされたらしい双子は立ち上がって、辺りをうろうろと歩き回り始めた。
「あー、楽しいなぁ。秋のピクニックは最高だよね、兄弟!」
「うん、素晴らしいよ兄弟。秋はピクニックに相応しいもの」
彼らは歩きながら訳の分からないキノコやらいがぐりやらを拾いまくっている。
「秋ほど色々なものが落ちている季節はないよね」
「そうだね。じゃんじゃん拾って有効利用しよう。とりあえずこのいがぐりは即戦力だよね」
「うんうん、対ひよこウサギにはもってこいだよ」
たぶん、彼らは良からぬことを考えているのだろう。でも、まぁいつものことだ。
一方標的にされているであろうエリオットは、双子が良からぬ企みを抱いていることに気づいていないらしい。
彼はご機嫌でにんじん尽くしのお弁当を食べている。
「いいよなー、秋。美味いものがいっぱいだし、ピクニックにはちょうどいい気候だし、なによりもにんじんが美味い!!」
結局そこなのね、と思いながら彼の食べっぷりを見ていた時だった。
突然びゅんっと何かが飛んできた。
「!? な、なんだ!?」
声を上げたエリオットの方を見ると、なんと彼が食べようとしていたサンドイッチにいがぐりが突き刺さっていた。
「あははっ!! すごいや兄弟! サンドイッチは的として小さいから100点だね」
「ふふ。じゃあ次は兄弟の番だよ。ひよこウサギのほっぺたに刺さったら150点にしよう」
「よーし! がんばるぞー!」
少し離れた場所からきゃいきゃい盛り上がる双子達。
エリオットはサンドイッチにささったいがぐりをそっと抜き取りながら肩を震わせた。
「お~ま~え~ら~!!!」
彼はいがぐりを双子に投げ返したかと思うと、あっという間に銃を構えていた。
「食べ物で遊ぶんじゃねぇ!!」
「にんじんが挟まっただけのサンドイッチなんて食べ物じゃないよ!」
「そうだよ馬鹿ウサギ!」
からかう気満々の双子。
エリオットはちゃんと彼らの挑発に乗っていく。
「もう我慢ならねぇ!! くたばりやがれっ!!」
そう言ったかと思うと、彼は銃を撃ちながら双子のもとへと駆け出して行った。
双子はわーわーと楽しそうに逃げていく。
「……行っちゃったね」
「まったく騒がしいやつらだ」
後ろ姿を見送る私とブラッド。
その場はとたんに静かになる。
なんだかちょっとドキドキしてきた。
そっとブラッドを見てみると、彼は紅茶を片手に遠くの方を見ていた。
彼の視線の先を追ってみる。
「……真っ赤だね」
見事な紅葉に思わずそう言った。
すると、ブラッドはうなずきながら「秋はいい」と静かに言った。
「春のように浮かれた感じもないし、夏のように無駄にエネルギーに満ち溢れてもいない。退屈な冬のように暗くもない。秋がちょうどいい」
彼はそう言いながら紅茶をすすった。
確かにブラッドには秋が一番似合う気がする。
優雅でけだるい雰囲気が秋にしっくりと馴染むような……。
そんなことを考えていたら不意にブラッドが私を見た。
「名無しさんは秋よりも夏の方がお気に召したようだがね」
そう言いながらブラッドは意地悪に笑う。
「別にそういう訳じゃないよ」
なんとなく日焼けした部分を隠すように腕をさすった。
そんな私を見てブラッドはますます楽しそうな顔をした。
「別に日焼けを隠すことはないよ、お嬢さん。私は名無しさんが日焼けをしていない所にしか手を出さないからね」
「はい、それセクハラですー」
とんでもない発言をかましたボスに文句を言うと、彼はふふふと笑った。
そして、紅茶を飲むとまた紅葉を眺めはじめた。
私もなんとなく紅茶を飲む。
