真夏のティーパーティー!その2
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【おまけ 冬】
夏はさすがに暑すぎる。
という訳で、冬に涼みに来た私。
夏の暑さにうんざりしていたので、雪景色はものすごく綺麗で寒さも新鮮だった。
クローバーの塔に遊びに行くと、ナイトメアとグレイは雪まつりに向けての話し合いをしていた。
そして、珍しいことにその場にはユリウスもいた。雪像作り要員として召集されたらしい。
楽しそうだなぁと思い、私はその話し合いをすぐそばで聞いていた。
「できれば大きな物を作りたい! そして投票で1位を決めるんだ」
「なるほど。投票ですか」
「あぁ。せっかくだから優勝者にはなにか賞品を用意しよう」
「わかりました。ただし今回はあまり予算は出せませんよ。先日のかき氷大食い大会でかなり使いましたからね」
「なに? そうなのか!?」
「はい。ナイトメア様が思いつきで勝手に秋から取り寄せたブドウのシロップがかなり高級でした。大食い大会用ではなかったですね」
「馬鹿な!帽子屋は友情価格で譲ってくれたはずだぞ!?」
「友情価格にしてはいい値段でした。まぁ、あの男がそんなせこい真似をするわけはないでしょうから、元値がかなり張るものだったんでしょうね」
声を張り上げるナイトメアに、淡々と書類を見ながら答えるグレイ。
興味なさそうに頬杖をついているユリウスに、私はそっと聞いてみた。
「ねぇ、ユリウス。かき氷大食い大会なんてしたの? こんなに寒いのに」
「らしいな。私も今初めて知った」
「あぁ、そっか。引き籠ってるもんね」
「悪かったな」
私の言葉にユリウスはそっぽを向いた。
予想通りの反応になんだか満足する私。
するとナイトメアがユリウスにこう言った。
「時計屋。ちょっと確認なのだが、お前この雪まつりで優勝したいか?」
「は?」
「大会本部としても何か一つ雪像を用意したいと思っているんだ。だから、時計屋には雪まつりのエントリーはせずに雪像を作ってほしい。もしも優勝をしたい、優勝をねらう!という意気込みを持っているなら、考えなければいけないと思ったんだが……」
「……というよりも参加を拒否したい」
「なに!? それは困る!困るぞ!!」
「知るか。私は忙しいんだ。こんなくだらないことに付き合っている暇はない」
きっぱりそう言うユリウス。うん、予想通り。
私が思わず苦笑すると、グレイが言う。
「時計屋。俺も手伝うから、何か一つ作ってくれないか?お前の都合に合わせる」
「都合の良い時間帯などないぞ。仕事が立て込んでいるんだ」
「1時間帯くらいなら何とかなるだろう?」
「1時間帯で雪像を完成させられるわけがないだろう」
グレイの言葉をばっさり切り捨てるユリウス。
下手に出ているグレイによくもまぁあんなに冷たいことを言えるものだ。
そう思っていたら、いつの間にか2人のやり取りが険悪になってきた。
「それならば3時間帯くらいで作れるような物を作る方向で……」
「トカゲ。それはつまり、私に3時間帯もの間、仕事を放棄しろということか? ただでさえ仕事が溜まっている上、どんどん入ってくるんだ。休めるがわけないだろう」
「無理を言っていることは重々承知だ。俺だって仕事の手を少し休めることが、後でどれだけ苦労するかは分かっている」
互いに一歩も譲らず、にらみ合う2人。
うわ、こんな2人初めて見た。どうしよう。
「あ、あのぅ、2人共ちょっと落ち着いて」
っていうか口調は落ちついているから余計に怖い。
びくびくしながら口を挟む。
しかし、2人の間の張りつめた空気は消えない。
気まずい。気まずすぎる。
私はナイトメアをそっと見つめた。
すると彼はのんきにこう言った。
「おーい、2人共。そんなに熱くなるな。いや、熱くなるっていうかこの場合は、空気が冷え込んでいるというのか? なんにしても雪祭りはもっと楽しくやるべきものであって……」
ナイトメアがものすごく適当な仲裁に入る。
しかし、2人はちらりと彼を見るだけで何も答えない。(それがまた怖い)
そんな彼らにナイトメアは肩をすくめて見せる。
