真夏のティーパーティー!その2
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【5.日焼けした君】
この世界に季節がやって来てからというもの、私はあちこちの季節を見学に行っていた。
特に夏の遊園地には足しげく通ってしまった。
ゴーランドをはじめ遊園地の従業員の皆様が、全力で夏を楽しませてくれるからついつい行ってしまったのだ。
かくれんぼに縁日、スタンプラリーに流しそうめん。
その他にもいろいろなイベントがたくさんあって、通い詰めないと遊べないくらいだった。
そんな風に夏に通っていたある日。
暑い夏の遊園地で遊び、ぐったり疲れた体を引きずって帽子屋屋敷に戻ってきた私。
シャワーを浴びて、すっきりした気分で部屋のベッドにごろりと横になっていたら、不意にドアがノックされた。
「はーい」
誰かなぁ? メイドさんかな?と思いながらドアを開けると、そこには思いもよらない人物が立っていた。
「やぁ、お嬢さん」
「え、ブラッド!?」
びっくりしすぎて唖然とする私。
いつもの帽子に白いジャケットを着たブラッドがそこにいたのだ。
彼が私の部屋にやってきたことなどこれまで一度もなかった。
「お邪魔してもいいかな?」
私が答える前にブラッドは部屋に足を踏み入れてきた。
「え、いや、あの……どうしたの?」
めちゃめちゃ部屋着で油断しまくっていた私はものすごく恥ずかしくなったけれど、ブラッドは全く気にしていないようだった。
彼はぱたんとドアを閉めると、私の部屋に入ってくる。
「もしかして、なにか約束してたっけ?」
お茶会に誘われてたとか? いや、そんな記憶はないし、何か話がある雰囲気でもない。何なんだろう??
突然すぎて頭が混乱する私を、ブラッドは楽しそうに見ながら言った。
「君に会いたくなった。それだけだよ」
ストレートに言われてますます訳が分からなくなる。
「最近名無しさんは出かけてばかりだからね、こうやって会うのは久しぶりじゃないか?」
「そうだね、そうかもしれない。私夏に行ってばかりだったから」
「夏か。あんな暑い場所へわざわざ行くなんて……君も物好きだな」
「結構楽しいよ? 色々なイベントをしているの。あ、今紅茶淹れるね! 座って」
ボスを立たせたままはまずいよねぇ、と思いながらくるりと背を向ける。
すると、一拍おいてからブラッドがぽつりと言った。
「焼けたな、名無しさん」
その一言にショックで私は固まった。
ギギギ、と振り返ると彼は私を上から下までゆっくりと眺めてもう一度言った。
「夏にばかり行っているからだな。だいぶ日に焼けたようだ」
「えー、そうかなぁ。一応日焼け止めも塗って、なるべく日陰を歩くようにしたんだけど」
私は自分の腕や足をじっと見つめた。
確かにちょっと日に焼けたかもしれないけど、なんだかショックだった。
「別に悪いとは言っていないよ、お嬢さん」
ただ率直に感想を述べただけだ、とブラッドは言う。
「日焼けした君も悪くない。健康的じゃないか」
「そ、そうかな。うん、ありがと」
じぃっと見つめられて、なんだかすごく恥ずかしくなってきた。
ブラッドは笑みを浮かべたまま、私を見ている。
「な、なに?」
「日焼けした君も悪くはないが、気に入らないことが一つあってね」
彼はそう言って私のそばに寄ってきた。
「日焼けをするくらい外出してばかりだなんて、ひどいじゃないか」
私を見下ろして彼はそう言った。
「季節がやってきたのはここも同じだろう? 秋はお気に召さないのかな?」
「べ、べつにそういう訳じゃないけど……」
「ほう?」
私の言葉に彼はすっと目を細めた。
思わず一歩下がる私。
「やはり気に入らないな」
「え?」
「その日に焼けた肌は、私と別の場所で、別の奴と過ごしていたという証だからな」
ブラッドはそう言いながら、私を抱きしめてきたかと思うと、私のうなじに唇を落とす。
ぞくりとして体がかちんと固まった。
そんな私の様子に、耳元で彼がくすりと笑うのがわかった。
「せめて日焼けしていない場所は、私といたという印をつけておこうか」
「は?! ちょ、ちょっと!!?」
身の危険を感じてぎゅうっとブラッドを押し返すが、びくともしなかった。
「名無しさんの頻繁な外出を我慢すると言っているんだ。大人しくしなさい」
「いや、言ってることがおかしいでしょ……っ!」
なんで私の外出をあれこれ言われなきゃいけないんですか!
そう思ったけれど、首筋を這うような彼のキスに体の力は抜け、言葉は全て消えて行った。
うまく呼吸ができなくなる私に、ブラッドが囁いた。
「日に焼けた君が悪い」
もう夏には行くまい!!
