真夏のティーパーティー!その2
お名前変換はこちらから
ご利用の端末、あるいはブラウザ設定では夢小説機能をご利用になることができません。
古いスマートフォン端末や、一部ブラウザのプライベートブラウジング機能をご利用の際は、機能に制限が掛かることがございます。
【おまけ 夏】
真夏の遊園地は今日も元気に営業中。
私はエースと一緒に園内を歩いていた。
久しぶりにデートらしいデートだなぁと思いながら彼の隣りを歩く。
「ふー、やっぱり暑いよなぁ。体力を持ってかれるような気がする」
そう言いつつも、エースはいつもの爽やか笑顔を崩さない。
この暑さにさすがの彼も赤いコートを脱いでいるけれど。
白いシャツを着た彼は、真っ青な空と大きな黄色いひまわりがとてつもなく似合う。
しかも手には絶賛開催中の縁日で買ったラムネのビン。
「……CM撮れそうだよ、これ」
思わずつぶやく私に、エースは「え?なに?」と不思議そうな顔をする。
なんでもないよと言おうと思ったら
「あ、これ飲みたい?」
そう言って彼はラムネのビンを差し出してきた。
「じゃあ一口」
「はい、どうぞ」
エースからラムネを受け取り、一口飲むと甘くて冷たいラムネがぴりっと弾けた。
「美味しいね。夏って感じ」
そう言った時だった。ふいにあたりの景色が変わった。
青空がふっと闇に染まり、あっという間に夜になる。
「わ、時間帯が変わったね」
「短い昼だったなー」
園内は一斉にライトアップされ、夜仕様の遊園地に早変わりしていった。
「そういえば俺、夜の遊園地って初めてだ」
「え、そうなの? 夜もいいよ。花火があがるんだよ」
「へぇ、いいね。見に行こうよ」
という訳で、私たちは花火を見る場所を探しに歩き出した。
しばらく歩いて、場所を決めると2人並んで座る。
夜になってから少し気温が下がった気がする。
そよそよと風が吹いてきて気持ちいい。
エースは持っていたラムネを飲み干すと、空を見あげた。
「いつ始まるのかなー?」
「たぶんもうすぐだよ」
「ふぅん。詳しいね、名無しさん」
「うん、ついこの間も来たの」
「へぇ。……誰と?」
にっこり笑ってそう聞いてくるエース。笑顔の脅迫。
ふふん、そう来ると思った。
あなたが怒るようなやましい答えなんて言う訳ないでしょう。(私はアリスみたいにモテるわけじゃないしね)
私は笑って言ってやった。
「アリスと来ましたー!なに?焼きもち妬いちゃった?」
からかう気でそう言うと、彼は素直にうなずいた。
「うん。男の名前が出たらこのビンを地面にたたきつけちゃうところだったぜ」
エースは空っぽになったラムネのビンをカラカラと振りながら爽やかに笑った。(恐ろしい人だ!)
「この場所もね、アリスが教えてくれたんだよ。花火を見るにはここが良いって言ってた」
「ふぅん。そうなんだ。でも確かにここは良いかもしれないね。空はよく見えるし、ちょっと高台になってるし、あまり人はいなくて静かだし……」
辺りをちらりと見回しながらうなずいていたエースは、不意に言葉を止めて私を見る。
「2人きりで過ごすにはちょうどいいかもね」
そう言いながらエースは私の頬にそっと触れる。
ドキッとしつつ見ると、エースもまっすぐに私を見ていた。
じっと見つめあうこと数秒。
エースの顔が近づいてきた時だった。
「だーからなんでお前まで一緒に来るわけ? 邪魔! お邪魔ネズミ」
「お邪魔ネズミじゃないよ。俺いいネズミなんだ! それに俺だってアリスと一緒に花火みたいよ!!」
「あー、もうあっち行けって! 俺は、アリスと2人で花火を見るんだから!!」
ギャーギャー言う声が聞こえてきた。
唇が触れ合う直前の距離で、私とエースはぴたりと動きを止めて見つめあうと、声の方向を向く。
「うぅ、意地悪にゃんこ!!最初にアリスと一緒にいたのは俺なんだからね! 邪魔しないでよ」
「へぇ?ピアス……お前いつからそういうこと言うようになったんだ?」
「うわ、暴力反対!!! フォークなんてだめだよ危ないよ!!」
「……もうやめなさいよボリス。3人で花火を見ればいいじゃない。……あら? 名無しさんとエース?」