「はぁ、これだから真面目な奴らは困るな。見本っていっても適当でいいんだぞー?参加者のやる気がそがれるような立派な雪像を作るよりも『こんな感じでいいのか』くらいの適当な出来の方が参加者が集まりそうだし」
「それなら自分で作ったらどうだ?夢魔」
「なにを言う! 私は今ちょっと風邪気味だ。こじらせたら入院させられるからな。断固拒否する!」
「偉そうに言うな」
イライラを隠しもせずに言うユリウス。
グレイも小さくため息をついている。
彼らにこれ以上ストレスを与えてはいけない。
そう思った私は決心した。
「雪像なら私が作るよ」
「は?」
「本気か、名無しさん」
「2人とも忙しいんだからナイトメアの娯楽に付き合う必要ないでしょう?私が頑張るから、2人は時間ができたら手伝いに来てよ。それでなんとかなるんじゃない?」
「ちょっと待て、名無しさん。お前、雪像がどういうものかわかっているのか? 雪だるまとはわけが違うぞ?雪玉を2つを乗せて完成、というようなものではなくて、色々と計算して作らないと無理だ」
「え、そうなの? だって、適当な感じでもいいんでしょ? なんだったらダメな見本とかでもいいじゃない」
「……ダメな見本?」
「……それはどうかと思うが」
私の言葉にユリウスとグレイがつぶやく。
ダメな見本はどうやらダメらしい。
「じゃあわかった。できる限り頑張るからたまに手伝いに来て」
「しかし名無しさん、こんな寒い中で大変な作業を君にさせるわけにはいかない」
「大丈夫。涼みに来たんだもん。寒さを感じたいの!」
私の言葉に、彼らはしばらくじっとこちらを見つめてくる。(なんか照れるな)
「私、時間ならたくさんあるし」
「はぁ……」
グレイとユリウスは同時にため息をついた。
「名無しさんがそこまで言ってくれるのならば俺も手伝おう。ナイトメア様の望みどおりの物は無理かもしれないが、君と一緒ならなんとかなるかもしれない」
「ほんと!? でもいいの?」
「あぁ。俺の分までナイトメア様は仕事をしてくださるはずだ」
グレイの言葉に喜んだ時だった。
「トカゲ。お前の不器用さで何とかなるほど簡単には作れないぞ。仕方ないから私が手伝おう」
「え!ほんと!?」
ユリウスの参加に喜ぶと、グレイが言った。
「確かにお前ほど器用ではないが、仕事で忙しいお前に手を煩わせるのも気が引ける。ここは任せておいてくれ」
「……ふん、さっきと言っていることがずいぶん違うんじゃないか?」
「お前こそ、仕事が忙しいと言っていただろう時計屋」
「後で手直しをする手間を考えたら初めから参加している方が楽だ」
なぜかまた言い合いになる2人。
この空気を何とかしなくては!
そう思いつつ、私はそっと言ってみた。
「せっかくだし3人で作ればいいんじゃない?」
「……」
「……」
私の提案にまるで反応をしない2人。どうやら却下されたらしい。
うわ、なにこの空気。
もしかして私が余計なこといっちゃった?
「あ、あの2人とも、そんな怖い顔しないでさ、仲良く雪像を作ろうよ……お祭りだし、ね?」
おろおろしつつ彼らにそう言ってみる。
すると、ナイトメアがすすすっとやってきてこう言った。
「名無しさん、雪像作りは体力勝負だ。君には厳しいと思う。私も領主として参加するから、一緒に設計図作成にまわってくれ。雪像づくりはそっちの2人にやる気があるようだし任せておこう」
「でも私体力には自信があるし、せっかくだから雪を触りたいし……」
そう言いかけると、グレイが言った。
「ナイトメア様。設計図を作る余裕があるなら仕事をしてください」
「お前達2人の設計図なんてあてになるわけないだろう。名無しさんに外仕事をさせないと言うなら、私が名無しさんと設計図を作った方がマシだ」
「お、お前達、どうして私にはそう厳しいものの言い方をするんだ……!」
ナイトメアは顔をしかめてそう言ったけれど、グレイもユリウスも聞こえていないかのようにスルーしている。
「名無しさんは冬を楽しみに来てくれたんだ。彼女の意見を尊重すべきだろう。俺だって外仕事で彼女に無理をさせるつもりはない」
「不器用すぎるお前を見かねて手を出すタイプだぞ、名無しさんは」
なんだか議論の中心が雪像づくりから私に移っている気がするけれど、喜んでいいものかはかなり謎だ。
「ナイトメア、この企画は一度白紙に戻した方がいいんじゃない?」