紅葉も綺麗だけれど、正直に言うと紅葉よりもブラッドの方が気になって仕方がない。
落ち着かない気持ちでいっぱいだ。
「名無しさん」
ふいにブラッドが私を呼んだ。
思わずびくりとしてしまった私に、ブラッドが一瞬驚いた顔をした。
そして、表情を緩めてこう言った。
「さすがにこんなところで手は出さないよ、名無しさん。警戒しなくてもいい」
「ご、ごめん、そんなつもりは全然……」
どうしようもなく恥ずかしくなった。
別に警戒してたわけじゃない。
手のひらでぱたぱたと熱くなった顔を仰ぐ私に、「でも、そうだな……」とブラッドが言った。
「せっかくだから、今君をここと同じ色に染めてみるのも良さそうだ」
綺麗に笑いながら、彼は私の頬にそっと触れる。
心臓が跳ね、顔が一気に熱くなる。
耳まで赤くなっているであろう私に、ブラッドは意地悪な笑みを浮かべた。
「名無しさん、まだ何もしていないぞ?」
「……しなくていい!」
そう言ったけれど、どうしてもブラッドの手を払えなかった。
彼は顔を寄せながら言った。
「強情な子だ」
優しい目でそんなことを言われたら、振り払うなんて無理だ。
彼は小さく笑ってそっと私にキスをした。
彼に染められて、私は紅葉に溶け込んでいく。
今日はこれから帽子屋名物のピクニックだ。
夏にばかり出かけていたら、ブラッドに文句を言われた(文句どころか大変な目に遭った)。
だから大人しく部屋で「読書の秋」を楽しもうと思ったのだ。
そうしたら、双子が突然私の部屋に乱入し、それを注意しながらエリオットがやって来た。
一体何の用ですかと叫ぼうと思った時、最後にやってきたブラッドが「秋のピクニックへ行こう」と言った。
ありがたくも帽子屋ファミリーの幹部たちからピクニックのお誘いを受けたのだった。
紅葉の見事な場所までやってきた私たちはシートを広げた。
秋の味覚がたっぷり詰まったお弁当と、ブラッドが厳選した紅茶。
エリオット専用にんじん尽くしのバスケットに、双子が持ってきたわりと安全そうなおもちゃ(らしきもの)。
2時間帯はがっつり過ごせそうな本気のピクニック準備をしてきた私達。
お弁当をつまみながら、紅茶を飲み、気持ちの良い秋の空と紅葉に癒されて、私は満足していた。
しばらくするとお腹がみたされたらしい双子は立ち上がって、辺りをうろうろと歩き回り始めた。
「あー、楽しいなぁ。秋のピクニックは最高だよね、兄弟!」
「うん、素晴らしいよ兄弟。秋はピクニックに相応しいもの」
彼らは歩きながら訳の分からないキノコやらいがぐりやらを拾いまくっている。
「秋ほど色々なものが落ちている季節はないよね」
「そうだね。じゃんじゃん拾って有効利用しよう。とりあえずこのいがぐりは即戦力だよね」
「うんうん、対ひよこウサギにはもってこいだよ」
たぶん、彼らは良からぬことを考えているのだろう。でも、まぁいつものことだ。
一方標的にされているであろうエリオットは、双子が良からぬ企みを抱いていることに気づいていないらしい。
彼はご機嫌でにんじん尽くしのお弁当を食べている。
「いいよなー、秋。美味いものがいっぱいだし、ピクニックにはちょうどいい気候だし、なによりもにんじんが美味い!!」
結局そこなのね、と思いながら彼の食べっぷりを見ていた時だった。
突然びゅんっと何かが飛んできた。
「!? な、なんだ!?」
声を上げたエリオットの方を見ると、なんと彼が食べようとしていたサンドイッチにいがぐりが突き刺さっていた。
「あははっ!! すごいや兄弟! サンドイッチは的として小さいから100点だね」
