真夏のティーパーティー!その2
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【2.縁日】
遊園地にはたくさんのお土産屋さんやレストラン、スナックワゴンやらゲームコーナーなどがある。
しかし、この夏はさらに縁日まで完備してきた。
お客さんを全力で楽しませにかかってきているので、こちらとしても全力で楽しまなければいけない。
園内の縁日を全力で楽しんでいる双子を目の前にして、私はそう思った。
金魚すくいにお面屋さん、射的にりんご飴にわたあめ屋さん。
夏の縁日は特別な空間だ。
ノスタルジックなそこにいると、不思議と素直な気持ちになる。
彼らもそれは同じなようで、特に問題も起こさず、純粋に縁日を楽しんでいた。
「ねーねー! 見て。スーパーボールがこんなにとれちゃった!」
「すごいね、兄弟。もしかしてスーパーボールすくいの才能があるんじゃないかな」
大量のスーパーボールを詰めこんだ袋を見て、きゃっきゃと盛り上がるディーとダム。
なんだか微笑ましい。子どもとして正しい姿だなぁ。
素直にイベントを楽しめるっていいなぁと思う。
「でも二人とも、そんなにいっぱいとってどうするの?」
「遊ぶんだよ、もちろん。名無しさんとキャッチボールしたりさ」
「うんうん。色々と使い道はあるよね。ちょっと火薬を仕込めばミニ爆弾になるし、ひよこウサギが通りそうな所にばらまいて嫌がらせしたり……」
「危ないことはダメだからね」
呆れつつもお姉さん気分で釘を刺しておいた。でも、たぶん彼らの耳には届いていない。
2人は楽しそうにスーパーボールの使い道を論議している。
まったくほんとに危険な思考の2人だわ。
可愛いけれど、危険すぎて目が離せない。
そう思った時だった。
「あ、名無しさん。わたあめ食べる?」
「ラムネもいいよね」
今度は少し先にある出店に心を奪われたらしい。
スーパーボールの危険な話題から、食べ物の話題へと移っていった。
「りんご飴もいいなぁ」
「たこ焼きっていうのもあるよ? 悩むけど3人でわけっこすれば、全部食べられるよね」
彼らは自然に私の手を取りながらそんなことを言う。
2人の手は同じ温度で、同じ大きさ。
彼らは自分を子どもだ子どもだというけれど、子ども特有のふわふわした手ではなくて、しっかりとした少年の手だった。
大人でもなく子どもでもない、弟みたいな男の子たち。
「名無しさんはどれがいい?」
その質問にはっと意識を取り戻すと、ディーとダムが私を見ていた。
「どうしたの、名無しさん?」
「暑い?熱中症? 大丈夫??」
彼らは心配そうに私を覗き込んできた。
「ううん。大丈夫!ごめん。ぼんやりしてただけなの」
「そう? 夏だし、この人手だし異常な暑さだからね。無理しないでよ?」
「そうだよ。辛い時はちゃんと言ってね?僕らのこと頼ってくれていいんだよ?」
ただぼんやりしてただけだよ、ともう一度言おうと思ったら、彼らはものすごく真剣な顔で私を見ていた。
わ?と思ったら、ディーがまっすぐな目で私を見て言った。
「名無しさんは僕らのことあまり頼りにしてくれてないよね? 名無しさんよりも背が低いから?」
「え?」
突然の発言にびっくりしていると、ダムも続けた。
「それとも僕らが子どもだから?年上の方がしっかりしなくちゃって思ってるの?」
「え?え?」
ちょっとぼんやりしてただけなのに、話がものすごく大きくなってる気がする。
話に割って入ろうとしたけれど、2人はすぐさま続けた。
「子どもでも名無しさんのことちゃんと大事にできるよ、僕達。背が高い方が好きなら背を伸ばすし、大人が好きなら大人になる」
「どんな時でも僕らが名無しさんを楽しませてあげる。だから、ちゃんと僕らを見て」
まっすぐな瞳に見つめられて、私はとたんにドキドキした。
弟としか思えなかったけれど、彼らの瞳は私が知らない大人っぽい色をしている。
「どうしようもない大人より、僕ら2人の方が絶対に名無しさんを幸せにできるよ」
真面目な顔をしてそう言う2人に、なんだか心が温かくなった。
思わず顔が緩む。
「……うん、ありがとう。2人共」
すると、ディーとダムもほわっと表情をゆるめて笑った。
その顔があんまりにも可愛くて、「あーもう可愛い可愛い!」と言いながら思わず彼らの頭をぽんぽんと撫でてしまった。
すると2人は不満そうに口を尖らせた。
「……可愛いって嬉しくない」
「名無しさんってば僕らのこと子ども扱いしすぎ」
「え、だっていつも子どもだ子どもだってアピールしてるじゃない」
本当はそこまで子どもじゃないと私だってわかっている。
でも、なんだかちょっとからかいたい気分になってしまった。
思わず笑う私に、ディーとダムはむっとしたままの表情。ますます彼らが可愛く見える。
私は笑いをこらえながら言った。
「そんな顔しないで。ほら、わたあめとラムネを買いに行こう?」
「……たこ焼きもだよ」
「うんうん。りんご飴もなんでしょ?」
「うん」
食べ物の話題を振ると、珍しく素直に乗ってきた2人。
縁日のおかげなのかもしれない。
「縁日を思い切り楽しむのは子どもの役割なの!ね? それに2人で私を楽しませてくれるんでしょう?」
私がそう言うと、2人は顔を見合わせた。
「うん、そうだった」
「そうだね、3人でいっぱい遊ぼう」
それから彼らは私の手を取ると、にこにこと歩き出した。