思わずそう言った私に、ナイトメアも「そうかもしれないな」とつぶやいた。
夏はさすがに暑すぎる。
という訳で、冬に涼みに来た私。
夏の暑さにうんざりしていたので、雪景色はものすごく綺麗で寒さも新鮮だった。
クローバーの塔に遊びに行くと、ナイトメアとグレイは雪まつりに向けての話し合いをしていた。
そして、珍しいことにその場にはユリウスもいた。雪像作り要員として召集されたらしい。
楽しそうだなぁと思い、私はその話し合いをすぐそばで聞いていた。
「できれば大きな物を作りたい! そして投票で1位を決めるんだ」
「なるほど。投票ですか」
「あぁ。せっかくだから優勝者にはなにか賞品を用意しよう」
「わかりました。ただし今回はあまり予算は出せませんよ。先日のかき氷大食い大会でかなり使いましたからね」
「なに? そうなのか!?」
「はい。ナイトメア様が思いつきで勝手に秋から取り寄せたブドウのシロップがかなり高級でした。大食い大会用ではなかったですね」
「馬鹿な!帽子屋は友情価格で譲ってくれたはずだぞ!?」
「友情価格にしてはいい値段でした。まぁ、あの男がそんなせこい真似をするわけはないでしょうから、元値がかなり張るものだったんでしょうね」
声を張り上げるナイトメアに、淡々と書類を見ながら答えるグレイ。
興味なさそうに頬杖をついているユリウスに、私はそっと聞いてみた。
「ねぇ、ユリウス。かき氷大食い大会なんてしたの? こんなに寒いのに」
「らしいな。私も今初めて知った」
「あぁ、そっか。引き籠ってるもんね」
「悪かったな」
私の言葉にユリウスはそっぽを向いた。
予想通りの反応になんだか満足する私。
するとナイトメアがユリウスにこう言った。
「時計屋。ちょっと確認なのだが、お前この雪まつりで優勝したいか?」
「は?」
「大会本部としても何か一つ雪像を用意したいと思っているんだ。だから、時計屋には雪まつりのエントリーはせずに雪像を作ってほしい。もしも優勝をしたい、優勝をねらう!という意気込みを持っているなら、考えなければいけないと思ったんだが……」
「……というよりも参加を拒否したい」
「なに!? それは困る!困るぞ!!」
「知るか。私は忙しいんだ。こんなくだらないことに付き合っている暇はない」
きっぱりそう言うユリウス。うん、予想通り。
私が思わず苦笑すると、グレイが言う。
「時計屋。俺も手伝うから、何か一つ作ってくれないか?お前の都合に合わせる」
「都合の良い時間帯などないぞ。仕事が立て込んでいるんだ」
「1時間帯くらいなら何とかなるだろう?」
「1時間帯で雪像を完成させられるわけがないだろう」
グレイの言葉をばっさり切り捨てるユリウス。
下手に出ているグレイによくもまぁあんなに冷たいことを言えるものだ。
そう思っていたら、いつの間にか2人のやり取りが険悪になってきた。
「それならば3時間帯くらいで作れるような物を作る方向で……」
「トカゲ。それはつまり、私に3時間帯もの間、仕事を放棄しろということか? ただでさえ仕事が溜まっている上、どんどん入ってくるんだ。休めるがわけないだろう」
「無理を言っていることは重々承知だ。俺だって仕事の手を少し休めることが、後でどれだけ苦労するかは分かっている」
互いに一歩も譲らず、にらみ合う2人。
うわ、こんな2人初めて見た。どうしよう。
「あ、あのぅ、2人共ちょっと落ち着いて」
っていうか口調は落ちついているから余計に怖い。
びくびくしながら口を挟む。
しかし、2人の間の張りつめた空気は消えない。
気まずい。気まずすぎる。
私はナイトメアをそっと見つめた。
すると彼はのんきにこう言った。
「おーい、2人共。そんなに熱くなるな。いや、熱くなるっていうかこの場合は、空気が冷え込んでいるというのか? なんにしても雪祭りはもっと楽しくやるべきものであって……」
ナイトメアがものすごく適当な仲裁に入る。
しかし、2人はちらりと彼を見るだけで何も答えない。(それがまた怖い)
そんな彼らにナイトメアは肩をすくめて見せる。
「はぁ、これだから真面目な奴らは困るな。見本っていっても適当でいいんだぞー?参加者のやる気がそがれるような立派な雪像を作るよりも『こんな感じでいいのか』くらいの適当な出来の方が参加者が集まりそうだし」