「ふふ。じゃあ次は兄弟の番だよ。ひよこウサギのほっぺたに刺さったら150点にしよう」
「よーし! がんばるぞー!」
少し離れた場所からきゃいきゃい盛り上がる双子達。
エリオットはサンドイッチにささったいがぐりをそっと抜き取りながら肩を震わせた。
「お~ま~え~ら~!!!」
彼はいがぐりを双子に投げ返したかと思うと、あっという間に銃を構えていた。
「食べ物で遊ぶんじゃねぇ!!」
「にんじんが挟まっただけのサンドイッチなんて食べ物じゃないよ!」
「そうだよ馬鹿ウサギ!」
からかう気満々の双子。
エリオットはちゃんと彼らの挑発に乗っていく。
「もう我慢ならねぇ!! くたばりやがれっ!!」
そう言ったかと思うと、彼は銃を撃ちながら双子のもとへと駆け出して行った。
双子はわーわーと楽しそうに逃げていく。
「……行っちゃったね」
「まったく騒がしいやつらだ」
後ろ姿を見送る私とブラッド。
その場はとたんに静かになる。
なんだかちょっとドキドキしてきた。
そっとブラッドを見てみると、彼は紅茶を片手に遠くの方を見ていた。
彼の視線の先を追ってみる。
「……真っ赤だね」
見事な紅葉に思わずそう言った。
すると、ブラッドはうなずきながら「秋はいい」と静かに言った。
「春のように浮かれた感じもないし、夏のように無駄にエネルギーに満ち溢れてもいない。退屈な冬のように暗くもない。秋がちょうどいい」
彼はそう言いながら紅茶をすすった。
確かにブラッドには秋が一番似合う気がする。
優雅でけだるい雰囲気が秋にしっくりと馴染むような……。
そんなことを考えていたら不意にブラッドが私を見た。
「名無しさんは秋よりも夏の方がお気に召したようだがね」
そう言いながらブラッドは意地悪に笑う。
「別にそういう訳じゃないよ」
なんとなく日焼けした部分を隠すように腕をさすった。
そんな私を見てブラッドはますます楽しそうな顔をした。
「別に日焼けを隠すことはないよ、お嬢さん。私は名無しさんが日焼けをしていない所にしか手を出さないからね」
「はい、それセクハラですー」
とんでもない発言をかましたボスに文句を言うと、彼はふふふと笑った。
そして、紅茶を飲むとまた紅葉を眺めはじめた。
私もなんとなく紅茶を飲む。
紅葉も綺麗だけれど、正直に言うと紅葉よりもブラッドの方が気になって仕方がない。
落ち着かない気持ちでいっぱいだ。
「名無しさん」
ふいにブラッドが私を呼んだ。
思わずびくりとしてしまった私に、ブラッドが一瞬驚いた顔をした。
そして、表情を緩めてこう言った。
「さすがにこんなところで手は出さないよ、名無しさん。警戒しなくてもいい」
「ご、ごめん、そんなつもりは全然……」
どうしようもなく恥ずかしくなった。
別に警戒してたわけじゃない。
手のひらでぱたぱたと熱くなった顔を仰ぐ私に、「でも、そうだな……」とブラッドが言った。
「せっかくだから、今君をここと同じ色に染めてみるのも良さそうだ」
綺麗に笑いながら、彼は私の頬にそっと触れる。
心臓が跳ね、顔が一気に熱くなる。
耳まで赤くなっているであろう私に、ブラッドは意地悪な笑みを浮かべた。
「名無しさん、まだ何もしていないぞ?」
「……しなくていい!」
そう言ったけれど、どうしてもブラッドの手を払えなかった。
彼は顔を寄せながら言った。
「強情な子だ」
優しい目でそんなことを言われたら、振り払うなんて無理だ。
彼は小さく笑ってそっと私にキスをした。
彼に染められて、私は紅葉に溶け込んでいく。