ぼんやりとした意識の中でそう思ったけれど、日に焼けた肌がすぐに戻ることはない。
この世界に季節がやって来てからというもの、私はあちこちの季節を見学に行っていた。
特に夏の遊園地には足しげく通ってしまった。
ゴーランドをはじめ遊園地の従業員の皆様が、全力で夏を楽しませてくれるからついつい行ってしまったのだ。
かくれんぼに縁日、スタンプラリーに流しそうめん。
その他にもいろいろなイベントがたくさんあって、通い詰めないと遊べないくらいだった。
そんな風に夏に通っていたある日。
暑い夏の遊園地で遊び、ぐったり疲れた体を引きずって帽子屋屋敷に戻ってきた私。
シャワーを浴びて、すっきりした気分で部屋のベッドにごろりと横になっていたら、不意にドアがノックされた。
「はーい」
誰かなぁ? メイドさんかな?と思いながらドアを開けると、そこには思いもよらない人物が立っていた。
「やぁ、お嬢さん」
「え、ブラッド!?」
びっくりしすぎて唖然とする私。
いつもの帽子に白いジャケットを着たブラッドがそこにいたのだ。
彼が私の部屋にやってきたことなどこれまで一度もなかった。
「お邪魔してもいいかな?」
私が答える前にブラッドは部屋に足を踏み入れてきた。
「え、いや、あの……どうしたの?」
めちゃめちゃ部屋着で油断しまくっていた私はものすごく恥ずかしくなったけれど、ブラッドは全く気にしていないようだった。
彼はぱたんとドアを閉めると、私の部屋に入ってくる。
「もしかして、なにか約束してたっけ?」
お茶会に誘われてたとか? いや、そんな記憶はないし、何か話がある雰囲気でもない。何なんだろう??
突然すぎて頭が混乱する私を、ブラッドは楽しそうに見ながら言った。
「君に会いたくなった。それだけだよ」
ストレートに言われてますます訳が分からなくなる。
「最近名無しさんは出かけてばかりだからね、こうやって会うのは久しぶりじゃないか?」
「そうだね、そうかもしれない。私夏に行ってばかりだったから」
「夏か。あんな暑い場所へわざわざ行くなんて……君も物好きだな」
「結構楽しいよ? 色々なイベントをしているの。あ、今紅茶淹れるね! 座って」
ボスを立たせたままはまずいよねぇ、と思いながらくるりと背を向ける。
すると、一拍おいてからブラッドがぽつりと言った。
「焼けたな、名無しさん」
その一言にショックで私は固まった。
ギギギ、と振り返ると彼は私を上から下までゆっくりと眺めてもう一度言った。
「夏にばかり行っているからだな。だいぶ日に焼けたようだ」
「えー、そうかなぁ。一応日焼け止めも塗って、なるべく日陰を歩くようにしたんだけど」
私は自分の腕や足をじっと見つめた。
確かにちょっと日に焼けたかもしれないけど、なんだかショックだった。
「別に悪いとは言っていないよ、お嬢さん」
ただ率直に感想を述べただけだ、とブラッドは言う。
「日焼けした君も悪くない。健康的じゃないか」
「そ、そうかな。うん、ありがと」
じぃっと見つめられて、なんだかすごく恥ずかしくなってきた。
ブラッドは笑みを浮かべたまま、私を見ている。
「な、なに?」
「日焼けした君も悪くはないが、気に入らないことが一つあってね」
彼はそう言って私のそばに寄ってきた。
「日焼けをするくらい外出してばかりだなんて、ひどいじゃないか」
私を見下ろして彼はそう言った。
「季節がやってきたのはここも同じだろう? 秋はお気に召さないのかな?」
「べ、べつにそういう訳じゃないけど……」
「ほう?」
私の言葉に彼はすっと目を細めた。
思わず一歩下がる私。
「やはり気に入らないな」
「え?」
「その日に焼けた肌は、私と別の場所で、別の奴と過ごしていたという証だからな」
ブラッドはそう言いながら、私を抱きしめてきたかと思うと、私のうなじに唇を落とす。
ぞくりとして体がかちんと固まった。
そんな私の様子に、耳元で彼がくすりと笑うのがわかった。
「せめて日焼けしていない場所は、私といたという印をつけておこうか」
「は?! ちょ、ちょっと!!?」
身の危険を感じてぎゅうっとブラッドを押し返すが、びくともしなかった。
「名無しさんの頻繁な外出を我慢すると言っているんだ。大人しくしなさい」
「いや、言ってることがおかしいでしょ……っ!」
なんで私の外出をあれこれ言われなきゃいけないんですか!
そう思ったけれど、首筋を這うような彼のキスに体の力は抜け、言葉は全て消えて行った。
うまく呼吸ができなくなる私に、ブラッドが囁いた。
「日に焼けた君が悪い」
もう夏には行くまい!!
ぼんやりとした意識の中でそう思ったけれど、日に焼けた肌がすぐに戻ることはない。