「それなら自分で作ったらどうだ?夢魔」
「なにを言う! 私は今ちょっと風邪気味だ。こじらせたら入院させられるからな。断固拒否する!」
「偉そうに言うな」
イライラを隠しもせずに言うユリウス。
グレイも小さくため息をついている。
彼らにこれ以上ストレスを与えてはいけない。
そう思った私は決心した。
「雪像なら私が作るよ」
「は?」
「本気か、名無しさん」
「2人とも忙しいんだからナイトメアの娯楽に付き合う必要ないでしょう?私が頑張るから、2人は時間ができたら手伝いに来てよ。それでなんとかなるんじゃない?」
「ちょっと待て、名無しさん。お前、雪像がどういうものかわかっているのか? 雪だるまとはわけが違うぞ?雪玉を2つを乗せて完成、というようなものではなくて、色々と計算して作らないと無理だ」
「え、そうなの? だって、適当な感じでもいいんでしょ? なんだったらダメな見本とかでもいいじゃない」
「……ダメな見本?」
「……それはどうかと思うが」
私の言葉にユリウスとグレイがつぶやく。
ダメな見本はどうやらダメらしい。
「じゃあわかった。できる限り頑張るからたまに手伝いに来て」
「しかし名無しさん、こんな寒い中で大変な作業を君にさせるわけにはいかない」
「大丈夫。涼みに来たんだもん。寒さを感じたいの!」
私の言葉に、彼らはしばらくじっとこちらを見つめてくる。(なんか照れるな)
「私、時間ならたくさんあるし」
「はぁ……」
グレイとユリウスは同時にため息をついた。
「名無しさんがそこまで言ってくれるのならば俺も手伝おう。ナイトメア様の望みどおりの物は無理かもしれないが、君と一緒ならなんとかなるかもしれない」
「ほんと!? でもいいの?」
「あぁ。俺の分までナイトメア様は仕事をしてくださるはずだ」
グレイの言葉に喜んだ時だった。
「トカゲ。お前の不器用さで何とかなるほど簡単には作れないぞ。仕方ないから私が手伝おう」
「え!ほんと!?」
ユリウスの参加に喜ぶと、グレイが言った。
「確かにお前ほど器用ではないが、仕事で忙しいお前に手を煩わせるのも気が引ける。ここは任せておいてくれ」
「……ふん、さっきと言っていることがずいぶん違うんじゃないか?」
「お前こそ、仕事が忙しいと言っていただろう時計屋」
「後で手直しをする手間を考えたら初めから参加している方が楽だ」
なぜかまた言い合いになる2人。
この空気を何とかしなくては!
そう思いつつ、私はそっと言ってみた。
「せっかくだし3人で作ればいいんじゃない?」
「……」
「……」
私の提案にまるで反応をしない2人。どうやら却下されたらしい。
うわ、なにこの空気。
もしかして私が余計なこといっちゃった?
「あ、あの2人とも、そんな怖い顔しないでさ、仲良く雪像を作ろうよ……お祭りだし、ね?」
おろおろしつつ彼らにそう言ってみる。
すると、ナイトメアがすすすっとやってきてこう言った。
「名無しさん、雪像作りは体力勝負だ。君には厳しいと思う。私も領主として参加するから、一緒に設計図作成にまわってくれ。雪像づくりはそっちの2人にやる気があるようだし任せておこう」
「でも私体力には自信があるし、せっかくだから雪を触りたいし……」
そう言いかけると、グレイが言った。
「ナイトメア様。設計図を作る余裕があるなら仕事をしてください」
「お前達2人の設計図なんてあてになるわけないだろう。名無しさんに外仕事をさせないと言うなら、私が名無しさんと設計図を作った方がマシだ」
「お、お前達、どうして私にはそう厳しいものの言い方をするんだ……!」
ナイトメアは顔をしかめてそう言ったけれど、グレイもユリウスも聞こえていないかのようにスルーしている。
「名無しさんは冬を楽しみに来てくれたんだ。彼女の意見を尊重すべきだろう。俺だって外仕事で彼女に無理をさせるつもりはない」
「不器用すぎるお前を見かねて手を出すタイプだぞ、名無しさんは」
なんだか議論の中心が雪像づくりから私に移っている気がするけれど、喜んでいいものかはかなり謎だ。
「ナイトメア、この企画は一度白紙に戻した方がいいんじゃない?」
思わずそう言った私に、ナイトメアも「そうかもしれないな」とつぶやいた。