「「え?」」
わいわいやってきた3人組は、やっと私達に気づいたらしい。
私がアリスに手を振ると、彼らはこちらに歩いてきた。
というかピアスは私めがけて駆けだしてきた。
「わー!名無しさんだ名無しさんだ!久しぶりだねっ!嬉しいなっ……ぐぇ!? ちょ、引っ張らないで!苦しいよ~~!」
ピアスが急に止まったかと思ったら、ボリスが彼の襟をぎゅっと掴んでいたらしい。(あれは痛い)
ボリスは手を緩めることなくしれっと言った。
「名無しさんに飛びつくなんてネズミのくせに生意気」
「なんでだよ!俺、いいネズミだよ!? それに俺、名無しさんのこと大好きだからちゅうしたいよ!」
「騎士さんに斬られてもいいなら離してやるけど?」
そう言いながら、ボリスはちらりとこちらに視線を向けた。
その言葉にエースを見ると、彼はいつのまにか笑顔で剣に手をかけていた。
「ちょ、ちょっとエース!!」
私は慌てて彼の手を掴む。
「ん、なに?」
「なに?じゃなくて怖いよ、やめて」
「ははは! 気分最悪になっちゃたからさ。ごめんね?」
笑顔が怖い。
剣から手を離したので、とりあえずほっと一息ついたけれど、この人は怒らせたらいけないと改めて感じた私。
「やぁ、名無しさん。こんばんは」
「こんばんは、ボリス。ピアスも久しぶり」
逃げようとするピアスと、手を離すまいとぎゅうぎゅう引っ張るボリスにとりあえず挨拶をする。
「はぁ~。君たちいいタイミングで入ってくるね」
エースがため息交じりに言い、私は思わず赤くなる。
「ごめんね、騎士さん。邪魔しちゃった?」
「わかってるならどこかに行ってくれると嬉しいんだけどな」
「うわ、直球すぎるよね、騎士さん」
エースの言葉にボリスが苦笑する。
「ごめんごめん、場所変えるよ。その代りこのネズミを置いてってもいい?」
「ぴ!?」
ボリスの手ががしりと肩に回され、びくりとするピアス。
「ははは!鬱陶しそうだから斬っちゃうかもしれないけどいいのかな?」
「好きにしてやってよ」
「ぴ!?」
笑顔でかわされるやり取りに、ピアスはますます固まった。
「ちょっと2人ともやめなさいよ」
遅れてきたアリスが呆れたようにいいながら、ピアスの腕を引く。
「ごめんね、名無しさん。エースも。ちゃんと連れて行くから」
アリスに助けてもらい、ピアスは感激したように言った。
「アリス~!やっぱり君は優しい女の子だね!!嬉しいよ! ちゅうちゅうちゅう!ちゅうしよう!ちゅうちゅう!!」
「しないわよっ!!」
「ぴっ!?」
アリスからの渾身の一撃をくらい、頭を押さえるピアス。
彼女はピアスをずりずりと引きずりながら、「じゃあね」と私とエースに手を振った。
ボリスも「またね、名無しさん」と手をひらひら振るとアリスの後を追って行った。
なんていうかもうドタバタすぎる。
微笑ましい気持ちで彼らを見送った時だった。
耳に響く高い音、そしてぱっと明るくなる空。
「花火!!」
私達は全員ぱっと夜空を見上げた。
大きな音を響かせて、色とりどりに開いていく花火はすごく綺麗だった。
少し先の方でアリスたちもじぃっと空を見つめている。
「うわぁ、すごいねすごいね! 花火って綺麗だね!!」
ボリスに締め上げられていたピアスもわーわー喜んでいるようだった。
しゅるしゅると夜空へ登って行く花火よりも、彼らの背中を見ながら笑ってしまった時だった。
「名無しさん」
ふとエースに呼ばれて振り向いた。
その瞬間キスされそうになる。
「!?」
突然のことにびっくりしすぎて、思わず彼を押し返してしまった。
「ちょ、エース!」
「なに?」
「なにじゃなくて、まだそこにみんないるし、ちょうど花火始まったよ!」
「うん。そうだね」
そう言いながら彼はそっと顔を近づける。
「いや、そうだねじゃなくてさすがに人前では……」
目の前の彼の顔にドキドキしながらも、理性的になろうよと訴える私。
しかし、エースはおかまいなしでじりじりと距離を詰めてきた。
「散々邪魔されたから、我慢の限界。どうせみんな花火しか見てないよ」