大人でも子どもでもない彼らの手は、私にぴったりな気がして嬉しくなった。
夏の縁日はやっぱり特別。
遊園地にはたくさんのお土産屋さんやレストラン、スナックワゴンやらゲームコーナーなどがある。
しかし、この夏はさらに縁日まで完備してきた。
お客さんを全力で楽しませにかかってきているので、こちらとしても全力で楽しまなければいけない。
園内の縁日を全力で楽しんでいる双子を目の前にして、私はそう思った。
金魚すくいにお面屋さん、射的にりんご飴にわたあめ屋さん。
夏の縁日は特別な空間だ。
ノスタルジックなそこにいると、不思議と素直な気持ちになる。
彼らもそれは同じなようで、特に問題も起こさず、純粋に縁日を楽しんでいた。
「ねーねー! 見て。スーパーボールがこんなにとれちゃった!」
「すごいね、兄弟。もしかしてスーパーボールすくいの才能があるんじゃないかな」
大量のスーパーボールを詰めこんだ袋を見て、きゃっきゃと盛り上がるディーとダム。
なんだか微笑ましい。子どもとして正しい姿だなぁ。
素直にイベントを楽しめるっていいなぁと思う。
「でも二人とも、そんなにいっぱいとってどうするの?」
「遊ぶんだよ、もちろん。名無しさんとキャッチボールしたりさ」
「うんうん。色々と使い道はあるよね。ちょっと火薬を仕込めばミニ爆弾になるし、ひよこウサギが通りそうな所にばらまいて嫌がらせしたり……」
「危ないことはダメだからね」
呆れつつもお姉さん気分で釘を刺しておいた。でも、たぶん彼らの耳には届いていない。
2人は楽しそうにスーパーボールの使い道を論議している。
まったくほんとに危険な思考の2人だわ。
可愛いけれど、危険すぎて目が離せない。
そう思った時だった。
「あ、名無しさん。わたあめ食べる?」
「ラムネもいいよね」
今度は少し先にある出店に心を奪われたらしい。
スーパーボールの危険な話題から、食べ物の話題へと移っていった。
「りんご飴もいいなぁ」
「たこ焼きっていうのもあるよ? 悩むけど3人でわけっこすれば、全部食べられるよね」
彼らは自然に私の手を取りながらそんなことを言う。
2人の手は同じ温度で、同じ大きさ。
彼らは自分を子どもだ子どもだというけれど、子ども特有のふわふわした手ではなくて、しっかりとした少年の手だった。
大人でもなく子どもでもない、弟みたいな男の子たち。
「名無しさんはどれがいい?」
その質問にはっと意識を取り戻すと、ディーとダムが私を見ていた。
「どうしたの、名無しさん?」
「暑い?熱中症? 大丈夫??」
彼らは心配そうに私を覗き込んできた。
「ううん。大丈夫!ごめん。ぼんやりしてただけなの」
「そう? 夏だし、この人手だし異常な暑さだからね。無理しないでよ?」
「そうだよ。辛い時はちゃんと言ってね?僕らのこと頼ってくれていいんだよ?」
ただぼんやりしてただけだよ、ともう一度言おうと思ったら、彼らはものすごく真剣な顔で私を見ていた。
わ?と思ったら、ディーがまっすぐな目で私を見て言った。
「名無しさんは僕らのことあまり頼りにしてくれてないよね? 名無しさんよりも背が低いから?」
「え?」
突然の発言にびっくりしていると、ダムも続けた。
「それとも僕らが子どもだから?年上の方がしっかりしなくちゃって思ってるの?」
「え?え?」
ちょっとぼんやりしてただけなのに、話がものすごく大きくなってる気がする。
話に割って入ろうとしたけれど、2人はすぐさま続けた。
「子どもでも名無しさんのことちゃんと大事にできるよ、僕達。背が高い方が好きなら背を伸ばすし、大人が好きなら大人になる」
「どんな時でも僕らが名無しさんを楽しませてあげる。だから、ちゃんと僕らを見て」
まっすぐな瞳に見つめられて、私はとたんにドキドキした。
弟としか思えなかったけれど、彼らの瞳は私が知らない大人っぽい色をしている。
「どうしようもない大人より、僕ら2人の方が絶対に名無しさんを幸せにできるよ」
真面目な顔をしてそう言う2人に、なんだか心が温かくなった。
思わず顔が緩む。
「……うん、ありがとう。2人共」
すると、ディーとダムもほわっと表情をゆるめて笑った。
その顔があんまりにも可愛くて、「あーもう可愛い可愛い!」と言いながら思わず彼らの頭をぽんぽんと撫でてしまった。
すると2人は不満そうに口を尖らせた。
「……可愛いって嬉しくない」
「名無しさんってば僕らのこと子ども扱いしすぎ」
「え、だっていつも子どもだ子どもだってアピールしてるじゃない」
本当はそこまで子どもじゃないと私だってわかっている。
でも、なんだかちょっとからかいたい気分になってしまった。
思わず笑う私に、ディーとダムはむっとしたままの表情。ますます彼らが可愛く見える。
私は笑いをこらえながら言った。
「そんな顔しないで。ほら、わたあめとラムネを買いに行こう?」
「……たこ焼きもだよ」
「うんうん。りんご飴もなんでしょ?」
「うん」
食べ物の話題を振ると、珍しく素直に乗ってきた2人。
縁日のおかげなのかもしれない。
「縁日を思い切り楽しむのは子どもの役割なの!ね? それに2人で私を楽しませてくれるんでしょう?」
私がそう言うと、2人は顔を見合わせた。
「うん、そうだった」
「そうだね、3人でいっぱい遊ぼう」
それから彼らは私の手を取ると、にこにこと歩き出した。
大人でも子どもでもない彼らの手は、私にぴったりな気がして嬉しくなった。
夏の縁日はやっぱり特別。