そう言いながら唇を寄せるエース。
押し返すことなんてできない。
徐々に深くなるキスに、花火の音も私の理性もみんな遠くなる。
じんわりと濃くて深い真夏の夜。
真夏の遊園地は今日も元気に営業中。
私はエースと一緒に園内を歩いていた。
久しぶりにデートらしいデートだなぁと思いながら彼の隣りを歩く。
「ふー、やっぱり暑いよなぁ。体力を持ってかれるような気がする」
そう言いつつも、エースはいつもの爽やか笑顔を崩さない。
この暑さにさすがの彼も赤いコートを脱いでいるけれど。
白いシャツを着た彼は、真っ青な空と大きな黄色いひまわりがとてつもなく似合う。
しかも手には絶賛開催中の縁日で買ったラムネのビン。
「……CM撮れそうだよ、これ」
思わずつぶやく私に、エースは「え?なに?」と不思議そうな顔をする。
なんでもないよと言おうと思ったら
「あ、これ飲みたい?」
そう言って彼はラムネのビンを差し出してきた。
「じゃあ一口」
「はい、どうぞ」
エースからラムネを受け取り、一口飲むと甘くて冷たいラムネがぴりっと弾けた。
「美味しいね。夏って感じ」
そう言った時だった。ふいにあたりの景色が変わった。
青空がふっと闇に染まり、あっという間に夜になる。
「わ、時間帯が変わったね」
「短い昼だったなー」
園内は一斉にライトアップされ、夜仕様の遊園地に早変わりしていった。
「そういえば俺、夜の遊園地って初めてだ」
「え、そうなの? 夜もいいよ。花火があがるんだよ」
「へぇ、いいね。見に行こうよ」
という訳で、私たちは花火を見る場所を探しに歩き出した。
しばらく歩いて、場所を決めると2人並んで座る。
夜になってから少し気温が下がった気がする。
そよそよと風が吹いてきて気持ちいい。
エースは持っていたラムネを飲み干すと、空を見あげた。
「いつ始まるのかなー?」
「たぶんもうすぐだよ」
「ふぅん。詳しいね、名無しさん」
「うん、ついこの間も来たの」
「へぇ。……誰と?」
にっこり笑ってそう聞いてくるエース。笑顔の脅迫。
ふふん、そう来ると思った。
あなたが怒るようなやましい答えなんて言う訳ないでしょう。(私はアリスみたいにモテるわけじゃないしね)
私は笑って言ってやった。
「アリスと来ましたー!なに?焼きもち妬いちゃった?」
からかう気でそう言うと、彼は素直にうなずいた。
「うん。男の名前が出たらこのビンを地面にたたきつけちゃうところだったぜ」
エースは空っぽになったラムネのビンをカラカラと振りながら爽やかに笑った。(恐ろしい人だ!)
「この場所もね、アリスが教えてくれたんだよ。花火を見るにはここが良いって言ってた」
「ふぅん。そうなんだ。でも確かにここは良いかもしれないね。空はよく見えるし、ちょっと高台になってるし、あまり人はいなくて静かだし……」
辺りをちらりと見回しながらうなずいていたエースは、不意に言葉を止めて私を見る。
「2人きりで過ごすにはちょうどいいかもね」
そう言いながらエースは私の頬にそっと触れる。
ドキッとしつつ見ると、エースもまっすぐに私を見ていた。
じっと見つめあうこと数秒。
エースの顔が近づいてきた時だった。
「だーからなんでお前まで一緒に来るわけ? 邪魔! お邪魔ネズミ」
「お邪魔ネズミじゃないよ。俺いいネズミなんだ! それに俺だってアリスと一緒に花火みたいよ!!」
「あー、もうあっち行けって! 俺は、アリスと2人で花火を見るんだから!!」
ギャーギャー言う声が聞こえてきた。
唇が触れ合う直前の距離で、私とエースはぴたりと動きを止めて見つめあうと、声の方向を向く。
「うぅ、意地悪にゃんこ!!最初にアリスと一緒にいたのは俺なんだからね! 邪魔しないでよ」
「へぇ?ピアス……お前いつからそういうこと言うようになったんだ?」
「うわ、暴力反対!!! フォークなんてだめだよ危ないよ!!」
「……もうやめなさいよボリス。3人で花火を見ればいいじゃない。……あら? 名無しさんとエース?」
「「え?」」
わいわいやってきた3人組は、やっと私達に気づいたらしい。
私がアリスに手を振ると、彼らはこちらに歩いてきた。
というかピアスは私めがけて駆けだしてきた。
「わー!名無しさんだ名無しさんだ!久しぶりだねっ!嬉しいなっ……ぐぇ!? ちょ、引っ張らないで!苦しいよ~~!」
ピアスが急に止まったかと思ったら、ボリスが彼の襟をぎゅっと掴んでいたらしい。(あれは痛い)
ボリスは手を緩めることなくしれっと言った。
「名無しさんに飛びつくなんてネズミのくせに生意気」
「なんでだよ!俺、いいネズミだよ!? それに俺、名無しさんのこと大好きだからちゅうしたいよ!」
「騎士さんに斬られてもいいなら離してやるけど?」
そう言いながら、ボリスはちらりとこちらに視線を向けた。
その言葉にエースを見ると、彼はいつのまにか笑顔で剣に手をかけていた。
「ちょ、ちょっとエース!!」
私は慌てて彼の手を掴む。
「ん、なに?」
「なに?じゃなくて怖いよ、やめて」
「ははは! 気分最悪になっちゃたからさ。ごめんね?」
笑顔が怖い。
剣から手を離したので、とりあえずほっと一息ついたけれど、この人は怒らせたらいけないと改めて感じた私。
「やぁ、名無しさん。こんばんは」
「こんばんは、ボリス。ピアスも久しぶり」
逃げようとするピアスと、手を離すまいとぎゅうぎゅう引っ張るボリスにとりあえず挨拶をする。
「はぁ~。君たちいいタイミングで入ってくるね」
エースがため息交じりに言い、私は思わず赤くなる。
「ごめんね、騎士さん。邪魔しちゃった?」
「わかってるならどこかに行ってくれると嬉しいんだけどな」
「うわ、直球すぎるよね、騎士さん」
エースの言葉にボリスが苦笑する。
「ごめんごめん、場所変えるよ。その代りこのネズミを置いてってもいい?」
「ぴ!?」
ボリスの手ががしりと肩に回され、びくりとするピアス。
「ははは!鬱陶しそうだから斬っちゃうかもしれないけどいいのかな?」
「好きにしてやってよ」
「ぴ!?」
笑顔でかわされるやり取りに、ピアスはますます固まった。
「ちょっと2人ともやめなさいよ」
遅れてきたアリスが呆れたようにいいながら、ピアスの腕を引く。
「ごめんね、名無しさん。エースも。ちゃんと連れて行くから」
アリスに助けてもらい、ピアスは感激したように言った。
「アリス~!やっぱり君は優しい女の子だね!!嬉しいよ! ちゅうちゅうちゅう!ちゅうしよう!ちゅうちゅう!!」
「しないわよっ!!」
「ぴっ!?」
アリスからの渾身の一撃をくらい、頭を押さえるピアス。
彼女はピアスをずりずりと引きずりながら、「じゃあね」と私とエースに手を振った。
ボリスも「またね、名無しさん」と手をひらひら振るとアリスの後を追って行った。
なんていうかもうドタバタすぎる。
微笑ましい気持ちで彼らを見送った時だった。
耳に響く高い音、そしてぱっと明るくなる空。
「花火!!」
私達は全員ぱっと夜空を見上げた。
大きな音を響かせて、色とりどりに開いていく花火はすごく綺麗だった。
少し先の方でアリスたちもじぃっと空を見つめている。
「うわぁ、すごいねすごいね! 花火って綺麗だね!!」
ボリスに締め上げられていたピアスもわーわー喜んでいるようだった。
しゅるしゅると夜空へ登って行く花火よりも、彼らの背中を見ながら笑ってしまった時だった。
「名無しさん」
ふとエースに呼ばれて振り向いた。
その瞬間キスされそうになる。
「!?」
突然のことにびっくりしすぎて、思わず彼を押し返してしまった。
「ちょ、エース!」
「なに?」
「なにじゃなくて、まだそこにみんないるし、ちょうど花火始まったよ!」
「うん。そうだね」
そう言いながら彼はそっと顔を近づける。
「いや、そうだねじゃなくてさすがに人前では……」
目の前の彼の顔にドキドキしながらも、理性的になろうよと訴える私。
しかし、エースはおかまいなしでじりじりと距離を詰めてきた。
「散々邪魔されたから、我慢の限界。どうせみんな花火しか見てないよ」
そう言いながら唇を寄せるエース。
押し返すことなんてできない。
徐々に深くなるキスに、花火の音も私の理性もみんな遠くなる。
じんわりと濃くて深い真夏の夜。